“過敏性腸症候群”が引き起こす「負のスパイラル」とは?
「少しお腹が弱いだけ」じゃないかも? 成人の7人に1人がかかる“過敏性腸症候群”
新R25編集部
ビジネスパーソンのみなさん、大事な会議やプレゼンの前に緊張でお腹の調子が悪くなった経験はありませんか?
「緊張やストレスによって、お腹が痛くなる」とはよく聞くことですし、自分の体が特別悪いわけではない…と多くの人がやり過ごしてしまいがち。
でも、悪いものを食べたわけでもないのに、定期的にこのようなお腹の不調が起こる場合は、「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性があるそうです。
なんと日本人のIBS有病者は、推定1200万人。成人のおよそ7人に1人と言われていますが、「病気」との自覚がある人は極端に少ないんです…。
「IBSを正しく理解して対策してほしい」とのことなので、IBSの治療薬「セレキノンS」を製造・販売している田辺三菱製薬にお話を伺ってきました!
〈聞き手=森久保発万(新R25編集部)〉
話を聞くのは、田辺三菱製薬ヘルスケア事業部・薬剤師の松村俊樹さんです
成人のおよそ7人に1人がかかっている「過敏性腸症候群(IBS)」とは?
森久保
過敏性腸症候群(IBS)は具体的にどんな病気なんですか?
松村さん
IBSは、腸自体に異常がないのに、ストレスや緊張によって腹痛をともなう下痢や便秘が慢性的にくり返される病気です。
森久保さん、取材の時に緊張でお腹が痛くなった経験はありませんか?
森久保
何回かあります!
でも、僕は人より少しお腹が弱いだけで…
松村さん
まさにそういう考えで、きちんと診察を受けに行かない人が多いんです。
日本人のIBS有病者数は推定1200万人(※)。成人のおよそ7人に1人の割合ですが、そのなかで医師の診察を受けているのはたったの200万人。
「自分はお腹が弱いだけ」と考えて病気だと自覚せずに過ごしている人が、1000万人近くいるんですよ。
(※)出典:Miwa H:Patient Prefer Adherence, 2008; 2:143-147
森久保
えっ、1000万人も!?
もしかしたら、僕もそのうちのひとりかもしれないです…
世代別の人口に対して発症している割合が一番高いのは、20~30代だそう
松村さん
ストレスや緊張で腹痛が起こりやすい、トイレに駆け込んだ経験のある方はIBSと診断される可能性がありますし、治療法もあるんです。
多くの方が予備軍ではあるかもしれないですね。
森久保
なるほど、誰しも他人事とは言い切れないんですね…
松村さん
また、ストレスや緊張による腹痛というと下痢のイメージが強いと思いますが、IBSの症状には、便秘型や下痢と便秘をくり返す混合型もあるんです。
「全体のおよそ47%が混合型の症状である」と調査(※)でわかっているのですが、下痢の症状に比べて便秘は「今すぐ対処しよう」と動く人が少ないので、IBSによる症状だと認知されにくいんですよ。
(※)調査方法:2006年にインターネットにて10,000人(20代~60代以上、各年代男女各1000人)にアンケート調査をし、RomeⅢ基準に準ずる人の割合から推計した。Miwa H:Patient Prefer Adherence, 2008; 2:143-147 より改変
腹痛によってどんどん生活が不自由に…IBSが引き起こす「負のスパイラル」とは?
森久保
IBSで会議やプレゼン中にお腹が痛くなってしまうと、仕事のパフォーマンスが下がって大変ですね…
松村さん
そうですね。「腹痛が起きたときに下車できないのが怖くて、通勤で急行列車に乗れない」という患者さんもとても多いようです。
ただ、本当に怖いのは、このような経験がトラウマになって「負のスパイラル」が起きてしまうことなんですよ。
森久保
負のスパイラル…?
松村さん
「大事な会議中にトイレに行きたくなったらどうしよう」という緊張によりお腹が痛くなり、お腹が痛くなったことによってストレスがたまる。そして、そのストレスでさらに症状が悪化してしまい…という悪循環のことです。
森久保
最悪の状況ですね…
松村さん
この負のスパイラルがクセになると、日常のなかで「トイレに行けない」状況を避けるようになり、生活がどんどん不自由になっていってしまうんですよ。
たとえば、新幹線や映画館では、いつでもトイレへ行けるように通路側にしか座れなくなってしまったり、トイレマップのアプリが手放せない…
ひどい場合は、「電車や車に乗るのが怖い」「仕事に行きたくない」という気持ちが大きくなり、実際にしばらく家から出られなくなってしまったりするケースもあるんですよ。
つらすぎる
森久保
お腹が痛くなる前にトイレに行っておいても、症状は出てしまうのでしょうか?
