ビジネスパーソンインタビュー
森山大朗著『Work in Tech!(ワーク・イン・テック!) ユニコーン企業への招待』より
そのマーケットは成長しているか。8社を渡り歩いた見つけた、「未来の大手」の見極め方
新R25編集部
伝説の幻獣「ユニコーン」のように希少で、成長性の高いスタートアップベンチャー「ユニコーン企業」。
「転職するなら急成長企業一択」
そう言いきるのは、ビズリーチ→メルカリ→スマートニュースといった国内屈指のユニコーン企業を渡り歩き、現在は最先端のテック領域で活躍する「たいろー」こと森山大朗さんです。
たいろーさんの新著『Work in Tech!(ワーク・イン・テック!) ユニコーン企業への招待』から、「急成長企業の特長」や「未来の大手の見極め方」について一部抜粋してご紹介します。
「未来の大手」はどこにいる?
僕はこれまでに3つのユニコーン企業を渡り歩いていますが、最初に着目したのは「テクノロジーによる変化と発展のパターン」であり、企業単体ではありませんでした。
まず見据えるべきは、「次はどこに新大陸(成長マーケット)が浮上するか?」「この現象は不可逆的変化か、それとも単なる時代の揺り戻しか?」「一度は消えたけど、まだ復活していない懐かしいものは何か?」といった点です。
つまり、「主戦場がどこに移るか」「戦場がどこに拡張していくか」という、世の中の大きな方向性から吟味する必要があるのです。
そして、その段階を経てから、次のようなポイントをチェックします。
未来の大手の見極め方① 伸びる市場で収益性の高いビジネスをしているか?
最初に見るべきは、そのマーケットが伸び始めているかどうかです。
どれだけ起業家が未熟でも、プロダクトが未成熟でも、市場全体が伸びていればチャンスがあり、伸びていなければ成長の可能性は極めて低くなります。
そのうえで、収益性の高い事業をやっているかがポイントです。
収益性が低いと投資家からの資金調達に頼り続けることになりますし、自分たちで成長のための原資を生みだせずに成長速度が遅くなります。
ネットビジネスの収益モデルは以前よりも多様化してきており、広告モデルや取引手数料モデル、サブスクモデル、月額課金と成果報酬を組み合わせたハイブリッド型など、様々なモデルが出てきています。
未来の大手の見極め方② 過去数年間の売上成長率がマーケットの成長率を超えているか?
次に確認するのは、市場にプロダクトがフィットして加速度的に成長を始めているかどうかです。
僕は面接を受ける際に、過去数年にわたってトップライン(売上高)が前年比120〜140%の水準で成長を遂げているかを必ず質問します。
そしてこのとき、マーケットの伸び以上にその会社が成長している必要があります。
市場が40%ずつ伸びているときは、対前年比プラス20%でも成長が鈍化している可能性があるからです。(ここで書いた数字はあくまで目安です)
急成長企業において、赤字であるかはそれほど問題ではなく、トップラインが勢いよく成長しているかのほうが、はるかに重要です。
トップラインが勢いよく伸びていれば資金を集めやすく、人材採用においても優位に立てます。
反対に、人を大量に採用したわりにトップラインが伸びないと、プロダクト自体がまだマーケットにフィットしていないか、ビジネスモデル自体に問題があることになります。
人間の身体で考えるとわかるのですが、「成長」と「肥大」はまったく異なる現象です。
そこから目を背けたまま大量に人を雇えば、会社が成長しているように見えて、実は組織がムダに大きくなっただけという最悪のシナリオになるので、注意してください。
未来の大手の見極め方③ ビジネスモデルは参入障壁を持つか?
