ビジネスパーソンインタビュー
やしろあずき著『人生から「逃げる」コマンドを封印している人へ』より
「不真面目」こそ幸せに生きる第一歩。やしろあずきが“自分ファーストで生きろ”と話す理由
新R25編集部
「この仕事向いていないかも…」
「定時退社をしたいけれど、周りの目が気になってできない」
そんなふうに、仕事や環境、人間関係などから「離れたい」と感じたことはありませんか?
WEB漫画家・やしろあずきさんは、自身の著書『人生から「逃げる」コマンドを封印している人へ』で、「“自分ファースト”で生きよう。自分に向いていないことをできるだけ回避して突き詰めていった結果、仕事もプライベートも順調に進むようになった」と話しています。
苦手なことから逃げつつも、いろんなことに挑戦し「自分には何ができるのか」を、考えることによって、本当に向いていることが見つけられる確率も上がるのだそう。
やしろさんが言う“自分ファースト”とは一体何か。心がふっと軽くなる生き方のヒントを、抜粋してご紹介します!
「自分ファースト」で生きよう
今の世の中、もう少し「自分ファースト」で考えてもいいんじゃないかなと僕は思っています。
どういうことかと言うと、何に対しても真面目に真面目に考えて他人を優先して動いてその結果、自分を壊してしまうのであれば、時には不真面目にサボってガス抜きをすることも必要だなと。
サラリーマンで言うとちょっとトイレで仮眠したりとか、外回りで少しカフェに寄ったりとか、そういうので良いと思うのです。
本当に真面目な人って、マジで仕事中に全くサボらないんですよね。
サボるどころか、お昼休憩も仕事してたり、毎朝誰よりも早く会社に来て誰よりも遅く退社したり...。
もちろん、それが悪いことだと言っているわけではないです。それが本当にその人のやりたいことなのであれば。
ただ、そういった働き方をしていると、必ずいつかどこかで綻びが生じてしまうと思うんです。
少しのミスをとても気に病んでしまって、会社に来ることができなくなったり、自分がやっているからと周りにも同じことを要求してしまい、社内での関係性を悪化させてしまったりと、様々な形で無理をした反動が出てしまいます。
そんなことになってしまう前に、ぜひ真面目に「不真面目」について考えてみてはいかがでしょうか。
僕なんかで言うと、10分だけ息抜きでゲームするつもりが気づけば3時間経っていたり、5分だけ仮眠をとろうとしたら7時間のバッチバチの本睡眠をとっていたりしていますが、ここは真似しないでください。
また、締め切りを完全に過ぎているにもかかわらず、原稿そっちのけでサバゲに行ったりゲーセンに行きまくったりもしていますが、本当に真似しないでください。
編集さん、本当にすみませんでした。
そもそも、逃げることは「悪」ではない
これは僕が中学生だった頃の話ですが、当時から絵を描くのが好きだったので、美術クラブに入っていたんです。
ただ、その美術クラブはめちゃくちゃ真面目な感じで、「よ~し!みんなで楽しくお絵描きするぞ~!」とワクワクして入った僕からすると、マジで全然楽しくなかったんですよね。マジで。
あまりにも楽しくなかったので、辞めたいという相談を母にすると、すぐに「じゃあすぐに辞めな」と言ってくれたんです。
普通こういう時の親って、「せっかく入ったんだからもう少し続けなさい」みたいに言いそうじゃないですか。
辞めたい張本人の僕でさえ「辞めたいけど、こんなにすぐに辞めたら周りから逃げてばかりだと思われそう...」と悩んでいたんですが、「別にその世界がすべてじゃないんだから、辞めな」と背中を押してくれました。
「逃げることは悪じゃない」
母からのこの言葉は僕にとって「本当に嫌なことからは逃げてもいいんだ」と当たり前のことに気付かせてくれた大切な言葉になりました。 働いていた会社も2回辞めたし。
なので、僕の脳内にはいつもゲームでいう「逃げる」コマンドが選択肢として存在していて、「本当に嫌になったら逃げればいいや」と、その存在が精神的な支えになっているんですが、今の世の中、そもそも「逃げる」コマンド自体が脳内に存在していない人がかなり多いと思うんです。
多分、そういう人ってかなり真面目な人で、例えば会社を辞めたいと思っても、
「自分が辞めたら周りに迷惑がかかっちゃうし...」とか「そもそも上司に言い辛い」みたいにズルズル働いて、最終的には精神的に大きな傷を負ってしまうことになりかねないんですよね。
嫌だったら即辞めろ(逃げろ)、というわけじゃなく、しっかりと考えて別の選択肢を出したうえで辞めたほうがいいとは思うんですが、マジでヤバいクソオブザクソブラック企業だとほかの選択肢を考える事もできないほど追い詰められたりするので、そういう場合は何も考えず辞めるのが正解だと思います。
