R25世代に身近な税金を解説

コロナでお金の議論が多いけど…「消費税」「酒税」「たばこ税」など増税が続いているのはなぜ?

お金
新型コロナウイルスの影響により、政府からの支援金など、「お金」をめぐる議論が交わされることが多くなりました。

そのなかで、避けて通れない話が「増税」

最近耳にすることが多い「増税」ですが、「増税する理由がよくわからない」「なんかイヤ」という人が多いのではないでしょうか。

そんな方のために、2020年が終わる前に“R25世代ならこれだけは抑えておきたい”増税に関するメリットデメリットをまとめてみました。

〈文=宮内麻希(新R25編集部)〉

そもそも税金とは?

そもそも税金とは、法律に定められた要件を満たす人々すべてに課される、強制的な負担のこと。

小学校や中学校、市民病院などのように「公共サービス」や「公共施設」を提供していくための費用をみんなで出し合って負担するものです。
Q.税金がなくなったらどうなるの?
新R25編集部

新R25編集部

今まで当たり前のように“無料”で受けることのできていたサービスが有料になってしまいます。

わかりやすい例でいうと、救急車やごみ収集が有料になってしまったり、医療費が高額になってしまったりするなど、私たちの毎日の生活に大きく関わってきます。
Q.税金には、どんな種類があるの?
新R25編集部

新R25編集部

税金は、課税対象による分類のほかさまざまな観点からわけることができます。

①「何に対して」納めるか

税金は課税する対象によって下記に分類することができます。
・消費税/地方消費税
・所得税
・住民税(道府県民税・市町村民税)
・法人税
・酒税
・たばこ税/たばこ特別税
・関税
・揮発油税/自動車税/自動車重量税など
個人や会社の所得に対して課税することを「所得課税」、物品の消費やサービスの提供などに対して課税することを「消費課税」、資産に対して課税することを「資産課税等」と分けられます。

②「どこに」納めるか

「国税」:国に納める税(所得税、法人税、消費税、酒税、たばこ税など)
「地方税」:地方公共団体に納める税(道府県たばこ税、市町村たばこ税、自動車税、固定資産税など)

③「どのように」納めるか

「直接税」:税を納める人と負担する人が同じ税金(所得税、法人税など)
「間接税」:税を納める人と負担する人が異なる税金(消費税、酒税、たばこ税など)
今回は、このなかでも私たちになじみがあり、近年値上げされたことでも話題となった「消費税」「酒税」「たばこ税」の3つにしぼって詳しく解説していきましょう。

消費税について

私たちにとって最も身近な税金と言っても過言ではない消費税。2019年10月より8%から10%に引き上げられ、飲食料品や新聞など特定の品目に対しては軽減税率(8%)が適用されました。
消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

出典https://www.nta.go.jp

国税庁のホームページに記載の通り、消費税とは私たちが買い物をしたりサービスを受けたりした際に会計にのせて請求される税金のこと。1989年、3%という税率で導入が開始され、1997年には5%、2014年に8%と段階的に引き上げられ現在に至ります。
Q.消費税はどうしてスタートしたの?
新R25編集部

新R25編集部

消費税導入以前の日本は所得税中心の税体系でした。所得税は給与所得によって税負担が異なるため、働き盛りの世代などを中心に不公平感も高まっていたそう。

また、豊かで安全な暮らしを維持していくための基本となる税負担は「国民ができる限り幅広く公平に分かち合うことが望ましい」とする考え方も広まり、消費税が導入されました。
Q.8%も十分な負担だと思いますが…2019年10月の消費税値上げの目的は?
新R25編集部

新R25編集部

財務省のWebサイトによると、少子高齢化の影響により、医療や介護などの社会保障費は増え続け、税金や借金に頼る部分も出てきているそう。そのため、安定的な財源を確保し、すべての世代を対象とする社会保障のために使うべく値上げされました。

また、国民の誰もが負担する税金であるため、特定の世代に負担が偏らず、国民全体で広く負担を分かち合うことができる点からも消費増税に踏み切ったとされています。

とはいえ、近年税率が変更された税金は消費税だけではありません。2020年10月より、消費税と同じく私たちにとって身近な税金が値上げされています。それが「酒税」と「たばこ税」です。

