80%以上の人が一生に一度は腰痛を経験する

【アスリート×腰痛】若い人に増えている腰痛の原因は「筋力不足」。専門家に対策を聞いた

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カラダ
記事提供:Medical DOC
日本人の8割が一度は悩まされるという「腰痛」。

街のいたるところにマッサージ屋さんがありますが、その「予防」について語られることはあまりないのが現状です。

今回は、世界を代表するレーシングドライバーであるロニー・クインタレッリ選手と、整形外科医のRicky先生こと関原力先生。そして、ふだんからロニー選手のカラダをケアしている柔道整復師井上暁仁さんに、それぞれの視点から「腰痛予防」についてお話をしていただきました。
【ロニー・クインタレッリ選手】イタリア・ヴェローナ出身。エントリー可能な10歳を迎えるとともにレースに参戦。2000年、イタリア選手権「フォーミュラ・ルノー」でフォーミュラデビュー。2003年より活動の拠点を日本に移し、2005年からは「SUPER GT」に参戦。シリーズチャンピオンを4度獲得し、SUPER GT GT500クラスで史上最多タイトルを手にするトップレーシングドライバー
【Ricky先生】医師、医学博士・整形外科専門医。2002年昭和大学医学部卒業、昭和大学藤が丘病院整形外科入局。2007年医学博士号取得。中、大規模病院の勤務を歴て、2017年、用賀リッキー整形外科開院
【井上暁仁(いのうえ・あきひと)】柔道整復師。笑顔道ENTIRE GYM by egaodo 店長。西麻布にあるパーソナルジムにて、リハビリからダイエット、アスリートサポーターまで行う。ロニー選手の日常的なボディケアも務める

腰痛は日頃のケアで克服できる

—まずは今回、ロニー選手の背骨をX線で撮影していただきました。Ricky先生から見ていかがでしょう?
Ricky先生

Ricky先生

基本的には問題ありませんね

やや腰が反っていはいますが、それがロニー選手の生活スタイルやレースのパフォーマンスに最適なのであれば問題はありません。

39歳にしては若々しいという印象です。
ロニー選手

ロニー選手

嬉しいですね。頑張ってよかった。

僕のレーシングキャリアは10歳からですが、だいたいみんなレーシングカートから始まるんです。カートはサスペンション(路面の凹凸を車体に伝えない緩衝装置)もないし、シートもかなり硬いし、姿勢も辛い。

子供のころから常に腰は痛かったですね

でも日本に来てから、腰の痛みを取るためにさまざまなケアの勉強をし始めました。

周りの方にアドバイスももらったりして、この5~6年でかなり調子がよくなってるんじゃないかな。

Ricky先生からも問題ないと言ってもらえて、自信に繫がります。
—一般的にレーシングドライバーの方は、強い重力で首や腰、心臓などに負担がかかると言われています。ベテランレーシングドライバーとして、年齢も含め自分のカラダで思うところはありますか?
ロニー選手

ロニー選手

僕が参戦しているSUPER GTは、今もっとも世界で注目を集めているレースです。

トップクラスのレーシングドライバーばかりで、レーシングドライバー同士はもちろん、自動車メーカーやタイヤメーカーの間でも熾烈な競争があり、毎年車が速くなっています。

その分、カラダにかかっている負担も大きくなっているので、レーシングドライバーとして車のポテンシャルを引き出すためのトレーニングは欠かせません。
―かかるGも、スピードもすごいですよね。
ロニー選手

ロニー選手

僕はレース中もトレーニングのときも、デバイスをつけてカラダのデータを全部取っているんだけど、とくに夏場のレースは車内もすごく暑いし、心拍数も190ぐらいまで上がってしまうんです。

また、モータースポーツは一瞬たりとも気が抜けない。

すぐに他の車に抜かれるし、デバイス上でもチームメイトにばれてしまうからね。
―傍から見ているとレーシングドライバーは洗練されているイメージがありますが、実際はとても神経がすり減りそうなスポーツなんですね。
ロニー選手

