ビジネスパーソンインタビュー
五百田達成著『話し方で損する人得する人』より
スポーツ実況者の話し方は何が優れている? プロが伝える“損”をしない会話術3選
新R25編集部
「話し方ひとつで、人生は得もするし、損もする。「話し方」というのは、あなたが思っている以上に大切なものなのです。」
編集者、広告プランナー、作家、心理カウンセラーと、つねにコミュニケーションを仕事をしてきた「伝えることのプロフェッショナル」・五百田達成(いおた・たつなり)さんは、そう主張します。
しかし、そんな五百田さんも、以前は話すことが苦手でした。
苦手だった五百田さんが得意になるまでの失敗や経験、身につけてきたノウハウが詰め込まれているのが、五百田さんの著書『話し方で損する人得する人』です。
今回は同書より、「損」しない話し方を抜粋してお届けします。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・「損」しない話し方を知りたい人
・好印象にみられたい人
・コミュニケーションを仕事にしたい人
「損」しない話し方① 会話は「ask」ではなく「listen」
「話したがり」は嫌われます。
そのため、話を聞くだけで、誰からも好かれます。
「話したい」人がほとんどのなかで「聞く姿勢」を持てば、あなたはそれだけで頭ひとつ抜けることができます。
話を聞いているだけで不思議と「あの人とは話があう」「話しやすい」、ひいては「あの人はおもしろい」とまで思われるのです。
また、「聞く姿勢が大切」ですが、一方でやたらと質問をしてしまう人は、相手を疲れさせます。
「質問をするのは話を熱心に聞いている証拠」と思うかもしれません。
人が親しくなっていく過程では、適度に質問をしながらお互いを知ることは大切でしょう。
ただ、それは「ちゃんと相手の話を聞いている」ことが前提です。
そうでないと、会話が単なる「質疑応答」になってしまいます。
そこで、質問っぽくなく質問する簡単テクニックとして、英語で言う「ask(たずねる)」ではなく「listen(聴く)」の姿勢が必要なのです。
話し方で損する人得する人【Before】
「実は、サーフィンが趣味なんです」
「どこでやっているんですか?」
「近くの〇〇海岸が多いですね」
「どなたと一緒に?」
「高校時代の友人が上手なので、教わっています」
「ご友人は前からやってたんですか?」
【After】
「実は、サーフィンが趣味なんです」
「ああ、サーフィンですか。いいですね」
「最近、高校時代の友だちに誘われて始めたんですけどね。そいつはもう十年以上やっていて、大会にもときどき出るくらいの腕前なんですよ」
こんなふうに、自然と話が深まっていくのが得するコミュニケーションです。
相手のペースで、相手の話を聞くことに集中するよう心がけましょう。
どうしても聞きたいことがあったら「ちょっとひとつ、聞いてもいいですか?」「さえぎってしまってすみませんが……」とことわってからたずねるようにすると好印象です。
また、質問っぽくなく質問をするテクニックとして「相手の言葉を繰り返して、語尾を上げる」という方法があります。
「質問に見せない質問」で相手を警戒させることなく、話を続けることができれば、それは「得」な話し方なのです。
「損」しない話し方② 一流ホテルのサービスマンを目指す
一流ホテルのサービスマンや高級エステの受付などは、かならず「〇〇さま、お帰りなさいませ」「〇〇さま、どのコースになさいますか?」などと客に呼びかけます。
名前をきちんと呼ばれて嫌がる人はいません。
しかも「他の人ではなく、まさに『あなた』に向かって話しているのだ」という誠意も自然と伝わります。
「この人は自分を大事にしてくれている」「この人は私を気にかけてくれている」と相手に思ってもらえれば、それだけで「得する話し方」に一歩近づけます。
人の名前はしっかりと覚えるのが「得」です。
名前というのは、その人が何万回と使っているものですし、ものすごく大切にしているもの。
それをないがしろにして間違えるようなことは、大きく印象を下げてしまうでしょう。
