ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『時間革命』より
“ストレスがどこからやってくるか”を知っておけ。ホリエモンが考える「不安」への対処法
新R25編集部
「時は金なり」ということわざがあります。
「時間はお金と同じくらい貴重で大切である」という意味ですが、これに対し、堀江貴文さんは異を唱えています。
『時間革命』ぼくに言わせれば、こんなバカな考え方はない。
この言葉は、時間とお金を「同等に価値があるもの」だとしているからだ。
人間にとって、何より尊いのは「時間」である。
お金など比べものにならない。
堀江さんにとって時間は、お金より大切で、“人生でもっともかけがえのないモノ”だと言います。
そして多くの人はその時間を浪費してしまっているとも。
人生をかけて「時間の質」を上げることだけを考えてきた堀江さんが、みんなに伝えたい「時間の価値観」。
その内容をまとめた『時間革命 1秒もムダに生きるな』より3記事を抜粋してご紹介します。
「多忙」と「暇」は同義である
ぼくが長野刑務所で入れられた独房には、時計がなかった。
いつから次の食事なのか、いつから作業がはじまるのか、外から呼びかけられないとわからない。これもまた、受刑者から「自分時間」を奪うための巧妙な仕掛けである。
こうなると、何やらとても「退屈」なのだが、かといって、自分で何かをする気にもなれないという中途半端な状態になる。
このとき確信したのが、「暇=悪」ということだ。
暇を感じているとき、あなたは時間資産をドブに捨て続けているのに等しい。また、退屈な時間には、頭のなかに「ロクでもない考え」が湧いてくる。
それがストレスを生み出したり、人をバカな行動へと駆り立てたりする。ツイッターでぼくに粘着気味に絡んでくる人、とんでもない主張を繰り返し発信している人がいる。
彼らに共通しているのは、つねに「退屈」していることだ。他人に食ってかかることで、なんとかそれを埋め合わせようとしているのである。
その意味で、やはり予定はしっかり詰まっているのに越したことはないのだが、同時に、じつは「どれだけ忙しいか、どれだけ暇があるか」は本質的な問題ではない。
たとえスケジュールがびっしり埋まっていても、人は「退屈」を感じるからだ。
これは、「多忙」と「多動」の違いだと言い換えてもいい。
朝早くからオフィスに出社して、息つく暇がないくらいアポや会議をこなし、深夜まで残業している人がいる。睡眠や食事の時間も惜しんで、あくせくと働いている人がいる。
そんな日常がたのしいのなら、とやかく言うつもりはない。
しかし、大半の人はそうではないはずだ。そういう人に共通しているのは、あくまで「他人を喜ばせる仕事」しかしていないということだ。だから彼らは「忙しい」と口にする。
気づけば、いつでも合言葉のように、「最近、ちょっとバタバタしていまして…」などと言っている。
他方で、ぼくも毎日、朝から晩までびっしりとスケジュールが詰まっている。
しかし、その9割以上は自分のやりたいことで埋め尽くされている。「堀江さんはいつもお忙しいですよね?」などと言われるが、正直なところ、ぼくはこれまで自分が「多忙」だと感じたことがない。
だってそうではないだろうか? たくさんのオモチャが並べられた部屋に子どもを投げ込むと、彼らは次から次へと目まぐるしく遊びを変えながら、どれだけでも遊んでいようとする。
しかし彼らは「忙しい」などとは感じない。ぼくもこういう子どもと大して変わらない。これが「多動」の状態である。
時間の価値を高めたいとき、注意するべきは「多忙」と「多動」を勘違いしないことだ。
多忙な状態が続いていると、なんとなく毎日が充実しているような錯覚に陥ってしまう。
しかし、どれだけがんばっても、なぜかまったくハッピーになれないという人がいる。あたりまえだ。あなたの心はじつは1ミリも動いておらず、他人のために駆り出されっぱなしになっているのだから。
「多忙」な人というのは、ものすごく忙しいにもかかわらず、心のどこかでは「退屈」しきっている。
膨大な仕事を次から次へと処理しながらも、どこかでそれを冷めきった目で見ていて、本当はそれに飽き飽きしている。
「多忙」と「暇」というのは、真逆のようでいて、じつはそっくりな状態なのである。
目指すべきは「多動」だ。余計なことを考える暇がないくらいに、自分の心が踊る予定だけで、時間をしっかりと埋め尽くし、無我夢中で動き回るのだ。
「忙しさ」を充実感だと取り違えていないだろうか?
