「書く」ことは全ビジネスパーソンの必須スキルになる
【1万字抜粋】ベストセラー編集者が教える“いい文章をつくるコツ”とは? 竹村俊助『書くのがしんどい』
新R25編集部
目次
- 書くスキルを上げると「依頼」「交渉」も上手くなる。編集者・竹村俊助が語る“文章を書くメリット”
- これからの時代は「話せる人」よりも「書ける人」が有利
- 書くスキルを上げると「依頼」「交渉」も上手くなる
- 多様化の時代に「存在を示す」ことの重要性
- 書いて発信することは「世界へのプレゼン」になる
- 編集者が伝授する“わかりやすい文章”の書き方
- わかりやすい文章とは?
- わかりやすい文章のポイント
- 「論理的」とは、つまり「わかる」ということ
- 悪い文章を改善できる“3つの工夫”
- ①「情報の羅列」になっている→文章に動きを入れる
- ②「新しい情報」だらけ→「共感8割、発見2割」を意識
- ③「何が言いたいのか」が伝わらない→言い切って「サビ」をつくる
- 僕が「文章力を磨きたいなら、ツイッターをやらないと損」と話すワケ
- 文章の練習をしたければ「ツイッター」が最強
- ツイッターを使うメリット10個
- 「発信した内容」みたいな人が集まってくる
- 「書くのがしんどい」から「楽しい!」に変わる一冊
『書くのがしんどい』「はじめに」よりLINEは書けるのに、長文の記事は書けない。
ツイートはできるのに、あらたまった文章は書けない。
言われてみれば、たしかにLINEで要件を伝えるときはあまり悩まないのに、いざメールとなると「これで伝わるかな…」と不安になることがありますよね。
「書く」という行為に、苦手意識を抱いているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
そんな方にぜひおすすめなのが、数々のベストセラー本を執筆・編集してきた竹村俊助さんの新著『書くのがしんどい』。
同書には、前田裕二さんの『メモの魔力』や堀江貴文さんの『時間革命』などのライティングを手がけてきた竹村さんによる「誰でも書けるようになるスキルとノウハウ」がすべて詰め込まれているんだとか。
今回はそのなかから、「書く」というスキルの重要性をはじめ、竹村さんが教える「いい文章」のつくり方などを抜粋してお届けします!
書くスキルを上げると「依頼」「交渉」も上手くなる。編集者・竹村俊助が語る“文章を書くメリット”
これからの時代は「話せる人」よりも「書ける人」が有利
ぼくは、現代ほど「書ける人」が有利な時代はないと思っています。なぜか?
ひと昔前まで、人と出会うのは「リアル」の場がほとんどでした。
友だちや知り合いを介して出会う。なにかの会合やパーティで出会う。
あいさつをして、名刺交換して「ぼくはこのあいだ会社を辞めて、ライターをやっている者です」などと自己紹介をする。
そんな感じでした。 そういうケースでは「話すことがうまい人」が有利でした。
初対面の場面でうまく話せることができれば「いま、こういう本を書きたいと思ってまして。もしよかったら御社にお邪魔させていただけないでしょうか?」などとスラスラ言える。
話が上手な人が得をするのです。「話す」のが得意な人が圧倒的に有利だったのです。
しかしいまは「初対面がテキスト」というケースが増えています。
最近の「初対面」は、ツイッターやメール、メッセンジャーやLINEだったりします。 本人にリアルで会う前に「テキストにおける接触」がある。
つまり「テキストが初対面」 という機会が増えているのです。
そういう時代に有利なのは、話の得意な人ではなく、書くのが得意な人です。
最初にテキストでその人を判断して「この人、おもしろそうな人だな」というのがすぐにわかる。文章がアドバンテージになる、引っ込み思案の人の時代と言えるかもしれません。
これからは「書ける人」が有利になっていくのです。
書くスキルを上げると「依頼」「交渉」も上手くなる
文章のスキルを上げると、依頼や交渉もうまくいくようになります。
わかりやすい文章、伝わる文章を書くときに大切なのは、なによりも相手のことを思うことです。
「相手がどう思うか?」という想像力を高めることが、ビジネスの場面でもプラスに働きます。
出版社で書籍の編集者をしていたころは、さまざまな著者に「本を書いてほしい」という依頼をしてきました。
クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんにはメールで執筆依頼をしました。
ぼくは「可士和さんほど忙しい方だと、手紙をお送りしても封を開けてもらえない可能性もあるな」と考えました。
