ビジネスパーソンインタビュー

「狙い目の業界はどこですか?」ではうまくいかない。起業はこの5ステップで思考せよ

守屋実著『起業は意志が10割』より

「狙い目の業界はどこですか?」ではうまくいかない。起業はこの5ステップで思考せよ

新R25編集部

2021/05/19

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2020年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、日常が一変しました。

先行きが不透明になったことで新たなチャレンジに慎重になる人もいるなか、これまでラクスル・ケアプロなど50以上の新規事業を手掛けてきた新規事業家・守屋実さんは、「既成の価値観が覆る今こそ、“新たな事業の力”が必要だ」と言います。

守屋さんが先が見えにくい現代において「商機あふれる時代」と言う理由とは、一体なんなのでしょうか...?

著書『起業は意志が10割』より、大きな変革が求められる時代の「起業のポイント」を抜粋してお届けします。

起業に大事な「イシ・コト・ヒト・カネ」5つのステップ

「起業に大事なポイント」に挙げたいのが、「イシ・コト・ヒト・カネ」である。

「イシ」は、「自らの意志」である。

これがなければ始まらない。

挑戦したいというあなたの熱量が原動力だからだ。

では、「コト・ヒト・カネ」とは何か。

起業するには、「ヒト・モノ・カネ」が必要だとよくいわれる。

確かに、その通りだ。

ただ、「ヒト・モノ・カネ」は、僕にとってはシックリこない。

昔はモノを持っている人が強かった

しかし、今はモノが余っている。

だからモノではなく、むしろコト(事業の構想)を持っているほうが重要なのである。

そうした考えから、「コト(事業の構想)、ヒト(仲間)、カネ(資金)」という言葉を選んでいる。

これらを合わせた言葉が、「イシ・コト・ヒト・カネ」だ。

なお、踏まえておいてほしいのが、コト・ヒト・カネがないからといって起業を諦める必要はないということだ。

また、コト・ヒト・カネが十分得られてから起業しようという考えも間違っている。

さらにいうと、コト・ヒト・カネがあるから事業が成功するというわけでもない。

コト・ヒト・カネは必要に応じて、集まって(集めて)くるものだし、段階によってその必要性は変わってくる。

必要となる順番や必要の度合いは、時間とともに変化するものだし、その変化に応じたロジスティック、つまり適切な補充や配分こそが大事なのである

では、企業の成長段階に応じて必要となる「イシ・コト・ヒト・カネ」を5つのステップで紹介していく。

起業は意志が10割

【ステップ1】イシ10割

「起業は意志が10割」だ。

起業や新規事業は、あなたが手掛ける以上、「あなたの意志」がなければ何も動かない

逆にいえば、意志がないのに事業を始めてはならない。

起点は常に、「挑戦したい」というあなたの「熱量」なのである。

粗削りであってもいいし、正解がわかっていなくてもいい。

そんなことよりも、自ら沸き起こる想いがあれば、それが着手の号砲となる。

人は心が原動力。

挑戦したいという熱量がすべてを決める

起業を目指す人からよくされる質問が、

オススメの事業はありますか?

狙い目の業界はどこですか?

というものだ。

まだリアルでたくさんのセミナーをしていた頃は、同様の質問を降壇後の名刺交換の場で、たびたび尋ねられた。

「何をなし得たいのか」「どのような課題を解決したいのか」という「自らの意志」よりも先に、「何かいいネタはないか?」と尋ねてしまう

それではうまくいかない。

根がはっていない木は、枝や葉を茂らそうとしても、風によって倒れてしまう。

あなたがなし得たいことはどんなことなのか?