「子ども=余裕がある、大人=忙しい」は真逆だ
はっきり言っておこう。ぼくは「長期的な目標」なんて持ったことがない。
ビジネスにしても遊びにしても、「何のために?」などと立ち止まったことがない。
予防医療のようなプロジェクトですらそうだ。そこには「人の命を救うために」とか「みんなにもっと幸福になってもらうために」とかいった立派な意図があるわけではない。
正直なところ、慈善の心とか思いやりといった言葉や価値観は、ぼくには理解できないし、好きにもなれない。
あえて言えば、「避けられる病気のせいで、たくさんの人が亡くなっている」という現実が、ぼくにとっては単純に「不愉快」なのだ。
そして、ちょっとした取り組みによって、それが解決していくプロセスが「おもしろい」―ただそれだけである。
もちろん、ぼく自身がこうして何かにハマることで、結果的に世の中のためになるのであれば、それはそれでけっこうなことだ。でも、それはぼくの知ったことではない。
ぼくは好奇心のおもむくまま、やりたいことをやるだけである。
仕事なんて遊びと一緒だ。子どもは「積み木遊びの究極目的とは? 」とか「ぼくは何のためにかくれんぼをするのだろう?」などと考えたりはしない。
何も考えずに動きながら、「よし、お城をつくろう」「あのすきまに隠れよう」と決断していく。
誰だって昔はそうやって遊んでいたはずだ。それなのに、大人になると、「長期的な目標は?」「やりがいがあるか?」「幸福とは何か?」「努力に意味があるか?」という具合に、考えても仕方がないことに頭をめぐらせて、貴重な時間をムダにする。
そして、頭で考えれば考えるほど動けなくなり、どんどん時間貧乏になっていく。
それもこれも、原因は「暇」である。
「子ども=余裕がある、大人=忙しい」という見方がまかり通っているが、ぼくは真逆だと思う。
子どものほうが、つねに目の前のことに夢中で、充実した時間を過ごしている。
大人は「暇」なせいで、「リスク」「目標」「シミュレーション」といった空虚なことで頭を満たし、「心のエネルギーのムダ遣い」ばかりをしている。
「自分が最終的にどうなりたいのか、わかりません」なんて悩みは、本当にくだらない。
そんなこと、そもそも考える必要がないのだ。長期目標なんて持たなくていい。結局それは、いまやるべきことを「先延ばし」にしているのと同じだ。
「いつか映画監督になってみたい」「時間ができたら世界一周したい」「実績を積んだ
ら起業したい」―そんなものを「夢」と呼んで、自分をダマし続けることに、何の意味があるのだろう。
やりたいなら、やればいい。いますぐに、だ。
意味があるのは、「短期的な目標」だけである。それを立てた秒後には行動を起こさざるを得なくなるような目標でなければ、そもそも意味がない。
「今日から30日連続でブログを書く」
「10日後に体重3キロ減を達成する」
「1カ月後に会社を辞めて起業する」
こういう目標には価値がある。あなたの行動にさらなるドライブをかけて、より「ハマる状態」をつくり出してくれるからだ。
ポイントは、達成までの期限が短くて、かつ、達成の基準が明確であることである。そうでなければ、目標なんてストレスを生む害悪でしかない。
不安になるのは「暇」があるからだ
ストレスを減らすためには「ストレスがどこからやってくるか」を知っておくことだ。
結論から言ってしまえば、ストレスの99%は「過去」か「未来」に由来したものである。
たとえば、「明日のプレゼンでうまく話せるだろうか…」とか「このプロジェクトがうまくいかなかったらどうしよう…」というように、未来のことを心配する場合。
あるいは、「昨日、お客様の前でどうしてあんなことを言ってしまったのか…」とか「あんな仕事を受けなければよかった…」などと、過去のことを後悔する場合。
こうやって、過去を思い出したり、未来を不安に思ったりすることで、人の心は大きなストレスを感じる。
逆に、プレゼンしたり、プロジェクトに熱中したりしているまさにその瞬間には、人間はそれほどストレスを感じない。
「現在」のなかには、大したストレスは存在していないのである。
人間の脳みそは、目の前にありもしない過去を再現したり、未来をシミュレーションしたりして、「わざわざイヤな感情を水増しする」という厄介なクセを持っている。だとすれば、取るべき対策もシンプルだ。
まず、「過去」については、なるべくその場で感情の整理をつけることだ。たとえマイナス感情を先送りしても、それはいずれ、より大きなストレスとなって戻ってくる。
しかも、感情の“反芻”によってぶり返した怒り・モヤモヤは、強化されていることが多い。
先日、飛行機の座席に座っていたら、中年女性がいきなりぼくの手を握ってきたことがある。彼女はぼくのファンで、握手のつもりだったらしいが、ぼくは「あなた、気持ちが悪いですよ」とはっきり言った。
たとえ若いきれいな女の子だったとしても、不意に手をつかまれれば気持ちが悪い。そんなのはあたりまえだ。
たいていの人は「ファンなんです」などと言われれば、その場ではグッと堪えてしまうところだろう。だが、ぼくは自分が不快に思ったのなら、それを相手にしっかりと意思表示する。そこで泣き寝入りをしても、どうせあとでもっとイヤな気分になるのは目に見えているからだ。
他方、「不安」への対策は、「先のことを考えないようにする」というのが基本だ。
避けられないイヤなイベントが、数日後に待ち受けているのであれば、そのことは思考の外に追いやってしまえばいい。
わざわざ心配しても、当日のストレスが減るわけではない。わざわざイヤな気分を“先取り”しても、何もいいことがないのだ。
事件の裁判が続いていた頃、いつもぼくがあっけらかんとしているのを見て、まわりの人たちはずいぶんと驚いていた。
たしかにぼくのメンタルが強いのもあるかもしれない。
しかし、当時のぼくは「翌日の裁判」とか「裁判後の未来」とかについて、何も考えないようにしていた。
ただでさえ面倒が多いのに、クヨクヨと未来のことを思い悩んで、不愉快な感情を増幅するのは、バカらしかったからだ。
では、過去や未来について考えないようにするには、どうすればいいのか?
これも答えは簡単だ。極限まで予定を詰め込んで、忙しくするのである。
あなたの意識が過去・未来のほうに彷徨い出てしまうのは、あなたの現在がスカスカで中身がないからだ。
脳が「暇」をしているから、記憶や不安で意識を満たそうとしてしまうのである。
暇はやはり悪だ。
ムダなことを考える余裕がなくなるくらい、自分時間で予定をいっぱいにし、目の前のことに熱中し続けられる人生をつくればいい。
人生を幸せに過ごすために「自分の時間」をもっと意識しよう
「時間こそは、誰もが平等に手にできる、唯一の『資産』なのである」と堀江さんは『時間革命』の冒頭に記しています。
同書は、その時間という資産の投資先を教えてくれる指南書。
「多動力」と呼ばれる堀江さんの時間の使い方を学び、「自分の時間」を意識してみましょう!
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