伊藤羊一著『0秒で動け』より

動き出したら周囲のフィードバックは全スルーせよ。行動を習慣化させる6つのコツ

仕事
今やるべきだとわかっているのに、仕事をずるずると先延ばしにしてしまう…。

気合いやメンタルのせいにされがちなこの現象ですが、じつはある「スキル」を身につけるだけで解決できると、ベストセラーになった書籍『1分で話せ』の著者・伊藤羊一さんは言います。

そんな伊藤さんも、20代のころはどう仕事をしていいかわからず、成果を出す以前に何も動けていない状況だったそう。

そこから行動力を伸ばした方法が集約されたのが、新著『0秒で動け』。

行動力を伸ばすスキルはどう鍛えられるのか、本書から学んでいきましょう!

ポイント① 周囲の期待値は下げておく

周囲のコントロールとしてやりたいのは、まず、「周囲の期待値を下げる」こと。

1歩目を踏み出すときは、やっぱり少し恥ずかしいものです。

そこで、私は以前は「期待値コントロール」をしていました。

「正解ではないかもしれないんですけど…」「あ、俺うまくないですけど、ちょっとやってみようと思いまして」と、あらかじめ周囲に伝えてから何かを発言したり、行動しました。

ほかの人がどう思うかというよりも、最初から自分に言い訳をしておく。

すると「ああ言っておいたから、失敗しても大丈夫だろう」と心理的なハードルが下がります。

完全に自己満足の世界ではありますが、最初にはじめるときのハードルは、下げておいたほうが取り組みやすくなります。

この「期待値コントロール」は、経験値を積むに従い、少しずつやめていきましょう。

なぜなら、期待値コントロールをし過ぎる人は、「うまくいかないと言うならやめろよ」「正解でないと思うなら言わなければいいじゃん」と思われますので。

ポイント② 仲間を頼ろう

もう1つ大事なのは、仲間をたくさんつくること

自分1人でできないことは、仲間の助けを借りればいいのです。

たとえば、会議で手をあげることを目標にしようと決めたとき、私は仲間の助けを借りました。

同じ会議に出席している同僚に、あらかじめこう頼んでおいたのです。

「◯◯という発言をするから、合いの手を入れて場を和ませてほしいんだけど」

「俺がキョドッたら、ツッコミを入れてごまかしてほしい」

「うまくいかなくても笑って流してくれよ」

そんな感じです。

仲のよい先輩に「反対でも何でも構いませんので、私が発言したとき、何か反応してもらえませんでしょうか」と頼んだこともあります。

ポイント③ 動き出したら反省しない(フィードバックを受けない)

こうして、めでたく第一歩を踏み出したとします。

何かの会議での発言かもしれないし、プレゼンかもしれないけれど、ともかくファーストアクションを起こしたら、そこから、すべてがはじまります。

このタイミングでは、決して「反省しない」ことです。

うまくいこうがそうでなかろうが、ここで振り返らないことをオススメします。

周囲の人が「もっとこうすればよかったのに」などと言ってくれることもあります。

申し訳ないのですが、そうしたフィードバックもひとまず全スルーです

ここで大切なのは、せっかく踏み出した第一歩を、第二歩、第三歩につなげていくことです。

初めての挑戦ですから、きっとうまくいかないことも多かったと思います。

そこで反省したり、ネガティブなフィードバックに耳を傾けて、立ち止まることだけは避けなくてはいけません

ここだけの話ですが、私は今でもフィードバックを受けることは慣れていません。

ただ、経験を積んで、そのダメ出しやフィードバックを受けることが成長への近道、と理解するようになって、初めて向き合えるようになりました。

現実を直視しなければいけないことはわかっていますが、自分なりに勇気を振り絞って行動して、心が折れてしまったら、元も子もありません

褒めてくれそうな人を選んで「褒めて」と頼みにいくこともあります。

そうやってあらゆるものを総動員しながら、とにかく「動く」ことが大事です

最初の一歩というのは、それだけ大変ですし、大事なのです。

ことにビジネスの世界では、自分から動かない限り、チャンスは回ってきません。

ですから、時にはこうした「仕込み」もしながら、自分から「動ける」体をつくっていくのです。

ポイント④ 2歩目、3歩目になったら、フィードバックをもらう

フィードバックを受けるのは、2歩目、3歩目を踏み出せるようになってからでいいと思います。

ここでは、なるべくポジティブなフィードバックを受けるようにします。

先に書いたように、とにかく褒めてもらうのもそうです。

行動したら、自分のやったことに対し自己嫌悪に陥ったりしませんか?

