ビジネスパーソンインタビュー
導入すべきは“小さな不快”。集中力の土台を底上げする「5のルール」

鈴木祐著『ヤバい集中力』より

導入すべきは“小さな不快”。集中力の土台を底上げする「5のルール」

新R25編集部

2019/09/18

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脳に眠る“獣の力”で、タスクを秒速でブッ潰せ

鈴木祐さんの新著『ヤバい集中力』のキャッチコピーです。

鈴木さんは、1年間に5000本もの科学論文を読むこむ「日本一の文献オタク」と呼ばれており、著書『最高の体調 ACTIVE HEALTH』『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』はそれぞれAmazonでベストセラーとなっています。

鈴木さんによると、私たちの脳内では、「」と呼ばれる衝動的な力と、「調教師」と呼ばれる理性的な力がつねにせめぎあっていて、集中力を左右しているそうです。

また、獣は強力なので、調教師で抑え込むことは不可能ですが、獣を狙った方向に上手く誘導すれば深い集中状態に入ることができるとも。

莫大な力を持つ獣の“誘導テクニック”が書かれた『ヤバい集中力』から、メンタリストDaiGoさんも愛用するという集中法についての2記事を抜粋してご紹介。

「仕事中、メールの通知などですぐ気が散ってしまう」「すぐに疲れて集中力が続かない」

そんな悩みを持つ方、必見です!

「小さな不快」で集中力の筋トレを

集中力を伸ばすうえで導入して欲しいのが、「小さな不快」の要素です。

「小さな不快」とは、あなたの体と心に軽い負荷を与えるようなものごとを指し、具体的には次のような行為が挙げられます。

・好きなお酒をちょっとだけ我慢する

・利き手ではない方の手でマウスを操作する

・背中が曲がっていることに気づいたら背筋を伸ばす

「そんなことで集中力が上がるわけがない」と思った方も多いでしょうが、それは大間違い。

実はここに挙げた事例はすべて、正式な実験で集中力アップの効果が確認されたものばかりです

代表的な例として、酒と集中力に関するリサーチを紹介しましょう。

これは477人の男女を対象にした研究で、スキンパッチテストで全員のアルコール代謝のレベルを調べたあと、全体を2つのグループに分けました。

①アルコールに強くて酒が好き

②アルコールに弱いが酒は好き

このような調査をしたのは、「アルコールに弱いが酒は好き」な人たちは、普段から「小さな不快」を耐えている可能性が高いからです。

生まれつき酒に弱ければ、「もう一杯飲みたい」と思っても我慢するしかありません。

この違いが被験者の集中力に差をもたらすのではないかと、研究チームは考えたわけです。

その後、全員に集中力テストを行ったところ、両グループには明確な差が現れました。

定期的に酒の誘惑に耐えている人ほど目先の欲望に流されにくく、注意をそらさずタスクへ取り組む傾向が強かったのです

この結果が示すのは、普段から小さな忍耐を積み重ねておけば、まったく違うシチュエーションでも集中力が出やすくなるという事実です。

好きな酒を少しだけ耐えたり、慣れない動作でマウスを操作したりと、一見すると何の意味もなさそうな日常の我慢が、あなたの集中力の土台を底上げしてくれます。

「小さな不快」で集中力が上がるのは、自己への信頼感を育む働きがあるからです。

日常的に小さな我慢をくり返していると、少しずつ獣のなかに「自分には未来の結果を左右する力があるのだ」との感覚が生まれます。

「誘惑に耐えた」という小さな成功体験のおかげで、人生のコントロール感覚が高まった状態です。

この新たな感覚が「未来の成功を左右するのは自分なのだ」との認識につながり、そのぶんだけ目の前の誘惑に耐えようとするモチベーションが上昇。

結果的に集中力がアップしていきます。

言い換えれば、「小さな不快」とは心の筋トレのようなものです。

一時的なトレーニングの不快感を耐えないと筋肉が育たないように、精神にもある程度の負荷を与えなければ成長は見込めません。

どのような「小さな不快」を選ぶかは人それぞれです。

「夜のお菓子を我慢する」や「新しい物を買ったら何か捨てる」など、なんでもいいのであなたにとって少しだけ忍耐が要求される行動を採用してください。

その際に、もっとも大事なのは「難易度の設定」です。

たとえば、「夜はお菓子を我慢する」という不快を選んだとしても、人によってはどうしても耐えられないかもしれませんし、人によっては楽にこなせるレベルなのかもしれません。

