ひろゆき著『99%はバイアス』より
みんな「出世したら大変そう」と勘違いしている。ひろゆきが若者に言いたい“正しい思い込み”とは
新R25編集部
「老害」
この言葉と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
「なりたくない」「自分は老害にならないから大丈夫」
このように考える方が多いのではないでしょうか。
しかし、YouTubeとTwitterの総フォロワー数355万人超(2022年9月現在)のひろゆきさんによると、「どんなに若くても老害になり得る」そうです。
では、どのように気を付けていけばよいのでしょうか。
今回は、ひろゆきさんの著書『99%はバイアス』より、老害の構造や若者への忠告について一部抜粋してお届け。
気づかないうちに、あなたも「老害」になっているかもしれません。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・ひろゆきさんの考え方を知りたい人
・老害になりたくない人
・若いビジネスパーソン
「現状維持バイアス」が老害につながる
童話『裸の王様』という物語を知っているだろうか。
「透明の洋服」を渡された王様は、心の中で「私には見えない」と気づいた。
しかし、ウソをついて、「私には見える」と言った。
虚栄心が邪魔をしたのだ。
そんな透明な洋服を着ている王様に対して、「王様はハダカだ」と言い続けられる大人は、どんな人だろう。
さまざまな業界や年代の人と話をしていると、「この人は柔軟な考え方だな」と思うときがある。
その一方で、「どうしてこんなに頭が固いんだろう」と思うこともある。
どちらかというと、後者のほうが多い。
特に、社会的に一定のポジションになったことのある人は、概して、後者であるように見える。
そういう人が行き着く先が「老害」なのだろう。
これまでの自分の行いを「すべて正しかった」と解釈している人は、どこかのタイミングで若者の考えとズレが生じる。
20年前のパワハラも、「あの頃は当たり前だった」「あれによって自分は鍛えられた」と、正当化してしまう。
「夫婦別姓はよくない」「ネット投票はよくない」
当たり前のように、そう言っている老人がいる。
なぜなら、自分たちがそうしてきたからだ。
新しい仕組みが登場すると、「変わることのリスク」のほうに目がいってしまう。
よくわからない不安が出てくるから、「とりあえず反対」という立場を取るようになる。
いわゆる「現状維持バイアス」だ。
これが、非常にやっかいである。
どんなに若くても老害になり得る
新しい仕組みが出てきたとき、1秒で、それを理解しようとするスタンスを取ったほうがいい。
新しいものを理解しないのはどういう状態だろうか。
「写真にうつると魂を抜き取られる」「携帯電話の電波が脳をおかしくしてしまう」
昔、こんなことを当たり前のように言っている大人たちがいた。
カメラやケータイなど、新しいものが出てきたときに「不安」が勝ってしまったのだ。
しかし、今はもうそんなことを言っている人はいない。
新しいものに反射的に「よくない」「けしからん」と言う人は、いくら若かろうと老害だ。
そうならないためには、新しいものを受け入れるために勉強をすることだ。
自分が理解するまで専門家の話を聞いたり、自分から調べることをしないといけない。
年をとって偉くなったような人は、「教えてください」ということがなかなか言えない。
中には、貪欲に新しいことを吸収しようとする人もいる。
謙虚に若者に向かって質問するような人もいる。
でも、残念ながら、それはかなり少数の人たちだ。
あなたが最後に他人から「教わった」のは、いつだろう?
