ビジネスパーソンインタビュー
「ソロキャンプ動画」が大人気
芸人・ヒロシはビジネスで成功していた。ネガティブに「好きなことだけやる」仕事論
新R25編集部
「ヒロシです…」
2000年代、『エンタの神様』などでブレイクしたお笑い芸人、ヒロシさん。
少し前には日めくりカレンダー『まいにち、ネガティブ。』も話題になりましたが、現在の活動状況を調べてみると、実は彼がYouTubeで配信する「ソロキャンプ動画」がジワジワと支持を集めているらしい! ほかにも、執筆活動や事務所・店舗経営など、幅広くビジネスを展開していることが判明。
一度“消えた”男は、現在どのような価値観で仕事をしているのか? 『新R25』編集部がヒロシさんを直撃してきました!
「ソロキャンプ動画」が平均10万再生! 新境地を見つけたヒロシ
おなじみのホスト風スーツではなく、チェックのシャツで登場したヒロシさん。
【ヒロシ(ひろし)】熊本県出身、1972年生まれ。「ヒロシです。」で一世を風靡したお笑い芸人。ヒロシ・コーポレーション代表。これまでに8作の著書がある文筆家でもある。10万部を超える大ヒットとなった日めくり『まいにち、ネガティブ。』も話題
編集部・N
本日はよろしくお願いします。
ヒロシさん
はい…
編集部・N
リアルにテンション低いんですね。そんなヒロシさんがアウトドア派だなんて意外です。
一体なぜ「ソロキャンプ動画」をYouTubeにアップしているんですか?
ヒロシさん
キャンプは子どものころから好きで、ブルーシートでテントみたいなものをつくったりしていました。
キャンプってみんなでワイワイするイメージですが、「ソロキャンプ」だと自分ひとりで、好きなときに好きな場所へ行ける。人に合わせなくていいから、僕の性分には合っているんです。無理をする必要がない。
ただ、ソロキャンプが趣味だと言っていたら、周りにも“ソロ派”の人が結構いることがわかって。それで動画をアップするようになったんです。
最近はそんな仲間と同じ場所に行って、それぞれがソロキャンプをする…みたいなこともやってます。
編集部・N
それ、一緒に行く意味あるんでしょうか?(笑)
『ヒロシちゃんねる』にアップされている動画は、BGMも会話もほとんどなく、ヒロシさんのソロキャンプの様子がひたすら映されているだけなのに引き込まれる…。不思議な動画だ
編集部・N
ソロキャンプ動画ってかなりマニアックな気もしますが、実際にどれくらい見られているんでしょうか?
ヒロシさん
自分でも不思議ですが、多いもので約15万回、平均でも10万回ぐらいは再生されています。
編集部・N
そんなに!! 意外とニーズがあるんですね…
ちなみに、動画は自分で撮影を?
ヒロシさん
ソロなんで、当然そうです。機械が得意じゃないので、撮影も編集も細かいことはできないんですが…
あと、僕は芸風のとおり基本的に暗い人間なんで、「ハイ! というわけで今日のソロキャンプは…」みたいなテンションも無理なんですよね。
それでも好きなキャンプの魅力を伝えたい、と考えて行き着いたのがこのスタイルなんです。
編集部・N
それが逆にいいのかもしれません。コメントを見ていると「自然体でいい」「癒される」などのコメントがありますし。
ところで、この動画でけっこう稼げているんでしょうか?
ヒロシさん
予想外に利益につながってますね。広告収入のほかイベント出演の依頼、雑誌の取材、ラジオやテレビなどにキャンパーとして呼ばれるようになりました。
誰にでも当てはまるのかは分かりませんが、好きなことは情熱を注げるので結果としてうまくいっている気がしますね。
ソロキャンプの話をするヒロシさんの目は、まるで少年のようでした
ヒロシが成功した理由は「気持ちよくできない仕事をやめた」こと
編集部・N
ヒロシさんは現在、ソロキャンプ以外にもさまざまな活動をされてるんですよね?