多くのデータによれば、「不快」の難易度は、成功率が8〜9割になるあたりを目指すのがベストです。

これより上の難易度だと気持ちがくじけてしまいますし、いつも成功するようなレベルだと獣のトレーニングになりません。

大半の場面では耐えられるものの、まれに失敗してしまうような不快さを選ぶようにしてください。

「5のルール」で小さな不快を重ねる

もし適切なレベルの「不快」が見つからないときは、とりあえず「5のルール」を試すのもいいでしょう。

カウンセリングの世界などで「先延ばし対策」に使われるテクニックで、基本的なルールは単純です。

・仕事を止めて休憩したくなったら、あと5分だけ続ける

・ふとスマホをチェックしたくなったら、あと5分だけ目の前の作業を続ける

・腹筋運動をやめたくなったら、あと5回だけ続ける

・読書に集中できなくなったら、あと5ページだけ読む

作業を止めたくなったら、とにかく5の数を使ってタスクを続けてください。

このルールを守るだけでも、あなたの生産性にはかなりの差が出ます。

私たちの集中力は非常にもろく、いったん目の前の作業から気がそれると、再びもとの状態にもどるまでに20〜30分の時間を必要とします。

この時間が積み重なり、1日のムダが合計3〜4時間に達するケースも珍しくありません。

が、そこから「あと5分だけ!」と小さな我慢を積み重ねれば大事な集中力のバランスを壊さずに済みますし、「作業を止めたい」や「スマホを見たい」といった小さな不快感を乗り越えた体験が、やがて獣のなかに自信を育んでいくはずです。

もっとも、なかには「そもそも作業をスタートするのが苦手だ」という人もいるでしょう。

そんなときは、「5のルール」を次のように使ってください。

・状況「書類を作らねばならないが取りかかれない」

→対策「頭のなかで5からカウントダウンを始め、ゼロになるまでにとりあえずキーボードを叩き始める」

・状況「運動したいのに気持ちが上がらない」

→対策「頭のなかで5からカウントダウンを始め、ゼロになるまでにとりあえずその場でスクワットを始める」

「作業をする気が起きない…」との気持ちがよぎったら、すかさず脳内で「5、4、3、2、1」と心のなかでカウントダウンをスタートし、そのあいだに、とにかくタスクに取りかかってください。

これで必ずしも仕事に取りかかれるとは言いませんが、なんの対策も取らずに作業を先延ばしするよりは確実に生産性が上がります。

カウントダウンが効くのは、獣の時間感覚が刺激されるからです。

基本的に獣は遠い未来のタスクに興味を持つことができず、少しでも先の作業はできるだけ後に回そうとします。

しかし、5秒のカウントダウンを行うと、獣が「そんなに事態は差し迫っていたのか!」と認識し直し、タスクへの関心を取り戻してくれるのです。

「5のルール」を使う際は、リマインダーをつねに目の届く場所に置いておくのがおすすめです。

「仕事を止めたくなったら、あと5分だけ続ける」や「作業に取りかかれないときは頭のなかで5からカウントダウン」などと書き出し、視界に入る位置にセットしておきましょう。

獣の誘導テクニックを学んで、強力な集中力を手に入れよう

ヤバい集中力』の著者・鈴木祐さんは、1日に2万〜4万文字を書き、これまで計100冊以上の書籍を手がけた超人的な集中力の持ち主。

これも、同書に記されている方法を実践した結果だと言います。

「集中が続かず、仕事の生産性が上がらない」と感じる方は、ぜひ同書の内容を実践して、脳に眠る集中力を目覚めさせましょう!

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