ビジネスパーソンインタビュー
「パリピは、寂しがりやなんですよ」
パリピの実態をピスタチオ・伊地知に聞いたら、好感度が爆上がりした
新R25編集部
みなさんは、「パリピ」と聞くとどんな人たちを想像しますか?
イベントやパーティーなどに現れる、ちょっと迷惑で騒がしい人たち?
正直、当初は筆者もそう思っていたのですが、どうやらそれは浅はかな理解だったようです。
そんなパリピの真の姿について解説してくれるのは、2018年9月にAbemaTVの番組『全日本パリピ選手権』で優勝した、お笑いコンビ「ピスタチオ」の伊地知大樹さん。
パリピの定義や特徴、独自のファッションなどなど…くわしく教えてもらいました!
〈聞き手:ライター・田中さやか〉
【伊地知大樹(いじち ひろき)】1985年生まれ。神奈川県出身。歌舞伎町のホストクラブでの勤務経験を経て、お笑い芸人へ。2010年にお笑いコンビ「ピスタチオ」を結成し、白目を見せる「白目漫才」で大人気に。2018年9月にAbemaTVで放送された、飲み会の盛り上げ力が競われる『全日本パリピ選手権』で見事優勝した
パリピとは「パーリーピーポー」の略。「チャラ男」や「リア充」との違いは?
そもそもパリピとは、「パーリ(ティ)ーピーポー」(party people)の略。一般的にはハロウィンをはじめとする季節のイベントや、クラブ・フェスなどに集まる「パーティが好きな人たち」を指す若者言葉。
最近では、「パリピする(=パリピっぽいことをする)」というように、動詞として使われることもあるようです。
伊知地さん
チーッス!
ライター・田中
(すでにパリピ臭がすごい…)
「パリピ」という言葉は意味がぼんやりしたまま使われていることが多い気がするのですが、そもそもパリピってどんな人たちのことを指しているのでしょう?
伊知地さん
「こういう人たちがパリピ」という決まりきった意味はないと思います。
ざっくりいうと、人や楽しいことが好きで、自分の人生を楽しんでいる人のことを指していますね。
ライター・田中
なるほど。「リア充」や「チャラ男」とは違うんですか?
伊知地さん
それ、よく言われるんですよね〜。パリピは一見リア充っぽかったりしますけど、実は少し違います。
パリピは、寂しがりやなんですよ。
こんなにオラついてるのに…
伊知地さん
寂しがりやだからこそ、人が多いところに行きたがるんです。
一方で、チャラい人は単純に女の子が好きなだけなので、寂しくて人の多いところに行くわけではありません。
また、「リア充」も恋人と一緒にいたりすることを指すので、これも少し違いますよね。
ライター・田中
寂しがりやだから人の集まるところへ行きたくなる、というのはわかります。
でも、まわりに迷惑がかかるほど騒がしくしている人たちもいますよね…。「うざい」とか「バカっぽい」とか、マイナスのイメージを持たれてしまいそうですが。
伊知地さん
勘違いしないでいただきたいのですが、パリピには大きく分けると2種類いて、自分のエゴ・ノリだけで騒ぐ奴はただの「大学生パリピ」。 僕は「大人パリピ」です。
お、大人パリピ?
伊知地さん
大人パリピはTPOをきちんとわきまえているパリピのことです。相手のことを気遣って、しっかり楽しませられます。
仮に10人のうち1人でも楽しそうじゃなかったら、とても気にします。だからまわりをよく見る力が優れていたり、めちゃくちゃサービス精神旺盛だったりすると思いますよ!
ライター・田中
なるほど! てっきりパリピはみんな、自分さえ楽しければいいような人たちなんだと思っていました。「バカっぽい」とか言ってすみません…
伊知地さん
気にしないでください! 逆に「パリピはバカだ」くらいマイナスのイメージを最初に持ってもらったほうが得なので、全然いいんです!
ライター・田中
悪い印象のほうが得…?
伊知地さん
マイナスのイメージから入ったら、ささいなきっかけで「意外とちゃんとしてるじゃん」と、一気にポジティブな評価になることが多いですからね。
最終的にどう思ってもらえるかさえ意識していれば、最初にどんな印象を抱いてもらっても構いません。
なぜだろう、この時点ですでにパリピの印象が爆上がり
服装や髪型など、パリピのファッションは派手にしないといけないの?
明るいカラーでカチっと決まった髪型、ゴツめなアクセサリーに派手な服装など、「とにかく目立つ」ファッションのイメージがあるパリピ。彼らのファッションは、パリピ界隈でルールでも決まっているのでしょうか…?
ライター・田中
パリピのファッションって、伊地知さんが着ているビビッドカラーの服みたいな、派手な感じにしないといけないものなんですか?
蛍光イエローのジャージが眩しい
伊知地さん
いやいや、パリピには明確な定義がないので、それぞれが好きなものを着たらいいんです。
スーツでも、ギャルっぽい服装でも、まわりに囚われず好きな格好をしてる人が本当のパリピだと思いますね。
ただ、これからパリピデビューしたい人がいたら、普段しない格好をしてみるのはアリだと思いますよ。見た目から気持ちを変えることは大切です。
ライター・田中
たしかに普段と全く違う格好だと、気分がガラッと変わりそう!
パリピの最先端を走りたいなら、オリジナルのコールを作るべき
ライター・田中
あと、個人的に気になるのが、飲み会の「コール」です。覚えておくと盛り上がる“鉄板”コールはありますか?
