吉藤智広・渋谷雄大著『伝わるプレゼンの法則100』より

話すときは、会社や製品を主語にするな。聞き手を飽きさせないプレゼンテクニック8選

仕事
ビジネスマンだったら、「渾身のアイデアなのに採用されなかった…」という経験が誰しもあるはず。

しかし、それはプレゼンの仕方に問題があったのかもしれません。

どんなに内容がよくても、採用されるには上司や取引先へのプレゼン次第。

プレゼンテーションデザイナー・吉藤智広さん、サイボウズ株式会社エバンジェリスト渋谷雄大さんが手がける著書『伝わるプレゼンの法則100』のなかに、「聞き手のために考えて、聞き手のために話すことが重要だ」という一文があります。

どうやったら聞き手に最後まで聞いてもらえるプレゼンをつくれるのか、同書でその方法に迫りましょう!
伝わるプレゼンの法則100

伝わるプレゼンの法則100

①「出発点」から「到達点」への行き方を示す

プレゼンとは、聞き手を導くこと

スタート地点とゴール地点を明確にすれば、聞き手は迷いません。

最初に、聞き手が現時点で課題に思っているであろうことを 「出発点A=課題」とします。

そして、どう変わって欲しいかを「到着点B=未来像・ビジョン」とします。

このAからBへ変化(CHANGE)するための解決策を伝えて 「到着点に向かいたい!」というアクションを起こしてもらうことが、プレゼンの本質です。

プレゼンのストーリーを構成するためには、A→CHANGE→Bという3点を線で結ぶイメージで考えます。

大切なのは、プレゼンによって「聞き手に変化を起こしてもらう」という意識。

あなたのプレゼンの出発点と到着点、そのために必要な変化を書き出してみましょう。

② 情報紹介だけのプレゼンから抜け出せ

自分が伝えたいことを詰め込んでつくると、聞き手にとってはわかりにくいプレゼンになりがちです。

「今回のプレゼンでは、会社の説明と新商品の紹介とおすすめ商品の提案をしたい」

こんなプレゼンのつくり方をしていないでしょうか?

自分が伝えたいことを詰め込んだだけのプレゼンは、往々にして聞き手にとっては情報過多。

結果的に、「何が言いたいのかわからない」プレゼンになりがちです。

プレゼンの主役は聞き手

常に聞き手を中心に伝えるべきことを考え、必要なトピックだけに厳選します。

最初のとっかかりとしては、必要最低限の要素でシナリオを構成していくことがおすすめです。

そのうえで、伝えきれない部分があれば補足情報を追加していきましょう。

そのときも、できるかぎりシンプルに。

③ 一人歩きするキーメッセージを決める

内容のすべては覚えてもらえません。

ひとつだけ、持ち帰ってもらいたいメッセージを用意しましょう。

あなたは、30分のプレゼンを聞いた後に、聞いた内容の何%を思い出すことができるでしょう?

どんなに優れたプレゼンターでも、聞き手に内容のすべてを覚えてもらうことはできません。

そこで、伝えたいことを一言でまとめた「キーメッセージ」を用意しておきましょう。

今日のプレゼンは〇〇〇〇っていう内容だったよ

人に伝えてもらうときに言って欲しいキーメッセージを決めて、積極的にプレゼンに盛り込み、それを何度も繰り返して伝えましょう。

あなたのプレゼンで伝えたいキーメッセージは何ですか?

