ビジネスパーソンインタビュー
ヒロシ著『ひとりで生きていく』より
借金するやつは無能をさらしている。月収4000万を経験したヒロシによる“お金と幸福”論
新R25編集部
「ヒロシです。」のネタで一世を風靡し、現在はYouTubeクリエイターとして活躍するヒロシさん。
自身の「ヒロシちゃんねる」は、チャンネル登録者数50万人を超え、現在は芸人兼ソロキャンプYouTuberとして活躍の場を広げています。
そんなヒロシさんが、若手時代から一貫して感じていたことが「人付き合い」の難しさ。
R25世代でも「ひとりの方が好き」「大人数は疲れる」と感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
今回発売したヒロシさんの新著『ひとりで生きていく』では、芸能界の華やかな世界を経験したからこそわかる、ヒロシさん流の「心地いいひとりの生き方」について紹介されています。
「無理をしなくていい」と背中を押してくれるメッセージが詰まった同書から、「生き方」「お金」に関する2記事を抜粋してお届けします!
高級車に乗ることは、神田うのと結婚することと一緒だ
僕がテレビで売れた頃、僕の月収は1000万~3000万円で、最高で4000万円に達した。
とてもリッチな生活をしていたように見えるが、中身が伴わなかった。炭鉱街の出身で根が貧乏だから、有り余るお金の使い方がわからなかったのだ。
売れ始めた僕は、さっそく四畳半のアパートから、家賃が40万円もする2LDKのマンションに引っ越した。すぐそばに東京タワーが見えた。ついでに大塚家具でクイーンサイズの高価なベッドや、60万円する革張りのソファも購入した。
さらに、念願の高級車・ジャガーも買った。「売れたら外車に乗るぞ!」と思っていたから、買ったときは嬉しかった。外車はわかりやすい成功の証(あかし)だった。
しかし、実のところ国産車でもよかったのだ。というか、国産車のほうがよかった。
ジャガーは修理代がめちゃくちゃ高いのだ。乗っていてドアが開かなくなったのだが、調べてもらうと、ドアを開ける際に使われている針金みたいなものが切れてしまっていた。修理はかんたんだといわれたので頼んだのだが、その針金の部品代だけで6万円もかかるという。なんと馬鹿らしいことだろうか。
他にも天井やらアクセルやらが壊れ、修理に行ったことがあったが、「総額で百数十万円はかかる」といわれた。
あまりの高さに修理代金を出し渋りつつも、「ジャガーに乗り続けたいんですよね」といったら、「齊藤さん、ジャガーに乗り続けるのは、神田うのと結婚するのと一緒ですよ」と指摘された。そこで僕はハッとしたわけだ。
浪費は「見栄」でしかなかった
神田うのさんみたいなきれいでセレブな女性を養うのであれば、やはりお茶漬けだけ食わせていいわけがない。それに見合うだけの高級料理や高級品が必要になる。僕にしてみたら高嶺の花に他ならない。
僕がジャガーに乗ったのは、単なる見栄でしかなかった。港区の高級マンションも高級家具もすべてが見栄だった。
やがて僕は収入が落ち、もっと安い家に引っ越そうと思ったのだが、そのときは、高級家具が邪魔になった。なんとなく買った何十万円もする高級家具が、捨てるに捨てられないのだ。貧乏性がそう思わせたのだが、結局、それに見合う物件にするハメになり、収入の落ちた自分には痛い出費となってしまった。
ひとり暮らしするのに、革張りの3人掛けソファなんか役にも立たない。げんに僕はいつも、その端っこの一箇所にしか座らないから、そこだけが黒く汚れていた。「起きて半畳寝て一畳」とはよくいったもので、改めて僕は、この高い買い物が自分の生活には何の役にも立っていなかったことを思い知った。
お金があると、なぜか高い家賃のところに住んでしまう。お金があるとなぜか必要のないブランド品を買ってしまう。お金があると高級車を買ってしまう。どれも典型的な「浪費家」のお金の使い方で、結局のところ全部見栄だ。
独り身でいる人は、子どもや家族にではなく、自分に金を使ってしまう。何かと自由に使えるお金が多くなるから、無駄使いをしがちなのだ。子どもの教育費は「毎月の塾代はいくらで…」などと計算が立つが、自分の見栄で使うお金には際限がない。
この見栄と、戦っていかなければならないのだ。
借金するやつは無能をさらしている
ホスト時代は、月収3万円でお金がなかった。
アパートの家賃も払えず、出ていくハメになったが、泊めてくれる友達もいないから、歌舞伎町のコマ劇場の前で、「今夜泊めてください」と知らない女の子に声をかけてなんとかしのいだ。
