「ダメな働き方は、ジブリで説明できます」

キャリアのプロに「上手な給料の上げ方」を聞いたら、2つの方法を教えてくれたけど…

仕事・ビジネス2018.10.23by 新R25編集部

ライターをしつつ、本業では企業に勤める私。たまにこんなことが頭に浮かびます。

会社でうまく評価されて、給料も上がらないかな~」。

ということで今回は、「大企業に勤める人が、給料をあげるためのテクニック」を、キャリアのプロである株式会社ワンキャリアの最高戦略責任者・北野唯我さんに教えてもらいに行きました! しかし…

〈聞き手:ライター・池山由希子〉

【北野唯我(きたの・ゆいが)】1987年兵庫県出身。『転職の思考法』『天才を殺す凡人(来年頭発売)』の著者。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、ワンキャリアの最高戦略責任者。経営企画担当の執行役員、採用コンサルタント。初の著書『転職の思考法』(ダイヤモンド社)はベストセラーになっている

大企業で給料を上げる働き方は「斜め上戦法」と「尻上がり戦法」

池山

池山

北野さん、会社で人事に評価されて、給料も上がる方法があれば教えてほしいです!

北野さん

北野さん

なるほど…ホントどうでもいい質問ですね…(ボソッ)

でもせっかくお越しいただいたので真面目に答えると、日本の企業では、人事ってそこまでの力を持っていないんですよ。実際に社員の評価をして、給与を決定するのは事業部長クラスの人。

そんなシステムのなかで社内評価を上げたいのであれば、「斜め上戦法」と「尻上がり戦法」という、ふたつの方法があります。

「あるにはあるけど…」という感じの北野さん。なぜイマイチ乗り気じゃないのかは、記事の最後にわかります

池山

池山

まず、「斜め上戦法」とはどういうことですか?

北野さん

北野さん

斜め上の立場の上司、つまり違う部署のエラい人を味方につけておく方法です。

たとえば、部署の垣根を越えたプロジェクトに参加して、そこでめっちゃ頑張るとかしておくといいですね。

池山

池山

ほう…

北野さん

北野さん

上司って、だいたいみんな自分の部下を評価したいわけですよ。だから限られた金額を割り振る査定会議で、自分の部下を昇給させようとする人ばかりになる。

そこで「あ、あのプロジェクトにいたヤツか」と、違う部署の上司からの評価も得られていれば、かなり有利になりますよ。

池山

池山

ありそうですね~。もうひとつの「尻上がり戦法」というのは?

北野さん

北野さん

目標達成率を90%くらいにキープしておいて、績評価の時期が近づいたら120%くらいに上げる方法です。

あいつ、最初は未達だったのによく頑張ったよね…!」と周りの人から評価されやすくなります。そして上司はなぜか「あいつは俺が育てた!」と勘違いしてくれますよ。

池山

池山

頑張っていることを周りの人に印象付けやすいんですね。ちょっとズルイ気もしますが(笑)。

“岩瀬大輔問題”とは? 「フツーの大企業」の風土を知ることは武器になる

池山

池山

そもそも、大企業だと「誰に何を評価されてるのかわからない」というモヤモヤがあるんですが…

北野さんは先日自身の「Voicy」で、「大企業のメリット」をお話しされてましたよね?

北野さん

北野さん

はい、僕がいま22歳の就活生だったとしても、“名の知れた日系大企業”に入りたいと思います。

池山

池山

ちょっと意外です…なんでですか?

北野さん

北野さん

一般的な大企業の人がどういう組織で、どんな気持ちで働いているか。それがわかるのはすごく武器になるからです。大きなことを成し遂げたいのであれば、やっぱり大企業を動かす必要がある。

たとえば、“大企業のめんどくさい社内稟議”を理解していれば、それに通るような資料をつくることができますよね。

池山

池山

多くの人の気持ちを理解することができる、と。

北野さん

北野さん

そう。僕がキャリアの話をするときによく言う「岩瀬大輔さん問題」っていうのがあって。

「問題」って勝手に言ってるだけなんですけど(笑)。

池山

池山

岩瀬さんというと、あのライフネット生命の…

※岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)=ボストン・コンサルティング・グループなどを経てライフネット生命の立ち上げに参画。現取締役会長。著書に『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)などがある

北野さん

北野さん

彼は、東大の法学部在学中に司法試験に受かって、ハーバード大学でMBAを取得、ライフネット生命を創業し、ベストセラーまで出している。これはもう、経歴が素晴らしすぎますよね…

でも「toC」の仕事は、多くの人に親しみを持ってもらい、共感される必要がある。だから、すぐれた会社だけの経歴じゃないほうがいいと思うんですよ

だから、岩瀬さんは「toB」の事業だったらさらに大活躍される方だと思います。

北野さん

北野さん

この前、麻野耕司さん(リンクアンドモチベーション取締役)がTwitterを使いだしたそうなんですが、「世の中には、こんなにたくさんネガティブな人がいるのか」って驚いてたんですよ。

「仕事ダリ~」みたいな人がこれほどまでにあふれているのかと

池山

池山

普通というか、そういう人のほうが多い気がするんですが…

北野さん

北野さん

でしょ? でも、普段有名な経営者たちと対面されている麻野さんは仕事が大好きだし、周りの人もそういう人ばかりだったから「初めて知った」と。

イマイチな大企業での経験があって「多くの人が仕事を憂鬱に思ってる」と理解できてる人は、同じような気持ちの人に刺さる企画や事業を考えられるわけですよね。

僕が「大企業のメリット」と感じるのはそこ。その感覚って、全然バカにできないものですよ。つまり「本当に大きなものを動かすには、普通の人の気持ちにも寄り添う必要がある」ということでしょうか。

大企業は「居心地のいいこたつ」。爆弾が爆発する可能性に気付けない?

