ビジネスパーソンインタビュー
「今って、みんなが多重人格の時代なんです」
「人間はどうしようもない、と知ること」しいたけ占いのコミュニケーション力の秘訣を解剖!
新R25編集部
新年に「今年の運勢は?」と占いを見る人も多いことでしょう。
占いといえば、今圧倒的に支持されているのが「まるで自分のことを全部わかってるみたい…」と評判の「しいたけ占い」。更新を楽しみにしている人も多いはずです。
一番の特徴は、悩みに寄り添ってくれるような、その“まろやかさ”。
そんなしいたけ占いの優しさを、2020年は我々も学んでみたい! 仕事やプライベートでのコミュニケーションのコツを教えてもらいたい…!
と思っていたところ、なんと、超大人気で多忙なしいたけ.先生本人への取材が実現!!!
「優しいのに、人の背中を押せるコミュニケーション」の秘訣を、しいたけ.先生に聞いてきました。
※なお、しいたけ.先生の写真は大人の事情でかわいい「しいたけ.人形」でお届けいたします!
〈聞き手=小沢あや〉
みんなが職場のコミュニケーションに疲れてしまう理由は「多重人格」だから
小沢
しいたけ占いに救われてる社会人、多いですよね。私も、まわりの友達も、毎週必ず読んでます!
しいたけ.さん
ありがとうございます!
小沢
安心して読めるのに、ちゃんと心が動かされるんです。今日はそんなしいたけ.先生に、コミュニケーションについて聞きにきました!
社会人のお悩みランキングって「職場の人間関係」が必ず上位にくるんです。なぜ今、コミュニケーションに疲れてしまう人が多いんでしょうか?
ゴクリ…
しいたけ.さん
今って、「多重人格が当たり前の時代」だと思うんです。
一昔前までの時代は、良い悪いはもちろんあるとして、「本音を出す飲み会」とかがありましたよね。でも、今はそれぞれの人が本当に何を考えているかはわからない。“放っておくのが礼儀”というルールができているように思えるんです。
小沢
確かに、そうかもしれないです。
しいたけ.さん
だから職場とかリアルな場では、誰かとぶつかることをしなくなった。
僕らは「お互いに何を考えているかわからないのが通常モード」という、まったく新しい時代のコミュニケーションを体験しているのかもしれないんです。
小沢
ふむふむ…
しいたけ.さん
お互いが踏み込まない人付き合いって、コストがかからないように見えて、ぼんやりしたストレスが実はありますよね。
「多重人格のうちの1人」というキャラクターでコミュニケーションしてると、どんどん自分の“キャラクター”が言いそうなことしか言えなくなってしまうし。
小沢
わかります。
しいたけ.さん
逆に、本音の出せるネットの世界では、ますます攻撃性が激しくなってきているところがありますよね。
小沢
サブアカウントや裏アカウントを持つ人も多いし…
しいたけ.さん
バランスは難しいんですが、「人とちゃんとぶつかれる」ことは実はとても大事なんですよね。
織田裕二さんが主演してたような、少し前のトレンディドラマってあるじゃないですか。
(東京ラブストーリーかな? 世代?)
しいたけ.さん
ああいうドラマの主人公って、だいたい「ちょっとダサい男の人」なんですよね。そんな主人公が東京に揉まれながら、5話目ぐらいで嫌な上司に立ち向かって、攻撃性を出したりするんです。
その過程を経て、ダサさを持った人が大人に成長するっていう。
小沢
今は違うんですかね?
しいたけ.さん
今の時代って、「お前ダメなヤツだよなあ!」→「歯向かってケンカする」→「認められて成長する」がもはやセットになっていない。
すごくデリケートな話、今は主人公の側からしても、上司の側からしても、ケンカやプロレスのルールが成立しないんですよね。
小沢
上司側はルール通りコミュニケーションしてるつもりでも、部下からしたら「いきなり殴られた!」みたいな。
しいたけ.さん
もちろん実際に殴るのなんて論外ですし、パワハラはずっと昔からあった悪習のひとつだと思います。
でも、僕は占いをやっている人間として思うんですが…。その人の運みたいなものが急激に開けるときって、やっぱり「喧嘩買います」「いや、もう私言うわ」とか、ある程度「ど突き合いのコミュニケーション」を取る覚悟ができるとき。ちゃんと人と向き合ってみせる!という覚悟ですね。
やっぱりしいたけ.先生…マイルドなのに説得力がすごいです
小沢
では、そんな「みんな多重人格」時代に、しんどさを感じずに生きる方法ってありますか?
