企業人事がおさえておくべきポイントは?

「企業間のさらけ出しがカギになる」人事のプロが語る“これから時代の本質的な採用活動”

Sponsored株式会社i-plug
仕事
コロナ禍で就活市場にも変化が表れている昨今

SNSを活用したリクルーティング、YouTubeでの情報発信など、企業の新卒採用手法も多岐に渡っています。

企業の人事担当者は“採りたい学生”とどこで出会い、どのようにして自社の魅力を感じてもらえばいいのでしょう?

今回は、新卒オファー型就活サイト「オファーボックス」を運営する株式会社i-plugとの共同企画として開催したライブイベント「“採りたい新卒”のオファー&クロージング術」の様子をお届け。
サイバーエージェント常務執行役員CHOの曽山哲人さん、LINEやZOZOなど自らも数多く転職してきた田端信太郎さん、最近の就活生の動向に詳しいi-plug代表・中野智哉さんら“人事のプロ”をお招きし「これからの採用活動」に勝つためのヒントを探ります。

※ラランド サーヤさんについては当日体調不良により欠席されていたため、事前アンケートのみの参加となります

〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉

就職活動の“早期化”がトレンドに? 学生の価値観が多様化している理由

宮内

宮内

まずは、最近の“就職活動”の特徴についてお伺いしたいです。
中野さん

中野さん

早いうちから企業と出会って自分の道を選択していく「早期化」が一つのトレンドだと思っています。

数年前から、就職活動を始める前にインターンシップに参加するのが当たり前になってますよね。
曽山さん

曽山さん

早くから企業について知ることができるのはポジティブな変化ですし、進路の選択肢も増えます。

多様な選択肢のなかから「自分の価値観にフィットする企業はどこだろう」と考えるようになった結果、“意味のある仕事”や“面白い仕事”に注目が集まっていると思います。
田端さん

田端さん

僕は、就職活動と大学生活を区別する必要はないと思ってるんですよね。
田端さん

田端さん

たとえばメディアの仕事がしたかったら、YouTubeやTwitterで発信することから始めてみればいいし、編集者になりたければ自分でnoteを書いてみるのもいい。

大学の偏差値以外にもアピールできるものが山ほどある時代なんだから、まずは行動できる人が強いですよ。
曽山さん

曽山さん

僕も、履歴書にSNSのURLが書いてあったら必ず開きますね(笑)。
中野さん

中野さん

コロナの影響もあって、周りからの評価だけでなく「自分はこう生きたいんだ」と考える学生が増えたイメージがあります。
学生の価値観がより多様化しているのも最近の傾向だと言えますね。

そう考えると、採りたい新卒にも変化があって…

「働いている社員こそ、一番の採用広告になる」

宮内

宮内

企業が自ら出向いて採用活動をするのは、企業の規模によっては難しいとも思うのですが…
曽山さん

曽山さん

その場合は、自社の若手社員の後輩をたどっていくのが一番いいと思います。

特に中途採用で“リファラル”と呼ばれてますけど、知り合いつながりで信頼関係もあるし、一緒に働く人を紹介することになるので、当然「いい人を紹介しよう」となりますよね。
田端さん

