「約3万円の節約はそれほどムリなく実現できます」
一人暮らしの"浪費の罠"と節約のコツを専門家に聞いた! 家賃と電気の契約には注意!?
新R25編集部
なにかとお金がかかるという一人暮らし。これから始める人にとっては、やっていけるのか不安になることでしょう。
でもあらかじめ、一人暮らしの日常生活に潜む「浪費の罠」を知っておけば、多少なりとも状況は変わるはず。
そこで一人暮らしアドバイザーとして活躍する河野真希さんに、一人暮らしでやりがちな「浪費の罠」と節約のコツを聞きました。これを読めば、使えるお金が増えるかも!?
〈聞き手=いちかわあかね〉
【河野真希(かわの・まき)】一人暮らしアドバイザー。延べ500人以上の一人暮らし経験者にアンケート・取材をおこない、暮らしに関する情報を発信してきた。そのほか「暮らしスタイリスト」「料理家」として、料理やインテリアなど幅広いライフスタイル提案をおこなっている。これまで執筆・監修した書籍は『世界一たのしいひとり暮らし術』(イースト・プレス)、『ひとり暮らしの季節ごよみ毎日が楽しくなる「プチ行事」のススメ』(祥伝社)など
一人暮らしってどれくらいお金かかるの?
いちかわ
今回はこれから一人暮らしをする人向けに、お金まわりの話を伺いたいです。
そもそも一人暮らしって、どれくらい費用がかかるものなんでしょうか?
河野さん
総務省統計局の調査にある、単身で仕事をしている人の平均出費を参照すると、一人暮らしの生活費はおおよそこのようになります。
【主な固定費】
・家賃:6万円(※)
・電気代:4000円・水道代:2000円
・ガス代:3000円(都市ガスを想定)
・通信費:1万2000円(スマホ・インターネット料金)
【主な変動費】
・食費:4万円
・交際費:2万5000円
・日用用品費:5000円・
その他:2万円(※保険料や医療費など)
固定費+変動費=約17万円
※全国宅地建物取引業協会連合会の
「一人暮らしに関する意識調査」
(2018年3月)を参照
いちかわ
これを基準として、どれくらいのお金が浮くものなんでしょうか?
河野さん
程度によって差はありますが、通信費や食費を見直すことで月に1〜2万円ほどの節約は可能です。
さらに毎月の浪費を削れれば、合わせて約3万円の節約もそれほどムリせず実現できますよ。
いちかわ
毎月3万円が浮いたら、単純計算で年収が実質36万円アップしたことになりますね…! けっこう大きい。
節約を成功させるための2ステップ
いちかわ
いざ節約を始めるとして、何からやればいいんでしょうか?
節約のステップ①:出費を正しく把握する
河野さん
まずは出費を正しく把握しましょう。ここで重要なのは、“見えない出費”を明らかにすること。
お金をムダ遣いしがちな人は「使途不明金」が多いんです。
いちかわ
使途不明金…何に使っているかが不明な出費ってことですか?
河野さん
はい。たとえば、コンビニでつい買ってしまうお菓子やコーヒーみたいに、後で振り返って思い出せないような支出が使途不明金の例。
これはほとんど無意識に使っているお金なので、正しく把握できてないことが多いんです。
いちかわ
ああ、思い当たる例がたくさんあります…!
節約のステップ②:節約効果が高い出費から削る
河野さん
次に、節約効果が高いものから順に削っていきましょう。
いちかわ
効果が出やすい項目と出にくい項目があるんですね。
河野さん
そうです。特に効果が出やすいのは、家賃やスマホ利用料といった固定費です。固定費は1度削減するだけでずっと節約効果が続くのがメリット。
たとえば、スマホのプランを変更して月5000円を削ることに成功したら、年間6万円が浮くことになります。しかもそれがずっと続くので毎年その恩恵を受けられます。
いちかわ
少ない努力で節約できるのがいいですね!