また、可士和さんはロジカルに考える人だと思ったため、情緒的な手紙よりもメールで簡潔に伝えたほうがいいだろうと考えたのです。
メールを書くときに工夫したのは、文字だけでなく「こんな本がつくりたいです」と 本のカバーデザインも添付でお送りしたことです。
『佐藤可士和の打ち合わせ』というビジネス書を書いていただきたかったので、タイトルと帯のコピーも入ったカバーのイメージ画像を送りました。
依頼の文面は、まず冒頭に「どこの出版社の誰か」を名乗って信頼性を担保したあと、すぐに「佐藤可士和の打ち合わせという本がつくりたいです」と結論を書きました。
続いて「会議についての本は数ありますが、打ち合わせの本はありません。ぜひ可士和さんの打ち合わせについて知りたいのです」と書きました。
依頼の文面では、想定される「お断りの理由」をあらかじめつぶしておくことが重要です。
「どういう理由で断られるだろうか?」と想像したときに、「打ち合わせだけで1冊の本なんて書けない」という理由が思い浮かびました。
そこで「打ち合わせといってもいろいろなトピックがあります。打ち合わせ前にすべきこと、打ち合わせの時間や場所、打ち合わせのときに出す飲みものなど、トピックはいくらでもあるはずです」というように先回りして書いておきました。
文面の長さは、5行くらいだと「適当に書いてるな」と思われますし、長すぎると今度は「読みづらいな」と思われてしまいます。
よって、パソコンで見たときに「2スクロール」くらいに収めることにしました。
文面の最後に、「ピンと来ないようでしたらあきらめますが、少しでも可能性があるようならご相談だけでもさせていただけますと幸いです」と書きました。
この意図は、返事のハードルを下げることです。一度お会いできれば、こちらの熱意や本気度を伝えることができます。
まず「会う」というステージにたどり着くため、こうした書き方をしたのです。
正直この依頼文が功を奏したかはわかりませんが、可士和さんのご厚意で本を書いていただけることになりました。
多様化の時代に「存在を示す」ことの重要性
日本人は少し前まで、同じようなテレビ番組を見て、同じような音楽を聴いて、同じような情報を得ていました。
「サラリーマン」が会社で働き、「主婦」が家事をしていました。
そういう時代には、自ら書いて発信する必要性はありませんでした。
敷かれたレールに乗っておけば、いい場所に連れて行ってくれました。
しかしいまは「多様化」の時代です。
いろんな考え方、いろんなバックグラウンドを持った人が入り混じっています。
これまでの「業界」という枠も崩れ始め、「常識」というものが通用しにくくなりました。
そんななか、ただ既存のレールに乗っていても、どこに連れて行かれるかはわかりません。
だからこそ「書く」ことで存在感を示す必要があるのです。
きちんと言葉にしないと、わかってもらえない時代に来ているのです。
これまでの日本は「秘すれば花」ではないですが、黙々と仕事をすることがよしとされてきました。
あまり自分のことをひけらかすのはカッコ悪いという空気もいまだにあります。もちろんそういった考え方を否定するわけではありません。
ただ、何もしなければ埋もれていってしまうリスクもあります。
「書く」ことで自分のことをきちんとまわりに知らせることがより大切になってきているように思うのです。
書いて発信することは「世界へのプレゼン」になる
書いて発信することは「世界へのプレゼン」です。
ツイッターやフェイスブックを使えば、多くの人に情報や考え、思いを届けることができます。
「1億総プレゼンター時代」と言っては大げさでしょうか…。
文章を書いてSNSに投稿してみると思わぬ出会いがあったりします。
ひと昔前であれば、直接テレビ局や出版社の人に「プレゼン」することはなかなかできませんでした。
でもいまは、ツイートを書くだけでそういう人たちの目に触れさせることができます。
ときには、有名なタレントや大企業の社長、世界で活躍するアスリートなども見てくれるかもしれません。
ダルビッシュ有さんや本田圭佑さんに何かを伝えたいと思ったとき、これまではマネジメントをしている事務所に手紙を送るくらいしかできませんでしたが、いまならツイートをすれば、本人の目に触れる可能性があるのです。
こんなに可能性の開かれた時代はいまだかつてなかったでしょう。
ぜひ「プレゼン」にチャレンジして夢を叶えてください。
編集者が伝授する“わかりやすい文章”の書き方
わかりやすい文章とは?
突然ですが、「わかりやすい文章」とはなんでしょうか?