松村さん
残念ながら、“緊張の真っ只中”になってからじゃないと症状が出ないので、事前にトイレに行っても関係ないことが多いです。
IBSは通常の腹痛とは異なるものなので、対策にも注意が必要なんですよ。
IBSの腹痛は、その他の腹痛となにが違う?
森久保
IBSによる腹痛や下痢は、食あたりなどの腹痛となにが違うんですか?
松村さん
たとえば、なにか悪いものを食べてしまったときに下痢が起こるのは、悪いものを吸収せず体から出すための防衛反応として腸が水分を分泌しているのが主な原因です。
でもIBSによる下痢は、精神的負荷によって腸の動きが強くなりすぎてしまい、食べたものの移動が速くなってしまうのが理由。
水分が吸収されるための時間が足りず、下痢になってしまうんです。
どんどん「便通異常」に詳しくなっていく
森久保
メカニズムがまったく違うんですね。
松村さん
下痢と同じく、便秘もメカニズムがまったく違います。
一般的な便秘は、運動不足や食物繊維の不足などによって腸の動きが弱くなり、ゆっくり進んで内容物の水分を吸収しすぎてしまうため、便が硬くなって起こる「弛緩性(しかんせい)便秘」。
逆に、IBSによる便秘は、腸の動きが強くなりすぎて細く収縮し、内容物が通りづらくなることで起こります。兎糞状便というのですが、小さいコロコロの便が特徴です。
森久保
一般的な便秘は腸の働きが低下することで起きるのに対し、IBSによる便秘は腸が活発になりすぎることで起きるってことですかね。
メカニズムが真逆だ…
松村さん
大切なのは、便秘のメカニズムが変われば必要な治療薬も変わってくること。
一般的な便秘のお薬は腸の動きを活発にさせるものが多いので、IBSによる便秘時に飲んでしまうと、緊張状態の腸がさらに刺激され症状が悪化する恐れがあるんです。
森久保
えっ、それ怖いですね…!
松村さん
「多分こうだろう」と憶測で薬を選ぶのはリスクがあるので、きちんと医師に診断してもらい、正しい薬を服用することが重要ですね。
IBSの再発症状改善薬「セレキノンS」とは?
松村さん
ここでやっと登場するのが、私たちが販売している「セレキノンS」です。
実は、市販されている唯一のIBS専用薬で、腸の動きをコントロールすることで下痢型・便秘型・混合型すべての症状を和らげる働きがあります。
森久保
おお!
IBSの症状に心当たりがある人は、試しに飲んでみてもいいものなのでしょうか?
松村さん
いえ、「セレキノンS」は市販薬ですが、以前に医師からIBSと診断・治療された方が再発した時に服用いただくお薬です。
なぜ再発に限定されているかというと、くり返し起こる腹痛をともなう下痢や便秘の症状は、IBSだけでなく「大腸がん」や「潰瘍性大腸炎」などの重篤な疾患にもみられますので、まずは医療機関を受診してください。
松村さん
「セレキノンS」はもともと処方箋が必要な薬で、病院でも処方されてるものです。
長年使われてきていて、安全性や効果が確認されたために一般薬として販売されるようになりました。
IBSと診断を受けたことがある方には、安心して使っていただける薬になっています。薬局だけでなくネットでも購入ができるんですよ。
森久保
ネットで買えるのはいいですね!
松村さん
ネットでも店頭でも、購入の際には「チェックシート」を記入していただくようになっています。
当てはまっているかセルフチェックをしてから、手に取っていただければと思います。
松村さん
正しく理解をして、いざという時にもう悩むことのないよう「セレキノンS」を選んでいただけたらと思います。
緊張やストレスによる腹痛は、「自分はお腹が弱いから…」で済ませてしまいがち。
でも、仕事のパフォーマンスを落としたりや生活を制限したりするIBSは、まさにビジネスパーソンの大敵ですよね。
思い当たる症状がある方は、まずは医師にご相談を。IBSだと診断された場合には、「セレキノンS」が心強い味方です!
早めに症状を抑えて、安心できる生活を取り戻しましょう。
〈取材・編集=森久保発万(@vneck_now)/文=ほしゆき(@yknk_st)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
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