そして、それは社会が成長していく限り、死ぬまで続く。
どこかのタイミングでスパッと学ぶことが必要なくなるわけではない。
バイアスにまみれた人は、「自分の実力ではないもの」を得意げに話す。
「日本人であることに誇りがある」「親の収入や学歴が高くて、育ちのいいことが自慢です」
そうやって、環境や運によって得られたものにプライドを持っている。
でも、それは別に「あなたが選んでいませんよね?」と僕は思う。
たしかに世の中、自分の実力ではどうしようもないことばかりだ。
受験も就職も、ビジネスも結婚も、「運」の要素が絡んでくる。
とはいえ、「自分でこれを選んだ」と言えることであれば、プライドを持っていいと思う。
たまたまうまくいったことであっても、それを可能にしたのは、ある瞬間に「こうしよう」という選択があったからだ。
しかし、自分が選んだわけでもないのに得られたものに対して「これは自分の実力だ」と思い込んでいるのは、とても残念なことだと思う。
どんな些細なことでもいいので、「自分で選んだ」「こっちの道を選んだ」ということに自覚的になったほうがいい。
若者は出世について大きな勘違いをしている
「裸の王様」の例を扱ってきた。
洋服が大好きな王様は、「賢い人には見えて、愚か者には見えない服」をダマされて買ってしまった。
そして、まわりの取り巻きや大衆もそれに同調した。
しかし、まわりの顔色を気にしない子どもだけは、「ハダカだ!」と言い出した。
その構図は、どんな業界でも成立するだろう。
あなたのまわりにも、プライドが高く、思ったことが言えない雰囲気を出している人がいると思う。
まさに、「裸の王様」の状態だ。
とはいえ、別に「権力」を丸ごと否定しているわけではない。
実力に応じて、立場的に偉くなっていくことは当然だ。
「実際に偉いこと」と「偉そうにすること」の違いを述べたまでだ。
若い人を中心に、「出世したくない」という意見をよく聞く。
この背景には、「お金をバリバリ稼ぎたくない」という仕事観の変化や、「偉そうにしたくない」「責任を負いたくない」「競争したくない」という価値観が根底にあるのだろう。
ただ、ちょっと想像力の欠けた、あまり賢い考え方ではない。
いちばん大きな勘違いは、「出世したら大変そう」という考えだ。
なんとなく、管理職のほうが仕事量が増えて大変なイメージがあるだろう。
しかし、ちゃんと管理職が機能した会社だと、出世すればするほど仕事量は減る。
ラクになる代わりに「責任」が生じるからだ。
経営者や役員レベルになると、日々、汗を垂らして働くのではなく、「いざ」というときに問題解決の対応をしたり、部下から持ち上がってくる問題の判断をしたり、ときには頭を下げたりするのが大きな役割になる。
ちなみに僕が会社組織では「経営者」や「取締役」の立場しかやりたがらないのは、そのためだ。
また、ハッキリと自分が「お荷物ポジション」であることを認めて会社に残り続けることを目的としているのであれば、それでもいい。
ハダカであることを開き直ると、ラクになれる。
まわりの目を気にしない「図太さ」があるのであれば、おいしいポジションだ。
悪いことは、権力にあぐらをかくことだ。
たとえば、古い価値観は壊さないといけない。
人種差別、男尊女卑、職権濫用……。
それらの既得権益を見張り、下の立場から声を上げる必要がある。
そのために有効なのが、「子どもの視点」だった。
とはいえ、古いものがすべて悪いわけではない。
ビジネスでは、「思い込み」を利用する側にまわったほうがいいときがある。
「文化」などがそうだろう。
頭の悪い人は、差別を文化と言い換える。
そうではなく「正しい思い込み」の例について述べていこう。
「正しい思い込み」でビジネスに勝つ
日本は海外への「ブランド展開」があまり得意ではないと言われる。
たとえば、パリのスーパーには美容コーナーや健康食品の棚に「抹茶」が必ずある。
どこの国でどう作ったのかわからないような抹茶が売られている。
これをちゃんと日本のブランドとして売れば、それなりに成功するだろう。
「シャンパン」というお酒がある。
フランスには、シャンパーニュ地方で作ったもの以外、シャンパンと名乗ってはならないという法律がある。
それにより、世界でも「シャンパンはシャンパーニュ地方のスパークリングワインのことだ」というイメージになる。
ドイツには、「ビール純粋令」という法律がある。
「ビールは大麦とホップと酵母と水の4つの原料以外を使用してはならない」という法律で、1500年代に制定された。
それにより、ブランドを確立させて、自分たちが作るビールに誇りを持っている。
少々、値が張ってでもおいしいものを作ろうとする文化が生まれ、海外にも売っていける商品になる。
その結果、「シャンパンはフランスのものだよね」「やっぱりドイツのビールだよね」と口にしたくなる。
バイアスを利用した成功例だ。
「会話になるかどうか」「ひと言いいたいかどうか」によって、イメージは変わってしまい、商業的に成功するのだ。
それと同じように、抹茶も京都の老舗のお茶屋がブランド化して高値で売れるようにできるはずだ。
健康を気にするお金持ちは、別に抹茶の値段が300円から600円になったとしても大して気にしない。
飲食は、バイアスがかかるものである。
町の汚い定食屋で出される肉より、三ツ星レストランで出されたステーキのほうがおいしく感じてしまう。
内装や雰囲気づくり、ストーリーは大事だ。
「共同幻想」をつくって、コストをかけても高く売れる状況にし、一人勝ちする。
これが正しい戦略だ。
こうやって権威づけする方法は、覚えておきたい。
バイアスとの上手な付き合い方について学べる一冊
切り抜き動画などをきっかけに巻き起こった「ひろゆきブーム」や、ひろゆきさんの戦略の裏側について書かれている同書。
2020年に出版された『1%の努力』の続編として書かれていますが、未読でも存分に楽しんでいただける内容となっています。
自分にとってのあたりまえを、この一冊で覆してみてはいかがでしょうか?
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