「逃げることは悪ではない」という言葉を、この本を読んでくれている皆さんには忘れないでいただきたいですね。
「仕事を頑張る」と「自分のスキルを磨く」は必ずしもイコールではない
「会社が命!会社のために自分のすべてを捧げる!」
なんていう人は、今の時代かなり少なくはなりましたが、ブラックな企業で働いているうちに、いつの間にかそういうマインドになってしまっている...という方は結構多いように感じます。
いや、もちろん本当に会社が好きで、心から仕事を楽しんでいるのであれば全く問題はありません。
そういった人はなぜ自分が今の会社が好きで、心から仕事を楽しんでいるのかを冷静に分析できている人が多いですし、自分に何を求められていて、どんなスキルを磨けば良いかを理解しているので、いざその仕事を辞めてもいくらでも次が見つかります。
ただ、潰しの利かないスキルや知識しか身につけていないと、いざ会社から切られてしまった場合、本当に漫画のようになってしまいかねません。
仕事を頑張りすぎることと、自分のスキルを磨くことは、必ずしもイコールではないので、今一度自分の仕事を振り返ってみるのも良いかもしれませんね。
ちなみに、僕は定時退社を頑張りすぎてよく怒られていました。
当たり前ですけど、自分の人生は自分のものだし、会社で働くというのはその人生の一つの選択肢に過ぎないということを忘れないようにしてほしいな、と思います。
僕は「帰って家で漫画を描く」という、自分のやりたいことをするために定時退社を頑張っていました。
こういった「やりたいこと」を自分のために優先してあげることが、後々に新しいスキルなんかに繋がっていくこともあるので、新しい自分を見つけるという意味でもオススメです。
せっかくの自分の大切な人生ですから、会社ではなく全部自分のために捧げた方が絶対良いと思いません?僕はそう思います。
とりあえず明日、ちいさいことで大丈夫です。自分のやりたいこと、何か一つやってしまいましょう。
「辛くない努力」を見つけよう
努力って難しいですよね。
「頑張らなきゃ」と思った時点で、その努力は「辛い努力」になってしまうんじゃないかと個人的に思っています。
僕も昔から努力することがめちゃくちゃ苦手な人間でした。
なので「努力なんかしないで好きなことだけして生きるぞ!」と思い、毎日仕事終わりに好きな漫画を描いていたところ、知人から「よくそんなに努力できるね」と言われてハッと気づいたんですね。
自分としてはただただ好きなことをやっていただけなのに、それが知らず知らずのうちに努力に繋がっていたんだな…と。
もちろん「辛い努力」を否定しているわけではありません。世の中には「辛い努力」が必要な時の方が圧倒的に多いのも理解しています。
とはいっても、こうして好きなことを楽しく続けていくうちに、「あれ、これで食っていけるんじゃね?お金稼げるんじゃね?」となった方が嬉しいし最高じゃないですか?
例えば知り合いの同人作家さんなんて、会社でバリバリ働いて、家に帰ったら朝まで同人誌描いて寝ないでイベントに行って設営して販売して…。普通に考えたらめちゃくちゃ努力してると思うじゃないですか。
でも、彼は全くこれを努力だと思っていません。めちゃくちゃ楽しんでる。
ただ、「これで稼げるんじゃね?」というフェイズになった途端、今まで努力じゃなかったものが「辛い努力」に変貌することもよくあります。
その時こそ、本当にそれが大好きで、自分に合っているかがわかる瞬間なんじゃないかなと。
もちろん、そうなっても変わらず努力を努力と思わずやっていける人もいますが。
大事なのは、それまでにどれだけ「努力の貯金」ができているかで、その貯金がしっかりできていれば、それを応用しながら、また好きで夢中になれる新しいことを見つけてチャレンジすることもできるのかなと。
自分が本当に好きなことを探すのは、人生の一つの課題なんだと思います。 それを見つけた時、今まで自分でも感じたことのないほどの力があふれ出てくると思いますよ。
「自分ファースト」で生きよう!心が楽になる一冊
同書は、多くの人が見失っている「逃げるコマンド」を表示させ、悩んだときに選択できるよう、アドバイスをくれる一冊。
漫画×文章で構成されており、とても読みやすい内容です。
やしろさんのエピソードに、言葉に、読み終わる頃にはモヤモヤとしていた気持ちが軽減され、「逃げる」コマンドを忘れないで生きていこう!と元気をもらいました。
頑張りすぎてしまうなあ……と感じる皆さん、ぜひお手にとってみてください!
〈撮影=疋田千里〉
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