強い意志を持って、一歩を踏み出してほしい。

【ステップ2】イシ5割+コト5割

この段階では、意志さえあればそれでいい(イシ10割)から、その意志は何なのか(イシ5割+コト5割)へとステップを進めるということである。

意志10割で「やるぞっ!」と思っても、もう少し具体的にしていかなければ周りの人に共感してもらえない。

たとえば、「僕は世界を平和にしたいんだ!」と訴えても、周囲は「へぇー、大事なことだよね」で終わってしまう。

「どうやって世界の平和を実現するのか」という青写真、つまり世界平和のための具体的な作戦や手順、体制案が必要なのである。

【ステップ3】イシ4割+コト3割+ヒト3割

事業の構想をきちんと伝えていくと、必ず共感する仲間が現れる。

逆に、仲間が増えていかないということは、あなたがきちんと構想を伝えられていないということだ

この時、「構想を語る桁」を間違えてはいけない。

2〜3人に話してダメだったというレベルではまったく足りていない。

あなたの意志が続く限り100人でも200人でも語り続けることが大事だ

語ったら語った分だけ、コトが具体化されていく。

そして、その中で、必ず仲間が現れる。

一人でできることは限られている

仲間が現れることで、できることが何倍にも広がっていく。

たった一人でも仲間ができると、自分だけでやってきた時とはガラリと景色が変わる

【ステップ4】イシ3割+コト3割+ヒト3割+カネ1割

この段階になると、事業の確度が高まり、それを加速させる仲間も集まってくるようになる。

成長期の入り口が見え始めるのだ。

だからこそ、そのスピードを減速させないための十分な資金が必要となるのだ。

とはいえ、「自らの意志」や「事業の構想」「共感した仲間」のほうが先行的に重要だという大前提は忘れずにいてほしい。

「自らの意志」「事業の構想」「共感した仲間」があって初めて、調達した資金を額面以上に活かしていくことができるからだ。

致命的に大事な「カネ」の割合を1割としているのは、その思いを込めている。

【ステップ5】イシ3割+コト2割+ヒト3割+カネ2割

この段階では、コトを「構想」と「具体」の2つに分けて考える必要が出てくる

事業の構想が現実化され、具体的な成果となって現れ始めている段階だからだ。

顧客価値の力強さ」「秀逸なマネタイズ」「確かなオペレーション」などが日を追うごとに増していく。

あわせて、ヒトも「共感」「生活」の2つに分けて考える必要が出てくる。

「共感」とは、事業に賛同し、我が事として邁進してくれる仲間

「生活」とは、賃金を得るために働く仲間のことだ

関わる人が増えていくので、カネの割合も2割とやや上がっていく。

この段階では、いわば成長期のような「成長痛」が始まる時期でもある。

その「成長痛」の最たるものが、「イシ」の部分に現れる。

「自らの意志」から「自らの意志+組織の意志」に大きく進化するタイミングなのだ。

スタート時は、あくまで個人の意志だったものが、企業として成長し、関わる人が増えていくと組織としての意志も重要になっていくのだ。

社長の意志はもちろん大切だが、一人で突っ走りすぎると他のメンバーがついてこられず、組織としてうまく機能しなくなってしまう。

一人の意志を組織の意志にしていくことが、このタイミングでは重要なのだ。

これが、その企業らしい組織文化を育むことにつながっていく。

5つのステップを説明したが、改めて僕が伝えたいのは、意志が大事ということだ。

起業はうまくいかないことの連続だ。

狙いを定めたサービスが転ぶかもしれないし、信頼していた仲間が離れていくようなこともある。

それを乗り越えていくには、自らの意志しかない。

絶対に忘れないでほしいのは、マスターリソースである「意志」からスタートするということだ。

『起業は意志が10割』は、起業のプロによる新規事業のバイブル

「信念を持って課題解決に挑む人が混沌の中で未来を拓く」

そんな力強いメッセージから始まる守屋さんの著書『起業は意志が10割』では、起業のプロだからこそわかる、実践的な「起業・新規事業の成功法」が紹介されています。

これから起業を考えている方はもちろん、企業で新規事業を興そうとしている方にとってのバイブルになる一冊です。

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