ヒロシさん
事務所経営、店舗経営、YouTubeチャンネル運営、タレント業、執筆業…。今日取材に来ていただいたこちらのカラオケ喫茶「ヒロシのお店」は、2015年にオープンして今年で3年目。近々改装も予定しています。
経営するこちらのお店は事務所も兼ねているそう
編集部・N
それだけ多岐にビジネスを展開するとなると、たくさんの人を巻き込む必要がありますよね。
こう言っては失礼ですが、ヒロシさんにはあまりそういうイメージがないというか…
ヒロシさん
僕は人付き合いが苦手ですが、仕事をやっていくうえでは避けられません。とはいえ、自分の利益にならない人や会社は極力避けていきたいと考えています。
僕の考える“利益”とは金銭面だけではなく、気持ちよく仕事ができることも含みます。
編集部・N
気持ちよく仕事ができること=利益。なるほど。
ヒロシさん
それが“無理をしない”ということです。
編集部・N
誰でも無理をしないで仕事をしていくことは可能だと思いますか?
ヒロシさん
社会人である以上、やはり無理しなければいけない場面はあるかと思います。
でもどうしても苦しくなったら、「この無理をしなかったら最悪こうなる」という状況を想像して天秤にかける。そして、「それでもかまわない」という覚悟ができたら無理を放棄すればいいんです。
編集部・N
なるほど。ちなみに、過去にヒロシさんが無理を放棄したのはどんなときですか?
ヒロシさん
僕は短い期間ですが、会社勤めをしていた時期がありました。
そのときに、このまま無理を続けることと子どものころからの夢だったお笑い芸人にチャレンジすることを天秤にかけ、出した結論が1度目の無理の放棄です。
2度目はお笑い芸人としてテレビの露出を控えたとき。
無理をして上の人に気に入られたり、やりたくもないことをやったりするくらいなら、無理せず好きなことを自分のペースでやっていきたいと思ったんです。
辛い時期の話題になると、やはりこの表情…
編集部・N
その結果が現在の成功につながっているんですかね?
ヒロシさん
ソロキャンプの動画配信は、自分が好きなことの魅力を伝えたいと思って始めたらいつの間にか収益になりました。
事務所経営は増えてきた仕事のために必要になったという感じ。このお店は事務所を兼ねているので、あくまでもカラオケや飲食はサブですね。無理して稼いでる、というわけではないです。
編集部・N
好きなことを軸にビジネスを広げて、気持ちよく仕事ができている状態なんですね。
ネガティブマインドでもいい? ヒロシ流「後ろ向きに頑張る方法」
編集部・N
仕事の世界では「ポジティブに頑張る」ことを求められることが多いですが、ヒロシさんのようにネガティブマインドで成功している人は珍しいと思います。
ヒロシさん
ネガティブをマネタイズしているのは僕くらいなんですかね?
ただ、ネガティブは「慎重」「冷静」とも言えるので、「自分はネガティブだから」と思っている人は「慎重で冷静に仕事ができる」と自信を持ってほしいです。
でもまぁ、ポジティブなほうが得することは多いかもしれませんけど。
編集部・N
新R25の読者層のど真ん中は「25歳」という設定ですが、最後にヒロシさんが彼らに言ってあげたいことはありますか?
ヒロシさん
25歳かぁ。僕はいま46歳なので、21歳差ですね…
人間って能力や財力の差はあるけれど、時間だけは平等。いまの25歳が僕の年齢になるまでには、まだ21年分の“財産”があるわけです。
時間という貴重な財産があるのだから、やりたいことをやってほしいと思います。
「できることなら25歳に戻って、やり直したい…」本音がポロリ
ヒロシさん
今がうまくいっていなくて、どうしよう、何をしよう…そう考えて悶々としているくらいなら、とにかく動くこと。
こんなにネガティブな僕だって、25歳に戻れるならもっと行動してがんばれますもん。
編集部・N
(ヒロシさんのポジティブ発言は貴重!)
インタビューを終えたころには「ヒロシです。」のイメージはすっかり消え、好きなことをコツコツと仕事にしてきたビジネスマンという印象に。
ブレイクから“消えた”…のではなく、数々の経験を経て「自分らしい生き方」にたどり着いたヒロシさんからは、R25世代の励みになるコトバがたくさん聞けました。
〈取材・文=新R25編集部/撮影=オカダマコト〉
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