ビジネスパーソンインタビュー
「レッドブルは栄養ドリンクではありません」
レッドブルの本当の効果って? 飲みすぎたらどうなるの?栄養学の専門家に聞いてきた
新R25編集部
エナジードリンクの代表格、レッドブル。
公式サイトによると、171カ国で販売されており、750億本以上もの販売実績があるそう。(2019年3月時点)気合いを入れたいときやシャキッとしたいとき、徹夜続きで疲れているときなどに飲む人が多いでしょう。
一方で、「カフェインが入っているから飲みすぎは危険!」「成分はコーラと似ているから効果は気休め程度」なんて声も。
というわけで今回は、『エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』の著者である医学・工学博士/NPO法人遺伝子栄養学研究所理事長の松永政司先生と、管理栄養士・フードスペシャリストの深野真季子さんに、レッドブルの成分と私たちの身体にもたらす効果についてお話を伺いました!
【右:松永政司(まつなが・まさじ)】NPO法人遺伝子栄養学研究所理事長。京都大学工学、昭和大学医学博士。遺伝子栄養学の立場で第7の栄養素と言われる食品素材としての核酸の研究開発・普及に努める。 【左:深野真季子(ふかの・まきこ)】管理栄養士・フードスペシャリスト。藤女子大学人間生活学部食物栄養学科卒。NPO法人遺伝子栄養学研究所管理栄養士として、食の機能性に関する啓発活動を行う。
レッドブル含むエナジードリンクは、栄養ドリンクではない
ライター・小野瀬
早速ですが、レッドブルって具体的にどんな効果があるのでしょうか?
深野さん
まず、大前提として知っていただきたいのは、レッドブルを含むエナジードリンクは、そもそも栄養ドリンクではないということです。
えっ、違うの!?
深野さん
「医薬品」ではなく、オレンジジュースやコーラなどと同じ「清涼飲料水」なんですよ。
そして、医薬品でない以上「効能」を謳うことはできないので、レッドブルも「翼をさずける」というキャッチコピー以上のことは言っていません。
ライター・小野瀬
なんと…!栄養ドリンクと同じ売場に並んでいるので、てっきり栄養ドリンクだと思っていました。
成分表にも、いかにも効きそうな成分名が並んでいますし…
深野さん
たしかに、栄養にくわしい人じゃないとわかりませんよね… でも、アルギニンやナイアシン、パントテン酸は医薬成分ではないんですよ。
ちなみに、海外で販売されているレッドブルはまた別物で、「合成タウリン」が配合されているのですが、日本だと合成タウリンが配合されていると「医薬品」とみなされ、厚生労働省の認可が必要になります。
そのため、販路が制限されないよう、日本では炭酸飲料として販売されているんです。
ライター・小野瀬
なるほど…日本と海外のレッドブルは違うんですね。
「眠気覚まし」だけじゃない! レッドブルの効果を成分別に解説
公式サイトによると、レッドブルは高品質の成分を独自で配合しているところが強みのよう。主成分はカフェイン、アルギニン、ビタミンB群、砂糖類、アルプスの水。
砂糖類は、同量のりんごジュースやオレンジジュースと同じくらいの量らしく、思っていたよりも多くはない。また、水へのこだわりは強く「オーストリアとスイスの間にある生産拠点の近くの湧水から汲まれた、新鮮で最高品質のアルプス水」を使用しているといいます。
でもそのほかの成分は、効果などのイメージがあまり湧かない…いったいどんな効果があるのでしょう?
ライター・小野瀬
でも、「清涼飲料水」って、要するにただのジュースってことですよね? そう考えると、あまり効果がないように思えてきました…
やっぱり、「レッドブル飲んだから元気が出た気がする!」みたいな気休め程度のものなんでしょうか…?
松永博士
いえ、そんなことはありませんよ!
