ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『東京改造計画』より
【先行公開】堀江貴文「渋滞も満員電車も“たったひとつのソリューション”で解決できる」
新R25編集部
5月30日に発売される堀江貴文さんの著書『東京改造計画』。
7月に都知事選を控える東京都民に対して、37項目の「東京改造計画」が提言されています。
「大麻解禁」「東京都のオール民営化」などセンセーショナルな見出しが公開されたため、発売前にもかかわらずSNS上では多くの賛否の意見が集まりましたが…
新R25では特別に、その中身を一部抜粋して先行公開。
堀江さんの「正論」「極論」「暴論」のなかから、今回は我々を悩ませる「渋滞」「満員電車」の解消法をご紹介します。
東京都を「3S」都市に
新型コロナウイルス騒動は悪いことばかりではない。
一向に変わらないこの国が一気に変わるチャンスでもある。
満員電車の解消やテレワークはこの機会に一気に進めたほうがいい。
今までの日本の仕組みはあまりにも無駄が多すぎた。そういった慣習を捨てる良いきっかけだ。
新型コロナウイルスはなくならない。
どこかで折り合いをつけて共存するしかない。
今までの生き方、働き方を根本から変えていかねばならない。
ウィズコロナの時代のキーワードは「3S」だ。
「スピード」「スマート」「スモール」。
オンライン化できるところはすべてオンラインにする。無駄な接触や移動をなくす。
無駄な作業、無駄な人員をなくし、組織を小さくする。
「3S」を実現し「スペシャル」な都市にする。
しかし「3S」が実現すると多くのホワイトカラーが仕事を失うだろう。
今までは出社するだけで給料をもらえたような「おじさん」がいらなくなる。
そういった人たちに新しい生き方を指し示すのも都知事の大きな役割だ。
仕事がなくなることを心配するのはナンセンスだ。
今までのような「無駄な仕事」をする必要はない。
好きなことだけで生きていくことが可能だということを証明しよう。
東京は世界で最先端の生き方、働き方を体現できる場所になるだろう。
本当の渋滞ゼロ
タクシーに乗ると、東京都心の道路はいつも渋滞している。
多動力を発揮して日本中、世界中をあわただしく飛び回っている僕にとって、渋滞のせいで無駄に時間を使わされる損失は計り知れない。
僕に限らず都民一人ひとりの時間こそが価値だ。
悠長に渋滞を容認しているような都市ではいけない。
2015年3月、首都高速道路の中央環状線が全線開通した。
新宿─羽田空港間の移動が最速でも約40分かかっていたところ、中央環状線全通のおかげで約20分に短縮されると宣伝された。
ところがどういうわけか、この道路は渋滞していることがやたらと多い。
ノロノロ運転でなかなか前に進まず、イライラした経験がある人は多いはずだ。
飛行機に乗って出張先から帰ってきたあと、高速道路ならぬ低速道路で無駄に時間をロスするのはかなわない。
もちろん都市部の道路が渋滞しているのは、東京に限った話ではない。
アメリカでは東海岸のニューヨークも西海岸のLA(ロサンゼルス)も渋滞が常態化しているし、バンコク(タイの首都)やジャカルタ(インドネシアの首都)の大渋滞のひどさは論外だ。
バンコクやジャカルタに比べれば、東京はまだよくやっているほうだとは思う。
だが渋滞が引き起こす負の要素を考えるならば、東京に改善の余地があることは間違いない。
どうすれば首都高の渋滞を解消できるのだろう。答えは超簡単だ。
ダイナミック・プライシング(価格変動設定)を導入すればいいのである。
混雑時は料金が自動的に高くなるようにするのだ。
環七通りより外側から都心の主要幹線道路に入ってくる車には、一歩足を踏み入れた時点でETC(自動料金収受システム)で課金すればいい。
僕は何も、首都高を走る車から一日1万円とか一週間5万円を取れと言っているわけではない。
そんなことをすれば、東京で車になんて乗れなくなってしまう。
ただ需給に応じて価格を少し変えればいい。
混雑時は400〜500円、ワンコインにプラスアルファした程度の金額を上乗せするだけで、渋滞はうんと緩和できるのだ。
小池都政でオリンピック期間中に導入する予定があったみたいだが、平時にやらなければ一般庶民にとって意味がない。