だから、一流ホテルのサービスマンや高級エステの受付などを目指すのです。
そのシンプルな方法が名前を正しく呼ぶことなのです。
特に効果的なのは、大人数での会合の場合です。
こういう場では相手の名前は聞いた端から忘れてしまいがち。
間違ったりしては大変ですから、相手の名前を呼ばずに逃げようとしてしまうことも多いでしょう。
だからこそ、一度聞いたら積極的に口に出して呼びかける人はいい意味で目立ちます。
「こちらが〇〇さん」と紹介されたら「〇〇さん、よろしくお願いします」。
会話を始めたら「△△さんは、最近何か気になるニュースありました?」。
うるさいぐらいに相手の名前を声に出しましょう。
名前をきちんと覚える。
それを何度も口に出す。
たったこれだけのシンプルなことですが、効果は絶大です。
「損」しない話し方③ 説明はスポーツ中継のように
相手の知らない言葉をむやみに使う人は「損」をしています。
やたらと業界用語やカタカナ語を使いたがる人がいますが、使うと「自らの立場を高く見せようとしている」「プライドが高そう」と思われます。
このデメリットは印象が悪いというだけではありません。
業務が滞る、という「実利的な」損にもつながります。
相手が意味をわかっていなければ、きちんと意思疎通ができないことになります。
一方で業界用語を使わない人は「得」をします。
シンプルに、仕事が滞りなく進むからです。
関わる人全員が瞬時にわかる言葉を用いることで、連絡はスムーズになります。
なるべくわかりやすい言葉で話しましょう。
極端な話、小学生にもわかるようにわかりやすく説明すべきです。
見習うべきはスポーツ中継のわかりやすい実況です。
話し方で損する人得する人ラグビー中継の副音声
「あー、いまのはノックオンですね。ボールを落として、ボールが体より前に出てしまいました」
テニスの中継
「おぉ、ナイスプレイスメント。いいボールの落下点です」
その競技のルールを知らない人でもわかるような解説。
とても親切です。
同じように、業界に詳しくない人でもわかるように、やさしく話す。
すると、仕事もうまくいきますし、印象もよくなる。
簡単な言葉を使うと、トラブルが起きません。
とても「得」な話し方と言えるでしょう。
話し方は、「伝わり方」がすべて
「言葉づかい」という言い方があるように、「言葉」は「お金」と似ているのかもしれません。
同じ金額のお金、たとえば100万円あったとしても、その使い方は人によっていろいろ。
ぱーっと一晩で散財することもできるし、なにか将来の役に立つことに使うこともできます。
言葉も同じように、得する使い方もあれば、損する使い方もあります。
言葉を使って「得する」とは、その話し方をすることで、人づきあいがうまくいく、ということです。
あなたをとりまく人間関係が、少しでもよくなるということ。
逆に「損する」とは、その話し方をすることで、人づきあいがこじれてしまう、ということです。
人間関係がぎくしゃくするということ。
その結果(得するのか損するのか)を決めるのは、あなた自身ではなく、話しかけられた相手なのです。
話し方の世界でよく言われることに、「伝わり方がすべて」というものがあります。
あなたがどんなに優しく言ったつもりでも、相手が「怖い」と感じてしまったら、それは「怖い」話し方。
あなたが「こうやってほしい」と頼んだとしても、相手がやり方を間違ってしまったら、それは頼んだほうのミス。
結局、話し方の良し悪しとは、「相手がどう思うか」ですべて決まってしまうわけです。
シーンごとの解決策を見つけられる本
「プライベートと仕事では適切な話し方は異なります」と話す五百田さん。
同書では、「家庭・友人編」「飲み会・デート編」「職場・ビジネス編」に分けて、「得」する話し方を事例とともに詳しく紹介しています。
シーンごとに異なる悩みを、この一冊で解決してみてはいかがでしょうか。
ビジネスパーソンインタビュー
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