では変動費はどうなんでしょうか?
河野さん
変動費で節約効果が出やすいのは食費です。外食中心の生活から自炊中心に切り替えるだけでも2万円〜3万円ぐらいは節約できます。
いちかわ
食生活を変えるだけでそんなに変わるんですね…!
河野さん
そうなんです。固定費と食費は特に節約効果が出やすい項目です。
これらの出費を抑えたうえで、そのほかのムダ遣いをなくしていきましょう。
初心者がやりがちな「浪費の罠」と節約法(固定費編)
いちかわ
節約効果が出やすい項目にも近いと思うんですが、普通に生活してると陥りがちな「浪費の罠」ってありますか?
河野さん
典型的な例がいくつかありますね。
浪費の罠(固定費編)①:言い値で賃貸契約をしてしまう
河野さん
先ほど「固定費は節約効果が出やすい」とお話しましたよね。そのなかで家賃はあとで変えにくいので、一人暮らしを始める前の段階で十分に検討しましょう。
いちかわ
みんな家賃を安く済ませようと、物件の厳選はしますよね。それだけではダメなんですか?
河野さん
実は、交渉すれば家賃も値引きしてもらえることも多いんです。
いちかわ
そうなんですね…!
ただ、何の理由もないのに家賃交渉するって、なかなか勇気がいると思うんです。何かいい交渉材料ってありませんか?
河野さん
イマイチだなと思った要素を材料に交渉するのがいいでしょう。エアコンなどの必須設備が古さや、部屋の汚れを指摘するなど。
「安くなったら、即決するので」と言うのもアリです。
いちかわ
なるほど。
河野さん
そのほかにも、入居者が集まりづらい時期を狙って引っ越すのも手です。
その時期は「空室を早く埋めたい」と思っている大家さんも多いので、値引きしてくれるケースが少なくないんです。
いちかわ
需要が少ない時期を狙うんですね!
河野さん
そうです。特に5月〜8月か、11月ごろがおすすめです。
というのも、進学や就職のタイミングにあたる年度末や年度初め、転勤が多くなる決算期の9月や3月は引っ越しをする人が増えるんです。それ以外の時期が狙い目。
ちなみに、このタイミングだと、引っ越し代の節約にもつながります。
いちかわ
引っ越し業者にも、値段交渉をするってことですか?
河野さん
いえ、そもそも引っ越し業者の料金は、時期によって変動します。引っ越しが増える時期は需要が高まるため料金が高くなってます。
いちかわ
そこを避けることで、家賃と引っ越し代を節約できるんですね。
浪費の罠(固定費編)②:電気の利用量に合わないプランを契約してしまう
河野さん
一人暮らしを始めてから電気代で損するケースもよくあります。
自分に合ったプランになっているなら問題ありませんが、言われるがまま実態に合わないプランで契約しているかもしれません。
それを放置していると、年間3000円〜1万円ほど損することになります。
いちかわ
ええ…!
河野さん
対策として一番簡単なのは、「契約アンペア数」を下げることです。
これは簡単に言えば、自宅で同時に使用できる電気量のこと。利用者は、使う電気の量に応じて契約アンペア数を選びます。
いちかわ
一度に多くの電気を使う人なら、より高いものを選ぶということですね。
河野さん
その通りです。基本的には契約アンペア数を下げれば、毎月かかる料金を節約できます。あまり使っていないのであれば、迷わず下げましょう。
いちかわ
具体的に料金はどれぐらい変わるものなんでしょう?
