ビジネスパーソンインタビュー
いしかわゆき著『ポンコツなわたしで、生きていく。』より
「嫌われたくない」と思う人ほど嫌われる。社会人が陥りがちな“人付き合い” の勘違い3つ
新R25編集部
大人になってからできた友達や、会社での人間関係…
学生の頃よりも自由な人付き合いができるようになったとはいえ、人間関係の悩みはつきませんよね。
フリーライターのいしかわゆきさんも、「友達ができにくい」「八方美人になってしまう」などの理由から、人間関係を窮屈に感じていた一人。
しかし、「こうでなくてはいけない」と思い込んでいたルールから解き放たれたことで、人付き合いがラクになったのだとか。
いしかわさんの新著『ポンコツなわたしで、生きていく。』より、社会人が陥りがちな人間関係を良好にするようで逆に窮屈にする3つの勘違いを抜粋してお届けします。
人間関係の勘違い① すべての人に好かれようとする
ポンコツなわたしで、生きていく。
学生時代、わたしたちは「クラス」という名の小さな箱のなかに閉じ込められて過ごします。
1日の大半をそこで過ごす「教室」というのは当時の人生のすべてで、社会の縮図のような場所。
わたしも中学、高校、大学と、我ながら「八方美人」として過ごしてきました。
頼まれごとも断らず、中学時代は隣の男子のパシリとしてなぜかそいつの本をロッカーにぶち込まれたり、宿題をやらされたりしても嫌な顔をせずにこなし、クラスのボス的な女の子に嫌がらせをされたときもヘラヘラとしてやり過ごしていました。
諦めていたんです。
そんな教室から逃れて入学した大学でも、「八方美人」の仮面は剥がせませんでした。
わたしはバンドサークルに所属していたのですが、そこではライブのたびに「会議」が開かれ、「ボーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」「キーボード」と、パーティを組むようにメンバーを集めるしきたりでした。
そこで選ばれるのは、何もスキルを持っている人だけではありません。
人望のある人や、好かれている人はバンドに誘われやすいです。
しかも、名目上「会議」があるとはいえ、大抵「次はこのバンドをやろう」という話が出るのはプライベートな飲み会であることが多い。
だからこそ、「絶対にあぶれたくない」と思い、すべての集まりに顔を出すようにしていました。
それが、学年が上がるにつれてだんだんどうでもよくなってきて、好きな人としかバンドを組まなくなっていきました。
社会人になってからは無理して飲み会に顔を出すこともなくなり、今では仲のいい友だち数人にしか会っていません。
「嫌われてもいい」と思っているほうが好かれる。
これが、長年「八方美人」をやってきたわたしがたどり着いた答えです。
もし、本当に心から誰かと仲良くなりたいと思うのなら、「嫌われたくない」という気持ちは一度捨てて、変に取り繕わずに話してみるといいんじゃないかな。
「好かれようとしない」とまずは決めてみると、ありのままの自分で向き合うことができます。
ありのままの自分で築いた人間関係は、きっと心地いいはず。
人間関係の勘違い② 友だちは多いほうがいい
ポンコツなわたしで、生きていく。
「友だちがいないんだよね」
そう友だちに相談されて、「じゃああなたの目の前にいるわたしは何なんや」と毒づきたくなったことがありますが、友だちがいないことに悩むのは、明らかに小学生のときに教えられた「友だち100人できるかな?」による刷り込みの影響だと思っています。
「友だち100人できるかな」なんてプレッシャーをかけられた挙句「友だちの数が少ないわたしは変なのかな」「結婚式に呼べる人がいない」「お葬式に誰も来てくれないかもしれない」という杞憂が生まれていく。
ちゃんと教科書に書いておいてほしいです。
「友だちは量より質だよ」って。
わたしには小学生のころからの親友がいますが、彼女の友だちはわたしひとりです。
「結婚式を挙げるとしたら、家族とあなただけを呼ぶ予定」だと昔から言われています。
わたしだけが友だちなのに、会う頻度は月に一度だけ。
じゃあそれ以外の時間を彼女はどのように過ごしているのだろう…と思うかもしれませんが、おそらくみなさんが想像するよりもめちゃくちゃ充実したハッピーライフを送っています。
仕事から帰ってきたら家族とごはんを食べて、好きな番組を観たり、マンガを読んだりする。
週末は趣味の茶道や乗馬、着付けを楽しみ、家族旅行に出かけたりして、パートナーにすら「もっと会う時間がほしい!」なんて言われているぐらい充実しているんです。
わたしはもともと「友だち100人できるかな」に洗脳されていた身だったので、大学生のときは頻繁に飲み会に顔を出したり、イベントに参加したりしていましたが、結局今でも会うのは2、3人ほど。
入学する、就職する、転職する、結婚する、出産する。
ライフステージによって付き合う友だちが変わるのは当たり前のことだし、疎遠になっていくのを無理につなぎ止めようとも思わなくなりました。
友だちは、ひとりいればいい。
そのぐらいの気持ちでいいんじゃないでしょうか。
誰かと関わることで不幸になったり、心地よさを奪われたりすると感じるくらいなら、ひとりで生きるのだってひとつの道です。
ひとりでは何も楽しめない人だってたくさんいるのだから、ひとりで何でも楽しめるって実はすごいことなんです。
人間関係の勘違い③ 今いる環境の人とうまくやろうとする
ポンコツなわたしで、生きていく。
先日、尊敬している経営者の人と「自己肯定感」について話すことがありました。
その人は「成功体験を積み重ねたから」「困難を乗り越えてきた経験があるから」と言っていましたが、わたし自身には大した成功体験も、困難を乗り越えた経験もありません。
ただ、ひとつ言えるとしたら、「あらゆる負の要素を排除してきた」ゆえの自己肯定感の高さがあるのだと思います。
これは、誰にでもできる簡単な自己肯定感の上げ方。
ポンコツなわたしで、生きていく。・自分のことを攻撃してくる人とは関わらない。
・自分の力が活かせない場所には行かない。
・自分のコンプレックスが浮き彫りになる状況をつくらない。
自分だけの小さな国を作っていくイメージです。
世の中には「勘違いブス」という言葉があります。
要するに、「自分のことを美人だと勘違いしているブス」のことなのですが、わたしは「ただのブスでいるよりも、勘違いブスになったほうがいい」と思っています。
一般的な「美人」の概念には当てはまらなかったとしても、自分で自分のことを美人だと思っていたら、嘘だとしてもハッピーな気持ちで毎日が過ごせますよね。
わたし自身も、自分の顔面は美人ではないと断言できますが、悲観的になったことはありません。
それは「可愛いね!」と言ってくれる人か、容姿で人をジャッジしない人としか一緒にいないからです。
ほんの少し前まで、「まわりの人を選ぶ」という感覚が自分にはありませんでした。
その環境にいる人たちと当たり前のように仲良くするのが普通であって、選ぶ権利などないと思っていたからです。
でも、私たちは関わる人たちを選べる。
だったら、好きな人だけを集めて自分だけの王国を築いていこうじゃないか。
そうやって好きな人とだけ暮らしていくと、自己肯定感は下がりません。
だってあなたの王国に住んでいる人たちは、「あなたが生きているだけでいい」と言ってくれるはずだから。
心地よい生き方を考えるエッセイ
働き方や人付き合いの方法も多様になってきている昨今。
我慢して不得意な環境に身を置かなくても、得意なことを発揮できる環境はきっとあるはずです。
「今の環境にハマっていない」と感じる人は、環境を変えることで“心地よい生き方”を掴んだいしかわさんのエッセイを読んで、新しい選択肢を増やしてみては?
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