私はそうでした。

若いころ、バンドでライブをやって、終了すると、自分たちがやってしまった細かいミスを思い出して、「全然ダメだったー!」と落ち込むわけです。

でも周囲は、「よかったよ!本当によかった!」と言ってくれる。

なぐさめてくれているだけかなぁと思っていたのですが、どうもそうではないんですよね。

自分たちが過度に自己嫌悪に陥っているだけだと気づいて、ああ、私は、何か行動したらすぐ自己嫌悪に陥るんだな、とわかりました。

実は今でも、人前で話した後は、たいてい自己嫌悪に陥ります。

最初のうちは、とにかくなるべく好意的なフィードバックを受けるようにします。

好意的なフィードバックだけ聞くと、当然ですが、ポジティブになります。

こうやってコンディションを整えながら、徐々に慣れていきます。

そして、ネガティブなフィードバックも自分の糧にできるくらい余裕が出てきたら、そのとき、色々な意見に耳を傾けるようにすればいいのです。

行動し続けるには、自分に対する反応をコントロールすることも必要なのです。

ポイント⑤ 振り返りの時間で自分の血肉にする

こうして第二歩、第三歩を踏み出せるようになったら、次は振り返りです。

振り返りのときに大事なのは、以下を考えることです。

・自分はどういう行動をしたのか

・その行動にはどんな意味があったのか

・それを活かして、今日から何をするのか

つまり、実際の行動を振り返りながら、「SoWhat?(だから何か)」と問い、意味を抽出し、自分なりの教訓にしていきます。

ゴールは「Aha!(おお、そういうことか!)」と気づくことです。

色々な経験や見聞きした情報は、「Aha!」という気づきを得ることによって初めて、今後も使える知恵になっていくのです。

そして具体的な行動につながっていきます。

振り返りの方法ですが、「内省」(自分自身で考えること)と、「対話」(人と話すこと)の両方を行なうとよいです。

内省の手段として、私はよくノートに書き出します。

SNSに投稿してもよいと思います。

対話については、まずは、定期的に人と話すことをオススメします。

ヤフーでは社内制度として、週1回、1on1と呼ばれる振り返りのミーティングを行なっています。

マネジャーがコーチとなり、メンバーと振り返りを行なうのです。

マネジャーにコーチになってもらいながら振り返りを行なってもよいでしょう。

また、本を読んだり、誰かがやっていることがいいなと思ったら、翌日からすぐに試してみることです。

うまくいくこともあれば、そうではないこともあると思います。

その行動を振り返ることで、行動や経験が自分の血肉になっていきます。

行動振り返り気づきのサイクルが回りはじめたら、こっちのものです。

何か問題が起こったときに素早く仮説を立てることも、自分なりのポジションをとることも、やりやすくなっていることに気づくはずです。

ポイント⑥ 迷ったらワイルドなほうを選ぶ

行動の習慣化につながる言葉も1つご紹介しておきましょう。

ヤフー前社長の宮坂学は「迷ったらワイルドなほうを選べ」と言っていました。

何も重要な投資局面などに限った話ではありません。

たとえば昼食を食べるとき。

いつも行っているトンカツ屋に行くのか、近所に新しいエスニック料理屋ができて、食べたこともない国の料理だけれど美味しそうなので、そちらに行くのかと悩んだとき、エスニック料理を選ぶのは、自分にとってはワイルドな選択ということになります。

日常の中で、迷ったらワイルドなほうを選んでみる。

その積み重ねのうえで、行動や価値観が育まれていくのです。

行動力を鍛える方法を体系的に学ぼう

0秒で動け

0秒で動け

「すぐ動く」ための行動力について書かれた『0秒で動け』。

「気合いやメンタルに頼って行動しても長続きしない」という前提のもと、“頭の使い方”を変えて行動を習慣化させる方法が記されています。

「早くやらなきゃと思っても動き出せない」

「行動できない自分はダメだと自己嫌悪になる」

そんな方は、本書の内容を実践して、行動力を上げる「スキル」を手に入れてください!