ビジネスパーソンインタビュー

「会社を辞める選択肢なんてなかった」ホワイト企業勤めの会社員が、フリーに転身した理由

いしかわゆき著『ポンコツなわたしで、生きていく。』より

「会社を辞める選択肢なんてなかった」ホワイト企業勤めの会社員が、フリーに転身した理由

新R25編集部

2022/10/05

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朝が弱い・仕事が続かない・みんなができることができない…

そんな“ポンコツ”な性分を個性としてそのまま活かすべく、会社員からフリーランスに転身したのは、ライターのいしかわゆきさん

みなさんのなかにも、「会社員に向いていない」と思いつつ、働き方を変えるキッカケを掴めずにいる人もいるのではないでしょうか?

そこで、いしかわさんの新著『ポンコツなわたしで、生きていく。』より、独立するまでに考えてきたこと・やったことについて一部抜粋してお届けします。

会社を辞めたいけど、何から手をつけていいかわからない…と思っている人が読めば、きっと思考の整理になるはずです。

会社を辞める選択肢はない。けど、会社員に向いてない

ポンコツなわたしで、生きていく。

はじめに、わたしがバリバリ会社員をしていたころの話をさせてください。

大学を卒業して一番最初に入った会社は昭和から続く小さなメーカーで、わたしは営業として採用されました。

「有休消化率100%」「年間休日120日以上」「残業ほぼなし」という3点ホワイトセットに惹かれて入社を決めたものの、トークスキルが皆無なので基本先輩の隣で薄笑いを浮かべているだけ。

おまけに体力もないので展示会の設営作業では全然役に立たないと来た。

我ながらよく雇われていたなと思います

入社して1年が経ったころに「もっとクリエイティブなことがしたい」という曖昧かつ絶賛自分探し中の若者が言いそうな理由で、広告代理店に転職

これまで超ストレスだった「知らない人(営業先)と話す」というのから解放され、終始黙ってパソコンに向かっていれば良かったのでかなり快適でした。

仕事は基本的には楽しかったのですが、やはりそこは広告代理店。

毎日大量の業務と緊急対応に追われ、目が回るほどの忙しさでした。

時にはみんなでオールを決め、朝5時に渋谷でラーメンを啜りながら「私、もう何をやってるんだかわかりません!」と先輩の前で大号泣したこともあります。

そこから、「せめて、自分が心から好きなことなら頑張れるんじゃないか」とWebメディア編集部の門を叩いてライター・編集として働きはじめます。

実は激務のかたわら、趣味で文章を書いていたので、「書くことなら頑張れるかも」と思っていたのです。

しかし、せっかく自分が希望した仕事に就いたのにもかかわらず、結局1年足らずで独立をすることになりました。

なぜなら、もはや「業務内容」云々ではなく、会社員」そのものが自分には向いていないことにやっと気づいたからです

会社を辞めて「困ること」と「いいこと」を天秤にかけてみた

ポンコツなわたしで、生きていく。

実際に会社を辞めたらどうなってしまうのか。

安定志向なわたしは天秤にかけてみることにしました。

<会社を辞めたら困ること>

・毎月決まったお給料が入らなくなる

・福利厚生がなくなる(有給、社会保険、交通費支給など)

・会社のネームバリューが使えなくなる

・快適なオフィスを失う

・所属欲求が満たされなくなる

・社会的な信用が減る(ローンが通らないなど)

・会社ならではの大きな仕事ができなくなる

・成長機会を失う

<会社を辞めたらいいこと>

・毎朝決まった時間に起きなくて良くなる

・時間と場所に囚われずに仕事ができる

・1日中パジャマで過ごせる

・誰かの指示に従うことがなくなる

・自分でやりたい仕事を選べる

・空いている平日に動けるようになる

・好きな会社と仕事ができる

・具合が悪いときは思い切って休める

・自分のペースで仕事が進められる

ポンコツなわたしで、生きていく。

…と、いいことも悪いこともどちらも半々ぐらいですが、自分を客観的に見つめた結果、一度会社を離れて自分のペースで働いてみたほうが、自分にとっては幸せなんじゃなかろうか、という考えに至りました。

