ビジネスパーソンインタビュー
「ファンに媚びてるだけ」と言われた時期も…
須田亜香里「頑張ってるのに報われない人は、“がめついコミュニケーション”が足りないんです」
新R25編集部
SKE48のメンバーで、2018年開催の「AKB48 53rdシングル世界選抜総選挙」では2位に輝いた須田亜香里さん。
グループ屈指の人気メンバーでありながら、バラエティ番組では鼻毛を抜かれる、熱湯風呂やパンスト相撲で奮闘する、金粉・ローションまみれになる…など、“NGナシ”で体を張り、さまざまな番組にひっぱりだことなっています。
「ネットで名前を検索すると『かわいくない』って出てくる」と自虐的に語る彼女が、どのようにして、ここまでの活躍をするに至ったのか。
仕事をするうえで大切にしていることを聞いたところ、そのプロ意識の高さに驚愕。ビジネスマンも参考にするべき金言がズラリと並んだので、ぜひ最後までお読みください!
〈聞き手=森ユースケ〉
撮影=飯本貴子
【須田亜香里(すだ・あかり)】1991年、愛知県生まれ。2009年、SKE48に三期生として加入。2018年、「AKB48 53rdシングル世界選抜総選挙」では2位に輝く。バラエティ番組に多数出演するほか、ワイドショーのコメンテーターとしても活躍。地元紙・中日新聞でコラムを連載中で、著書に『コンプレックス力: なぜ、逆境から這い上がれたのか?』(産経新聞出版)がある。特技は13年続けたクラシックバレエで、全国2位の実績を持つ
握手会に来たファンの住所までメモる「ダスノート」が話題に
森
須田さんはSKE48加入当初、まったく目立たない劣等生だったとのことですが、ブレイクへの転機はどこにあったのでしょうか?
須田さん
注目してもらえたきっかけのひとつは「握手会で須田が人気らしい」と、週刊プレイボーイさんが取材をしてくれたことですね。
森
ファンの名前や特徴をノートに取っていた、というエピソードですね。
※通称「
ダスノート
」。ノートに名前を書かれた人は、彼女から離れられなくなるという噂も。現在14冊まで増えている
須田さん
そうです。話した内容とか、ファンの方の髪型とかまでメモするようにして。住んでるところの話が出たら、その住所までメモるようにしました。
森
住所まで…!
須田さん
あとは、スタッフさんに握手の評判がいいメンバーを聞いたり、ネット上にあるファンの方の握手会レポートを見たりして、人気メンバーのやっていることを研究しました。
話す内容、表情、手の握り方とか、細かいことはいろいろあるんですけど、人気メンバーたちがやってることって、結局は相手との心の壁をなくすこと。「自分対大勢のファン」じゃなく、「自分対相手」という1対1の特別な関係になることだったんです。
仕事で「頑張ってるのに報われない」と感じたら…“がめついコミュニケーション”が効く
森
若干マニアックな話になるんですが、SKE48は結成当初、ダンスの実力主義だったので、「握手で人気」というのはグループ内ではあまり認められていなかったとか。
須田さん
そうそう。「握手会で人気なだけ」「ファンに媚びてるだけ」って言われたこともあったんです。
当時は運営からあんまり認められてなくて、握手会の列がどんなに長くても、SKE48のなかでのポジションが良くならなかったんですよ。
握手の列は長いのに、なんでシングルのステージでは私が後ろなんだろう?って状況が続いていて。
森
自分は努力してても、まわりに評価してもらえないことって仕事でもありますよね…
そんな状況からどうやって抜け出したんでしょうか?
須田さん
自分がそうだったからわかるんですけど、「頑張ってるのに報われない」っていう人に限って、“がめついコミュニケーション”が足りないと思うんです。
森
がめついコミュニケーション…
どういうことでしょうか?
須田さん
結局、報われるための努力をやりきってないから「頑張ってるのに報われない」と思うんですよ。
以前、舞台の仕事で演出家さんから「1回、やりすぎてみればいい」って言われたことがあって。演技でも、ふだんのコミュニケーションでも、やりすぎちゃったら加減をすればいいだけだと。
それを聞いてから、いつも全力でコミュニケーションをやりすぎてみるようにしたんです!
須田さん
私、「まわりが認めてくれない」と感じてたときは、まわりの人たちを敵だと思ってたんです。
だから、どんどんコミュニケーションが取れなくなってた。
森
たしかに、勝手にまわりを「敵認定」しちゃうことってありますね…
どうやってそれを改善したんですか?
須田さん
それも“がめついコミュニケーション”。自分から相手に興味を持つようにするんです!
