田中修治著『大きな嘘の木の下で』著
給料が高い人は“交換の達人”。ただ、お金と時間の「不利な交換」は絶対にやめてほしい
新R25編集部
14億円もの負債を抱えていたメガネチェーン店「OWNDAYS」を立て直した、実業家・田中修治さん。
4月15日に発売された新刊、『大きな嘘の木の下で 僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。』では、20年間のビジネスの現場で培った考え方が網羅されています。
田中さんは著書のなかで、とくに「私たちには疑うべき世の中の“常識”がある」と言います。
猛スピードで変化していく今の時代、私たちが知っておくべきことは一体何なのでしょうか? 3記事に渡り、抜粋してお届けします!
お金はただの紙切れである
みんな「お金持ち」になりたいと思っている。そんなのは当たり前だ。
様々な豊かさを手に入れる為の道具であるお金は沢山あるに越したことはない。
では、お金持ちになる為には、どうすれば良いのか?そんな話をしていこう。
あなたがお金持ちになる為には、まず「目の前にあるお金は、ただの紙だ」と認識することが大切だ。
「どういうこと?お金はただの紙切れじゃなくて、すごく重要なものでしょ?」と思った人も多いかもしれない。
しかし、お金持ちほど実は「お金なんてただの紙切れだ」と思っている。逆に、お金を持っていない人ほど「お金が大事だ」と思っている。
お金がない人ほどお金を大事に抱え込んで「手放したくない」と考えているのだ。
お金を沢山手に入れたければ、まずは、この「お金についての幻想」を取り除かなければいけない。
お金は、自分の持っている価値と交換するためのツール
しかし、そうはいっても多くの人がこういった感覚を身につけるのは難しいかもしれない。
僕も20代の頃は事業がうまくいかず、お金のやりくりがとても苦しい時期が何度もあった。
電気、水道、ガスを全部止められたことも毎月のようにあった。お金のない生活は本当に苦しいし、心を追い詰める。
そんな自分を苦しめているお金の正体は、なんてことない。ただの紙切れだ。とはいえ、粗末にしていいというわけではない。
なぜならお金は重要な「交換ツール」だからだ。お金持ちになる為には、お金を「交換する」道具として認識しなければいけない。
自分が持っているものと、誰かが持っているものを交換することで、全ての人は毎日を生きている。
人里離れた山奥に一人きりで暮らして完全に自給自足の生活でもしない限り、毎日必ず何かしらの交換をしなければ暮らしていけない。
仕事も同じだ。仕事とは単純に言えば「自分の時間とお金を交換している」だけなのだ。
たとえば会社に対して私は自分の時間を1日8時間提供する。この8時間と交換に、会社から1日1万円を受け取る契約の場合。ただ時間とお金の交換をしているだけに過ぎないのだ。
そう考えた時に、その交換が割に合うと思えばそのままでいいし、割に合わないと思うなら、その仕事を辞めるか、割に合うだけのものをお金にプラスして受け取れるようにしなければならない。
「交換」の意味を理解すると、自分が提供できる時間の価値を再認識しやすくなる。
あなたの貴重な時間を、お金とだけ交換するのなんて絶対にやめてほしい。
人脈や経験、技術に知識など、お金以外の「何か」もプラスして手に入れなければいけない。
時間と交換して手に入るものが何なのか?お金以外に割に合うものが手に入っているか?
仕事をしている人は、もう一度よく考えて、毎日のその交換は成立しているかを考えてみてほしい。
給料が高い人は、交換できるものをたくさん持っている
「交換」というメガネをかけてお金にまつわる様々なやりとりを見てみると、世の中はまったく違って見えてくる。
たとえば「お金を借りる」という行為。これは単に自分の信用とお金を交換しているだけだ。仮に1万円を借りて、10日後に1万1000円にして返す約束をしたとしよう。
それは「1万円に1000円を足して10日後に返す」という未来の自分の行動に対する信用と、目の前の1万円を交換したということでしかない。
仕事も同じだ。お金と時間の交換だ。人々の時間を使って労働をしてもらい、その労働力とお金を交換しているだけだ。
もちろん労働力だけに限らない。才能や経験、人脈やアイデアなどとお金を交換することも沢山ある。
つまり、給料の高い人というのは、会社にとって交換できるものを沢山持っている人だと考えればわかりやすい。
時給に換算すると何万円にもなるような人は、大きな価値を抱えている人だと言える。
一方で、交換できるものが時間と体力くらいしかない人は、どうしても時給は安くなっていく。
単純なことだ。お金と交換する「もの」が少ないのだから。
自分の貴重な1時間と千円札を交換し続けるような「不利な交換」を続けていると、いつまで経っても貧乏のスパイラルから抜け出せなくなる。
時間以外に交換できる価値を沢山増やしていかなければ、給料も増えてはいかない。
これからの時代は「交換の達人」を目指そう
お金を沢山手にしたければ、「とにかくお金は大切」「お金がもらえてラッキー」という単純な発想から「これは得な交換かどうか?」という発想に切り替えることだ。
だから仕事をする中でも指示された作業をただこなすだけではなく、「交換できるもの」を自ら増やしていかないといけない。
たとえば、19歳の僕がやっていた弁当工場で総菜を詰めるだけの仕事でも「言われた作業をこなして1万円もらうだけじゃもったいないから、これ以外に一つでも何かを得て帰らないと」と思えば得られるものは沢山あったと思う。
「この工場はどういう仕組みで回っているのかな?」
「もっと効率的に作業をする為の改善策はないのかな?」
「あの人は作業のラインが円滑に進むようにこういう風に工程を管理しているんだな」
というように観察して勉強し、それを自分の知識として蓄えることができていれば、今、自分がOWNDAYSで商品の物流センターの効率を上げるのに大いに役立てられたかもしれない。
自分の時間を「お金」だけと交換するのか?
「お金+α」と交換するのか?
その積み重ねによって、あなたがお金と交換するものの選択肢はどんどん増えていく。
これからの時代に備えたい。あなたの“常識”にメスを入れる一冊
親や先生をはじめ、目上の人から教わったことは、いつしか自分の中の“常識”になる場合がほとんどです。
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幸せ、仕事、成功、人生など、生きる上で欠かせない項目からメスを入れてくれますよ。
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〈撮影=池田博美〉
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