伊藤羊一著『1分で話せ2【超実践編】』より

【実例あり】話がわかりやすい人に必ず当てはまる「ピラミッド」構造とは

仕事
会議やプレゼンの場で、話がうまく伝わらない

メンバーが一生懸命話しているのに、内容が頭に入ってこない

そう悩んでしまうビジネスマンも多いのではないでしょうか。

Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長の伊藤羊一さんは、新刊『1分で話せ2【超実践編】 世界のトップが絶賛した即座に考えが“まとまる”“伝わる”すごい技術』(SBクリエイティブ)の中で、「ビジネスでのコミュニケーションは原則“ピラミッド”のやりとり。ピラミッドさえできてしまえば、すべてのアウトプットが簡単に、ロジカルに整理できる」と言います。

50万部を突破した前著『1分で話せ』を、よりさまざまなシチュエーションで活かせるよう、【実践編】とした同書より、コミュニケーションに役立つ内容を抜粋してお届けします!

「ピラミッド」を作って話せているか

ビジネスでのコミュニケーションは、原則「ピラミッドのやりとり」だということです。

最初に結論、そのあとに「3つの根拠」、 そしてそれぞれの具体例を持ってくる。

このピラミッドのやりとりで成立するのです。
ピラミッドさえできれば、すべてのアウトプットが簡単に、ロジカルに整理できます。

そして、ピラミッドを意識すれば、相手とのやりとりも、随分スムーズになります。

ピラミッドの作り方

まず、上からです。

最初に「結論」を話します。「一番言いたいことを言う」ということですね。

次の段が、「根拠」です。 なぜ、そんなことが言えるのか。理由をまとめます。

3つくらいあると説得しやすいです。

3段目が、「たとえば」の事例です。 2段目であげたことについて、その例を説明します。

人は、具体的な話があってはじめて「あ、 そういうことね」と理解します。 3段目で、自分が持っているイメージを相手に見せるのです。

牛丼屋の例で説明しましょう。

Y屋の牛丼はいい

これを誰かに伝えたいとします。

では、なぜ、いいのか。

安い、早い、うまい」から。これが2段目(根拠)に入ります。

そして3段目は事例です。

Y屋は安いんです。500円でおなかがいっぱいになります

Y屋は早いんです。注文したらすぐ出てきます

そしてY屋はうまいんです。独特なたれが食欲をそそります。想像してみてください〜

これでその人が、Y屋がなぜいいと思っているのかが、伝わるのではないでしょうか?

「ロジカルに話をするのは苦手」という方は多いのですが、最低限これに沿って整理して、話をすれば伝わります。たったこれだけです。

「話が分からない」と思われるのは、「結論」がないから

ここで、もう少しピラミッドをつくるための方法を紹介していきます。

「話がわからない」と思われる理由の1つに「結論がない」ということがあります。

いろいろと上司に説明したのに、「何を言っているのかわからない」と言われたり、 聞き流されたりして、もどかしい思いをすることはないでしょうか。

もし、「考えるための時間」があるのであれば、 「根拠」にあたると思われる内容、「」 と考えられる内容、「結論」らしきものを、思いつくままに付箋に書いて、ピラミッドをつくって検証していけば、少しずつ課題が見えてきます。

たとえば、マネージャーから、「来週月曜日に大事なお客さんが来るので、お昼にどこかお店を予約しておいて」と言われたとします。 

最初に、この問題に関して思いつく限りのことを付箋に書いていきます。

これらはすべて「情報」です。これだけだとなんの手掛かりにもなりません。

「悩んでいて結論が出ない」というのは、この「情報」を見ているだけで、「考える」ことができていない状態です。

このままマネージャーに報告しても、

「天ぷら屋さんは美味しいんですけど、遠いんですよね。当日は雨の予報ですし。鶏料理は近所だけど、この間久しぶりに行ったら混んでいてうるさかったんですよ。和食屋さんは社長がよく行っているけど、高そうで自分は行ったことがないんですよね。どうなんでしょう」

と話すことになって、「それで?」と、あきれられてしまうことになります。

『1分で話せ』でもお話ししていますが、「考える」ことと「悩む」ことは違います

「Aにしようかな、Bにしようかな。でも、Cも捨てがたいなあ」。

こうした思念が頭をぐるぐる回って、無限ループにはまってしまう。

これは「悩んでいる」状態です。

それに対して「考える」というのは「結論を出す行為」です。

「Aがいいと思います。 なぜなら、○○だからです」

というように、説明を凝縮することができます。

では、結論をどう出せばいいのか?