仕事で会う人に、相手の目をしっかり見て、「○○さん、よろしくおねがいします」と名前を声に出したり。
事前に会うことがわかっている人の情報は調べておくとか、身につけていたものを覚えておいて、「前回もそのネクタイしてましたよね」って話題にするとか、できることは“がめつく”全部やりましたね。
夢や目標がないからこそ、人の考えを受け入れられる
森
その後総選挙で2位になりながら、バラエティ番組ではカメラの前で鼻毛を抜かれたり(『うわっ!ダマサれた大賞2018』でブラジリアンワックスで鼻毛を抜かれた)、体を張ったりする仕事も断らないですよね…
ある程度のポジションについたら、プライドから仕事を選んでしまうことってよくあると思うんですが、須田さんはなぜ“NGナシ”で仕事を続けるんですか?
須田さん
別に自分でNGナシって言ってるわけじゃないんですけど(笑)。
ひとつ思ってるのは、「自分の強み」って人にゆだねることでもっと強くなるってことですね。
須田さん
人のアイデアって、最初は「これのなにが面白いの?」って思っちゃったりするじゃないですか。たとえば、私の鼻毛なんか見て何が面白いんだろう?とか思いましたし(笑)。
でもそれがきっかけでめちゃめちゃファンの方が増えたりするんです(笑)。
森
ブラジリアンワックスがきっかけで…
須田さん
何が面白いと思われるか、自分ではわからない。最初は「?」と思っても、色んな方のアイデアに乗っかったほうが得です。
森
なるほど。
でも、さすがに「こんな仕事はしたくない」って思うことはないんですか? もう人気アイドルなんだから「ローションはちょっと…」とか。
須田さん
そうだな~。私、目標がないんですよ。
須田さん
事務所に入る前、社長さんから「将来、なにになりたいの?」って聞かれて。毎日、目の前のことしかできないと思ったから「夢がないのが悩みです」って言ったんです。
そしたら、「いいね。夢がないから、なんでもできるんだよ」と言われたんですよ!
森
夢や目標があると、そのために「やること」を選んだりしちゃうってことか…
須田さん
小学校のときから、「将来の夢はなんですか?」って聞かれるじゃないですか。
夢がないと生きていけないのかな? 恥ずかしいことなのかな?ってずっと悩んでたんですけど、目の前の仕事だけ受け入れて、頑張ってやることにも価値があるんだって思えたんですよね。
「自分には夢がない」って思ってる人は、そういう考えもあるんだって知ってほしいです。
「じつは自分に自信がある」ことに気付いてから、“ブスイジリ”も気にならない
森
仕事をしていて、まわりから批判されて落ち込んでしまうことってよくあると思うんです。
須田さんは、バラエティ番組で「ブス」みたいにイジられることもありますけど、イヤな気持ちにならないんですか?
須田さん
ぜんぜん!「ブス」って言われても、「えっ、最近はキレイになったんだけどな?」って感じ。
ですよね!!
森
最高の返しをありがとうございます。
でも、最初から平気だったわけではないですよね…?
須田さん
SKE48に入ったらかわいい子が集まってて、自分の悪いところばっかり目につくようになったんです。「自分だけかわいくない」って。
写真や動画を見ていっつも落ち込んでたんですけど、あるとき、「写真に写った自分がかわいくないと感じるってことは、私、“本当の自分はかわいい”って思えてるんだ」ってことに気づいたんです。
森
じつは自己肯定感があったからこそ、理想とのギャップに苦しんでたと。
須田さん
そうです!
だったら、自分の顔は変わらないことを認めて、できる努力だけすればいいって考えるようになったんです。気になる部分をメイクでどうカバーするかを考えたり、アップになるテレビの歌番組と、遠くから見るライブでは表情を変えたりして。
「自分で自分を認められている」ことに気付けたので、それ以降はイジられても、自分でネタにしても大丈夫になったんです。
森
自分のなかに自信を秘めているんですね…
以前、僕が水着の撮影に立ち会ったときに、現場で「この撮影があるの、昨日知ったんですよ!」と言っていたのが印象的でした。そのわりには体型が完ぺきに仕上がっていて…!
常にキープする努力をしているんですか?
須田さん
そうですね。毎日、「明日水着になってください」って言われても大丈夫なように生活してます。
かわいくないとか、ブスって言われることが多いから、体はイケてるようにしておきたいんですよ。ひとつでも自信があるところがあると、人に何を言われても大丈夫なようになるので。
時間があったらジムに行ったり鍼治療に行ったり、体のケアにはかなり時間をかけてますね。
アイドルが鍼に! おかげでバッチリな撮影ができました。ありがとうございました!!
「ブスイジリ」など、デリケートな質問にも明るく答えてくれた須田さん。
最後に、“人気メンバーになっても常に手を抜かない理由”をきいてみると…
「私を応援してくれる人のことは、絶対に幸せにしたい。これはアイドルとしてというより、人として大事にしていることですね。だから、どんなときでも気合が入ってます」
とのことでした…!
あまりに大きなその器に感動。
我々も気合を入れて、“がめついコミュニケーション”で仕事していなかければと思わされました。
〈取材・文=森ユースケ(@mori_yusuke)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=飯本貴子(tako_i)〉
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