ロニー選手

確かに20年ぐらい前までは、ドライバーよりマシーンのほうが重要だったんです。

でも、フェラーリで7回世界チャンピオンを取ったミハエル・シューマッハがフィジカルの重要性を証明して以来、変わってきたんです。
―そのロニーさんのフィジカルケアをしてくれているのが、井上先生です。井上先生から見てロニー選手はいかがですか。
井上さん

井上さん

ロニーさんのいちばんすごいところは、自分のカラダの末端まで意識が届いているところですね。

練習中も「これで合ってる?」という確認の回数が非常に多いんです。ここに注目して今後もトレーニングをしていくことに価値があると思います。
―腰に関してはいかがでしょう。
井上さん

井上さん

腹筋がちゃんとコントロールできているので、さっきのX線結果も、ご本人の努力の成果かなと思っています。
―井上先生は、ふだんロニー選手にどんなケアをしていますか?
井上さん

井上さん

主には体幹と、肩甲骨のトレーニング指導ですね。
ロニー選手

ロニー選手

レーシングカーの中で、シートベルトをしていつも同じ姿勢でいるせいか、首や肩甲骨周りに負担がかかっていたみたいなんですね。

以前はレース中にも首に違和感が出てしまっていたんだけど、井上先生のおかげで、今ではレース前は100%痛みがない状態にまで持っていけるようになりました。

おかげで「もっと頑張れる」という気持ちになったよ。
―パフォーマンスがより上がりましたか?
ロニー選手

ロニー選手

そう。どんなにトレーニングをしても、最後の粘りはメンタル

でも、カラダのコンディションが良くなれば、メンタルでももっと自信がつくからね

80%以上の人が一生に一度は腰痛を経験

—今度はRicky先生に質問です。そもそも腰痛に悩んでいる人は、どれぐらいいるのでしょう。
Ricky先生

Ricky先生

80%以上の人が一生に一度は腰痛を経験すると言われています。

厚生労働省による「世帯員の健康状況」発表によると、入院を除いて、腰痛の有訴者(病気やけがなどで自覚症状がある人)数は鼻水や咳、たんなどを抑えて、男性ではもっとも多く、女性では肩こりに次いで2位

いずれにしても悩んでいる方は多いと言えるでしょう。
―今回初めてレーシングドライバーの方のX線を撮られたということですが。
Ricky先生

Ricky先生

はい。ロニー選手は腰痛はないようですが、いろんなケアやトレーニングを頑張った賜物でしょう。
ロニー選手

ロニー選手

僕もすごいギリギリのところにいるんですよ(笑)。

だからこそ、毎日のケアがすごく大事なんですね。
Ricky先生

Ricky先生

大きな負荷がかかるスポーツをやられている選手は、腰の老化現象が早く起きる人が多いんですよ。

ロニー選手はたぶん体幹筋力がしっかりしているので、椎間板や骨の変性が少ないんでしょうね。
―一般の方はどういう理由で腰痛になるケースが多いのでしょうか。
Ricky先生

Ricky先生

年代ごとに特徴があって、子供は運動時の分離症(疲労骨折)が多いですね。

20代から40〜50代までは、突発性の外傷、要はぎっくり腰がいちばん多いんじゃないでしょうか。

それ以上の世代になると、加齢による腰部脊柱管狭窄症や圧迫骨折などが増えてきます。
ロニー選手

ロニー選手

一般の方がぎっくり腰になる原因はなんですか? 先生。
Ricky先生

Ricky先生

やっぱり体幹筋力のバランスの問題でしょうね。

それが崩れてきたときに、ふとしたときに筋肉だけでは補いきれなくなってしまうんでしょう。

骨と骨の間にあるクッションである椎間板が、年齢とともにどうしてもすり減ってくるんですよ。そこに負荷がかかったときに、周りの筋肉や神経に影響して痛みに繫がります。

でも、トレーニングによって周りの筋肉がすり減った椎間板をカバーしてくれるんです。
―繰り返しになりますが、ロニー選手が腰痛知らずなのは日々のトレーニングの賜物ですね。
ロニー選手