いろいろな定義があるでしょうが、ぼくがいちばんしっくり来ているのは、「読む速度と理解する速度が一致する文章」という定義です。
理解が追いつかない文章だと、何度も読むはめになります。
一方で、わかりきったことをくどくどと書かれるとイライラしてしまう。
読みながらスーッと脳に染み込んでいくような文章が「わかりやすい文章」なのです。
わかりやすい文章のポイント
①一文を短くする
まずは「一文をなるべく短くする」ということです。
たとえばこんな文があったらどうでしょうか?
『書くのがしんどい』国境の長いトンネルを抜けると雪国だったんですけど、夜の底が白くなったころに信号所に汽車が止まって、向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落すと、雪の冷気が流れこみました。
途中から理解が追いつかなくなって「ちょっと何言ってるかよくわからない」状態になったのではないでしょうか?
川端康成『雪国』より国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。
一文は短いほうが理解しやすいですし、リズムができて読みやすいことがわかるでしょう。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であったのだが…」とダラダラ続くと、なんだか歯切れも悪いし、疲れてしまいます。
短い文はバカっぽいと思うかもしれません。
「頭をよく見せたい」「ちゃんとした文章を書きたい」と思えば思うほど、文は長くなりがちです。しかし逆なのです。
短くシンプルな文ほどわかりやすくて、むしろ頭がよく見えるはずです。
②「濃度」を意識する
わかりやすい文は、ちょうどいい「濃度」である、とも言えそうです。
たとえばこんな文はどうでしょうか?
『書くのがしんどい』検索技術の進歩、機械学習精度の向上、またディープラーニングの活用等、 コンピュータが我々の脳を代替し、かつ超越するような時代が到来している。
…って、もうわからないですよね?
「検索技術の進歩」くらいで、もういいや、となります。
これはコーヒーの濃度でたとえるなら「エスプレッソ」を飲まされている感じです。
一口飲んだだけで「わっ、苦っ」となってしまいます。情報が一気に来るので、濃すぎて苦いのです。
この文章はどうすれば適度な濃さにできるでしょうか?
まずはきちんと中身を理解して、嚙み砕いた表現に換えていくことです。
難しくなりがちな文章の特徴は、イメージしづらい「熟語」がたくさん出てくることです。
例文にも「進歩」「向上」「代替」などの熟語が出てきます。
これを減らすだけで、スッキリ見えるだけでなく中身も伝わりやすくなります。
・進歩→進んでいる
・向上→上がっている
・代替→代わりになる
・超越→超える
・到来→来ている
さらにこれまでにお伝えしたポイントを押さえつつ改善していくとこうなります。
『書くのがしんどい』検索の技術は、どんどん進んでいます。AI・人工知能の精度も上がってきています。
ディープラーニング、つまりコンピュータ自身がより深く学ぶようにもなっています。
コンピュータが私たちの脳の代わりを果たすようになってきている。さらには「脳を超える」時代がやってきているのです。
わかりにくい文というのは、読者から時間を奪っているのと同じです。
「はい、エスプレッソ」と出されても、読者は苦くて飲みにくいから、いちいちミルクを入れたりして薄めないといけない。
わかりやすい文を書くことは、読み手に時間のプレゼントをするのと同じくらい価値があるのです。
③削ることができるものは、なるべく削る
余計なものはどんどん削っていきましょう。
(1)「説明しなくてもいいもの」を削る
(2)「私は」「思います」を削る
(3)「〇〇ですが」「 〇〇なので」は危険
(4)余計な「という」を削る
(5)前置きを削る
余計な脂肪をとりのぞいて、なるべくシンプルにしていくと、過不足のない「筋肉質」 な文章ができあがります。
「論理的」とは、つまり「わかる」ということ
「論理的に書きましょう」とよく言われます。
「論理的」ってなんでしょうか?
文法が正しいことでしょうか?
「そして」や「しかし」などの接続詞を使えば論理的なのでしょうか?