しいたけ.さん
僕は「ひとりドキュメンタリー」をオススメしてます。
脳内で、ドキュメンタリー番組に出演したつもりで自問自答するんです。仕事で辛いとき、架空のインタビュアーに「しんどくないですか?」って聞いてもらう。
誰かに話しかける前に、自分と会話をするのは、けっこう楽になれますよ。
小沢
それなら「正直しんどいです」って言えそうです!
優しいコミュニケーションのコツをきいたら、「就活全落ち」した話をされた
小沢
ではここからが本題なんですが…
しいたけ.さんのように「マイルドなコミュニケーション」を身につけるにはどうしたらいいですか?
しいたけ.さん
まずは、「みんな基本はどうしようもない部分がある」と意識したらいいと思いますね。
小沢
どうしようもない?
しいたけ.さん
どうしようもないって、「弱い」という意味なんですけど、たとえば部下の前ではすごく尊敬されている社長さんが「娘が口をきいてくれなくなった。どうしよう」と言っていたりとか。
みんな、どうしようもなさとか、弱さを抱えています。
しいたけ.さん
だから、コミュニケーションの基本は「みんなどうしようもない」という前提に立つこと。僕はこの「どうしようもない」とか「しかたない」って言葉を常に意識してるんです。
小沢
みんながどうしようもないという前提に立つ…
しいたけ.さん
僕らは今みんな、仕事上の自分の商品価値を高めていかなければいけないと思っている。でも、その世界だけに生きているとどんどんミスが許されなくなっていくし、自分も他人も許せなくなっていってしまう。
今こそ、「許す」の価値がすごく高まっていると思うんです。
たとえば仕事で、相手が思い通りに動いてくれなかったとしても、「まあ、お互いどうしようもないもんな」と思っていれば、相手を傷つけるようなコミュニケーションはしなくなりますよ。
小沢
相手にも自分にも寛容になれるんですね。
しいたけ.さん
僕も本当にダメダメで、大学院を出たあと、就職活動全滅だったんです。
小沢
1社も受からなかったんですか? 意外です。
しいたけ.さん
全落ちでした。「ユニークな人がほしい」とかいう言葉を勘違いして、変なアピールをしてたんですよね。あれって結局「枠の中に収まる程度のユニークさだよ」ってことじゃないですか。
就活の失敗談を語るしいたけ.先生。貴重だ
しいたけ.さん
それで、「ユニークって何だろう?」ってずっと引きずっていたんですけど、いろんな人を占っていくうちにやっとわかったんです。
ユニークな才能とは人間のどうしようもない部分、言い換えれば「変態性」のことだって。
小沢
どういうことですか?
しいたけ.さん
今ビジネスの世界で成功している人は、「どうしようもない部分」をプラスに転換できてる人なんですよ。
仕事や環境が、その人の“どうしようもない変態性”にぴったりハマってる。
小沢
変態性…
しいたけ.さん
自分の仕事上の変態性、つまり、その人にしかない長所を見定めていくのってけっこう大事で。
大人になったら「みんな普通こうしている」という枠に自分をはめ込む必要はない。だから、苦手なことは避けていいし、「文章を書くのは好き」とかがあったら、「文章を書くのが異様に好き」という変態性にまで高めてみてほしいんです。
小沢
“変態”なレベルまで好きだったら、仕事がまったく苦にならないですもんね。
しいたけ.さん
そうです。そして、変態性を意識することで、人それぞれのユニークさを大事にすることができる。
自分の特性を知っていると、苦手な人に会っても「この人はこう。私はこう」と、自分の価値観に帰ることができるからです。
⇒マイルドなコミュニケーションのためには「みんなどうしようもない」という前提に立って人に接しよう!
