ビジネスパーソンインタビュー
突如誕生した“モンスターコミュニティ”の可能性とは
【#MZDAO徹底解剖】前澤友作「僕は“ZOZOでできなかった2つのこと”を実現したい」
新R25編集部
2021年末、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーションに12日間滞在した前澤友作さん。
“Twitterフォロワー日本一”に加えて“宇宙に行った男”の肩書きを手に入れ、さらにスケールアップした前澤さんが今最も注力しているのが「MZDAOコミュニティ」。
彗星のごとく現れ、有料にもかかわらず一気に20万人以上の参加者を集めたモンスターコミュニティ。前澤さんはこのコミュニティでどんな実験を仕掛け、どんな世界を実現しようとしているのか。
独占インタビューで、“MZが描く未来”をじっくりと深堀りします。
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)」の略称で、中央管理者が存在せず、プログラムによって管理される組織のこと。
参加者はDAOが発行する仮想通貨である「ガバナンストークン」を取引所で購入したり、DAOへの貢献に応じて手に入れることで、プロジェクトの意思決定に「投票」という形で関与することができます。
投票によって決まった施策は「スマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を実行する仕組み)」によって自動的に実行されるので、DAOでは民主的で透明度の高い組織運営が可能になります。代表的なDAOにビットコインなどが挙げられます。
ZOZO時代の「基本給&ボーナス一律」の狙いは?
渡辺
個人的に、「MZDAO」は単にWeb3.0のトレンドに乗って始めたコミュニティではなくて、「前澤さんがずっとやりたかったことがDAOという仕組みにピタッとハマった」という見方をしてまして。
なので今回は、前澤さんが過去コミュニティ運営において取り組んでいたことと「MZDAO」の構想を線でつなぎたいと思ってるんです。
前澤さん
ありがたいです。「MZDAO」のことはどこかで話したかったんで。
渡辺
前澤さんがこれまでつくってきたコミュニティといえば、まずはZOZO(旧社名:スタートトゥデイ)ですよね。
前澤さん
そうですね。
渡辺
当時話題になった制度として「基本給一律・ボーナス一律(※)」があると思うんですが、ZOZOをどういう会社にしたいと思ってあの給与体系を導入したんですか?
※役職ごとに基本給を一律同額、ボーナスは全社員が一律同額と定めた給与体系
前澤さん
まず、「儲かる会社=全員が楽しんでる会社」というのが僕の持論なんですよ。
文化祭の運営とかサークル活動みたいに、そこに参加するメンバーが自主的に、能動的に楽しめたほうが結果的に儲かる会社になるはずだと。
渡辺
なるほど。「お金は使えば使うほど増える」にも通じるような考え方ですね。
前澤さん
そう思って、これまで資本主義下において会社という組織に入れざるを得なかったルールや制度のなかで、社員が仕事を楽しむ阻害要因になっている可能性があるものを一つ一つ検証していったんですね。
その結果、「給料」がそのひとつになってるんじゃないかと思ったんです。
渡辺
給料や待遇に対する執着が、仕事を楽しむノイズになってしまうということですか?
前澤さん
そうですね。人は給料の高い/低いによって劣等感を感じてしまったり、査定を気にして上司の顔色をうかがったりしてしまうじゃないですか。
渡辺
たしかにそうですね。
ただ、仕事を頑張って出世したいとか、お金を稼ぎたいと思っている人のやる気を削いでしまうというデメリットもあると思うんですが…
前澤さん
もちろんわかりやすい成果報酬主義が好きな人はいますけど、そういう人は全社員の1〜2割なんですよ。
残りの人にとっては、それが逆効果になってしまう。
僕は会社経営において、その8割の社員のモチベーションをどう上げるかに注力していたんです。
渡辺
なるほど。「基本給一律・ボーナス一律」は鼻息の荒い1〜2割の人には合わない制度かもしれないけど、それはそれでいいと。
前澤さん
はい。そういう人はどこに行ってもできるんで。起業してもいいでしょうし。
渡辺
実際に導入してみて、本当にデメリットを感じたことはなかったですか?
前澤さん
そうですね…
こうやって取材のたびに意図を聞かれて、長い説明をするのがめんどくさかったぐらいですかね(笑)。
渡辺
すみません(笑)。
前澤さん
「これを導入した成果が会社の業績に表れてるので、それで制度の良し悪しは判断していただければ」と毎回言ってました(笑)。
渡辺
それはたしかに…おみそれいたしました。
“ZOZOでできなかった2つのこと”が「MZDAO」の原動力に
渡辺
前澤さんが理想とする会社やコミュニティの形がわかったところで、なぜ「MZDAO」を始めようと思ったのかを改めて聞いてもいいですか?