専門家の方に聞けば、いろいろな答えが返ってくるでしょう。
ぼくはシンプルに「論理的=わかる」と定義しています。
文章を読んでみて「わかる!」と多くの人が思えば、それは「論理的」なのでしょうし、いくら接続詞を使っていても「わからない」と多くの人が思えば、論理的ではない。
文章の最初から最後まで「ふむふむ、わかるわかる」とつながっていって、最後の文まで行き着けば、論理的な文章です。
とにかく「わかる」文章になっていればいいのです。
最初から最後まできちっとつながっていればいい。
そのためには、書いた文章を時間を置いて何回か読んでみることです。
夜に書いた文章を次の朝に読み返してみると「なんか、ここ飛躍してるな」「なんでここから別の話に行っちゃってるんだろう」と引っかかる部分が見つかるでしょう。
そこを一つひとつ直していくことで論理的な文章に近づけていくのです。
いちばんいいのが、他人に読んでもらうことです。その文章を初めて読む、利害関係のない人に読んでもらうのです。
家族や友だちに読んでもらうと「うーん、ここのつながりがよくわかんなかった」とか「ちょっとここの文がわかりにくい」などと指摘してもらえるでしょう。
ぼくも原稿を世に出す前に、知り合いに読んでもらうようにしています。
「こういう一文がないと、ちょっと唐突だよ」と言われたら、そこを付け足して、なるべく「論理的」な文章に近づけていきます。
「誰かとの会話」というのはかならず論理的になっているはずです。
たとえば、
『書くのがしんどい』「このあいだ、大変でしたね?」
「え? なんでしたっけ?」
「ほら、電車が遅延して…」
「あー、はいはい。いやほんとに」
「有楽町線、車両故障であんなに遅れること、ないんですけどね」
「有楽町から動けなかったですからね」
「どうしてたんですか?」
「近くのスタバで仕事してました。タクシーで行こうかとも思ったんですけどねー」
「いや、やめたほうがいいですよ。豊洲までだと、けっこうお金かかるんで」
会話はお互いが理解しているから成り立つものです。
もしどちらかが理解していない場合は「え? なんでしたっけ?」と聞き返すはずです。
それを受けてもう一方はわかるように言葉をつなぎます。
ちなみにこれを一人称に整えてみると「論理的」な文章になるはずです。
『書くのがしんどい』このあいだ電車が遅れて大変だった。有楽町線が車両故障で止まってしまったのだ。あれほど遅れることはあまりないという。
ぼくは有楽町から動けなかったため、近くのスタバで仕事をしていた。豊洲までタクシーで行こうかとも思ったがやめた。けっこうお金がかかるらしい。
このように会話から文章にしていくのは、論理的な文章を生み出すいちばん簡単な方法です。
悪い文章を改善できる“3つの工夫”
①「情報の羅列」になっている→文章に動きを入れる
いまの時代、多くの人に読んでもらうためには「おもしろさ」が必要です。
昔はインターネットなどなかったため、そもそもの情報量は多くありませんでした。
だから「みんなが文章を読んでくれる」ということを前提に書けばよかったのです。
情報への需要があったので、情報さえ提供していれば読んでもらえました。
しかしネット時代の書き手は、飽きられないように、離脱されないように工夫をこらしておもしろくしないと読んではもらえないのです。
地方の観光地に行くと、史跡の案内板をよく見かけます。
「龍馬の出生地」とか「伊達政宗が最後に戦をした場所」みたいなやつです。
ぼくは、ああいう案内板を最後まで読んだことがありません。
ほとんどが「情報」の羅列で、読んでいてワクワクしないからです。
明治神宮外苑にもこんなイチョウ並木の説明が書いてある看板があります。
『書くのがしんどい』○いちょう(銀杏・公孫樹)
銀杏は、現存する最も古い前世界の植物の一つです。地質学上中生代ジュラ紀(一億五千万年前、巨大な恐竜が棲息していた時代)に地球上にひろく分布し、生育していた樹種です。従って、その化石の発見は極地より南北両半球・中国・日本にまで及んでおります。
氷河期の到来により、多くの地方では、銀杏樹は絶滅しましたが、温暖な気候を保ち得た中国では死滅を免れ、生育を続けて現在に至っております。
日本の銀杏は、この中国より渡来した樹種で、現在では街路樹・防火樹・庭木としてひろく植えられており、「東京都の木」ともなっております。現在では東南アジア以外ではほとんど植えられておりません。
○並木の総本数は一四六本(雄木四四本・雌木一〇二本)
ちゃんと読むと、けっこうおもしろいことが書いてあります。
ただ、メリハリがなく、ただ「情報の羅列」に見えてしまうので退屈なのです。
これをどうすれば離脱されない文章にできるでしょうか?
