

「後輩が入ってくるの、すごく嫌だった」
「初対面で加護に“お茶ついで”って言われて…」後藤真希が語る、チームをまとめる努力
新R25編集部
13歳でモーニング娘。に加入し、グループのエースとして駆け抜けた後藤真希さん。プロデューサーのつんく♂氏・振付師の夏まゆみ氏にも「圧倒的な才能の持ち主」と評された、R25世代のスターです。
彼女がモー娘。に在籍していたのは、たった3年。短い期間で、強烈なインパクトをのこしました。
天才肌のイメージがある後藤さんですが、大所帯のグループで輝くためには、ただならぬ努力もあったのでは?組織のなかで輝くための力について聞きました。
〈聞き手:ライター・小沢あや〉
【後藤真希(ごとう・まき)】1985年生まれ。東京都江戸川区出身。1999年、オーディションに合格し、3期メンバーとしてモーニング娘。に加入。グループ内ユニット「プッチモニ」としてもデビュー、2001年にはソロデビューも果たすなど活躍する。2002年に17歳でモーニング娘。を卒業。2014年には結婚を発表し、現在まで2子の出産を発表。2018年10月5日、エッセイ集『今の私は』(小学館)を上梓
努力を見せたくない。「ハタから見たらスカしてるように見えたかも(笑)」

小沢
モーニング娘。でずっとご活躍されてきた後藤さんですが、大型新人としていきなりセンターに立つことになって、相当努力されていたのでは…?

後藤さん
私、「努力」っていう言葉が嫌いなんですよ。
努力してるって思われたくないというか。練習しているところも誰にも見せたくないし、自分のなかで完璧に仕上げてから表に出ていきたいんですよ。

小沢
エースとして推されている自覚からだったんでしょうか。かなりプレッシャーがあったんじゃないでしょうか?

後藤さん
いやいや、グループでは1人だけに注目されるわけじゃないから…。モー娘。で活動していたときは、ライブも全然緊張しなかったんです。
ハタからみたら、スカしてるように見えたかもしれないですね(笑)。世間的にも、努力も何もしてない、「こなせる人」って思われてたんじゃないかな。
↓著書のなかにも、大物さを感じさせるエピソードが多数…
『今の私は』P42よりずっと、『ASAYAN』の番組カメラが密着している。
ほかのメンバーは、カメラを向けられるとすぐに、気のきいたコメントを言ったり、笑顔を見せている。すごいな、と思った。
その後も、密着カメラに慣れることはなかった。疲れているのに、笑顔なんてできなかった。用意されたコメントを何度も繰り返し言わなきゃいけないときは、ずいぶん不機嫌な態度だったと思う。
私は、ただ眠たかった。
著書のなかにも、大物さを感じさせるエピソードが多数

小沢
たしかに、天才肌タイプのイメージは強いです。でも本当はただならぬ努力をしていたんじゃないでしょうか?
「2時間前に楽屋入りして、まつげを1本ずつピンセットで整えていた」ってエピソードを現役メンバーの小田さくらさんが話してました。後輩に語り継がれている伝説ですよ。

後藤さん
あはは! マツエクとかもない時代だったから(笑)。
私、メイクも練習もそうなんですけど、途中経過を人に見せたくないんです。スタッフにもメンバーにも(笑)。
常に完成された自分でいたいんです。
苦労したのは人間関係。「後輩が入ってくるのが、すごく嫌だった」

小沢
グループのなかで、苦労してたことってありますか?

後藤さん
メンバーとの「人間関係」ですね。特に「後輩との接し方」のことをずーっと考えました。
最初、後輩の4期メンバーが入るのがすごい嫌だったんですよ(笑)。

後藤さん
自分が加入した数カ月後にもう後輩が入ってくるなんて、「なんで?」って思ってて。どうやら「ライバル心を煽る」っていう方針だったみたいなんですけど。
それまでは一番年下だったし、全員がお姉さん。その居心地いい感じがなくなっちゃうのが嫌だったんですね。
「絶対に話したくない! 無理なんだけどー!」って思ってました(笑)。

小沢
圧倒的だった後藤さんのポジションでも「後輩におびやかされたくない」って思うものなんですね…

後藤さん
でも、4期メンバーと初対面したときにその意識がひっくりかえったんです。

小沢
というと…?