伊知地さん
コールは何百種類とありますが、実はコールってノリとリズムでしかないんですよね。
なので、オリジナルのコールを作ることをオススメしています。
オリジナルのコール…!?
伊知地さん
もともとパリピって流行に敏感なので、コールもすぐに古いと感じられてしまうんです。
世間では流行っていたとしても、本当のパリピからすると「それ1年前のやつですよ!」って冷めてしまうことがあるので、古くならない“オリジナル”が最強なんです。
ライター・田中
なるほど。でもコールを作るって難しそうなんですが…
伊知地さん
コールのフレーズはなんでもいいんです。たとえば「イェ〜イ、イェイ!」「ウォ〜ウ、ウォウ!」でもいいし、このお茶でもいけます。
「お茶っ、お茶っ、お茶お茶〜! お茶お茶お茶お茶、お茶々!!」とかね(笑)。
お茶お茶〜!
ライター・田中
たしかに意味不明だけどコールになってる(笑)。
伊知地さん
そして1番重要なのが、みんなを巻き込むこと。
さっきの「お茶コール」の最後に、「みんなで一緒に〜!」というフレーズを入れるだけで、みんなで盛り上がれます。
はじめは誰も知らないコールでも、とりあえず1発目をやっておけば、ノリ方はすぐ伝わるはず。試しにやってましょう。行きますよ!
「お茶っ、お茶っ、お茶お茶〜! お茶お茶お茶お茶…くるぞ、くるぞ…!」
伊知地さん「みんなで一緒に!!」
ライター・田中
お茶々!!(この瞬間、お茶コールでスタッフ全員が一致団結)
はっ…完全に乗せられてしまいました(笑)。
その場で作ったオリジナルのコールだと、ワケのわからなさが楽しいですね。
伊知地さん
パリピの最先端を走りたいのなら、自分で流行を作ったほうがいい。「これを覚えたほうがいい」みたいなものは、すでに使い古されてますからね。
マネをするのではなく、マネされる人間が真のパリピです。
名言出ました
パリピのメリットは人脈が広がること。「大人パリピ」は女子にモテる
ライター・田中
私はパリピじゃないのでわからないのですが、パリピになるメリットってなにかあるんですか?
伊知地さん
それはもう、人とのつながりが増えることですね!僕の場合は、少なくとも1日に10人以上は新しい人と会うので、人脈がめちゃくちゃ広がりました。
パリピってノリですぐに仲良くなるので、友だちのその友だち…とどんどん輪が広がりやすいんですよね。
ライター・田中
1日に10人以上⁉ そんなに多くの人とどんなふうに絡むんですか?
伊知地さん
おそらくイメージされている通りで、わ〜っとノリで絡みます。
だから来る者は基本的にウェルカムですね。自分のところに連絡が来たり、遊んでくれたりする人は拒絶しません。
一方で、去って行く人には執着しませんね。「自分とは合わなかったんだな」と割り切って、追いかけるようなことはしないですね。
意外にも潔いパリピ
ライター・田中
執着しないんですね! てっきりしつこくアタックしつづけているのかと思っていました…
伊知地さん
そこが「大人パリピ」と「大学生パリピ」のノリの差ですよ。
大人パリピは相手が嫌がるようなことは絶対にしません。
ライター・田中
だとすると、大人パリピって女の子からモテるんじゃないですか?
伊知地さん
僕はモテます(笑)。ポジティブで一緒にいて楽しいだろうし、嫌なことを忘れられるから。
それに、さっき言ったようなギャップの効果もあるはず。たとえば、女の子と遊んで、その日に抱かなかっただけで「いい人認定」されるんです。
これ、すごくラッキーじゃないですか?(笑)
戦略的なパリピ
パリピはホスピタリティ精神の塊だった
ライター・田中
お話を聞いて、パリピのイメージがガラッと変わりました。
パリピってホスピタリティ精神の塊ですね。「うざい」とか言ってすみませんでした…
伊知地さん
でしょう?(笑)
本当のパリピは誰でも楽しませるのが基本だし、僕も一緒にいる相手に楽しんで帰ってもらうことを意識しています。
ライター・田中
もはや人を楽しませるプロですね…!!
伊知地さん
飲み会から帰って「伊地知さんと飲んでも面白くなかったね」と言われるのが一番嫌ですからね。常に本気です!
盛り上げたことに対してお金はもらえないけど、飲み会後に増えた女の子の連絡先の数は、楽しませた対価だと思ってます!(笑)
取材が終わって、「大丈夫だったかな?」と取れ高を気にしてくださった伊地知さん。
飲み会の場だけではなく、カタくなりがちな取材でさえ盛り上げ、スタッフのことも気にかけてくれている姿勢に、パリピの真髄を感じました。
TPOをわきまえた「大人パリピ」は、まさに人を楽しませるプロ。「イエーーイ!」と出会ったときに絡んでくれるのは、相手のことを大切に考えているからこそなのかもしれません。
〈取材・文=田中さやか(@natvco)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=森カズシゲ〉
お知らせ
『ピスタチオ伊地知改め元No.1ホスト嵐の恋愛ライブ』がヨシモト∞ドームにて不定期開催中。
実際にNo.1ホストとして活躍した春風亭嵐(ピスタチオ伊地知)が、本気であなたの恋愛相談にのります。パリピの本気を生で感じてみたい方、恋愛のお悩みを聞いてほしい方は、ぜひ足を運んでみてください!
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部