まずは文章にメリハリをつけましょう。単調な文面に「動き」をつけるのです。
ぼくがnoteで文章を書くときは、スマホのワンスクロール内にひとつは「見出し」や「太字」を入れるようにしています。
パッと見て一瞬で文字が入ってくることが大切です。
コンマ何秒で「読みやすそう」と思われることが大切なのです。
キャッチャーな見出しをつけ、ひらがなを増やし、熟語を減らし、改行と太字でメリハリをつけ、動きを入れてみる。
すると、こうなります。
『書くのがしんどい』恐竜の時代からあった「イチョウの木」
イチョウは、いまあるなかでもっとも古い植物のひとつです。
1億5千万年前、巨大な恐竜が生きていた時代に、広く生えていました。イチョウの化石は北極、南極から中国、日本でも発見されています。
氷河期が来て、多くの地域でイチョウは絶滅しました。しかし、暖かい気候を保つことのできた中国では生き延びることができました。
日本のイチョウは、中国から来た種です。現在では、街路樹や防火樹、庭木としてひろく植えられています。「東京都の木」でもあります。いまは東南アジア以外では、ほとんど植えられていません。並木の総本数は146本(雄木44本・雌木102本)。
どうでしょうか。
これであれば、少し立ち止まって読もうという気になります。
見出し、改行、太字、かんたんな表現。たったこれだけのことで読む人が何倍にも増えるとしたらこんなにお得なことはありません。
「おもしろい」とはどういうことでしょうか?
ぼくなりに定義するのであれば「感情が動く」ということです。
笑える、泣ける、怖い、勇気が出る…。おもしろいものを目指すのであれば、とにかく読み手の感情を動かさなければいけません。
イチョウの看板も情報の羅列のように見えますが、読んでみると「グッと来る」ポイントがいくつかあります。そこを強調してあげるだけでおもしろくなるはずです。
・イチョウは恐竜の時代からあった
・イチョウはいまあるなかでもっとも古い植物のひとつ
・氷河期が来て多くの地域でイチョウは絶滅したが、中国では生き延びた
このあたりは「へえ」と思えるポイントです。
このグッと来るポイント、「へえ」と思えるポイントがビシッと伝わるように設計することが大切なのです。
②「新しい情報」だらけ→「共感8割、発見2割」を意識
「おもしろい文章は、内容がおもしろい」という残酷な事実があります。
ただ、毎回毎回「おもしろい」と思われるようなネタなんて、そうそう見つかるものではありません。では、どうすればいいのか?
「おもしろいな」と思う文章には、たしかに何かしら新しい情報が入っています。
ただ「なるほど!」「へえ!」がずっと続くような文章は疲れてしまうのです。
たとえば、こんな文章があるとします。
『書くのがしんどい』パプアニューギニアは南太平洋にあるニューギニア島の東半分および周辺の島々からなる立憲君主制国家です。東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別オブザーバーですが、地理的にはオセアニアに属します。オーストラリアの北、ソロモン諸島の西、インドネシアの東、ミクロネシア連邦の南に位置します。
これは「パプアニューギニア」を説明したウィキペディアの文章に少し手を入れたものです。
地理に詳しくない人にとっては「新しい情報」だらけ。
でもこの文章を「ほうほう、おもしろい」とはなかなか思えません。
バンバン固有名詞が出てきてついていけないのです。
では、こんな文章はどうでしょうか?
『書くのがしんどい』「パプアニューギニア」って聞いたことありますよね?
どこにあるかわかりますか?
地図で言えば、オーストラリアの上にあります。
30代後半以上の人であれば「南国少年パプワくん」を思い出す人もいるかもしれません。「南国の、ほのぼのとした国」というイメージを持つ人も多いでしょう。
でも実はこの国、第二次世界大戦前までは「パプア」と「ニューギニア」という2つの地域に分かれていました。戦時中は日本軍と連合国軍がこの土地で争い、約21万人もの兵士が戦死。大戦後に2つの領土が統合されて「パプアニューギニア」と呼ばれるようになったのです。
こちらのほうが、おもしろいのではないでしょうか。
何が言いたいのかというと、おもしろいと思う文章の8割くらいは、決して新しい情報ではないということです。
『書くのがしんどい』「パプアニューギニア」って聞いたことありますよね?
どこにあるかわかりますか?