まずETC車両検知器を大幅に増設し、東京中の各所でダイナミック・プライシングを可能にする。
ETCを搭載していない車は、そもそも首都高に入らせない。
東京では車へのETC設置を義務化したい。
渋滞をなくすにはこれしか方法がないのだ。
それでも「庶民にとっては1000円、2000円の違いも死活問題だ。ホリエモンは金持ちだけスイスイ車で走れればいいと言うのか」と文句を言うクレーマーに僕は問いかけたい。
「君たちはそんなに渋滞が好きなのか」と。
これだけライフスタイルが多様化し、テレワークなどが推進される世の中において、わざわざ同じ時間帯に同じように移動する必要なんてない。
もっと自由に生きよう。
「ダイナミック・プライシング」は我々の奴隷のようなモノトーンな生き方を、多様でカラフルに変える絶好のきっかけになるのだ。
満員電車は高くする
2016年の東京都知事選挙で、小池百合子氏は「満員電車ゼロ」の公約として「2階建ての車両を導入する」と方策に掲げた。
あれから4年が経過するわけだが、湘南新宿ラインの一部車両に見られるような2階建て電車が大増設される動きもなければ、満員電車も一向に解消されない。
満員電車対策も、首都高の渋滞と同じくダイナミック・プライシングによって簡単に解決できる。
新幹線のグリーン車やグランクラスが普通席より高く、飛行機のビジネスクラスの値段がエコノミークラスの4〜5倍もするのと同じように、満員になる時間帯の乗車券を高く設定すればいいだけのことだ。
サラリーマンが、みんな揃いも揃って朝7時半とか8時に電車に乗り、朝9時きっかりに出社する必要なんてまったくない。
奇しくも昨今の新型コロナウイルス騒動のおかげで、東京都心ではテレワーク(在宅勤務)がずいぶんと進んだ。
「朝10時出社、午後4時退社」とか「時差出勤歓迎」という分散出勤の通達が出されたおかげで、ギューギュー詰め、おしくらまんじゅうのようだった「貨物列車」の状況は少しだけ改善された。
人と人が接触しない程度の人口密度に変わったのだ。
そもそもみんなで朝の同じ時間帯に出勤する必要なんてないと、多くの人がやっと気が付いたのだ。
人間の生活習慣を変えるためには、新型コロナウイルス騒動のようなショック療法が必要なのかもしれない。
さて通勤・通学ラッシュの時間帯のダイナミック・プライシングは、1〜2時間限定でかまわない。
大勢の人が殺到する朝と夕刻の時間帯に限定して、電車賃を高くする。
決まった時間帯に大多数が移動するから混雑するのであって、てんでんバラバラに人が移動すれば混雑は緩和される。
需要が高まれば高くなる。当たり前の市場原理だ。
たしかにインターネットがなく、同じ時間に同じオフィスに集まらなければいけない時代は満員電車も必要だったかもしれない。
そんな時代に朝夕のラッシュ時の電車賃が高くなるシステムを導入するのは難しいだろう。
しかし、もはや時代は大きく変わっている。
毎日みんなで同じ格好をし、毎日みんなで同じ時間に移動する必要なんて一切ない。
「Zoom」でもLINEでも何でもいい。それぞれ好きな場所から遠隔で仕事をすればいいのだ。
交通費支給額を低く抑えたい企業側の思惑と相まって、満員電車は緩和されるだろう。
そろそろ満員電車から解放されよう。わたしたちは、社会や会社の奴隷ではない。
もっと軽やかに生きられる。
意味のない習慣を脱し、時代に合った生き方をしようじゃないか。
思考停止の都民に告ぐ、ホリエモンの「東京改造計画」
『東京改造計画』僕は空気を読まない。
媚びない。
権力にもメディアにも都民にもいい顔をしない。
大いに批判され嫌われるであろう。
でも、それでいい。
誰かが強い意志をもって強い提言をしなければ東京は変わらない。
コロナ時代の新しい首都のカタチを皆さんと一緒に考えていきたい。
『東京改造計画』の前書きに書かれた堀江さんの言葉です。
コロナウイルスという「外圧」に晒されたボクたちは、変化を余儀なくされています。
その新しい変化の兆しとなる7月の都知事選挙の前に、「どんな東京に暮らしたいか?」ということを考えてみましょう。
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