④ 聞き手が欲しいのは 「機能」ではなく「利活用」

プレゼンの最終的な目的が、「知ってもらう、理解してもらう」 ことになってしまっていたら、要注意。

もちろん、理解してもらうことは必要。

でもそれだけでは「わかった。それで?」と聞き手を情報の中に置き去りにしてしまいます。

大切なのは、「情報+未来像」をセットにして、聞き手が「行動できる」ように誘導すること。

ここで意識するのは、製品の機能や違い、数値・データ、サービスの優位性などの「情報」を伝えるだけではなく、「魅力的な未来像」を描くこと。

聞き手の生活がどう変わるのか。

聞き手の会社がどう良くなるのか。

魅力的で具体的な未来が伝わってはじめて、人を動かすことにつながります。

サービスや商品を提案する際は、どのように活用して欲しいのかを明確に伝えましょう。

極端な言い方ですが、聞き手が細かな機能や情報に興味をもっていることはほとんどありません。

聞き手の興味はあくまで、「どのように活用できるか」です。

機能や数値だけの説明で終わるのではなく、その機能を使って聞き手がどのように活用できるのかまでを丁寧に伝えましょう。

導入事例などの具体的な利活用の話や、ユーザーの声などがあると非常に有効です。

⑤ 自分の主観を盛り込む

自分の経験や素直な感想を交えることで、聞き手は引き込まれていきます。

プレゼンの機会となると、どうしても堅くなってしまい、どことなく他人行儀な言葉遣いになりがちです。

そうなると、事実や数値を中心とした内容の方が話しやすいものです。

ですが、会社や製品が主語のプレゼンでは決して聞き手に伝わりません。

あなたが話す、あなたのプレゼンです。

あなたの主観や感情を出していきましょう

同じ内容でも、語る人によって大きく印象が変わることがあります。

今までの経験や想いをしっかりと言葉にのせて伝えることで、自分自身も楽しくなりますし、聞き手にもその楽しさは伝播します。

過去の経験や、自分の好み、おすすめポイント、ときには自分がもうひとつだと思うところまで。

あなたの言葉を素直に話すほど、聞き手は引き込まれます。

⑥ 話の中に第三者を登場させる

話が単調になっているときは、第三者の声を使うことが効果的。

聞き手に想像力を働かせる力があります。

上手いプレゼンには、よくプレゼンター以外の人物が登場します。

同僚の話や、経営者の想い、ユーザーの声や、成功・失敗事例。

さまざまな人物が登場することで、全体にメリハリが生まれ、 複数人の視点からプレゼンの内容を深く把握することができます。

その際、ただ状況説明をするだけではつまらないので、登場人物のセリフなどは、実際にしゃべっているように表現するのがおすすめ。

プレゼンを群像劇のような活き活きとした世界観にし、 聞き手を引き込んでいくことができます。

自分の言葉だけでなく、他の人の言葉とその場の感情や空気感も加えることにより、より立体的で人を動かすことのできるプレゼンテーションになります。

⑦ 話の区切りでまとめを入れる

今は何の話をしていたのか、話の区切りにまとめを入れることで理解度を高めることができます。

だらだらと話し続けてしまうと、聞き手としては話の論点がわからなくなってきてしまうことがあります。

そこでおすすめなのが、こまめにまとめること

区切り区切りでまとめを入れることで、今までの話について、 話し手と聞き手の認識合わせをすることができます。

プレゼンで気をつけないといけないのが、聞き手を置き去りにしてしまうこと。

まとめを入れることで、共通認識を持ちながら一体感を高めてプレゼンのゴールまで進んでいくことができます。

⑧ 最後のスライドは最も長く表示される

聞き手が何を持ち帰るか」は最後のスライドで決まります。

プレゼンで一番重要なのが、最後のメッセージ

ここで、聞き手が行動するかどうかが決まると言っても過言ではありません。

そのため、プレゼンの最後にはビジョンやキーメッセージをまとめたスライドを用意して、聞き手にアクションを促す言葉と共に締めくくりましょう。

また、最後のスライドは、必ず長く表示されるために、聞き手の最後の印象に強く残ります。

くれぐれも「ご清聴ありがとうございました」というメッセージだけのスライドにならないように注意しましょう。

最後のスライドはプレゼンの集大成。

シナリオのゴールを意識して用意しましょう。

“聞き手に伝わる”プレゼンのテクニックを網羅しよう

伝わるプレゼンの法則100

伝わるプレゼンの法則100

伝わるプレゼンの法則100』には、プレゼンを格段にわかりやすくするノウハウが100個掲載されています。

今回の「話し方・伝え方」以外に、「箇条書きを箇条書きしない」「文字を記号で代用」といったスライドのビジュアルなども参考にできるはず。

大事な会議のプレゼンづくりに悩んだら、ぜひ手に取ってみてください!