スティーブン・R・コヴィー博士著『7つの習慣』より

「主体性=自発的に行動する」だけではない。自分の価値観で自分をコントロールする力だ

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私が選ぶ『7つの習慣』

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もし、歴史上の偉人や賢人、成功者たちの行動や考え方の共通点があるとしたら…知りたいと思いませんか?

米国のスティーブン・R・コヴィー博士がアメリカ建国以来、成功者に関する200年分の文献を緻密に調査・分析し、体系的にその考え方をまとめたという『7つの習慣』。

1989年の初版発売以降、44カ国語に翻訳され、全世界3,000万部、日本でも累計220万部を売り上げ、「世界で最も有名な自己啓発本」と言っても過言ではない本著は、ビジネスパーソンなら1度は読んでおきたい必読書です。
そんな、全世界のビジネスパーソンのバイブルともいうべき『7つの習慣』と新R25のコラボ企画が実現!

全8回の連載を通して、より日々の仕事に活かせる形で『7つの習慣』をお届けします。

第2回~第8回は、同書の「第1の習慣」~「第7の習慣」それぞれの習慣ごとに、一部を抜粋。

さらに、7人のビジネス賢者が『7つの習慣』を読んで残したメモ書きを記した『賢者のハイライト』の一部も特別掲載しています。

第1の習慣は「主体的である」。

そして、この習慣にコメントを残していただいた賢者は、GMOインターネット代表取締役の熊谷正寿さんです。
【熊谷正寿(くまがい・まさとし)】1963年長野県生まれ。1991年株式会社ボイスメディア(現・GMOインターネット)を設立、代表取締役就任。1999年に独立系インターネット企業として国内初の株式上場。現在は、東証一部上場のGMOインターネットを中心とする上場企業9社を含むグループ111社、パートナー約6,000名のGMOインターネットグループを率いる(2019年6月末現在)。主な受賞歴に、米国ニューズウィーク社「Super CEOs(世界の革新的な経営者10人)」(2005年)、経済誌「財界」による第58回「財界賞・経営者賞」(2016年)、経営誌「企業家倶楽部」による第19回「企業家大賞」(2017年)など

パーソナル・ビジョンの原則

この本を読んでいる自分の姿を想像してみてほしい。

意識を部屋の隅に置いて、そこから自分を眺めてみる。頭の中であなたは、まるで他人であるかのように自分自身を見ているはずだ。

次は、自分の今の気分を考えてみてほしい。あなたは今、どんな気持ちだろうか。何を感じているだろう。その気分をどんな言葉で言い表せるだろうか。

さらに、自分の頭の中で起こっていることを考えてみる。あなたは頭をフル回転させ、今やっていることにどんな意味があるのかと、いぶかしんでいることだろう。

あなたが今行ったことは、人間にしかできないことである。動物にはできない。それは人間だけが持つ能力であって、「自覚」というものだ。自分自身の思考プロセスを考えることのできる能力である。

この能力があるからこそ、人は世代を追うごとに大きく進歩し、世界のあらゆるものを支配するまでになったのだ。

自覚があれば、人は自分の経験だけでなく他者の経験からも学ぶことができる。そして、習慣を身につけるのも、絶ち切るのも、自覚という能力のなせるわざなのである。

人間を人間たらしめているのは、感情でも、気分でもない。思考ですらない。

自分の感情や気分や思考を切り離して考えられることが、人間と動物の決定的な違いである。この自覚によって、人間は自分自身を見つめることができる。

自分をどう見ているか、自分に対する見方、いわば「セルフ・パラダイム」は、人が効果的に生きるための基盤となるパラダイムだが、私たちは自覚によって、このセルフ・パラダイムさえも客観的に考察できる。

セルフ・パラダイムはあなたの態度や行動を左右し、他者に対する見方にも影響を与えている。セルフ・パラダイムは、人の基本的な性質を表す地図となるのだ。
熊谷さん

熊谷さん

自覚・セルフパラダイムこそ、夢・目標づくりの原点。必要なのは、ひとりで考える習慣と、手帳に書く習慣だ。

私の場合、手帳とペンを用意し、気が散るものを遠ざけ、考えるための環境をつくる。

外から自分を俯瞰する、幽体離脱のような状態をつくり、「今は自分がなりたい自分なのか」と問いかけ、つねに見つめなおしている。

社会通念の鏡

人は状況条件づけによって決定されると現代社会では考えられている。

日々の生活における条件づけが大きな影響力を持つことは認めるにしても、だからといって、条件づけによってどのような人間になるかが決まるわけではないし、条件づけの影響力に人はまったくなすすべを持たないなどということはありえない。

ところが実際には、3つの社会的な地図―決定論―が広く受け入れられている。これらの地図を個別に使って、ときには組み合わせて、人間の本質を説明している。

1つ目の地図は、遺伝子的決定論である。たとえば、「おまえがそんなふうなのはおじいさん譲りだ。短気の家系だからおまえも短気なんだよ。そのうえアイルランド人だ。アイルランド人っていうのは短気だからね」などと言ったりする。短気のDNAが何世代にもわたって受け継がれているというわけである。

2つ目は心理的決定論である。育ちや子ども時代の体験があなたの性格や人格をつくっているという理論だ。親の期待に応えられなかったとき、他の子どもと比較され親から突き放されたりした体験が心のどこかに残っていて、それが今のあなたをつくっているというのである。