「僕は12星座に順位をつけないんです」しいたけ.先生が語る“強い言葉を伝える方法”
小沢
逆に、「ちゃんと心を動かすコミュニケーション」も教えてほしいです。しいたけ.先生は、けっこう強いことも言うじゃないですか。
しいたけ.さん
強い内容をうまく伝えるコツは、たとえば相手のミスを叱るときでも、「上下の波を意識する」ということです。
ビシッ
しいたけ.さん
僕の占いは、「12星座に順位をつけない」ようにしてるんですけど…それは決してカッコつけじゃないんですよ。
小沢
何かと順位セットにする占い、多いですよね。朝からがっかりす…
しいたけ.さん
順位をつけないのは、「占い結果が悪い=悪」じゃないと思ってるからなんです。
前後の流れがあって、たとえ下がっているように見えても、実際には「次に何かつかむための準備期間」ということがよくある。
小沢
なるほど!
しいたけ.さん
仕事でもそういうことは多いはず。“今はそういう時期”というロングスパンの意識を持つことが大事だと思います。365日パフォーマンスを発揮する人なんていませんから。
ダメなことをダメと叱るにしても、人格を否定するのではなく、「上下の波があって、今は下がっているんだよね」という前提で話す。そうすると聞いてもらいやすいと思いますよ。
小沢
うまくいってなくても、“点”の視点だけで見て責めないことだと。
しいたけ.さん
そうです。占いってある意味残酷で、「あなたはこうです」って決めつけなければいけない仕事なんですよ。でも、それはどの仕事も同じかもしれない。
決めつけたうえで何かを言って納得してもらうには、“今そのとき”を見ているだけではダメ。「自分のことをちゃんと見てくれてない」と思われてしまいます。
⇒強い言葉を伝えるコツは「いいときも悪いときも、ちゃんと見ている」と伝えること
しいたけ.先生も「コミュニケーションは、死ぬまで悩むと思います」
小沢
さすがです…! しいたけ.先生は昔からコミュニケーション上手だったんですか?
しいたけ.さん
いやいや、僕はいまだにコミュニケーション下手です。きっと、死ぬまで悩むと思いますよ。
小沢
そうなんですか?
しいたけ.さん
ずっと雑談が苦手で。大学生のころなんか、飲み会でずっと雑談の研究をしてたんです。
小沢
雑談の、研究…?
しいたけ.さん
家に帰ってから、会話がうまくてモテる同級生が話したことを振り返りながら、飲み会の様子をノートに記録してました。
はい…?
しいたけ.さん
最終的に、ノートは68冊にまで到達しました。
小沢
ど…努力家! だけど、そこまで行くと狂気を感じますね…
しいたけ.さん
僕、昔好きだった女性と二人きりになったとき、会話に大失敗しちゃったことがあって…
どんどん迫ってくるしいたけ.先生
小沢
どんな失敗を?
しいたけ.さん
飲み会の帰り道に歩きながらいい空気になったとき、好きな子が「ねえ、なんか話してよ」と言ったんですよ。
小沢
しいたけ.告白チャンスじゃん!
しいたけ.さん
でも、頭が真っ白になっちゃって…何を思ったか「さるかに合戦のラストって、あまりに理不尽なリンチじゃない? むごすぎない? どう思う?」って話したら、空気が凍っちゃって…
小沢
意味不明ですね…
その目は悲しげだった
コミュニケーションの天才なのでは? と思えるくらいの文章を発信しているしいたけ.さんですが、そこにはただならぬ努力と研究がありました。
「みんなどうしようもない」
「いいときも悪いときも、ちゃんと相手を見ること」
今日教わったコミュニケーションのコツを胸に、2020年も、肩肘張らずにゆるっと頑張っていきましょう。
〈取材・文=小沢あや(@hibicoto)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
ビジネスパーソンインタビュー
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