田端 信太郎著『部下を育ててはいけない』より

「理想の上司」は絶対目指してはいけない。田端信太郎が説く“冷たい上司”でいい理由

仕事
NTTデータ、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなど名だたる大手企業を渡り歩いてきた田端信太郎さんの新著『部下を育ててはいけない』。

田端さんは同書のなかで「これからのリーダーは、“部下を育てる”というこれまで正しいと信じられてきた価値観から、真逆に転換しなければならない」と、強く主張しています。

ただ、部下を育てずにパフォーマンスを発揮させるマネジメントとは、一体どのようなものなのでしょうか…?

これからの時代に成果を上げるマネジメントの指南書である同書より、田端さんが考える「一目置かれるリーダーの鉄則」を抜粋してお届けします。

「理想の上司」は絶対目指すな

毎年、明治安田生命が発表している「理想の上司ランキング」というのがある。

だが私自身は、「理想の上司など、絶対に目指してはいけない」と考えている。

「理想の上司像」というものは人それぞれであり、マネジメントには「こうしたら絶対にうまくいく」という正解などないからだ。

では、上司はどのようにマネジメントをしてゆけばいいか。

マネジメントするとは、 部下の力を引き出すことなのだから、その方法は直接、部下に聞けばいい

「理想の上司」などという幻想を追いかけるのではなくて、時に父のような厳しさを見せ、時に優しい母のような慈愛を見せたりする。

優しい刑事と怖い刑事が取調室で容疑者を尋問するように、臨機応変に「顔」を使い分けることだ。

ひとりひとりの部下の人生と深く関わっているんだ」という自覚をリーダーが強く持てば、状況に応じていかにマネジメントすればいいのかの答えも自然と見えてくる。

リーダーは好かれなくていい。支持率8~9割を目指せ

菅総理を筆頭に、最近の政界のリーダーは、かなり「支持率」を気にしているようだ。

どんなに頑張ったとしても消極的な支持を含めてせいぜい50%〜60%の人が何となく支持をしてくれればそれで上出来というのが内閣総理大臣という職業だ。

では、会社組織における上司の支持率はどうかというと、支持率が50%を切るようなら全然ダメで、80%〜90%でやっと合格、というのが私の持論だ

リーダーの役目は目標を達成することであり、リーダーは部下に「好かれる」ために存在しているわけではない。

しかし、だからといって、支持率が8割も行かないようなリーダーにいい仕事ができるはずもない。

支持しない奴は、別の奴とトレードすればいい」という覚悟を持つべきなのだ。

リーダーの支持率は最低でも8割から9割は欲しいところだが、「支持する=部下に好かれる」ということではないことを理解するのも大切だ。

大切なのは「好かれる」ことではなく、「支持される」ことだ。

結局のところ、上司と部下の関係は相互作用なので、「こうすれば部下に好かれる」 なんていうマニュアルはなくて、部下の性格や能力、仕事のやり方や目指す目標次第でどんな上司を支持して、どんな上司を支持しないかが決まってくることになる。

それを忘れて、「すべての部下に好かれよう」なんて考えるのは、所詮は仕事を進めるための手段に過ぎない。

「好かれること」が目的化してしまっているし、一番大事な「好かれる」よりも「支持される」ことが大切だという視点が抜け落ちている。

リーダーは少なくとも8割以上の部下から支持されるのが当たり前だ

そしてそのためには

「どうすれば部下の能力を引き出せるか、どうすれば部下は能力を発揮しやすいのか」

「誰を部下にするか、誰は部下にしてはいけないか」

をいつも最優先にして考えていればいい。

良いチーム=仲良しクラブではない

良いチーム、強いチームをつくるためには、メンバー同士のぶつかり合いや建設的な議論が欠かせない

経営学の権威、ピーター・ドラッカーがこんなことを言っている。

成果が何もなければ、温かな会話や感情も無意味である

チームワークの大切さを説く人は多いが、チームワークを単なる仲良しクラブと勘違いしてしまうと、表向きメンバーの仲は良いが何も生み出すことのできない役立たずの集団と化してしまう、という意味だ。