地図で言えば、オーストラリアの上にあります。
『書くのがしんどい』30代後半以上の人であれば『南国少年パプワくん』を思い出す人もいるかもしれません。
「南国の、ほのぼのとした国」というイメージを持つ人も多いでしょう。
などの部分は、別に新しい情報でもなんでもありません。ハッキリ言っておもしろくない。ここが長すぎると逆に飽きられてしまいます。
ただ、この部分には「書き手と読み手のあいだの溝」を埋める効果があります。
よって、その後の
『書くのがしんどい』・ 第二次世界大戦前までは「パプア」と「ニューギニア」という2つの地域に分かれていた。
・日本軍と連合国軍がこの地で争い、約21万人もの兵士が戦死した。
といった「新しい発見」が際立ち、伝わりやすくなるわけです。
このように「パプアニューギニアってどこだっけ?」「あーパプワくん、懐かしい」などといった「共感」で引っぱりつつ、残り1〜2割くらいで「そうなんだ!」「なるほどね!」と思わせる。
こうすることで「新しい考え方・できごと・情報」がそこまで多くなくても「おもしろい文章」を無理せず書くことができます。
「おもしろい文章を書く」といっても、内容を「100%おもしろいことだらけ」にしなくてもいい。
「共感8割、発見2割」を目指すくらいでちょうどいいのです。
③「何が言いたいのか」が伝わらない→言い切って「サビ」をつくる
曲で印象的な部分を「サビ」といいます。
それと同じようにおもしろい文章、印象的な文章にも「サビ」があります。
サビとは「これが言いたいんだ!」というメッセージであり、「グッと来る」ポイントです。
10万文字の本でも、140文字のツイートでも、この「グッと来る」部分があるかないかが、その文章のおもしろさを決めるのです。
たとえば、こんな文章があったとします。
『書くのがしんどい』今日は台風が近づいているからか、低気圧だからか、体も重く、頭もまわらず、仕事もやる気が出なかった。ぼくは台風を言い訳にしながら、やるべきことを先送りしてしまった。どうもこのダラダラした性格は、いつまでたっても治らない。
こういった文章も日記ならいいでしょう。
しかし、ここには「サビ」がありません。
「何が言いたいのか」が特に伝わってこないのです。
まわりの人に「この文章、どこが印象に残った?」と聞いても「台風が近づいてるってところかな?」「ダラダラした性格の部分かな?」などと感想はバラバラになるでしょう。
サビのない文章は、ずっとAメロが続く曲のような、ぼんやりした印象になってしまうのです。
そこでこうしてみましょう。
『書くのがしんどい』台風が近づいている。低気圧である。体は重く、頭もまわらない。こんな日はやる気が出ない。仕事もまったく進んでいない。
ただ、人間というのは、つねにラクをするため「言い訳を探す」生きものだ。
もしかしたら「台風が近づいているからやる気がない」のではなく「やる気がないことを台風のせいにしたいだけ」なのかもしれない。
この文章は後半がサビになっています。
『書くのがしんどい』「台風が近づいているからやる気がない」のではなく「やる気がないことを台風のせいにしたいだけ」なのかもしれない。
の部分で「そうかも」と思う人もいるでしょう。
もしくは、
『書くのがしんどい』台風が近づいている。低気圧である。体は重く、頭もまわらない。こんな日はやる気が出ない。仕事はまったく進んでいない。
しかし、やる気のないときほど、仕事をすべきだ。
やる気があるときに仕事が進むのは当たり前。そこでやる気がないときに仕事をするクセをつければ、そのぶん「ベース」がアップする。やる気のないときほど仕事をすることが、他人に差をつける秘訣である。
これは「やる気のないときほど、仕事をすべきだ」からがサビになっています。
この1行でドライブがかかり、後半の教えの部分につながっていきます。
「この文章で何が言いたいのか?」「どこがグッと来るポイントなのか?」という「サビ」を意識することで、ぼんやりした文章は解消し、おもしろい文章が書きやすくなるはずです。
サビをつくるときのコツは「言い切る」ことです。
『書くのがしんどい』人間というのは、つねにラクをするため「言い訳を探す」生きものだ。
『書くのがしんどい』やる気のないときほど、仕事をすべきだ。
など、一度はバシッと言い切る。
すると強い言葉になり、サビになります。
ここで躊躇して、
『書くのがしんどい』人間にはさまざまな側面があるが、ついついラクを求めてしまう人も多い。ラクをするための言い訳を探すのが人間の性(さが)と言えるのかもしれない。
『書くのがしんどい』やる気のないときはなかなか仕事をしようという気にならないが、そういうときこそ仕事をやってみるといいかもしれない。
としてしまうと、同じことを伝えていても、なんだかもどかしい感じになってしまう。
