ビジネスパーソンインタビュー
冨山 真由著『シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』より
「サボりたい」「スイッチが入らない」在宅ワークの悩みを行動科学コンサルが解説
新R25編集部
リモートワークにより家で仕事をすることになったことで、やる気が出なかったり、オンオフの切り替えができなかったりしていませんか?
日本では数少ない行動科学コンサルタントの冨山真由さんによると、人の行動に着目した分析から生まれた「行動科学マネジメント」によって、在宅ワークでも上手に時間管理・自己管理ができるようになるのだそう。
冨山さんの著書『シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』から、「在宅ワークでも生産性を落とすことなく、効率的に仕事をする方法」を一部抜粋します。
在宅ワークの悩み① 休憩後、仕事のスイッチが入らない
「やる気が出ないなー、サボりたいなー」という衝動...。
はっきり言って、その感情はどうにも変えられないものです。
「真面目に“仕事第一”と考える自分」になるのは、あきらめましょう。
変えようとするべきなのは、感情ではなくて、行動。
じゃあ、こんな場合はどうすればいい?
とても簡単な行動を取ります。
「(仕事で使う)パソコンを1分間黙視する」
そう、“見るだけ”です。
パソコンを使って仕事をしていない人は、これから始める仕事に必要な資料や道具を黙視。
資料を読み込むのではなく、“見るだけ”でいいんです。
これは専門的には「刺激統制法」という、行動変容のためのテクニック。
仕事の対象を見ることで、自動的に自分を仕事へ向かうモードに導くのです。
テレビでスイーツの特集などを観ると、無性にお菓子が食べたくなったりするでしょう。
これも刺激統制法です。
仕事モードにする際にパソコンを見る、というのは、この逆の形ですね。
在宅ワークの悩み② 一人でいるとだらしなくなる
行動科学マネジメントでは、物事を継続させるためのコツとして、「他人の目」も活用します。
職場では周りの人の目があるから、しっかり仕事をするけれど、自宅でのリモートワークではだらしなくなって、仕事が面倒になり、作業も途中で挫折してしまう...!
そんな人も多いはず。
そこで、あえて仕事の“しくみ”として、「他人の目がある」環境をつくってみましょう。
「業務の進捗について、必ず上司、メンバーに報告や相談をする」というルールをつくり、実際に相手と約束を交わしておくのです。
報告や相談は、オンラインを活用して、実際に顔を見て行うのが最良ですが、相手が忙しかったり、自分がオンラインミーティングの環境に居ない場合などは、メールやSNSで行ってもかまいません。
要は「誰かが自分の仕事の報告を待っている」という状況をつくるわけです。
「他人が自分の仕事のスケジュールを知っているから、遅れられない...」
そんな“恥ずかしさ”“バツの悪さ”“罪悪感”などの心理状態をあえて利用する、ということですね。
リーダー・マネジャーの立場にある人は、自分から「必ず◯時に報告するように」なんて言うと、相手は「管理されすぎていて嫌だな」と感じるかもしれませんので、あえてメンバーそれぞれの業務をチーム制、ペア制にする、という仕組みづくりも検討するといいでしょう。
在宅ワークの悩み③ 仕事をサボりたくなる
「家で一人で仕事をしていると、ついつい他のことをやってしまう」
仕事中に限らず、何かを続けようとする際には、その行動を阻害する“誘惑”が、いっぱいありますよね。
要するに「取るべきではない行動」。
こうした行動を取らないようにするには、どうしたらいいでしょう?
「仕事に集中するぞ!」と堅く決意する?
一生懸命ガマンする?
行動科学的には、そのような精神力に頼るやり方ではなく、もっと科学的なやり方を
取ります。
ずばり「誘惑されるようなものは、隠す」。
あまりにも単純で、何だか拍子抜けした感じでしょうか?
でもこれは、「刺激統制法」という、科学的な行動変容理論の技法です。
シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法・スマホのゲームアプリはアンインストールする
・漫画は別の部屋へ置く
・テレビには白い布をかぶせる。リモコンを別の部屋に置く
といったように、隠すという行動で(やめたい)行動を統制する、(やめたい)行動が発生しない環境をつくるのです。
あなたの周りには、仕事を邪魔する「モノ」がありませんか?
まずはそれを隠してしまうことが、集中の一番の近道です。
在宅ワークの悩み④ 一人だと頑張りすぎて燃え尽きてしまう
かつて私は「もっと頑張らなきゃダメだ!」という気持ちが強く、休みなくたくさんの仕事をこなし続けて、その結果、体調を崩してしまったことがあります。
バーンアウト、いわゆる「燃え尽き症候群」というものですね。
「一人だから、ついつい頑張りすぎてしまう」
...リモートワークでそんな状態になる人もいるのではないでしょうか?
行動科学では、「毎日の仕事は80%の力で」ということを推奨しています。
つまり、「頑張りすぎない」こと。
お伝えしているさまざまなノウハウも、言ってみれば「頑張りすぎなくてもいい」ための方法です。
100%の力で行う仕事は、そもそも長続きしません。
それよりも、効率を重視し80%の力でも良い結果が出るやり方を採用したほうがいいはずです。
スケジュール通りに進まなくても、仕事の区切りにはいったん休憩が必要。
紅茶やコーヒーでも飲んで自分をいたわる。
オフの日には仕事をせず、オフの1日を充実させる。
これは「オペラント強化」と言われる、行動継続のための科学的手法です。
長く働き続けるために、ずっと健康でいるために、そして仕事で良い結果を出すために、一人のときにも休憩を忘れずに!
在宅ワークの悩み⑤ 時間をもっと有効に使いたい
リモートワークでは、通勤などの時間が短縮できるので、セルフマネジメント次第では、よりさまざまなことをやれるはずです。
趣味、友人・知人とのコミュニケーション、家族との約束事など、ビジネスとしての仕事以外にも、1日のうちにやることはたくさんありますよね。
そこで、仕事以外でも、その日にやることを毎朝TO DOリストに落とすことを習慣にしてしまいましょう。
たとえば、
シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法・8:00から15分間、近所を散歩する
・15:00から10分間、リラックス休憩をとる
・18:00か30分間、自宅で筋トレをする
・20:00から家族と団らんし、今日の出来事を話す
・22:00から自分の時間をつくり、就寝するまで好きなことをして過ごす
など、具体的に時間を決めて、予定として組み込んでしまうのです。
ビジネスは大事。
でも、プライベートだってもちろん大事。
「出社」「退社」という、オン/オフの切り替えのきっかけがない仕事のスタイルでは、ダラダラと仕事に引きずられることを阻止する取り組みが絶対必要!
やりたいことはやって、大切な1日を無駄にしない。
セルフマネジメントでそれを実現させましょう。
リモートワークで「通勤」がなくなったという人も多いでしょう。
通勤時間はもちろん人それぞれですが、その「空いた時間」をあなたならどう使いますか?
私のお勧めは、ずばり「学びの時間」として使うことです。
リモートワークは朝と夕方に学びの時間を確保できるチャンス。
あなたもあなたなりの「これからの自分にとって身につけておきたいこと」を探してみてください。
科学的に有効な行動習慣を知って、シャキッ!と在宅ワークしよう
同書では、在宅ワークがはかどる「時間やストレスのセルフマネジメント」から、仕事を円滑にすすめるための「職場コミュニケーション」まで、科学に基づいた行動習慣が紹介されています。
「自宅だとついだらけてしまう...」「集中力が切れやすい」「リモートでもしっかり成果を出したい」という方でも、行動を少し変えるだけでシャキッ!と在宅ワークにのぞめるはずです。
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