真のチームワークとは、チームメンバー全員が和気あいあいとしていることと必ずしもイコールではない。 

これが正しい」と思ったことは遠慮なく提案し、時にはケンカも辞さずに本音の意見を戦わせる。

そして、ひとたび結論が出たなら、そこからはみんなが心を合わせてその実現に一点集中する。

これこそが真の意味でのチームワークである。

近年よく言われる表現に、「心理的安全性」というものがある。

Googleが自社のたくさんのチームについて研究する中で成果を上げるために必要な条件の1つとして掲げているものだ。

「心理的安全性」などと言うと、それこそ激論などのない「なごやかな会話や関係性」を思い浮かべる人もいるかもしれないが、それはまったく違う。

「心理的安全性」のあるチームをつくるうえでリーダーに求められているのは、

① 議論の時にメンバーの話をさえぎることなく、最後まで聞く

② メンバー全員が少なくとも1回発言するまでは会議を終えない

③ チーム内の意見の対立に目を背けず、また抑え込もうともせず、全員でオープンに議論するようにする

といった姿勢である。

こうした姿勢をリーダーが貫くことで、メンバーひとりひとりが

「ここでは遠慮せずに自分の意見を言っていいんだ。ここではみんなが自分の意見を聞いてくれるし、だからこそ自分もみんなの意見を真剣に聞かなければならない」

と感じるようになる。

メンバー全員がしっかりと自分の意見を言葉にでき、それに対して他のメンバーも自由に意見を言えるというのが Googleの言う「心理的安全性」であり、こうした土壌があってこそチームは成果を生み出せることになるのである。

部下を理解する「フェアネス」なコミュニケーションが大切

人を見て法を説け」という言い方がある。

どんな相手にもフェアに目を向け、相手のキャラクターや能力を把握したうえで、それにふさわしいアドバイスをする、ということだ。

部下にとっては、上司が、自分のことを正しく理解してくれることは喜びなのだ。

どんな相手であれ必ずこうしたら、絶対にうまくいくなどという方法は存在しない

だからこそ、上司も部下もお互いに、相手がどういうタイプの人間なのか、できるだけ理解しよう、知ろうとつとめるべきである。

部下の能力や性格は十人十色であるだけに、部下によってマネジメントのやり方を変えることは必要なことだ。

放っておいても自分からどんどんやれる部下のところに頻繁に顔を出して、「ちゃんとやっている?」「さぼってない?」などと余計な口出しをするのは愚かなことだが、そこまで能力が高くない部下や、ちゃんと見てるよ!というシグナルでモチベーションが上がるタイプの部下なら時に手取り足取り教えることも必要になる。

その意味では部下への手厚い声がけや、「1on1」的な細やかなコミュニケーションも手法としては大いにあってよいが、ここで気をつけるべきは特定の部下に対してだけ熱心にサポートするとか、一部の部下にだけ熱心に声がけをするといった公平性を欠いた行為にならないようにするということだ。

もしこうしたバランスや公平さを欠いた時には上司にとって最も大切な「フェアネス」という資産を傷つけるだけに注意が必要だ。

ビジネスリーダーも部下との付き合い方を考え、派閥をつくらないのはもちろんのこと、できる限り部下に対して公平でなければならないというのが持論だ。

たとえば女性社員に対して「髪を切ったね」といった容姿に関わることは絶対に言わないと決めている

もちろんセクハラへの配慮もあるが、じゃあ、部下が髪を切ったり、髪形を変えたりした時、全員の変化に気づけるかというと、それは難しいからだ。

ちょっとした声がけにまで神経を使う上司は部下からすれば、一見「冷たい上司」に映る。

そんな冷たい上司より日ごろから冗談を言って、ランチなども部下とわいわい楽しむ「優しい上司」の方が「好きだ」という部下もいるかもしれないが、果たして「怖くて冷たいけど公平な上司」と、「優しいけど不公平な上司」のどちらが組織にとって好ましいのだろうか

答えは改めて言うまでもない。 

人間だからどうしても好き嫌いはある。

しかしそれでもつとめて「フェアに接する」ことを貫いてこそ、部下は「好き嫌い」抜きにして上司を信頼するものなのだ。

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部下を育ててはいけない

部下を育ててはいけない

これまでいくつもの企業で、新規事業の立ち上げやマネジメントに携わってきた田端さん。

同書には、実体験を通して身につけた「部下を通して圧倒的な成果を上げる方法」が、驚愕のエピソードとともにまとめられています。

部下とのコミュニケーションをうまく図りながら、常に「最善の選択」を迫られて悩む上司にとって、田端さんの言葉は解決のヒントになるはずです。

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