「酒税」について

酒税とは酒類に対して課せられる税金のことです。酒類をその製造方法などに着目して、発泡性酒類(ビールなど)、醸造酒類(日本酒やワイン)、蒸留酒類及び混成酒類(みりんやリキュール)の4種に分類。品目ごとに異なる税率を定めている点が特徴で、2018年度の酒税による税収は、消費税を除くと1.27兆円にのぼります。
2018年の酒税法改正により、2020年10月、2023年10月、2026年10月という3段階で酒税額の改正が予定されています。
Q.酒税法改正によって、高くなるお酒と安くなるお酒があるって本当?
新R25編集部

新R25編集部

2020年10月の酒税改正では、下記の変更がありました。
ビール:1缶(350ml)あたり7円減税
新ジャンル、第3のビール:1缶(350ml)あたり9.8円増税
発泡酒:変更なし(※2026年10月に増税予定)
チューハイ、サワー:変更なし(※2026年10月に増税予定)
日本酒:1.8lあたり18円減税
ワイン:720mlあたり7.2円増税
Q.酒税法改正によって、税率をここまで細かく変化させる理由は?
財務省の発表によると、類似する酒類(ビール、発泡酒、第3のビールなど)の間の税率格差が、各社の商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改めて、公平性を回復するために、3段階で酒税法改正を実施

2026年10月には、ビール、新ジャンル/第3のビール、発泡酒の税率を350ml換算で約54.25円、日本酒、ワイン、チューハイの税率を350ml換算で35円に一本化させるそうです。

「たばこ税」について

たばこ税とは紙巻きたばこや加熱式たばこ等に課せられる税金のことです。たばこの価格には、「国たばこ税」「地方たばこ税」「たばこ特別税」「消費税」の4つの税金が含まれていて、価格のうち税金は63.1%。

参考までに、ビールで48.4%、ガソリンで47.3%になるので、税負担の割合が重い商品となります。(財務省「小売物価統計調査」東京都区部、2019年平均より)

また、2018年度のたばこ税による税収は、消費税を除くと約2兆円。この金額が、国に9861億円、都道府県に1389億円、市区町村に8502億円それぞれ分けて納められています。

2020年10月にたばこ税の増税によって、たばこ1箱あたり約50円が値上げされました。この後も2021年10月、2022年10月(加熱式たばこ)と段階的にたばこ税の値上げが予定されています。
Q.2兆円もあるのに…、さらに段階的にたばこ税を引き上げる狙いは?
新R25編集部

新R25編集部

「全国たばこ販売協同組合連合会」総務部長の武田氏曰く、大きな理由とされているのが、一律・過度な規制等による近年のたばこ市場の縮小

2018年の調査では、成人の喫煙率は17.8%でした。特に男性は、この30年で喫煙率が55.3%から29.0%と半分近く減っています。(厚生労働省「国民健康・栄養調査」より)

たばこの販売数が減れば、当然税収も少なくなってしまいます。その分、税率を引き上げることでバランスを取る狙いがあるのではと言われています。
Q.たばこは約6割が税金って高い印象ですが、この税収はどんなことに使われるのでしょうか?
新R25編集部

新R25編集部

税金は、一般的に使い道が特定されていない「普通税」と、使い道が特定された「目的税」に分けられます。たばこ税は「普通税」なので、国も地方自治体も使い方は自由(ちなみに消費税や酒税も普通税)。

「全国たばこ販売協同組合連合会」総務部長の武田氏曰く、「現状たばこ税は公共施設やサービスなどに使われていると認識しております。今後は、駅前や商店街などでの分煙環境を整備するための費用として活用、吸う人も吸わない人も快適な暮らしができる“分煙社会の実現”に向けて、関連業界等と連携して積極的に活動していきます」とのことです。
知っているつもりになっている税金についての知識ですが、意外と基本的なことを知らなかったという人も多いのでは?

新型コロナウイルスの影響により、税金にまつわるさまざまな議論が交わされている今だからこそ、私たちもしっかりと納得したうえで、サービスや商品を消費していきたいですね。

〈文=宮内麻希〉

参考資料