ロニー選手

そうですね。皆さんも仕事などで忙しいと思いますが、ちょっとだけ運動して、食事にも気をつければかなりカラダが楽になると思いますよ。
Ricky先生

Ricky先生

そう。腰に負担のある生活を控えて、体重を増やさない

体幹の筋力を強化して、ストレッチをすることなどが腰痛予防につながります。
―お二人の意見が一致しましたね。では、井上先生と、せっかくなのでRicky先生の病院にいらっしゃる理学療法士さんにも、腰痛予防についてお聞かせいただければと思います。
井上さん

井上さん

所詮我々は動物ですから、筋肉はやっぱり大事ですよね。

痩身の方が身体をくねらせて立っているのを街で見かけますが、あれは、筋力がないから骨を杖にして立っているんだと思います。

最近、若い子にも腰痛が増えてきているようですが、こうした「くねくね男子」のように、「骨支持」に頼り「筋支持」ができていない人が増えているからかもしれません。

基礎体力が非常に大切だということは、改めてお伝えしたいです。
―作業療法士の鶴田さんと理学療法士の上遠野さんはいかがですか?
鶴田さん

鶴田さん

腰痛の要因ってたくさんあって、一概にこれっていう方法がないんですよ。

ですから、予防と言っても「これをやれば絶対治る」というものもないんです

それこそ、さっきメンタルのお話も出ていましたが、眠れないとか仕事でストレスがあることで腰の痛みが出る人もいらっしゃいます。

なので、まずは自分自身の状況を知ることが大切です。
上遠野さん

上遠野さん

あとはカラダの使い方も人それぞれで、「靴下はいつも右から履く」といった行動が積み重なることで、体重が偏って腰痛になることもあるんです。

まずはそうした自分の生活習慣や、カラダの特徴を理解することは大事かと思います。

柔道整復師がオススメするトレーニング

今回は井上先生オススメの 「家でできるトレーニング」をロニー選手が実践!

あまり力のない人でも、腰の力は強力。

でも、力が入っていることに気がつかないので、知らず知らずのうちに腰を壊してしまうんです。

このとき、お腹に力が入っていないことが多いので、まずはお腹の意識、力を入れる呼吸法をおこないます。

そこから、カラダを一枚の板(プランク)に見立てることで体幹を鍛えるフットプランクを。

2つのトレーニングで腰痛とサヨナラしましょう!

力を入れる呼吸法

STEP01(左):お腹に両手を当て、お腹を引き上げるようにして息を吸いましょう(腹式呼吸)。

STEP02(右):息を吐きながら、お腹を膨らまし、力を入れた部分を前に突き出すように体を曲げます。1〜2を繰り返し、10〜15回。

体幹を鍛えるフットプランク

Step01(上):手とつま先でカラダを支え、そのまま静止。呼吸を止めないように注意し、まずは1分間を目安に。

NG例(下):お腹に力が入っていないと、お尻を突き出したり、腰が反ってしまいます。

腰痛予防にはプロセスが大事

―ロニーさん、今回はいかがでしたか?
ロニー選手

ロニー選手

それぞれの話がとてもわかりやすかったです。

アスリートではない方も、腰痛を始めカラダのケアをしようと思ったら、ちゃんと目標を定めてコンスタントにトレーニングをしたり、血圧などの数値を測りつづけてほしいですね。

いい車を作るためにはプロセスが大切なんですが、それはカラダづくりも同じ

いろいろ試しながら、一番自分にとって相性がいいケアを見つけてください! 僕が井上先生に出会えたようにね。
井上さん

井上さん

あ、ありがとうございます(笑)。

「Medical DOC」編集部より

Ricky先生も「80%以上の人が一生の内に一度は腰痛を経験する」とお話していた通り、腰痛に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、世界で活躍するレーシングドライバーであるロニー選手のボディメンテナンスのお話と共に、ロニー選手をサポートしている柔道整復師の井上さんから「家でもできる腰痛対策トレーニング」を伺いました。

いま悩んでいる方はもちろん、腰痛予防としてもぜひお試しください。

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