BJ・フォッグ著『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』より

あなたが継続できないのは、行動を引き起こす“3つの要素”を知らないから

仕事
「勉強の習慣を身につけたい」「毎日筋トレを続けたい」

毎年、「今年こそ何かを継続しよう」と思うけれど、上手くいかずに終わってしまう...。

「習慣化できないのは、自分の意思が弱いからだ」と、落ち込んだ経験がある方も多いはず。

しかし、スタンフォード大学行動デザイン研究所所長である、BJ・フォッグ氏は、自身の著書『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』にて、「習慣化できないのはあなたの問題ではない。行動の構成要素を知りアプローチの仕方を変えたら、誰だって続けられる」と断言しています。

20年以上にわたる研究と、指導者としての経験から分かった習慣のコツとは?

一部抜粋してご紹介します。

習慣化できないのは「人格」のせいじゃない

私たちは、生産性の向上、ダイエットや定期的な運動を実現できないと、自分自身に何らかの欠陥があると考える

「自分がもっとちゃんとしていれば失敗しなかったのに」

「計画にきっちり従うか、自分との約束を守るかしていれば、うまくいったはず」

「もっと自分を鼓舞して、次はうまくやらなくては」

そう思うのではないだろうか?

だが、それはちがう。

そうではない。

私たちに欠陥があるわけではない。

まちがっているのは変化に向けた「アプローチ」だ

問題は「設計」の欠陥であって、「人格」の欠陥ではないのだ。

人間の行動を生む3つの要素「MAP」とは

その謎を解くカギとなるのが、「フォッグ行動モデル」だ。

これは人間の行動に関する3つの普遍的要素と、それらの相関性を表したモデルである。

この3つの要素は相互に作用しながら、私たちのあらゆる行動に影響する。

このことは「歯をフロスする」といった小さな行動にも、「フルマラソンを完走する」といった大きな行動にも、同じようにあてはまる。

この行動モデルを理解すれば、ある行動がなぜ起きるのかを分析でき、自分をまちがった理由(とくに性格や自制心など)で責めずにすむようになる

そしてこのモデルは、あなた自身、さらには他者の行動の変化をデザインするためのツールになる。

ある行動が起きるのは、MAP【モチベーション、能力(アビリティ)、きっかけ(プロンプト)】が、一定の条件を満たしたときだ。

「モチベーション」とはどれだけそれをしたいかというあなたの思い、「能力」はその行動に対する自分の能力の高さ(やりやすいか、やりにくいか)、「きっかけ」は行動をうながす何らかの刺激を意味する

具体的に説明しよう。

2010年のある日、私はジムで汗を流しながら(ジャネット・ジャクソンの曲に合わせてマシンのペダルを踏みながら)、心拍数が120を超える状態で、人の役に立つ、いつにない行動を取った。

赤十字に寄付をしたのだ。

それは寄付を呼びかけるテキストメッセージに反応して取った行動だった。

このときの私の行動を分解してみよう。
【行動】テキストメールに反応して赤十字に寄付をした

・モチベーション:地震の犠牲者を支援したかった。

・能力:テキストメールに応答するのは私にとって簡単だった。

・きっかけ:赤十字からのテキストメールに刺激された。

出典 習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

この例では、3つの要素がそろい、私は寄付という行動を取った。

もし3つの要素のうち1つでも不十分だったら、そうしなかった可能性が高い

この行動に対する私の「モチベーション」は高かった。

地震の影響は詳しく報じられ、ひどく胸が痛んでいたからだ。

「能力」についてはどうか?

仮に赤十字が「テキストメール」ではなく、「電話」をかけてきてクレジットカードの番号を教えてくれと依頼していたとしたら?

私はジムで運動中で財布は車に置きっぱなしにしていたので、行動するのはかなり難しかった。

「きっかけ」は?

寄付を募る相手がそもそもスマートフォンという手段を使っていなかったら?

彼らが郵便で寄付を募り、私がいつものダイレクトメールだと思ってゴミ箱に放り込んでいたら?