河野さん
一人暮らしの標準が30アンペアと言われています。もし40アンペアで契約していたとして30アンペアに下げると、東京電力の場合は月額で約300円、年間で約3400円の節約になります。
場合によってはもっと下がることもあるでしょう。
※参照:東京電力ホールディングスHPより
河野さん
これにくわえて、プラン自体を乗り換えるのもおすすめです。
たとえば夜間の電気使用量の割合が高くなるほど得するプランなどが用意されています。契約アンペア数の見直しとセットで年間数万円お得になることも十分にありえます。
いちかわ
地道ながらバカにできないポイントですね。
浪費の罠(固定費編)③:使ってないサービスが“隠れ固定費”に
河野さん
出費を見直すことで、実質固定費となっていた浪費が発覚することもあります。
それを私は“隠れ固定費”と呼んでいます。
いちかわ
具体的にはどういうものですか?
河野さん
多いのは定額動画配信サービスや定期購読の新聞などですね。
いちかわ
たしかに、不要なのに惰性でお金を払ってるサービスって結構ありそうです。
河野さん
これもまたバカにできません。
たとえば、月1000円の動画配信サービスなら年間1万2000円、月3000円で新聞の定期購読をしていたら年間3万6000円ものお金をムダ遣いしていることになります。
いちかわ
合計すると約5万円…!
河野さん
ほかにもジムなんかも同じことになりやすいですね。月1万円ほどのジムをやめれば、年間約12万円の節約ができます。
出費を見直す際に、“隠れ固定費”になっているサービスの解約も検討してみてください。
初心者がやりがちな「浪費の罠」と節約法(変動費編)
浪費の罠(変動費編)①:外食ばかりで食費がかさむ
いちかわ
固定費に隠れた浪費ポイントがよくわかりました。変動費についても同じような“罠”ってありますか?
河野さん
まずは外食で浪費してしまうケースは多いですね。
コンビニ弁当でも1食500円ほどかかると考えると、昼夜ともに外食の生活を続けていれば、少なくとも1カ月で3万円の食費がかかります。もし飲食店で食べていればそれ以上になります。
一方で基本的に自炊するように変えれば、月に1万〜2万円、年間にして10〜20万円くらいは削れるでしょう。
いちかわ
自炊のほうが安上がりなのはわかるんですが、なかなかハードルが高い気が…
河野さん
いきなりすべてを自炊にする必要はありません。段階を踏んで、できるところまで自炊の割合を高めるようにするのがおすすめです。
【自炊化で節約するステップ】
①外食をやめて、買って家で食べるようにする
②買う場所をコンビニなどからスーパーに変える
③お惣菜やレトルト食品のみを買う(お弁当を買わず、お米は家で炊く)
④余裕があれば、自炊する
浪費の罠(変動費編)②:現金に固執し管理漏れしてしまう
河野さん
「スマホ決済は使いすぎてしまうから現金じゃないと」みたいに毛嫌いする方もいますが、それが逆に浪費につながっている可能性もあります。
いちかわ
え、そうなんですか!
河野さん
なぜなら支出の管理漏れが発生しやすいからです。たとえばレシートをもらい損ねてしまうだけで、何に使ったかわからない使途不明の出費になってしまいます。浪費の温床ですね。
一方でスマホ決済ならアプリ上で使用履歴をチェックできるので、すぐに詳細の確認ができます。
いちかわ
「何にお金使ったっけ…?」っていう事態を防げるわけですね。
河野さん
さらに注目すべきは、スマホ決済のポイント還元。各社が5〜20%の高還元率のキャッシュバックキャンペーンをおこなっているので、これを使わないの手はありません。
いちかわ
クレジットカードだとポイント還元率は1%ぐらいですもんね。5倍以上ってすごい。
河野さん
浪費していることに気がつくためにも、食わず嫌いせず活用することをおすすめします。
河野さんによれば、節約のコツは目的意識なく使っているお金を削ること。納得感を持ってお金を使えているならば、むやみに趣味・娯楽費を削る必要はないといいます。
この週末にでも直近の出費を振り返り、浪費項目がないかをチェックしてみてください。ちょっとした作業で毎月1万円以上が浮いたら、けっこう快感だと思いますよ。
〈取材・文=いちかわあかね(@ichi_0u0)/編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉
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