モテ男が語る、目上の人の“たらし方”
「頼み事断られたこと、ないんです(笑)」オリラジ藤森の“人たらし力”に隠された気遣いと打算
新R25編集部
ビジネスシーンで悩む人も多いであろう、「目上の人とのコミュニケーション」。
緊張してしまったり、気を遣いすぎてしまったり…距離感を難しく感じる場面も多いと思います。
今回お話を伺ったのは、今年1月に初の書籍『PRIDELESS(プライドレス)受け入れるが正解』で自身の半生を振り返りつつ“愛される気配り術”をつづった、オリエンタルラジオの藤森慎吾さん。
チャラ男キャラでブレイクしつつ、先輩芸人の懐にも上手に潜り込む“世渡り上手”なイメージがある藤森さんの「人たらし力」について、就活YouTuberの「しゅんダイアリー」が徹底解剖してきました!
〈聞き手=しゅんダイアリー〉
【藤森慎吾(ふじもり・しんご)】1983年生まれ、長野県出身。2003年に中田敦彦と「オリエンタルラジオ」を結成し、2005年には「武勇伝」ネタが大ブレイク。2011年に「チャラ男」キャラで再ブレイクし、2016年にはRADIO FISHのボーカルとして『第67回NHK紅白歌合戦』にも出場した
しゅんダイアリー
こんにちは!!! 新R25のしゅんダイアリーです!!!
藤森さん
えっ…あ、はい、こんにちは!(笑)
小学生顔負けの元気な挨拶に若干動揺する藤森さん
しゅんダイアリー
今日は若手ビジネスパーソンが抱えがちな「目上の方との人間関係」について相談をさせていただきたくて。
藤森さんは、先輩芸人や目上の方の懐に入るのがすごくお上手な印象があるので、そのあたりの「かわいがられ力」を学びたいなと。
藤森さん
僕がコミュニケーションで気をつけてることはシンプルで、とにかく「相手をノセること」。
そして相手をノセるために一番徹底してるのは、「その日一番褒めてほしい部分」を見極めるってことで。
その日一番褒めてほしい部分?
藤森さん
たとえば芸人の先輩だったら、「あの番組のフレーズめちゃめちゃキマってましたね」とか。
ここで大切なのが、「情報の鮮度」。
しゅんダイアリー
鮮度、ですか。
藤森さん
僕も今「武勇伝めっちゃ観てました!」って言われても、うれしい反面複雑な気持ちもあるんですよね。「そ、その後は…?」っていう。過去の栄光であるほど、あんまりうれしくない。
ノセるために相手のこと褒めるというのはけっこうみんなやってると思うんですけど、最新の情報じゃなくちゃ意味がないんです。
しゅんダイアリー
最新の情報…。難しいな…
もう少し具体的に教えてもらってもいいですか?
藤森さん
僕、相方の中田敦彦と一緒に乃木坂46と5年くらいラジオやってたんですね。
で、あるとき相方に「慎吾って、毎回ゲストで来てくれたメンバー全員を、きわめて自然にワンポイントで褒めるよな」と言われてはじめて気づいたんですけど…
たしかに僕、その子が前回会ったときからどこが変化したかをめちゃくちゃ見てるんですよ。
しゅんダイアリー
へええ!
藤森さん
その人が今日どこをいちばん褒められたいか、どこにいちばん力入れてきたかをすごく観察してるんです。
上からぱーっと全身を数値化して、ピピピ…あっ髪型は前回と一緒、アイメイクも前回と一緒、ピピピピ…あっ爪! 爪変わってるなコレ!
「うわ、そのネイルめっちゃかわいいね!」。
藤森さんやばいセンサーついとる
藤森さん
前回会った時点から更新されている情報を見つけるんですよ。
だいたいそのポイントが、「その人が今日どこをいちばん褒められたいか」の答えなので。
まあ、いやらしいほど常に女性のこと観てるんでしょうね(笑)。
なんでも正直に教えてくれちゃう
藤森さん
というか、しゅんさん初対面ですけど、非常に声のトーンが聞き取りやすくていいですね。
話してて人を楽しくさせてくれるトーン。すごくインタビュー向きだと思います。
しゅんダイアリー
わっ、ありが…あれ、僕今もしかしてノせられてます?
急なメタ認知が働くしゅんダイアリー
継続的に人間関係をつづけるには「背伸びしない」。目上の人に提供できるメリットとは
しゅんダイアリー
ただ、仲良くなったとしても、継続してお付き合いするには何かしら相手にメリットを提供できなきゃと思ってしまうんですよね…
相手の方がすごければすごいほど、一緒に過ごしていてもメリットを出せてないんじゃないかと思って不安になるんです。
藤森さん
僕が気をつけてるのは、「背伸びしない」かな。
その人に気に入られたいからといって、やりたくないことを「やります!」と言ったりして偽りの自分を作っていくと、最終的に必ず破綻する。
チャラ男キャラという印象があるからか、「誰々紹介してくれや」とか頼まれることもあるんですけど…僕は「それはしません」とキッパリ断るようにしてるんです。
へええ!