ここから、先ほどのバラバラな情報を加工していきましょう。

結論の出し方①「だから何?」と考えてみる

天ぷら屋さんは会社から遠い

これだけだと「遠い」というだけの情報です。

今回の目的である「お客さんに喜んでもらう」に照らし合わせて、「だから何?」と言語化してみましょう
(情報)

天ぷら屋さんは会社から遠い

(だから何?)

だから、お客さんによけいな時間を使わせてしまう

だから、雨の日や寒い日は行きたくない

だから、足が悪い人には勧められない

出典 『1分で話せ2【超実践編】』

ここは、ケースによって様々な答えが考えられるでしょう。

また、今回のような場合、目的である「お客さん」についても考えてみましょう。
(情報)

あのお客さんは食通だ → だから、美味しいものがいい

(情報)

あのお客さんは忙しい → だから、無駄な時間をとらせないようにしたい

出典 『1分で話せ2【超実践編】』

すると、「美味しくて会社から近いお店がいい」「無駄な時間をとらせないようにしたい」という条件が浮かび上がり、どんなお店を選べばいいのかの基準も見えてきます。

「結論が出せない」という場合、大抵は「それをどういう判断軸に基づいて考えたらいいのかわかっていない」ということです。

今回は目的である「お客さん」のことを考えることで、「美味しくて、会社から近い」という軸が生まれました。 

そうしたら、その軸に合わせて、情報を整理していけばいいのです。

結論の出し方②情報をピラミッドで整理する

さて、判断軸が決まったら、それぞれの情報について整理していきましょう。 

その後、ピラミッドにするために、たくさんの情報について、それが根拠なのか、事例なのか組みなおしてみます。

この例は単純なのでわかりやすいですが、込み入った問題になると、どれが根拠でどれが事例なのかがわからなくなることもあると思います。

そんなときは、自分の中でしっくりくるまで並べなおします

まずは、ひとまず、個々の情報について整理してみましょう。
【目的:お客さんに喜んでもらうために、美味しくて、会社から近いお店を探す】

◆天ぷら屋の場合

根拠

・このあたりだと、老舗の天ぷら屋さんが一番美味しい → だから、食通のお客さんが喜んでくれる

・天ぷら屋さんは会社から遠い → だから、お客さんに無駄な時間をとらせることになる

事例

会社から遠い → だから、雨の日は行きたくない

◆鶏料理屋の場合

根拠

・鶏料理のお店は味もいいし、会社から近い → だから、満足度は高い

事例

・この間鶏料理のお店に行ったら、店内はうるさかった → だから、静かに話すことができない

◆和食屋の場合

根拠

・静かで個室があるのは、和食屋さんだ → だから、ゆっくり話しやすい

・和食屋さんのランチは予算内に収まったっけ? → 予算内に収まらないと経理から怒られる → (調べたところ) → なんとか収まる

事例

・和食屋さんは、美味しいものが好きな社長がよく知人を連れていっていると聞いたことがある → だから、味についてはある程度信用ができる

出典 『1分で話せ2【超実践編】』

ここから考えると、和食屋さんがよさそうです。 

次に、和食屋さんの情報について、ピラミッドの形にしてみます(※下記図参照)
その後、点線で囲まれた埋まっていない2段目と3段目の箱を埋めて下記のようなピラミッドを作ります。
ここまでくると結論も定まり、人にも伝えられる形で、内容がまとまっていきます

言葉にするとこんなふうになるでしょうか。

「和食屋さんがいいと思います。お客さんはお忙しい方と聞いていますが、和食屋さんは、 会社から近く、個室があって話しやすいです。また、お客さんは食通の方と聞いていますが、食べることが好きなうちの社長も気に入っている店のようなので、味も安心だと思います。もちろん予算内に収まります」

明らかに、

「天ぷら屋さんは美味しいんですけど、遠いんですよね。当日は雨の予報ですし。鶏料理は近所だけど、この間久しぶりに行ったら混んでいてうるさかったんですよ。和食屋さんは社長がよく行っているけど、高そうで自分は行ったことがないんですよね。どうなんでしょう」

と言うよりも印象はよいですよね。

物事をロジカルに考え、話せる人の頭の中は、実はこんなふうになっているんです。

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1分で話せ2【超実践編】

1分で話せ2【超実践編】

1分で話せ2【超実践編】』は、相手へ話すときの伝え方の基本から、さまざまなシチュエーションでの伝え方、聞き方が分かる一冊です。

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〈写真提供:リクナビNEXT〉