ビジネスパーソンインタビュー
上岡正明著『株メンタル:トップ3%投資家の最強ソリューション』より
資産5億円の投資家「お金に執着する人は向かない。投資は損を回避しようとすればするほど損をする」
新R25編集部
最近、NISAやiDeCoといった資産運用や株式投資をするべきだといった声をよく耳にします。
しかし、「興味はあるけど手を出せない」「損してしまわないか心配」といった不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回は、個人投資家として活動しながら登録者数20万人越えのYouTubeチャンネルを運営している上岡正明さんの著書『株メンタル:トップ3%投資家の最強ソリューション』(東洋経済新報社)より、投資の向き不向きやポイントを紹介。
知らずに投資や資産運用をしてしまうと、危機に直面した時に損してしまうかもしれません…。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・投資や資産運用に興味がある人
・投資や資産運用をすでに行っている人
・損したくない人
お金への執着が強い人は、投資に向いていない
意外に思えるかもしれませんが、お金に執着がありすぎる人は投資に向いていません。
お金に執着がある人というのは、「損失回避性バイアス」に心をとらわれやすく、自分のミスを認めることができない人です。
投資を続けていればミスや損することは、絶対に避けて通れません。
プロの機関投資家でも、負け続けることがあるわけです。
お金に執着しすぎる人は、こうしたとき、自分の負けを認めないどころか、塩漬け銘柄を手放せなくなったりします。
あるいは、損したくないという強い強迫観念から、リスクを取るべきタイミングで現金を出動できなかったりしてしまいます。
しかし、株式投資もビジネスです。
リスクを負わなければ、利益を得ることができません。
たとえば、私のように会社経営をしていると「損して得取れ」というシーンが何度も出てきます。
新入社員を採用するのも、最初は損からスタートです。
オフィスの移転や、新しいパソコンの購入もです。
それらを資産として手に入れることで、キャッシュフローは一時的にマイナスになります。
しかし、そこから将来得られるリターンが大きくなることを期待して、投資を続けます。
つまり、将来のリターンと期待値(これをリスクプレミアムと言います)を計算して、現在の損をぐっと我慢するわけです。
損を回避しようとすればするほど損をする
では、先ほどの損失回避性バイアスとは何なのでしょうか?
損失回避性バイアスは、行動ファイナンスの中で最も有名な理論の1つです。
人は損をすることを異常に嫌う、という心理を説明したものです。
損することが好きな人など、この世の中にはほとんどいません。
その結果、利益が出ている局面では確実に利益を積み上げていくことを好み、損失が出ている局面ではロスカットを遠ざけたり、逆にナンピンなど大きな賭けに出ようとする傾向が強くなります。
たとえば、順調なうちは堅実に小さく投資をして、着実に利益を積み上げていたとします。
しかし、一度大きく損をしてしまうと、その損失を取り戻そうと、普段慎重な人でも信じられないような大胆な行動で一か八かの賭けに出やすくなります。
損失回避性バイアスは、損をすることを回避しようとする人間の心理が、かえって不合理な行動を招いてしまうことを説いています。
株を買ったら、その後で上がるか下がるかは誰にもわかりません。
そうすると、2つの矛盾した気持ちが心の中に芽生えます。
1つは、上がるかもしれないといった期待です。
もう1つは、今売らないとさらに下がるかもしれないという不安です。
このとき、損失回避性バイアスが働くと、結果的には、このまま上がるかもしれないという期待感より、売らないと下がって損をしてしまうかもしれないという不安感のほうが大きくなる傾向が強いわけです。
そこで、いったん売って早めに利益確定しようという行動に出やすくなります。
逆に利益確定せずに下がると、あのときに売っていればよかったという損失回避性バイアスに、再び私たちは苦しめられます。
投資とはつまり、この繰り返しなわけです。
損小利大。
これは投資家が勝つためのルールのようなものです。
損をできるだけ小さくして、利益を拡大することを追求するべきですが、9割の投資家が残念ながらその逆をしてしまいます。
この原因こそ、損失回避性バイアスにあるわけです。
いつか下げ止まると思って様子を見ていると、そのうちにもっと悪材料が出て下がり始める。
そのとき、ロスカットできずに塩漬けにしてしまうのは、あなたの意識力の問題ではなく、損を確定するダメージが利益のそれを上回っているからに他ならないのです。
株に向いているのは、ギャンブルに興味がない人
株メンタル:トップ3%投資家の最強ソリューションあなたは賭け事に興味がありますか?