田端さん

結局、働いてる社員が一番の採用広告になるんですよ

お金をかけずに発信できる手段が山ほどあるので、人事担当者だけじゃなくて、経営者自ら情報発信していくのが基本ですよね。
田端さん

田端さん

僕が顧問やアドバイザーをしている企業で「社長がSNSで発信するようになってよかったこと」を聞いてみると、一番多い意見が「採用に効いた」なんですよ。

Twitter経由で応募してきた人って、カルチャーフィットがスムーズにいくらしいんです。
曽山さん

曽山さん

わかります。僕もYouTubeチャンネルを開設してから、面接で「初めて会った気がしないです」って学生に言われることがあるんですよ。

この親近感が作れるYouTubeってすごいなと(笑)。
中野さん

中野さん

オファーボックスのデータを見ても、第一志望の業界以外に決めている学生が70%を超えているんですね。

「どんな人と働くか」「この企業でどう成長できるのか」など、業界単位ではなく企業単位で就職先を選ぶ学生が増えたことの裏付けでもあると思います。

面接時は、質問の数よりも深さを重視して本音を探る

宮内

宮内

選考を通じて着目するポイントについてお答えいただきましたが、実際に限られた面接時間のなかで学生の本音を引き出すにはどうすればいいのでしょうか?
田端さん

田端さん

ベンチャー企業の社長をしている友人が、採用面接を「フォートナイト(複数人でプレイするオンラインバトルロイヤルゲーム)」でやると言っていて。
中野さん

中野さん

いいですね(笑)。
意外に(?)絶賛の嵐でした
田端さん

田端さん

フォートナイトって戦場なので、「猪突猛進タイプだ」とか「慎重タイプだ」とか、すごく人間性が出るんですよ。

1時間Zoomで話すより、1時間フォートナイトしたほうが人間性はわかるよ」と言われて、納得しちゃったんですよね。
曽山さん

曽山さん

性格を見極めるという意味では、いかに学生が想定してない質問をするかを大事にしてます。

「中学の時は何をやっていたの?」と時間軸をずらしたり、「それは誰の影響?」とルーツを深くたどっていくことで、その人なりのコアを見つけやすくなる。

質問の数を打つより、1つの質問を深く掘り下げるほうが好きですね
中野さん

中野さん

今、面接もオンライン化していて、学生のちょっとした動きや反応が見えづらくなってますよね。

だからこそ曽山さんがおっしゃったように、その人を深く探る必要があるんです。
中野さん

中野さん

オファーボックスもプロフィールのなかに、学生が幼少期、中学、高校などで何をやっていたのかを書けるようになってるんです。

人事側も事前にそれを読み込んで、どこを深ぼるのか対策を立ててから面接を進める動きがどんどん加速していますね。
曽山さん

曽山さん

就活生が登録するマイページの情報量が年々増えているのは間違いないですよね。

サイバーエージェントの選考でも「A4サイズで自己紹介シートをつくってください」というお題を出してるんです。
曽山さん

曽山さん

手書きで書いてくる人もいれば写真だけで表現してくる人もいて、制限があるなかで個性が見えてくるんです。

各社、“学生の個性を引き出す仕掛け”を考えてみるといいのかもしれないですよね。

1to1でのコミュニケーションをどう作るかが、採用力につながる

曽山さん

曽山さん

結局、リアリティを感じてもらうしかないので、現場社員に会ってもらうのが一番早いんですよね。

その上で僕は、面談に参加する社員に「全部ぶっちゃけていいよ」と伝えるようにしてます。どれだけ大変なのか、どのくらいの時間働くのか、リアルを全部話してほしいと。
田端さん

田端さん

今の曽山さんの話ってすごく正しくて、企業が正直で誠実で自信があるからできることだと思うんです。

でも、そうじゃないと不健全ですよね。入社後にミスマッチになってすぐ辞めてしまったらお互い不幸になりますし。
曽山さん

曽山さん

自分と向き合ってくれている社員が、採用目標を達成したいのか、私という人間のキャリアをしっかり見てくれてるのか、学生は全部見抜いてますから。
田端さん

田端さん

あと、1to1で話すのも大事ですよね
田端さん

田端さん

先輩社員が数人集まってしまうと、その中で空気を読もうとしてなかなか学生に本音を伝えられなかったりする。

だから僕は、1時間の座談会をするんだったら、20分でもいいから1to1で話す時間を作るべきだと思います。
中野さん

中野さん

オファーボックスも企業からのオファーメールの一斉送信を禁止していて、1人ずつにしか送れない設定になってるんです。

就活のオンライン化が進んで、企業と学生がつながるツールが増えているからこそ、1to1の関係構築に長けた企業は採用もどんどん強くなっていくと思いますね。

これからの採用活動は、人事だけでなく企業全体で力を入れて行うべき

宮内

宮内

最後に、「これからの時代に“本質的な採用活動”をするために企業はどうすればいいか」をみなさんにお伺いしていきたいです。
田端さん

田端さん

手法を考える前に、自分たちの会社がなんのためにあるのかを考えるのが大事じゃないですかね。
曽山さん

曽山さん

まさに。“自分たちはこれを大事にします”という軸を明文化して、ここに共感する人は受けてくださいと企業側から発信していくべきです。

だから採用活動は人事だけでなく企業全体でやった方がいいんです
曽山さん

曽山さん

よく、「採りたい学生とは?」って議論になるんですけど、本来は「自分たちはどういう会社をつくりたいのか」という企業としての軸が先にあるべきなんですよ。

軸がないまま採用活動をしてしまうと、ハイスペック採用に成功しても結局合わなくて辞めていく人が増えてしまう。

企業としての軸を決めて、採用の判断基準を磨いていくことが、企業の競争力に直結すると思います。
中野さん

中野さん

SNSによって情報の垣根がなくなったことで、企業の吸引力で人を呼び寄せるしかない世界にどんどん近づいてると思うんです。

手段を使いこなすよりも、まずは企業の吸引力をどう作るかに時間を割いた方がいいですよね。
田端さん

田端さん

今の日本に一番足りていないのは、本当にやる気を持って取り組める仕事や職場、そう思って働ける社員だと思うんです。

まずは、求職者と求人企業両方がもっと本音で正直にぶつかり合うことからスタートするんじゃないかなと思っています。
曽山さん

曽山さん

これからは、企業間のさらけ出しの競争がどんどん増えると思います。

まだやっていない企業が多い以上、ソーシャルメディアなどを活用して企業の考えをさらけ出せるだけで競争力になるので、どんどん発信するべきですよね。

ぜひ、本音で一緒にさらけ出していきましょう。
中野さん

中野さん

採用ツールの活用法ひとつ取っても、企業のスタンスが見えてきます。

私たちも企業の事例をもとに、よりよい採用の形を作っていく道筋を見つけていけたらいいなと思っています。
採用の手法だけでなく“企業のあり方”も見直す必要があるとの展開になった今回のテーマ。

人事、採用担当者はもちろん、現場で働く社員が自らの会社について考え、話し合う時間をつくることで、よりよい採用活動につながるのかもしれません。

今回は一部内容を抜粋してお届けしていますが、ライブイベントの全編はオファーボックスのHPからご覧いただけます。こちらも合わせてチェックしてみてください。