後藤さん
4期と初対面のジャケット撮影のとき、加護から私への最初の言葉が「お茶ついで」だったんですよ。いきなり(笑)。
期待を裏切らない加護さんのエピソード

後藤さん
加護も辻も無邪気というか、子どもだなと思って(笑)。
逆に、自分も入ったばかりのときはこうだったのか? とか考えて…。「私も先輩にしてもらったみたいに、ちゃんと接さなきゃ」と思えたんですよね。
「売れてるグループ」に入ってきた5期との“意識の違い”

後藤さん
5期(※高橋愛、紺野あさ美、小川麻琴、新垣里沙)が加入してきたときは、さらにちょっと状況が違って。

小沢
なにが違ったんでしょうか?

後藤さん
5期の加入は、モー娘。がドーーーン!と売れたあと。だから、新メンバー自身が「モーニング娘。さんだ!」みたいなスタンスで接してくるんですよ。
それじゃファンじゃん! と思って(笑)。

小沢
ゼロからつくってきた人たちと、すでにできあがってる組織に入ってくる人たちの違いというか。

後藤さん
まさにそうです。「ファンが入ってきたって、メンバーとしてやっていけないよ!」って思った。
それで、私はますます先輩っぽくなった。
手紙を書いて渡すみたいなコミュニケーションを取ったりとか。ダンスレッスン中も、鏡越しに新メンバーにアイコンタクトをして「ちゃんと見てるからね」ってアピールしたり。
後藤真希がマネジメントに目覚めた瞬間

小沢
ハロプロのレッスンって、体育会系で超厳しいですよね。キツく指導されて凹んでいる子もいたのでは?

後藤さん
そうですね、「言われすぎてるな」「落ち込んでるな」とか感じたときは、あとからこっそりフォローしてましたね。

小沢
後藤さんはずっとエースで、プレイヤー気質だと思っていました。組織のなかで管理職的な動きをしていたのが意外です…!
歌も喋りも苦手な後輩。「これ、マジでどうすんの!?」

後藤さん
私、人がだんだん成長していくのを見るのが好きなんですよ。
たとえば紺野あさ美って、歌も喋りも苦手だったんです。なのにミュージカルで、突然彼女がメインに抜擢されたことがあって。
最初は「これ、マジでどうすんの!?」って思ってたんです。
でも、彼女は自分が苦手なことに対する自覚がきちんとあった。歌はダメだけど、リハ初日から、セリフを全部完璧に覚えてきたんですよ。

小沢
紺野さん、すごい努力。できるところで信頼を得ようとしたんですね。

後藤さん
それを見て努力に驚いちゃって! 感動しましたね。
私はなかなかセリフが覚えられないほうだったから、「なんでできるの!?」って思いました。

小沢
後藤さん自身も、後輩の仕事をきちんと尊敬しているんですね。
ハロプロ以外にも、後藤さんに憧れてアイドルになった子がたくさんいるはずです。今の業界の後輩たちを、どのように見ていますか?

後藤さん
うーん。同じステージに立ってみないと、何も言えないかなあ。アドバイスとかは。
ひとりひとりとちゃんと話して、ようやく相手を知ることができると思ってるんですよね。

小沢
具体的なアドバイスのためには、きちんとコミュニケーションをとる必要があると。

後藤さん
今のアイドルって、私のころと時代が違いますからね。「アイドル」だけではなく、アーティスト性とか、ほかの要素を掛け合わせてると思うんですよ。
モー娘。もまさにそうで、22年目を迎えたけど、このあと続くかどうかは現役メンバー次第。自分だけじゃなくて、グループ全体を考えて頑張ってほしいなと思いますね。
「個で輝くタイプ」かと思いきや、組織を大切にし、後輩のフックアップも欠かさなかった後藤さん。
ひとりひとりとじっくり向き合い、マネージャー的立場としてもグループに貢献していたんですね。
成功のためには、自分だけの得を追求するより、全体のバランスをみることも大切。ビジネスパーソンとしても、見習うべき姿勢かも。後藤さん、ありがとうございました!
〈取材・文=小沢あや(@hibicoto)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@southsidehiro)〉
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