すぐに追い出されることもあれば、何日か居候させてくれることもあったが、そんな生活を2年間続けた結果、お金がなくても生活できるスキルは磨けた。
貧乏時代に磨かれたスキルだが、なぜか小金を持つとお金を使わずに暮らす能力が衰えてくる。しかも、僕がお金がなくなった後もソファに見合う物件に住んでしまったように、一度高めた生活レベルを下げることは難しい。
すると、身の丈に合っていない生活を維持するためにお金を借りてしまう人までいる。
そういう類の借金をすることは、自分の収入内で生活するスキルがないといっているようなもので、無能をさらしている行為なのだ。
お金を貯めると、お金がすべてじゃないことが分かる
売れる前は、僕はお金がすべてだと思っていた。お金があれば欲しいすべてが手に入り、きれいな女優とも付き合えて、幸せになれる、と思っていた。
でも、すごく稼いだときもあったが、手に入れたものは無駄なものばかりだったし、女優とも付き合えなかった。お金がすべてではないと、今ならわかる。
でも、お金のない人に「お金がすべてではない」といってみても仕方がない。僕がそうだったように、お金がない人にとってはお金がすべてなのだ。
だから、どんな人でも貯金をしていくことを勧める。たとえば、年収300万円以下でも、ひとり者ならば、家族を養うお金や教育費はいらないわけだから、そのぶんを貯金する。
安いアパートに住んで、1年で100万円貯めてみる生活をすれば、5年間続けたら500万円だ。そしてお金が貯まれば、気持ちに余裕が出てきて、お金がすべてじゃないな、と気づくはずだ。
不安定な時代だからこそ、お金を貯める努力をする
ひとり立ちしてからの芸人人生で、収入が安定したことは一度もない。芸人のみで頑張っていた頃の僕の収入は極端で、すごくお金があるか、まったくないかのどちらかだった。
当然、普通に定職についている人よりも、お金に対して不安な気持ちはある。年を取れば取るほど、将来についての悩みも多くなる。独り身であればなおさらだ。
「老後にひとりだと、大変ではないか?」
「ひとりで生きるとしたら、マイホームを買ったほうがいいのか?」
「急に入院することになったらどうしようか?」
こういった不安のほとんどは、お金の話に行き着く。
老後への不安から、今のうちにできる限り貯金を増やそうと、株や投資信託などに興味を持つ人もいる。
僕も以前、不動産投資に手を出しそうになったが、調べまくった結果、節約に越したことはないと思い、手を出さなかった。
節約はエンターテインメント。お金を大切にすることが豊かさの一歩
キャンプ道具を買う際には、有名ブランドの高いものを買う以外に自分のカラーを出すという喜びもある。たとえば、調理器具や食器として使うシェラカップというものは普通にブランドのものを買うと2000円くらいする。
一方、僕が使うのは、韓国で見つけたマッコリコップで約100円。安さに加えて、自分のオリジナルを追求したのでとても気に入っているいかに安いもので代用していくか…。
これは節約というよりも、エンタテインメントなのだ。キャンプで使うテントもそうで、高いテントを買うという方向性じゃなくて、安いテントでいかに高いテントに太刀打ちできるかと苦心する過程のほうが楽しめる。
ブルーシートで簡易テントを自作できれば、キャンプを何倍も楽しめるだろう。皆、いい道具を使うということにこだわるが、楽しむポイントをお金を使うことからずらすのだ。
最近、キャンプについてインタビューを受ける際、「何を買えばいいですか?」と聞かれることが多い。自分なりの答えをいうことはできるが、そこを悩むことこそ大きな楽しみじゃないかと思うから、僕はできれば教えたくない。
「100均ショップでそろえたものだけでキャンプできるか」などを追求したら、絶対に面白いのだ。ネット広告の宣伝文句に踊らされて、いい物、高い物を買うことはたやすい。 でも、無駄遣いになりやすいし、創意工夫の楽しみもない。
お金をどうやって使うかにこだわる心は、無駄遣いをやめ、お金を大事にして貯めるからこそ生まれる。
そうすることで見えてくるのは、お金じゃない世界なのかなとも思う。
正解のない社会で、苦しい思いをせずに生きるヒロシさんの哲学
大人になればなるほど、人の目を気にしてまわりに合わせようとしてしまいがち。
『ひとりで生きていく』はそんなスッキリとさせたい人間関係との向き合い方も綴られています。ひとりが好きな人は共感しつつ、勇気がもらえる一冊ですよ。
発売と同時に重版がかかった同書を読んで、自分らしい生き方を模索してみましょう!
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