成分別に解説していきますね。
https://energydrink-jp.redbull.com/ingredients参考:レッドブルの主な成分量(100mlあたり)
アルギニン 120mg
カフェイン 32mg
ビタミンB2 0.09mg
ナイアシン 3mg
パントテン酸 2mg
ビタミンB6 2mg
ビタミンB12 2μg
カフェインの効果
松永博士
まず、カフェインには脳神経を興奮させることで眠気を防ぎ、疲労感を解消させる効果があります。
また、脂肪分解酵素の活性を高める作用も。運動前に摂取すると効率よく脂肪が燃えるので、運動のパフォーマンス向上にもつながると言われているんですよ。
ただの気休めじゃなかったんだ…
アルギニンの効果
松永博士
次に、母乳にも入っているアルギニンは子どもの成長期に必須と言われているアミノ酸の一種です。
これは成長ホルモンの分泌を促して筋肉増強に効果があるほか、免疫機能の向上、血流改善、生殖機能の改善の作用もあります。
ビタミンB群の効果
松永博士
そして、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビタミンB6やビタミンB12などのビタミンB群ですが、これは身体の機能を保つための必須微量栄養素となっています。
炭水化物や脂肪などを代謝し、効率よくエネルギーとして利用するためのサポートをしてくれるんですよ。
ライター・小野瀬
「眠気覚まし」以外にも、たくさんの効果があるんですね。レッドブル…すごいかも…!!
レッドブルの飲みすぎは危険? カフェインの適正量は?
ライター・小野瀬
でも、「レッドブルの飲みすぎは体に良くない」という話を聞いたことがあるのですが、それは本当なんでしょうか?
松永博士
普通に飲む程度なら、健康被害を心配する必要はありません。
ただ、レッドブルにはカフェインが含まれているので、飲みすぎは危険です。人によりますが、吐き気をもよおしたり、眠れなくなったり、胃痛がする場合もあります。
ライター・小野瀬
なるほど。具体的に、どれくらい飲むと危険なんでしょうか?
松永博士
成人の場合だと、カフェインを「1時間以内に体重1kgあたり6.5mg以上摂取すると危険」だと言われています。大体1日あたり1〜2本程度にしておいた方がいいと思います。
ただ、カフェインは緑茶やコーヒーの方がよっぽど多く含まれているんですけどね。
ライター・小野瀬
えっ、そうなんですか?
松永博士
「エナジードリンクにはカフェインがめちゃくちゃ多く含まれている」と思われている方も多いですが、カフェインのみに焦点を当てるとするならば、緑茶やコーヒーの方が圧倒的に含有量が多いです。
玉露なんて、桁違いですよ。
まさかの「レッドブルより玉露のほうが危険説」
松永博士
もちろん、利尿作用など体に良い成分も含まれているので、こちらも過剰摂取しなければ大丈夫です。
ライター・小野瀬
緑茶なんていくら飲んでも大丈夫だと思っていました。知らなかった…
レッドブルってカロリー高くて太りそうなイメージが…
ライター・小野瀬
あとは、レッドブルって糖分が多いイメージがあるんですが、カロリー面に関してはどうですか?「たくさん飲むと太ってしまう」とか。
松永博士
レッドブルには確かに砂糖が含まれていますが、他の清涼飲料水と同程度の砂糖なので、「レッドブルだから」と言って過敏になる必要はないかと思います。
また、もしカロリー面が気になるようであれば、レッドブル シュガーフリーがオススメです。こちらは砂糖ではなく人工甘味料が使われています。
「人工甘味料」と聞くと「体に悪そう」と悪いイメージを持っている方も多いですが、砂糖に比べて200倍甘いので使うのはほんの少量で済みますし、砂糖よりも虫歯になりにくいとも言われているんですよ。
ライター・小野瀬
そうなんですね。
松永博士
それに、「徹夜前にエナジードリンクを飲むと太るかな?」とカロリー面を気にするくらいなら、むしろ夜食に気を遣った方がいいと思いますよ。
カップラーメンやおにぎりを夜食に召し上がる方、多いじゃないですか。果物も糖分が多いので、食べすぎは注意した方がいいですね。
もちろん脳を使うためには糖分が必要ですが、使わなかった分の糖は、夜に脂肪になってしまうので。そういった意味だと、レッドブルも夜より朝〜昼に飲むのがオススメです。
深野さん
むしろ、レッドブルを朝〜昼に飲むことで、カフェインと砂糖(ブドウ糖)の効果で集中力を上げる事ができるんですよ。
脳のエネルギー源のブドウ糖を摂取する事で、授業や仕事中、眠気が来ずしっかりと集中して乗り越える事が出来るようになります。
また、味覚の観点からみても、レッドブルは午前中に飲むのが良いと思います。
味覚には気持ちの変化を促す効果があるのですが、レッドブルは他のエナジードリンクに比べて酸味が弱く、苦味も強くありません。「甘さ」は目を覚ます効果があるので、朝や午前中に飲むのがオススメなんです。
ライター・小野瀬
味覚から得られる効果もあるんですね。逆に、午後にオススメのエナジードリンクもあるんですか?
