

ほんの数時間後にはニュースになるけど…
なぜ芸能人の事故はすぐマスコミにバレるの? そのウラにいる「警察担当記者」の存在
新R25編集部
10月末日、お笑いコンビ・インパルスの堤下敦が、赤信号で停車中のごみ収集車に追突したという事故が報じられた。事務所が公式に発表したわけではないのに、事故のほんの数時間後にはニュースとしてボクらの耳に入ってくるのはなぜだろうか? どうやら、そのウラには“警察担当記者”が関係しているらしい。
警察担当記者は新人の登竜門。ガードの固い相手にいかに迫っていくかを学ぶにはうってつけ
警察担当記者とは、簡単にいえば世の中で起きる事件・事故の取材をしている記者のことだ。元読売新聞社会部記者で、現在はメディアコンサルタントとして活躍する、坂本宗之祐さんに話を聞いた。
「実際の仕事としては、警察署や警察本部に通い、警察幹部に接触して情報を得ることがひとつ。それから事件や事故が起きれば、その現場に駆けつけ、付近の人たちから話を聞くなどして情報を集めます。当然、事件や事故は24時間いつ起きるかわかりませんので、常に気が抜けません。夜中に電話で叩き起こされることなど日常茶飯事という激務です」
警察担当記者は、新人が任されることが多いそう。話を聞く限り、取材慣れしたベテラン記者のほうが警察担当に向いている気がするけど…。
「警察幹部は、公式に発表した以外の情報はなかなか話そうとしません。そうしたガードの固い対象に対して記者としていかに迫っていくかを学ぶには、まず警察の取材を経験するのがうってつけなんです。実際、自分も駆け出し時代に警察取材を経験してから他の取材に移行したとき、『なんて取材しやすいんだ』と感じた記憶があります」
警察内部にこっそり情報を教えてくれる人脈をつくる。自宅の玄関先で待ち伏せすることも
編集部作成
そんな警察担当記者は、他社が知らない“特ダネ”を狙うために独自の情報ルートを日々開拓しているそう。現場の刑事だったり、警察本部の幹部だったり、警察の内部に公式発表以上の情報をこっそり教えてくれる人脈(ネタ元)をつくっているのだ。
ただし、情報を外に漏らした警察官は懲戒免職となり、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処されるという。そんな状況下で関係者から特ダネを聞き出すのは至難の業に思えるが…。
「昔の新聞記者はわりと自由に警察署の刑事部屋に出入りでき、机の上の捜査資料などもこっそり見ることができた時代もあったそうです。しかし、すでに私が新聞記者になった1990年台後半には、記者は刑事のいる部屋には入れませんでした。いまの警察は年々情報を隠す傾向が進んでおり、二言目には“個人情報”という言葉を持ち出します。しかし、優秀な記者はそうした相手にも食い込み、情報を取ってくるんです」
優秀な記者は、警察官と関係を築くために、帰り道で待ち伏せして一緒に帰ったり、飲みに行ったり、ときには早朝に警察幹部宅を訪れ、玄関先に立って真っ先に取材できるように待機するということもあるそう。ここまでされると情が移ってしまったり、ついスキを見せてしまうこともあるのかもしれない…。
こんな厳しい環境のなかで、ボクたちにいち早く情報を届けようと奔走する警察担当記者。これまでは何気なく見ていたニュースでも、そのウラに彼らの地道な努力が隠されていると思うと、なんだか感じ方が変わってくるのではないだろうか。
〈取材・文=明日陽樹(考務店)〉

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