

日経から新たな取り組みがスタート
地方活性化成功のカギは“量より質”にあり。地方自治体と考えるこれからの地方創生とは?
新R25編集部
働き方が多様化している昨今。「副業に関心がある」「本業以外で自分のキャリアやアイデアを試したい」と考えるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか?
そんな方に向けて日経電子版が新たな”探究の場”を提供するべく開始したのが「Xplorer(エクスプローラー)」プロジェクトです。
4月〜6月の本プロジェクト第1期のテーマは「地方創生」。
全国各地の地方自治体や団体から、今取り組みたい「リアルな課題」を提供いただき、本プロジェクトの参加者がその解決策を探ります。
今回は、本プロジェクトの始動にあたって開催された第1回目のイベント「地方創生で見つける“新しい私”―”コンテンツ”で関係人口を増やす。観光から体験へー」のパネルディスカッションの様子をお届けします。
WeWork Marunouchi Kitaguchi
(左から)静岡市・木下氏、静岡市・松木氏、堺市・羽田氏、ゼロイチ部・澤谷氏、日経・清水氏

日経・清水氏
これは日経が本プロジェクトを開始するきっかけにもなったデータなのですが、2022年以降、首都圏・大都市部への人口集中が加速しています。

日経・清水氏
この状況のなかで日本全体を元気にするためには“地方の活性化”が重要になると考えています。
とはいえ、大都市に住んでいる方がいきなり「移住」や「定住」という選択肢をとるのは現実的ではないですよね。
そこで注目しているのが、「関係人口」という考え方です。
関係人口とは
移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと。

日経・清水氏
今回はみなさんと、「そもそも関係人口をなぜ増やす必要があるのか?」「どう増やしていけばいいのか?」についてお話ししていきたいと思ってます。
「関係人口」を増やす意義はどこにある?

静岡市・松木氏
今までの地方自治体のビジネススキームは基本的に、人口を増やして税収を増やし、その税収で質のいい公共サービスを提供していくところにありました。
ただ一方で、税収が減ったことで今までのようにサービスを提供できなくなるという課題があります。
そこで、減っていく人口を奪い合うのではなく、新しく関わっていく人を増やしていくという考え方が関係人口だと思ってます。

堺市・羽田氏
まさに、税収は減り自治体の社会課題は増加しているというのが現状だと感じています。
WeWork Marunouchi Kitaguchi

堺市・羽田氏
人口を増やすことによる解決策ではなく、堺市に関わってもらう人を増やすことで、企業や個人のスキルを活用してもらい、行政課題を解決していくのが重要なポイントですね。

静岡市・松木氏
最近は生き方や暮らし方が多様化し、情報も流動化しているなかで、住む場所が一つという考えもなくなってきていますよね。
「仕事は東京だけど静岡で活動してくれる」「休日は静岡に遊びにきてくれる」という人を増やすことで、税収をあげて公共サービスを提供するのではなく、一緒にまちづくりすることによってサービスを提供していきたいと考えています。

日経・清水氏
ただ、“関係人口を増やすだけ”でも課題の解決にはつながらないのかなと思うのですが、このあたりはいかがですか?

静岡市・松木氏
関係人口の先には活動人口がありますよね。
新たに県外から来てくれた方が活動してくれるのはもちろん、今住んでいる方が新たに来た方から刺激をうけてアクティブになるというパターンもあると思います。
WeWork Marunouchi Kitaguchi

静岡市・松木氏
「関係人口」や「活動人口」を増やす努力も大切ですが、やはり「自分たちのまちは自分たちで作っていく」という当事者意識のある方が増えていかないと、本質的にはうまくいかないですよね。
県外から来ていただくことでまち全体の新陳代謝を活性化させていきたいです。

堺市・羽田氏
「人口」も「関係人口」も増やすだけでは意味がなくて、そこから行政サービスや新たな取り組みが生まれることではじめて意義のあるものになります。
「人口=税収」になるので成果は見えやすいですが、KPIありきになって目的を見失わないようにしないといけないですね。
“量”ではなく“質”にこだわることで手段を目的にしないことが重要

日経・清水氏
「関係人口」は量ではなく質にこだわることが重要だと思います。
ただ、「関係人口になりたい」と思ってプロジェクトに参加しても、参加者の努力だけでは盛り上がらないイメージもありますよね。

ゼロイチ部・澤谷氏
僕はぶっちゃけ、本当にそのまちの課題を解決しようとしたらやっぱり住まないと難しいと思ってしまうんですよね。
数回通うだけではよそ者感を感じてしまうし、移住となっても受け入れてもらえるまでに時間がかかるし「このまち、そこまで愛せなくない!?」みたいな(笑)。
WeWork Marunouchi Kitaguchi

堺市・羽田氏
やっぱり、まち全体で受け入れたり引っ張り込んだりするムーブメントは必要ですよね。
ただ、その土壌を整備していくのは行政の役割だと思っています。

静岡市・松木氏
それでいうと、自治体側から“余白を作る”ことを考えるべきだと思いました。
参加できる余白を作らないと「やれることないじゃん」となってしまうので、市民にとっても、新たに来た方にとってもいいプロジェクトになるものを設計するのが僕らの仕事ですね。

堺市・羽田氏
あと、行政って課題を見せること自体が苦手ですよね。
地方創生って「堺市ってこんな魅力があるんですよ!来てください!」とPRして人を集めるので、弱みを伝える機会もなかなかないのかなと。
WeWork Marunouchi Kitaguchi

堺市・羽田氏
なので、まずは弱みも含めた地方の魅力を発信していくことが大事だと思いました。

ゼロイチ部・澤谷氏
でも意外と、地元の人が課題だと思っていたことが東京の人には新鮮で魅力に映るっていうのはありますよね。

日経・清水氏
実際、最近も商品やサービスの作っていく過程を発信することで共感を生んだりファンを増やしていく“プロセスエコノミー”がトレンドになってますよね。

静岡市・松木氏
僕ら自身も市民の方ともっとコミュニケーションをとれることもあるので、中での交流を活発にして課題を見つけていくことと、それを発信することの両軸での動きが必要になるのかもしれないですね。
そんな静岡市が「関係人口」を増やすためのトライアルとして今回用意しているのが下記のプロジェクト。
どちらもあなたの提案次第によっては、自分のアイデアで地方創生につなげる大きなビジネスが生まれる可能性も!?
プログラムやスケジュール、各プロジェクトへの募集などはGooglechatコミュニティで行うそうなので、気になった方はまずはこちらから参加申し込み(無料)をしてみてください。
第2回は本日4月27日 (木)18:30~19:30で開催!
第2回のイベントテーマは「都市と地域“二拠点で働く”という選択肢」。
今回も、第1回とは異なる自治体から課題解決のためのプロジェクトが発表される予定です。
「自分の力を本業以外で試したい」「スキルアップのきっかけにしたい」という方はぜひ、「Xplorer」に参加して、実務を通してビジネスパーソンとしての力をつけてみませんか?

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