マーケットの成長以上にその企業が成長しているとわかったら、次に押さえるべきは「参入障壁」です。
僕は面接でも「御社がやっているビジネスにおいて、他社から見た参入障壁は何だと思いますか?」と質問したり、意見交換をするのが好きです。
例えば、代表的な参入障壁としては「ネットワーク効果(別名:ネットワーク外部性)」が知られています。
これは、同じサービスを利用するユーザーが増えれば増えるほど、そのサービスから得られる価値が増大する現象です。
この効果が効くサービスにおいては「みんなが使っているから自分も使う」という動機が加速度的にユーザーを増やしていき、先行して一定以上のシェアを獲得できた企業による「一社総取り」の傾向が顕著になります。
すなわち、競合があとから類似サービスで参入してもシェアを獲得するのが極めて難しいということです。
このように、僕は転職先候補を知るプロセスで、「ビジネスモデル自体が参入障壁を持っているか?」を確認するようにしています。
なぜなら、一定の参入障壁があることで労働集約性が下がり、競合との熾烈な競争ではなく、プロダクトやサービスの磨き込みに集中できる余地が生まれやすいからです。
もちろん、それは諸刃の剣でもあるので、ビジネスモデルの強さに甘えて組織上の課題が深刻化した会社は、なるべく避けたいものです。
未来の大手の見極め方④ 海外マーケットでの先行事例があるか?
国内で成長が始まっていない場合でも、海外で伸びているサービスの日本版なら、どこかのタイミングで急成長する可能性があります。
これはいわゆる「タイムマシン経営」というやつで、先行してアメリカでヒットしたサービスが時間差で日本でも普及する可能性が高いのは、皆さんご存じの通りです。
例えば、「D2C」(消費者直接取引)の流れは数年前から明確にトレンドになり、コロナ禍でさらに加速していますし、「アマゾンキラー」と呼ばれるショッピファイの日本版と言えるサービスは、いずれも順調に成長しています。
未来の大手の見極め方⑤ 優秀な人材が集まっているか?
ここまできて、ようやく「人材」が出てきます。
これは、いかに優秀な人材が集まっていても、1〜4の条件が微妙であれば急成長は難しいということを意味しています。
ただし、仮にそれらの条件が整っていても、優秀な人材を集められなければ、結局は同じビジネスモデルで勝負してきた競合他社に負けてしまうでしょう。
優秀な人材は常に引く手あまたなので、事業自体のポテンシャルだけでなく、それを起こした創業者の人物像も見ています。
「この人なら何かやってくれる」という期待感やビジョンに共感して集まる人材も、決して少なくありません。
急成長によって組織が大きくなると、創業期のメンバーだけでは経営の舵取りができなくなり、経験豊富な経営人材や、専門家たちに権限を移譲していく必要に迫られます。
そのとき会社を任せられるような優秀な人材を採用できているかが、その後も継続して成長できるかの分かれ目なのです。
しかし、ここで紹介した観点で情報を集めようとしても、企業情報が非公開である場合はどうしたらいいでしょうか。
実は、ここで役に立つのが「転職エージェント」です。
転職エージェントを利用する最大かつ本来のメリットは、転職サイトには掲載されていない「非公開情報」にアクセスできることにあります。
上場企業であればIR情報を公開していますし、業績動向もチェックしやすいでしょう。
一方で、未上場企業の情報は通常、オープンにはなっていないので、未来の大手企業になるポテンシャルを秘めた企業だったとしても、自分で調べるには限界があります。
本当に優秀なエージェントは、拡大する採用ニーズを手がかりに、急成長するポテンシャルを持った会社の業績や戦略について、リアルタイムに情報を把握しています。
転職エージェントを使う際には、そうした「今、伸びている会社」について積極的に聞いてみることをオススメします。
たいろーさんの転職を追体験できる本『Work in Tech!』
「転職」や「キャリア」には明確な正解がなく、トレンドや社会情勢も常に変わっていきます。
そんななかでひとつの判断軸となるのは、「実際に転職した“実践者”によるリアルな情報」ではないでしょうか。
Work in Tech!(ワーク・イン・テック!) ユニコーン企業への招待メルカリとスマートニュースでの怒濤の日々は、まさに「異世界」でした。
時代に先んじて新たな働き方のルールに触れ、それを実践するなかで、僕の価値観はいい意味で破壊されていきました。
企業と個人、双方の成長を加速させるカルチャーと、そのメカニズムに触れたことで、僕は、かつて想像もしなかった自分に出会えたのです。
たいろーさんの価値観をいい意味で破壊した「日本を代表する急成長企業への転職のリアル」を、ぜひ同書で追体験してください!
ビジネスパーソンインタビュー
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