これは、ある大学の研究で実際に出された質問です。
その研究の結果、ギャンブルにあまり興味がない人のほうが、株式投資に向いていることがわかっています。
意外と思われるかもしれません。
しかし、つい熱くなって財産をつぎ込む、という行為の本質的な部分には人間の怒りがあります。
自分を思いどおりにコントロールできない怒りを、目の前のギャンブルにぶつけている行為に過ぎないのです。
実際、株式投資では自分のアンガーマネジメントができずに、感情をコントロールできない投資家は、資産を失う可能性が高いです。
一番やってはいけないことは、怒りに任せてルールを無視することです。
逆に、自分で決めたルールに対して、怒りから距離を置いて冷静に対処できる人は株式投資に向いていると思います。
繰り返しになりますが、投資というのはその人の性格によって向き不向きが明確に出るのです。
また、疑り深い人、慎重な人も一部で投資には向いていると思います。
逆を言えば、深く物事を考えない軽率な人は、投資には向いていません。
ちなみに、ここで言う慎重と臆病は違います。
すぐに決断せず、自分で調べたり、腑に落ちるまでプランを練る人です。
あれこれやってみて、自分なりに納得できるやり方を見つけていく。
そうした人は、自分の性格や相性の良し悪しというものを熟知しています。
いろいろと本やネットでデータを集めても、全部を鵜呑みにせず、まず「自分に合うか合わないか」を判断するわけです。
「それは、本当に自分にとって得意なことか」「他人にできても、自分にできるか」そうした客観的な思考ができます。
このように、物事を判断するときは、人の言うことを簡単に信じてしまうのではなく、一度自分なりに調べたりする癖をつけてください。
それによって、絶好の買いタイミングが過ぎてしまうと考える人もいるかもしれません。
しかし、相場はあなたから逃げたりしません。
5年後も10年後も変わらずあなたの前にあり続けます。
むしろ、ここで気持ちをぐっと落ち着かせて、自分で新しい知識を得たことが、あとから血肉となって勝てる投資家への土台になります。
YouTubeやTwitterなどSNSの情報も同じです。
見て、触って、考えて、自分なりに結論を出す──このプロセスこそが非常に重要になります。
経験は急いで積まなければならない
株式投資は、天井近くまで激しく上昇した後が一番危険です。
一気に急落したときには、誰もが先を争うように「売り」を求めるからです。
最悪の場合、買い手がつかずにどんどん値が下がっていきます。
そうしたパニック売りになる前に、賢い投資家たちは安全なタイミングで売り抜けています。
株価が高くなってから参入する人は、そうした裏のカラクリまで、十分知る必要があるわけです。
賢い投資家の最後の仕事は、愚かな投資家に「自分の持ち物を高く売りつけること」と知っておくべきでしょう。
そのタイミングこそが、愚かな投資家が一番興味をそそられ、欲望を強く示すときだと知っているからです。
他人の情報や真似事だけで投資をすると、結局このラットレースにはまってしまいます。
いつまでも不利な条件で、相手から買わされる側になるわけです。
一度や二度運良くうまくいったとして、自分の頭で考えられない人、思考停止の人というのは、いつかは賢い投資家にカモられてしまいます。
だから、自分の頭で考えて成功することが重要なわけです。
そのための経験を急いで積まないと、投資では絶対に継続的にうまくいきません。
私はセミナーなどで「愚か者が最後にババを引く行為」という辛辣な言葉で、よく紹介しています。
辛辣な言葉ですが、それぐらいのメッセージで伝えないと、個人投資家はなかなか行動が変わらないのです。
資産5億円まで上り詰めた成功の秘訣
投資歴23年で5億円の資産を築いた上岡さん。
しかし、その道のりは最初から順調だったわけではありませんでした。
同書は、そんな上岡さんの研究やアドバイスが詰まった集大成です。
投資や資産運用の初心者の方はもちろん、経験者にとっても価値のある一冊になること間違いなし。
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