言い切ると多少不快に思ったり、異論反論も出てくるでしょう。
そういうときは「もちろん、一概には言えないが」とか「例外もあるかもしれないが」と補足すればいいのです。
『書くのがしんどい』珈琲は私にとって欠かせない存在なので「人生のパートナー」なのかもしれません。
↓
珈琲は「人生のパートナー」です。
まず一度は断言する。
勇気を持ってスパッと言い切ることで、おもしろさは増すはずです。
僕が「文章力を磨きたいなら、ツイッターをやらないと損」と話すワケ
文章の練習をしたければ「ツイッター」が最強
「書くのって続かないんだよな…」
「書くことを習慣にするにはどうすればいいんだろう…」
そういう人にオススメなのが「ツイッター」です。
「なんだよ、それ」と言われそうですが、もちろん他人のツイートを眺めているだけではダメです。
「おなかすいた」「部長ウザい」だけでもダメです。
きちんとした文章を発信して、PDCAを回す。
適切な使い方をすれば、文章力を磨くうえでツイッターほどいいツールはありません。
本などの長文を書くのが「フルマラソン」だとすれば、noteやブログなどのやや長い文章は「ジョギング」。
ツイッターのような短文は「散歩」です。
マラソンを完走したい人は、ふだんからジョギングや散歩をしています。
毎日散歩すらしない人がいきなりマラソンに挑戦すると、アキレス腱が切れてしまいます。
文章も同じように、短文を書けない人がいきなり長文を書くのは危険です。
どんなに長い文章も、結局は短い文章の集まりです。
「私はツイッターなんかじゃなくて、きちんとした文章が書きたいんだ」という人も、まずはツイッターという「散歩」から始めてみてはどうでしょうか?
ツイッターで「ああ、こんな感じが求められてるんだな」「私はこういうテーマなら楽しく発信できそうだな」とわかってきたら、今度はそのテーマでnoteやブログを書いてみるのです。
noteやブログが人気になってくると、今度はウェブメディアや出版社から声がかかるようになるかもしれません。
するとさらに長文を書く機会も訪れます。
いきなり長文に挑戦しようとせず「短文→やや長文→長文」というように、書くレベルを少しずつ上げながら身につけていくといいでしょう。
ツイッターを使うメリット10個
ツイッターはただのツールです。使い方次第で「武器」にも「道具」にもなります。
ナイフと同じで、他人を傷つけることもできればリンゴの皮をむくこともできるわけです。
賢明なあなたは、自分を高め、世界をよくするために、ツイッターというツールを200%有効に使ってほしいと思います。
べつにぼくはツイッター社の回し者ではありませんが、ツイッターの習慣を身につけると得られるメリットはたくさんあります。思いつくままに紹介してみます。
①発信する勇気が手に入る
ツイッターでは「発信する勇気」が得られます。
発信するからには、スベるリスクもあるし、無視されるリスクもあるでしょう。
職場の人に陰口を叩かれるかもしれないし、飲み会で晒される可能性もある。しかし、それ以上に得られるメリットのほうが大きいのです。
他人の目を気にしていては何もできません。ツイッターを続けることで「発信する勇気」を手に入れましょう。
②自意識をコントロールできるようになる
発信することにはどうしても「自意識」がつきまといます。
自意識が高すぎるとうまく発信できません。恥ずかしくて消したくなったりもします。しかしそこを乗り越えなければ、書く力は身につきません。
ツイッターの発信に慣れることで自意識もうまくコントロールできるようになるはずです。
③マーケティング力が身につく
何がウケて何がウケないのか? どういう言い回しや言葉を使うとウケがいいのか? そうした「マーケティング力」を日々のツイートで養うことができます。
渾身のツイートのいいね数が「2」、何気ないツイートがバズる。そんな経験を繰り返しながらマーケティング力は身についていきます。
④共感力が身につく
③に似ていますが、ウケる文章を書くには「共感力」が必要です。
「あるある!」「わかるわかる!」と思ってもらえるような文章はウケがいいもの。
「この感じ、あるあるだよね!」と思ったら、ツイートして反応を探ってみましょう。
⑤構成力が身につく
同じ内容でも構成次第でウケたりウケなかったりします。
構成を考えるうえでもツイッターは有益です。「一文一文は短いほうがいい」「最初の一文で目を引いたほうがいい」など、これまでお話ししてきたポイントをツイッターで試してみましょう。
⑥コピー力が身につく
いわゆる「パワーワード」、力のある言葉を身につけるのにもツイッターは最適です。
とにかく刺激の強い言葉を使えばいい、というわけではありません。つねに「どうやったら遠くまで飛ばせるだろう」と考えながら言葉のチョイスをするのです。