私は中身を読むことさえなかっただろう。

きっかけがなければ、行動は生まれない

幸いにも、赤十字は私の願いをかなえてくれた。

私にはもともと寄付したいという気持ちがあり、彼らがそれを簡単に実現できる方法を示してくれたのだ。

意識的だったかどうかはともかく、赤十字の担当者たちはうながしたい行動のために、「MAP」を見事にデザインした

MAPを理解して行動するための4つのポイント

3つの要素のダイヤルを調整するための基本原則を理解すれば、あらゆる行動について的確にデザインできるようになる。

(1)モチベーションが高いほど、実行する可能性も高い

ある行動に対してモチベーションが高いとき、人はきっかけさえあれば行動を起こし、難しいこともやってのける

母親が子どもを救うためにクマを撃退したとか、列車が侵入する地下鉄のホームに居合わせた乗客が、線路に転落した見知らぬ人を救出したという話を聞いたことがあるだろう。

危険が迫っているとき、アドレナリンが分泌され、モチベーションが一気に高まる。

そんなとき人は普通ならできないようなこともできてしまう。

モチベーションが中程度のときは、簡単な行動なら実行できる。

(2)実行が難しいほど、実行する可能性も低い

あなたは、いま読んでいる本の表紙を見せてほしいと誰かに頼まれたらどうするだろうか?

おそらくすぐに応じるだろう。

ちょっと読書を中断して手首を返せばすむので、たいした手間ではない。

簡単にできる。

では、その本を最初から最後まで音読してほしいと頼まれたらどうか。

この行動を実行に移すにはかなりのモチベーションが必要だ。

たとえば、目の不自由な人に頼まれたとか、1000ドルの謝礼を提示されたというように。

そんな事情があればモチベーションは高まるかもしれない。

つまり、困難なことを実行するには切実なモチベーションが必要になる

これに関連する法則がある。

もしかすると、それはあなたの人生を変えることになるかもしれない(私の人生は変わった)。

その法則とは、「ある行動の実行が簡単であればあるほど、習慣化する可能性が高まる」というものだ。

これは私たちが「いい」と思う習慣にも、「悪い」と思う習慣にもあてはまる。

どちらであろうと、行動は行動なのだ。

同じ法則が適用できる。

(3)モチベーションと能力は、チームメイトのように協力する

行動には、モチベーションと能力の調整が必要だが、両者はチームメイトのように協力できる

どちらかが弱いときは、もう一方を強くすればいい。

言い換えれば、一方のレベルが、もう一方に求められるレベルを左右するのだ。

モチベーションと能力の補完関係を理解すれば、行動を分析し、デザインする新たなアプローチへの扉が開く。

(4)「きっかけ」がなければ行動は起こらない

きっかけがなければ、モチベーションと能力がどれほど高いレベルにあっても行動は起こらない

きっかけなくして行動はない。

単純にして揺らぐことのない法則だ。

モチベーションと能力は、程度の差こそあれ、つねに存在している

あらゆる行動に対して、あなたはかならず、あるレベルのモチベーションと能力を持っている。

電話が鳴ったとき、それに応答するモチベーションと能力はかならず存在する。

ところが、きっかけは稲妻のようなものだ。

一度現れても、次には消えてしまう

電話の音に気づかなければ、応答することはない。

したがって、きっかけを排除すれば、望まない習慣をやめることができる

「自分や他人の『行動』を変えたい」あなたへ贈る一冊

習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法 
BJ・フォッグ 著/須川綾子 訳(ダイヤモンド社)

習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法  BJ・フォッグ 著/須川綾子 訳(ダイヤモンド社)

同書は、行動を生む3つの要素のメカニズムを始め、それぞれの要素の調整の仕方、小さな習慣を大きく育てる方法、他人の行動を変える方法など、550ページにわたり習慣についてのノウハウが詳しく書かれています。

分かりやすく、どれも今日から実践できることばかり。

読み終わる頃には習慣に対するハードルがぐっと下がったように感じます。

今年こそ何かにチャレンジしてみたい」そんな人たちの背中を押す一冊です。
〈画像提供=Stephanie Weldy〉
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