前澤さん
そもそも、2〜3年前から「みんなで会社をつくりたいな」と思ってたんです。
ただ、次はZOZOでできなかったことをやりたいと思っていて。
そのひとつが、「たくさんの人で最初から大きく事業をスタートすること」なんですね。
たくさんのフォロワーさんとZOZOの会社経営の実績をベースに、いきなり大きな事業をドカンと仕掛けてみたいと思ったんです。
渡辺
たしかに、それは今の前澤さんだからできることですよね。
前澤さん
集まってくださった20万人のメンバーの拡散力も事業を広める大きな武器になると思います。
渡辺
ちなみに、たくさんの人を集めるだけでなく、DAOを目指してコミュニティをつくりたいと思ったのにはどんな理由があるんですか?
前澤さん
これもまたZOZO時代の話に戻るんですが、2007年にマザーズに上場したあと、僕の持ってる株の一部を全社員に無償で配ったんです。
渡辺
そうなんですか? ストックオプションではなくて?
前澤さん
違います。本当はすべてのお客様(ユーザー)にも配りたかったんですけど、当時すでに何百万人という会員さんがいたので、さすがにそれは難しくて。
ただ、一部のお客様をランダムに選んでプレゼントさせていただきました。
渡辺
ユーザーさんも、いきなり株をプレゼントされてビックリしたでしょうね(笑)。
前澤さん
当時の時価で100万円以内に収めないと贈与税が発生してしまうので、そこにも気を配りながら配布しました。
思い返せば、そのときから僕は“お金贈り”みたいなことをやってるんですよね(笑)。
渡辺
なぜそこまでしようと思ったんですか?
前澤さん
上場時に僕の持株比率を減らすために、金融機関のみなさんとか取引先のみなさんに会社の株を持っていただいたんですが、そのときに妙な違和感があって。
資本主義社会においては「会社は株主のもの」と言われるけど、この会社を支えてきたのは従業員だし、この会社の利益に貢献してくださってるのは顧客だよなと。
なのに、僕や投資家ばかりがお金持ちになってるじゃんって。
渡辺
前澤さん自身は資本主義の恩恵を受けつつも、そのルールに違和感を覚えたんですね。
でも、前澤さんがおっしゃってることに共感する人は多いと思います。
前澤さん
なのでZOZOでやりきれなかったこと第2弾は、「事業に携わる社員や顧客全員に株を渡すこと」なんです。DAOの世界であれば、株ではなくてトークンということになりますが。
とにかく、関係者全員を会社のオーナー側に近づけたいんですよ。
渡辺
参加者全員で大きな事業をつくり、貢献者に公平に利益を分配する。そんなコミュニティをつくりたいということなんですね。
前澤さん
そうです。
やろうと思えば、上場前に有価証券報告書を提出して多くの株主から出資を募ることもできるんですけど、時間的にもコスト的にも、今の株式会社の仕組みでそれを実現するのは非現実的で。
渡辺
まさにそれを簡単かつ透明度高く実現できるのがDAOですもんね。
ブロックチェーンが登場したことで、ついに自分がやりたかったことができると。
前澤さん
まだまだハードルはありますが、実現できるチャンスはあると思っています。
インタビューの続きは新R25チャンネルで!
「#MZDAO徹底解剖」、記事での公開はここまで。
前澤さんの価値観や「MZDAO」の構想についてもっと深く知りたいと思った方は、新R25チャンネルで公開されている2本の動画をご覧ください。
✓ 前澤式ベーシックインカムの実験結果について
✓「MZDAO」では今どんなことをやってる?
✓ リーダー不在の組織は本当に成立する?
✓「MZDAO」ではどんな事業を仕掛けていきたい?
✓ 結局はDAOも成果報酬主義では?
✓ DAOが広がった先にある「働き方改革」
「MZDAO」は、我々の働き方を大きく変えるインパクトを秘めたものでした。
前編はこちら
後編はこちら
「MZDAOコミュニティ」への参加はこちら
「MZDAOコミュニティ」は、前澤さんと一緒にみんなで会社や事業を作るためのオンラインコミュニティです。
100万人のメンバーを集めて、今までにない新しいタイプの会社を立ち上げ、スケールの大きな事業を仕掛けていくことを目指しているそう。
近未来の組織の形に興味を持った方は、ぜひ中を覗いてみてください!
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