⑦文章のリズム感を鍛えられる
よく言われることですが「〜だ。〜だ」が続くと単調になります。「〜だ。〜なのだ。〜のである」など語尾を変えるなどして、心地よいリズムをつくる。その練習になります。
ツイッターくらいの短文で練習しておくと、長文を書くときにも役に立つはずです。
⑧思考力・考察力が身につく
何度も言うように「おもしろい文章は内容がおもしろい」のです。
ツイッターは特に中身がおもしろくないと広がっていきません。
「ツイッターで何を発信しようかな?」とつねに考えていると、生活するなかで立ち止まって考えたり、ちょっとしたことに気づく習慣が身についていきます。思考力、考察力がアップするのです。
⑨調べる力が身につく
ツイートひとつであっても「公(おおやけ)に発信する」ことには変わりありません。
発信にはある程度の責任が伴います。よって、自然と調べたり、勉強したりするようになります。
もし不勉強のまま事実と違うことをツイートしてしまうと、デマやフェイクニュースに手を貸すことになります。
自ら発信する訓練をすると、勉強せざるをえなくなり、情報リテラシーも高まります。
⑩行動力が身につく
ツイッターでいいねを集めようとすると、ツイッターだけをやっているわけにはいかなくなります。アウトプットするためにはインプットは不可欠だからです。
すると、ふだん行かないお店でランチしてみたり、映画を観たり、本を読むようになります。とにかくウケるネタを探すようになるのです。
ツイッターを極めることで、逆に行動力が上がるのです。
本当の「ツイ廃(ツイッターばかりやっている廃人)」では、フォロワーを増やすことはできません。
フォロワーを増やそうとするからこそ、行動できるようになるのです。
「発信した内容」みたいな人が集まってくる
「ツイッターをやりましょう」と言っても、べつに全員がインフルエンサーを目指す必要はありません。
無理にバズらせてフォロワー獲得競争をしていると、いずれしんどくなります。
フォロワーが1万人になると3万人が気になるし、3万人になると5万人が気になる。人と比べてしまうと、ずっとそわそわし続けることになります。
大切なのは、自分なりの「目的」を持って、「ビジョン」を描いて、ツイッターをやることです。
ぼくの場合は「出版社をつくりたい」という夢があります。
だからツイッターも、ライターや編集者に見てもらえるようなものにしようと思いました。
ぼくのところに編集者やライターが集まるような状況にするにはどうすればいいかな、と思いながら発信をしてきました。
まずは「自分がどうなりたいか」という絵を描くことです。
そこがないと発信がブレるからです。猫の動画でフォロワーを集めてもしょうがないのです。
では、どうすれば「ビジョン」にもとづいたフォロワーを獲得することができるのでしょうか?
ツイッターをやっていて、ひとつ気づいたことがあります。
それはツイッターの世界は「鏡の法則」が働いているということです。
「こんにちは」と言うと「こんにちは」と言われる。「バカ」って書くと「バカ」と言われる。まるで「鏡」のように発信したものが返ってくるわけです。
心がクサクサしてネガティブなことを書くと、ネガティブな人が集まってきます。
「お前ら来るな!ふざけんな!」とやればやるほど、同じように「ふざけんな!」と言う人が集まってくるのです。
ようするに「発信する内容みたいな人」が集まってくる。
ということは、質の高いフォロワーを獲得しようと思ったら、質の高い発信をすればいいのです。
ぼくはライターや編集者と知り合いたいので、文章に関することを発信しています。するとそういう情報を得たい人が集まってきます。
自分が得たい分野の情報は、こちらから発信することで、逆にそういう情報が集まってきます。
たとえば、転職についての情報を集めたいなと思ったら、自分の知る限りの転職に役立つ情報を発信してみるのです。
できれば実体験にもとづいていればベストですが、本で読んだことや調べたことでもいいでしょう。
役立つ情報をどんどん発信していると、同じような属性の人が集まってきて、だんだん転職に関する情報を逆に手に入れられるようになるはずです。
「書くのがしんどい」から「楽しい!」に変わる一冊
『書くのがしんどい』書いて発信することは「世界へのプレゼン」になる。
コンサルタントのような「知的労働」ができる。
自分のことを知ってもらえると「仕事」がやってくる。
これらは『書くのがしんどい』の最終章に書かれている内容の一部です。
「書く」力は、これからの時代において人生を変えるほど絶大な効果を発揮するんだとか。
それは誰でも後天的に獲得できるもの。
身につければ、あなたの人生が大きく動くかもしれません。
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