高校時代は柔道で全国大会に出たことも

“小5で夜逃げ”もポジティブに転換。GO三浦崇宏が卒業文集を見て語る「人生=コンテンツ」論

ライフスタイル
卒業文集」といえば、学生時代のその人を端的に表す作文や写真が掲載されているもの…。が、イチローのようなスターか、ヤバイ犯罪を犯した人でもない限り、なかなか陽の目を見ることはありません。

本企画では、SNSなどで世間に大きな影響を与えているインフルエンサーに卒業文集を見せてもらい、「どのような学生だったのか?」「その人の源流はどこにあるのか?」を探ります…!

今回お話をうかがったのは、新R25にも度々登場し、PR/クリエイティブディレクターとして大活躍のこの方。
【三浦崇宏(みうら・たかひろ)】TheBreakthrough Company GO代表取締役兼PR/CreativeDirector。早稲田大学第一文学部を卒業後、博報堂入社。マーケティング、PR、クリエイティブ部門を経て独立、2017年にThe Breakthrough Company GOを設立
日々パンチラインや、世の中で話題になるプロジェクトを生み出すクリエイター・三浦崇宏さんは、どんな作文を書いていたのか?

実際に小学生時代の卒業文集を見せてもらったんですが…
「そもそもわが輩は、生来、短気にして強情、おまけに傲慢である」
「何が現行法の範囲内だ。それほどまでに自分の地位が大切なのだろうか?」
小学6年生とは思えない文章力…! 

というわけで、卒業文集を見ながら、三浦さんに学生時代を振り返っていただきましょう!

〈聞き手=福田啄也(新R25編集部)〉
福田

福田

卒業文集なのにめちゃくちゃ攻撃的な文章ですね…それに使っている言葉が小学生離れしています。
三浦さん

三浦さん

昔から口先だけは達者だったんだよ

それに態度もデカい。
今は体格もデカイですよ…(小声)
三浦さん

三浦さん

私立幼稚園の入試を受けたとき、お遊戯の時間があったんだよ。そこで知らない子どもが積み木の取り合いをしてたの。

それを止めようと思って間に入ったんだけど、なぜか俺が積み木を奪い取って片方の頭を殴っちゃったんだよね

それで2人とも泣き出しちゃって、俺も号泣しちゃった。
福田

福田

あぶな…
三浦さん

三浦さん

そしたら試験官の先生が「なにしてるの!?」って走ってきたんだけど、俺はピタッと泣き止んで「これは、彼が積み木を奪おうとしていて、僕はそれを止めようと思って…それでなぜか積み木が彼の頭に当たったんです」ってとっさに弁明したんだよ。

自分の非を認めようとしない、おそろしい3歳児じゃない?
先生はそれを見て「なんて危ない子なんだ…うちの幼稚園で矯正しないと…」と思ったから合格になったらしいです

小5で夜逃げを体験…「言葉の力でマイナスをプラスに変えられる」と気づいた

福田

福田

三浦さんって幼稚園から高校までの一貫校にいたんですよね。

かなりのおぼっちゃまじゃないですか…!
三浦さん

三浦さん

うちは父親がダンサーで、母親がオペラ歌手っていうかなり特殊な家庭だったんだよ。
三浦さんのお父さまは82歳になってもまだダンサーとして活動しているんだとか。写真は去年のペルーの舞踏のフェスに出演したとき
お母さまもまだまだライブをおこなっているそうです!
三浦さん