深野さん
苦味には気持ちをシャキッとさせてくれる効果があるので、午後なら高麗人参などが入っていて苦味が強い「モンスター」がオススメです。
ライター・小野瀬
たしかに、「モンスター」って少し苦い味がしますよね。味覚の観点から飲むのに最適な時間があるって面白いですね。
ウォッカを使った「レッドブルカクテル」など、お酒と一緒に飲んでも大丈夫?
ライター・小野瀬
飲み合わせについても教えてください。「レッドブルウォッカ」などのレッドブルカクテルが人気ですが、アルコールとの組み合わせってどうなんですか…?
松永博士
基本的に、レッドブルをアルコールで割るのは良くありません。
他の飲料よりもカフェインが多く含まれているので、酔いを感じにくくなってしまうんです。つまり、自分が自覚しているよりも多くお酒を飲みすぎてしまうんですよ。
ライター・小野瀬
レッドブルウォッカ、ジュースみたいで飲みやすくて大好きだったんですが、あれはカフェインの影響で「飲みやすいと勘違いしてしまっているだけ」だったんですね…!
そうすると、同じくカフェインが含まれている「緑茶ハイ」とかも良くないんでしょうか?
松永博士
そうですね。私も飲み会のあとにコーヒーを飲むのが大好きなんですが、カフェインを多く含むものはあまり良くないのでオススメできません。
松永博士
あとは飲み合わせでいうと、薬を服用中のときにエナジードリンクを飲むと副作用を起こしてしまう可能性があります。
薬に入っている成分によりますが、薬が効きにくくなったり、逆に効きすぎてしまうこともあります。薬を飲んでいるときは、基本的にエナジードリンクは飲まないようにしましょう。
レッドブルの効果や正しい飲み方まとめ
・レッドブルを含むエナジードリンクは医薬品ではなく、
清涼飲料水
である
・レッドブルの主成分である
カフェイン
と
アルギニン
から得られる効果
カフェイン:
脳神経を興奮させることで眠気を防ぐ
疲労感を解消させる
脂肪分解酵素の活性を高め、運動のパフォーマンスを向上させる
アルギニン:
成長ホルモンの分泌を促して筋肉増強に作用
免疫機能の向上
血流改善
生殖機能の改善
・レッドブルにはカフェインが含まれているので、
飲んでいい量は1〜2本程度/日が目安
・レッドブルには目覚めの効果があるので、
飲むタイミングは朝〜昼
がオススメ
・カフェインで酔いを感じにくくなってしまうため、
レッドブルをアルコールで割るのはオススメしない
・副作用を起こす可能性があるため、
薬の服用中はエナジードリンクは飲まない方が良い
これまで、「飲むと気合いが入る気がする!」となんとなく飲んできたレッドブル。
「体に悪そう」という不安もなんとなくありましたが、今回、松永先生と深野さんに医学的/栄養学的な観点から、正しい知識を教えていただき安心しました。
レッドブルはうまく使えば自分を奮い立たせてくれるもの。
しっかりと適量を守り、疲れたときにはちょっと力を借りながら仕事を頑張っていきたいと思います!
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<取材・文=小野瀬わかな(@wakana522)/取材・編集・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)>
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