池山

池山

でも、やっぱり大企業に所属してるといろいろデメリットがあるような気がするんですが…

北野さん

北野さん

僕が思う明確なデメリットは“こたつ爆弾”なところですかね。

池山

池山

こたつ爆弾、とは…?

北野さん

北野さん

大企業は、気持ちいいこたつなんです。

一番気持ちいいのは、「自分の市場価値以上の給料がもらえる」こと。ボーナスというみかんまで出てくる(笑)。

一生そのままでいられたらいいんだけど、あるとき突然こたつのなかで爆弾が爆発する可能性があるんですよ。大企業の花形の事業部に入って、10年後、その事業が成熟して売却されることになったときにめちゃくちゃ困る…みたいな。

北野さん

北野さん

そうならないためには、社内の新規事業に関わってみるのがいいと思います。自分の市場価値を上げる経験ができるし、うまくいったら出世できる可能性がありますから。

逆に事業が失敗したとしても、給料が激減することはない。ノーリスクな環境で挑戦ができるというのは、大企業のいい点ですよね。

“つくること”の重要性が高まっている。「NIKEのデザインなら、お金払ってでもやる」

池山

池山

なるほどー。ただ、多くの人がぬくぬくとしてるなか、あえて新規事業に挑戦していくのは大変ですね…

北野さん

北野さん

でも、仕事というのは本来何かをつくりだすことなんですよ。新規事業での経験は、その本質に触れることができる貴重な機会です。

池山

池山

会社が大きくなればなるほど、仕事の本質である「つくること」に触れることが少なくなりがちだと。

北野さん

北野さん

そうです。そもそも国全体の経済がここまで発達して分業制が発達すると、「つくること」とは距離が離れていくんですよね。

けど今の時代、「つくること」の重要性が再発見されてきていると思っていて。

北野さん

北野さん

例えば、NIKEが大好きな僕の友人は「NIKEのスニーカーを100万円では買わない。でも、NIKEのデザインをやらせてもらえるなら100万円払う」と言うんです。

その気持ち、すごくわかります

面白くてやりがいのある仕事はお金を払ってでもやりたい、と感じる人が多くなってると思うんですよ。重要視される価値観が「消費から生産へ」変わってきている。

ジブリが教える“労働と食事の法則”。「ラクして給料もらう」は危険かも

池山

池山

じゃあ…お金をほしがるのは悪いことなんでしょうか?

北野さん

北野さん

悪いことではないけど、それ自体を目的にしてしまうと、仕事の本質を見失ってしまうだろうとは思います。

たとえば、ジブリの人気作品がなぜ面白いのかというと、「ジブリ・労働と食事の法則」が成り立っているから、という説がありまして。

勝手に名付けたんですけど。

池山

池山

「労働と食事の法則」…?

映画のシナリオに詳しい北野さん

北野さん

北野さん

『天空の城ラピュタ』で、パズーとシータは冒険のあと一緒にパンを食べるシーンで心を通わせ、『千と千尋の神隠し』で無銭飲食をした両親はブタになる。

つまり、「働いて仲間と食べる食事は善、労働抜きで得る食事は悪」という法則が成り立っているんです。

この法則は仕事の本質を表していると僕は思っています。やりがいのある仕事を一生懸命やって、それで得た報酬で仲間と食事すべきだ、という。

池山

池山

なるほど。

逆に、頑張らずに自分の実力以上の給料をもらっていたとしたら、それにはちょっと当てはまらないのかな。

北野さん

北野さん

そうなんですよ。

前に、ある大手保険会社に勤務してる人が、就活中の女子大生にこう言ったらしいんです。「うちの会社にはなんでもあるよ! やりがい以外はね」って。

池山

池山

うわー、悲しくなる言葉…

北野さん

北野さん

そう、「やりがいはないんかい!」っていう(笑)。でも、ラクしてたくさんの給料をもらうことを最終目的にしている人は、これを良しとしがちなんですよね。

仕事に対する価値観というのは、学習観とも深く結びついています。子どものころ、「いい大学に行って、いい会社に入るために勉強しなさい」って言われて育ってきていると、「苦労せずたくさん給料をもらうのがいい」と思ってしまう…

そういうふうに、手段を目的化してきていると危険かもしれません。

池山

池山

えー…ちょっと待ってください、我々は今日、「ラクして社内評価や給料を上げるためのテクニック」を教えてもらいに来たわけですが…

北野さん

北野さん

そういうことをしていると仕事の本質を見失う、ということですね。

最初にきかれたときは、「本質的じゃないな」と思いながら一応答えました(笑)

すみませんでした…

北野さん

北野さん

働いている時間って人生において大きなウェイトを占めるので、ラクして稼ぐことを目的として多くのつまらない時間を過ごすなんて、かえって非効率でしょ?

そんなの人生の本質的な部分が抜けている、ドーナツみたいな状態ですよ。

やりがいのある仕事に没頭して心から楽しむ経験をすると、仕事に対する価値観、ひいては人生観がガラっと変わります。企業にいて、その経験をノーリスクでできたら、そんな最高なことないですよね。

僕は金曜日に、『早く月曜日が来ないかな』と思うくらい仕事が楽しいんです」と語る北野さん。

そんな姿を見て、私も“ど真ん中の本質が抜け落ちたドーナツ”みたいな日々ではなく、やりがいと楽しさにあふれた、“中身ずっしりアンパン”みたいな人生を送りたい…と思いました。

もちろんそのためには、安定した会社にいてもチャレンジを忘れないようにしないと! 今日は『ラピュタ』を観て、じっくり考えたいと思います

〈取材・文=池山由希子(@yukiko0731ikym)/編集=天野俊吉(@amanop)〉

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