大事なのは、世間からの見え方ではなく、何が自分にとって一番幸せなのか」を考えることだよね、と。

たとえば、わたしは毎朝早く起きるのが苦手です。

会社に勤めていれば、それは欠点ですが、始業時間を自分で決められるフリーランスであれば、それは欠点にはなりません。

また、わたしは「過集中」「忘れっぽい」「よく転ぶ」という典型的なADHDだと診断を受けています。

会社に勤めていれば、度々会議が挟まるので過集中という特殊能力がうまく活かせませんが、フリーランスであれば何時間でも作業できる、というのはメリットに変わります。

つまり、会社で働くうえでは「欠点」だったものが、フリーランスになれば「欠点」じゃなくなり、単なるそういう「性格」として捉えられるようになるんです

ミラクル

だから、毎月決まったお給料が入らなくても、福利厚生の恩恵が受けられなくなっても、賃貸が借りにくくなっても、わたしは自分が自分らしくいられる環境を選ぶことにしました。

フリーランスの仕事の生み出し方

ポンコツなわたしで、生きていく。

わたしの仕事は「ライター」で、Webメディアや企業の社内報、オウンドメディアに載せる記事を執筆しています。

フリーランスなので、「外注」という形で仕事を頼まれますが、会社の立場になって考えてみると、社内に書ける人がいるのなら、「ライター」に外注する必要はありませんよね。

でも、「書ける人がいない」から仕事が生まれ、こうしてわたしのもとへと降りてくるわけなのです。

だから、思いきり「得意なこと」をやっていい

そして、自分にとっての「得意なこと」が「不得意」だという人に出会った瞬間、そこに仕事が生まれるのです

ラッキーなことに、人間は苦手なことも、得意なこともみんなバラバラにできています。

でも、サッカー選手と比べて「自分はなんて走るのが遅いんだ」と走り込みの練習をする人はいないけど、同じ会社員同士で比べて「資料がうまく作れない」と悩む人は多いですよね。

自分の身近にいる人を見て、「自分も頑張ればできるはず」と夢を見てしまう。

資料を作るのが得意だけどプレゼンは下手な人がいて、プレゼンが得意だけど資料作りはセンスがない人がいるなら、お互いに苦手を補いあえばいいだけなのです。

あなたの得意」はきっと「他の誰かにとっての不得意」だと思ってください

自分の得意なことが、誰かにとってはありがたがられること。

だからこそ、そこに「仕事」が発生するのです。

「知らない」ものは「選べない」

ポンコツなわたしで、生きていく。

わたしが「フリーランス」になれた一番の理由は、スキルを持っていたからでも、努力したからでもなく、単純に「知ることができたから」

ただそれだけです。

とはいえ、わたしは「フリーランス」を推しているわけではありません。

今やリモートワークやフレックス制度を導入していたり、副業を推奨していたりする企業も増えているので、さまざまな働き方があります。

でも、それを「知らない」と「選べ」ません

ほかの働き方を知らない人は、「自分にはこれしか道がない」と我慢して、自分をうまく活かしきれない場所で働きつづけるかもしれません。

わたしもずっとそうでした。

でも、苦しいというよりも、受け入れていました。

選択肢がないと受け入れるしかないのです

でも、あなたの知らない最上級の「心地いい世界」が、まだどこかにあると考えると、ちょっと悔しくありませんか。

だからこそ、ひとつのことにこだわらず、いろんなものに触れてほしいのです。

誰でもなく自分のために。

願わくは、この本もそのきっかけのひとつになったらうれしいです。

心地よい生き方を考えるエッセイ

働き方や人付き合いの方法も多様になってきている昨今。

我慢して不得意な環境に身を置かなくても、得意なことを発揮できる環境はきっとあるはずです。

「今の環境にハマっていない」と感じる人は、環境を変えることで“心地よい生き方”を掴んだいしかわさんのエッセイを読んで、新しい選択肢を増やしてみては?

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