3つ目は環境的決定論である。ここでは、上司のせい、あるいは配偶者、子どものせい、あるいはまた経済情勢、国の政策のせい、となる。あなたを取り巻く環境の中にいる誰かが、何かが、あなたの今の状態をつくっていることになる。

これら3つの地図はどれも、刺激/反応理論に基づいている。パブロフの犬の実験で知られるように、特定の刺激に対して特定の反応を示すように条件づけられているというものだ。

しかしこれらの決定論的地図は、現実の場所を正確に、わかりやすく言い表しているだろうか

これらの鏡は、人間の本質をそのまま映し出しているだろうか

これらの決定論は、単なる自己達成予言ではないだろうか自分自身の中にある原則と一致しているだろうか
熊谷さん

熊谷さん

金もない、学もない、人脈もない、時間もない。それをすべてまわりのせいにしてきた。

しかし、あるときその状況をつくっているのが自分だということを自覚した。

これに気づいたこと、そして今の自分となりたい自分との差を埋めるよう行動してきたこと、それが現在の自分をつくっている。

「主体性」の定義

昨今は、組織経営に関する本にも主体性(proactivity)という言葉がよく出てくるが、その多くは定義を曖昧にしたまま使われている。

主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。

私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。私たち人間は、感情を抑えて自らの価値観を優先させることができる。人間は誰しも、自発的に、かつ責任を持って行動しているのである。
熊谷さん

熊谷さん

怒り」「悲しみ」といった感情は、ただ出しても何も得るものはない。ポジティブなエネルギーまたはバネに変えていくことをつねに意識している。
主体的(proactive)な人は自分の中に自分の天気を持っている。

雨が降ろうが陽が照ろうが関係ない。自分の価値観に基づいて行動している。質の高い仕事をするという価値観を持っていれば、天気がどうであろうと仕事に集中できるのだ。

反応的な人は、社会的な環境にも左右される。彼らは「社会的な天気」も気になってしまうのだ。人にちやほやされると気分がいい。そうでないと、殻をつくって身構える。

反応的な人の精神状態は他者の出方次第でころころ変わるのである。自分をコントロールする力を他者に与えてしまっているのだ

衝動を抑え、価値観に従って行動する能力こそが主体的な人の本質である

反応的な人は、その時どきの感情や状況、条件づけ、自分を取り巻く環境に影響を受ける。

主体的な人は、深く考えて選択し、自分の内面にある価値観で自分をコントロールできるのである。

だからといって、主体的な人が、外から受ける物理的、社会的あるいは心理的な刺激に影響を受けないかというと、そんなことはない。

しかし、そうした刺激に対する彼らの反応は、意識的にせよ無意識にせよ、価値観に基づいた選択なのである。
熊谷さん

熊谷さん

ほかの人がどうであろうと関係はない。ほかの人と同じ行動をしていたらアウトプットもほかの人と同じ。

違う結果を求めるなら、違うことをする

「持つ」と「ある」

自分の意識が関心の輪に向いているのか、影響の輪に向いているのかを判断するには、自分の考え方が持つ(have)ある(be)のどちらなのかを考えてみればいい。

関心の輪は、持つという所有の概念であふれている。

「家さえ持てれば幸せになった…」

「もっと部下思いの上司を持っていたら…」 

「もっと忍耐強い夫を持っていたら…」

「もっと素直な子どもを持っていたら…」

「学歴さえ持っていたら…」

「自由になる時間を持っていたら…」

これに対して影響の輪は、「ある」ことで満ちている。

「私はもっと忍耐強くあるぞ」

「もっと賢くある

「もっと愛情深くある

影響の輪にフォーカスすることは、人格を磨くことに他ならない。

問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である。そのような考え方は、自分の外にあるものに支配されるのを許していることだ。

だから、変化のパラダイムは「アウトサイド・イン(外から内へ)」になる。自分が変わるためには、まず外にあるものが変わらなければならないと考えるのだ。

それに対して主体的な人の変化のパラダイムは、「インサイド・アウト(内から外へ)」である。

自分自身が変わる、自分の内面にあるものを変えることで、外にあるものを良くしていくという考え方だ。

主体的な人は、もっと才能豊かになれる、もっと勤勉になれる、もっとクリエイティブになれる、もっと人に対して協力的になれる、というように考える。
熊谷さん

熊谷さん

インサイド・アウトは、自責・他責に置き換えられる。

他責であることは、自分の人生のコントロールを他人に委ねているのと同じだ。

すべての責任は自分なのだと気づくこと(=自責)で、自分の人生をコントロールできる。これにより得られるのは、自分の未来の自由

長きにわたって優秀なビジネスマンが実践する「7つの習慣」を今こそ取り入れよう

「世界で最も有名な自己啓発本」と言っても過言ではない『7つの習慣』。

2019年10月3日より、ビジネス賢者たちがそれぞれ担当した習慣を読み、その際に残したメモ書きやハイライトをそのまま複製した小冊子「賢者のハイライトブック」が同書に付録され、『7つの習慣 賢者のハイライト』として発売されます。

「有名だけど読んだことない」「昔読んだけど、内容は覚えていない」という方、このタイミングにぜひ『7つの習慣』を取り入れて、自身のキャリアを見直してみてください!
明日は、認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事の鈴木美穂さんが読んだ、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」です。お楽しみに!