三浦さん

それでオレが小さいころに父親が一度ダンサーを辞めて、美術商を始めたの。

それがうまくいっててかなり裕福だったと思う。世田谷で暖炉付きの一軒家に住んでたし。
福田

福田

すげえ…
三浦さん

三浦さん

でもバブルが崩壊した影響で不景気になって、小5のときに破産しちゃったんだよ。

それで一家で夜逃げした
えっ…
三浦さん

三浦さん

世田谷の一等地から、東京と埼玉の境にあった団地に引っ越しして、生活がガラッと変わったんだよね。部屋は狭くなるし、食事も外食しなくなって質素になったし。

子どもながらに「あれ? 俺の人生はやばい方向に向かってるんじゃない?」って思った。
福田

福田

小5で夜逃げを体験したら、そう思うのも無理はないですよね…
三浦さん

三浦さん

そうでしょ。

そこで俺の人生の転機が訪れる。それは、「破産して夜逃げしたことを学校で言うべきか?」ということ。

おぼっちゃまが集まる小学校で、まわりの友だちもみんな金持ちだった。そこで「自分が貧乏になった」と公表すべきなのか…?ってめちゃくちゃ悩んだんだよね。

みんなの自分を見る目が変わっちゃうのがすごく怖かったのを覚えてるよ。
三浦さん

三浦さん

でも結局、クラスのみんなに話すことを選択したんだ。
福田

福田

告白してみて、どうだったんですか…?
三浦さん

三浦さん

「俺んち破産したわ…夜逃げってどうやるか知ってる?」みたいな感じでおもしろおかしくトークをしたら、めちゃくちゃウケた。

「三浦ってすげえ体験してるなあ!」って話題にもなったし、クラスの見る目が変わることもなかった。
三浦さん

三浦さん

それが、俺の人生で「Life is contents」っていう信条を掲げるようになった原体験だね。

貧乏になって夜逃げ」みたいな人生のヤバい出来事を、言葉の力でマイナスからプラスに逆転させることができた。

そのとき、人生のいいことも悪いことも、コンテンツになるっていうことを知ったんだよね。

それが、言葉と表現の力で価値観をつくる今の仕事につながっているんだと思う。

聖歌隊・柔道部で培った成果を出すための姿勢と努力法

福田

福田

三浦さんが影響を受けたものって何ですか?
三浦さん

三浦さん

ベタなこと言うと、学校の先生の影響はかなり受けていると思う。

俺、小学校のときに聖歌隊に入ってたんだよ。
へぇ…意外
三浦さん

三浦さん

そこの先生がめちゃくちゃ厳しくて、練習では生徒が泣いちゃうときもあるんだよね。インタビューでは書けないような指導もされた。
福田

福田

(気になる…)三浦さんも泣かされたんですか?
三浦さん

三浦さん

うん、例に漏れずね。

映画の『セッション』ってあったじゃん。あれを見ても別に驚かなかったかな。
福田

福田

それって殴っ…
三浦さん

三浦さん

でも、その先生の厳しい指導もあってか、「NHK全国音楽コンクール」っていう全国大会で金賞を取ることができたんだ。みんながいい意味で泣きながら先生に感謝するわけ。

だから、たとえチームに厳しい指導をしてでも、圧倒的な成果を出すために引っ張っていくのも必要なんだって気づかされた。

過程が厳しくても、圧倒的な成果は結果としてチームを幸福にするから
三浦さん

三浦さん

あとは、中高の柔道部の先生からもかなり影響を受けたなあ。

俺らってエスカレーター式の進学校だったから、体育大の付属校みたいな強豪校には普通に練習してても勝てないんだよ。
福田

福田

スポーツ推薦で進学している選手は別格ですもんね。
三浦さん

三浦さん

そう。だから、体格も練習時間も劣っている人間が強豪校にどうやって勝つのか?ってことを考えさせられた。

「人間の体格はみんなバラバラなんだから、最高の指導法なんてない。だから、お前の強くなり方をお前自身で見つけろ」っていう指導方針だったんだ。
福田

福田

おお…具体的にどんなことを?
三浦さん

三浦さん

まずは、「自分を知る」ために時間を使った。

自分がどんなことが得意で、どんな戦い方が向いているか、ということに徹底的に分析させられたね。

飽き性だから反復練習が嫌い」「筋トレする時間があったら技を覚えたい」とか。
真ん中にいるのが三浦さん。めちゃくちゃ細い…!
三浦さん

三浦さん

次に、自分が「どういう選手になりたいのか?」というのを決める。

俺は小柄だったんだけど、その体格でデカい相手を投げ倒せるようになりたいって思ったの。

だから強くなるために、筋トレも走り込みもやめて、ひたすらレスリングとか柔術とかを研究して、相手が知らない未知の技で勝つっていう戦い方を見つけたんだよ。

それで、俺らの代で初めて全国大会に出場することができた。
福田

福田

すげえ…!
「だろ?」
三浦さん

三浦さん

俺の今の仕事って、「どんなクリエイティブなら、企業の課題が解決できるのか?」ということを考えることなんだよね。

企業の強みを分析して、それにともなった効果的なクリエイティブを考える。そういう視点は、柔道部時代に培ったことかな。

アトランタオリンピックに「感動させられた」ことにムカついた

福田

福田

子どものころから三浦さんがなりたかったものって何なんですか?
三浦さん

三浦さん

小説家だね。

俺の思想の源流は村上龍なんだけど、小学生のころには『愛と幻想のファシズム』を読んでた。
福田

福田

絶対に小学生が手に取る本じゃない…
三浦さんの作家性が垣間見える。「目をつぶりながら見た東京の夜景は長崎より美しく、そして、長崎よりみにくかった」って…
三浦さん

三浦さん

それで、大学のときまで小説や詩を書いてたんだよ。

でも執筆しているときってめちゃくちゃ孤独で辛かった。聖歌隊でも柔道部でもそうだったんだけど、チームで何かを達成するのが好きだってことにそのとき気づいたんだ。

それで大学時代にイベントサークルを立ち上げて、いろんなイベントを企画・運営してた。
福田

福田

なるほど…それで小説家から広告代理店に転向することになったんですね。
三浦さん

三浦さん

そう。

1996年のアトランタオリンピックのとき、聖火リレーの最後にモハメド・アリが聖火を灯すんだけど、それを見て「すげえ…」って鳥肌が立っちゃったんだよ。

でも同時に「あっ、俺は今感動させられたんだ」って思ってすごくムカついたんだよね。
三浦さん

三浦さん

世の中には感動させる側の人間と感動させられる側の2パターンがあって、感動させる側にまわりたいなって思ったの。

それで少しでも多くの人に感動を与えられる広告代理店やテレビ局を志望したんだ。

価値観は常に出会いによって揺さぶられている

福田

福田

大人になって、三浦さんのなかで変化したことってあるんですか?
三浦さん

三浦さん

性格は大きく変わっていないと思う。

ただ、今もずっと価値観を揺さぶられつづけているかな。
福田

福田

それはどういう機会に?
三浦さん

三浦さん

新しい人で出会ったら必ず揺さぶられる。

俺の人生ってやっぱり出会った人に大きく影響されているんだよ。

学生時代の先生や広告代理店時代の恩師とか、さまざまな出会いで自分が形作られているし、これからも変化しつづけるんだと思ってる。
福田

福田

じゃあ何回もインタビューしている僕も、三浦さんの価値観に変化を与えているんですかね?
三浦さん

三浦さん

ごめん、それはまだないかな
福田

福田

クソ…!

三浦さんに影響を与えられるよう、ボクも「Life is contents」を信条に頑張って成長します!!
人生のあらゆる出来事を、“言葉の力”で価値を生み出す。

三浦さんがインタビューやツイッターでいつも生み出しているパンチラインの原点を知った気がします。

どんなときでも言葉を使いつくす…そんな三浦さんの作文をもう一度見返してみましょう。
三浦さんによると、現在小説のプロジェクトも動いているとか。発売が楽しみです!

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=平山尚人〉

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