藤森さん
それで連絡してこなくなる先輩がいても「まあいいや」って思うし、それよりも僕は興味のある先輩の話を聞きたいし、一緒にいて楽しい、無理なく自分を出せる人を自分でも選んでいるつもりなので。
メリットって、「相手の役に立つ」とかで考えるとすごくしんどくなると思うんですよね。
「自分らしさを楽しんでもらうこと」をその人に“メリット”と思ってもらうことが、一番無理がないし楽だと思いますよ。
しゅんダイアリー
たしかに「一緒にいて楽しい」みたいな感情報酬も、れっきとしたメリットの一つかも。
藤森さん
というかむしろ、ほぼそこじゃないですかね。
この歳になると、つい連絡しちゃう人って「なんか居心地良いから一緒にいたい」と思える人だったりするんですよね。
しゅんダイアリー
でも、普通の人付き合いなら「居心地の良さ」でもいいのかもしれないですけど…
ビジネスにおける目上の人とかだと、もっと具体的なメリットが必要じゃないですか?
藤森さん
うーん…むしろとことん甘えたほうがいいと思うんですよね(笑)。
圧倒的にすごい人って、べつに相談相手がほしいわけじゃないんですよ。
そんな人とっくにまわりにいるだろうし、その人は自分なんかよりよっぽど優秀な人でしょうし。
しゅんダイアリー
なるほど。たしかにそうかもしれません。
藤森さん
そんなすごい人に自分が提供できるものがあるとしたら、やっぱり「居心地のいい時間」しかないと思うんですよね。
だから、対等に話せるように勉強しようっていうよりは…ただただかわいく見える素振りをする。
しゅんダイアリー
かわいく見える素振り?
藤森さん
僕今、2匹犬飼ってるんですよ。ちっちゃい2kgのマルプー。
(※マルプー=マルチーズとトイプードルの間に生まれるミックス犬)
藤森さん
僕が帰ると、「ひたすらかわいくゴロン」をするんですよ。もう、嫌いになるわけがない。
だから、「マルプーの精神」。格上を相手にしたときは、自分のことをマルプーだと思えばおのずと取るべき行動が見えてくる。
へへ…僕はこれを、「マルプーの精神」って呼んでるんですけど…
しゅんダイアリー
はい、はい…!
ボケが全く通じずちょっと自分で笑っちゃう藤森さん
藤森さん
だからむしろ、「僕を助けてください」みたいなスタンスもありだと思うんですよね。
もはや、死にそうなフリをする(笑)。
これは目上の人だけでなくて、人に何かお願いをするときはいつもそうかも。僕、お願いごとをするときに断られたことがあんまりなくて。
しゅんダイアリー
そうなんですか!?
藤森さん
僕は大前提、自分がまわりの人より優れてるわけがないと思ってるんです。
実際、お願いしてることだらけですからね、僕なんて。自分でできることなんてめちゃくちゃ少ない。YouTubeもそう。仲間がいなくちゃ何もできない。
それくらいの気持ちでいたほうが、目上の人や仲間に何かをオファーするときはいいと思う。
苦手な方との付き合い方は…「仕事の場面こそ、スッパリ関係を断つ」
しゅんダイアリー
仕事をしていると、苦手な人と付き合わなくちゃいけない場面もありますよね。
そういうときに気をつけてるスタンスや気づかいってありますか?
藤森さん
苦手な人とか嫌いな人とかとはけっこうスッパリ関係を絶ちますね。これ、プライベート以上に仕事の場面で意識してるかも。
僕、仕事のために無理してその人と付き合うってことがなくて。「“一緒に仕事する人込み”で仕事が楽しい」と思えないと、その仕事はやらない。
仕事の楽しさと「誰とやるか」ってすごくリンクしてることなので、どうしても合わないなと思ったときには、僕はスッパリ切ります。
しゅんダイアリー
そうなんですね…!
そのスタンスって若手のころから一貫されてるんですか?
藤森さん
いや、若手のころはそんなこと言えなかったですよ、やっぱり。イヤな人とでも、やれと言われたら一緒にやらなくちゃいけなかった。
自分がある程度言えるようになったり、言える余裕が出てきたりっていうところももちろん相まってなので、誰しもが今すぐそうやってアクションできるわけじゃないと思う。
だから、僕が当時やっていたのは、「めっちゃイヤなこと言われてもめっちゃ褒め返す」です。
しゅんダイアリー
どういうことですか?
藤森さん
番組のレギュラーに「なんであんなに心無いことばっかり言うんだろう」と思ってる人がいたんですけど、嫌なこと言われても面と向かってめっちゃ褒め返してたら、あんまりイヤなこと言われなくなったんですよ。
「あーもうヤダ。こっちも何も合わせません」って不貞腐れたり、裏でこっちも陰口言ったりすると、関係性は悪い状態からずっと変わらない。
でも、「俺はこんだけあなたのこと好きだし、リスペクトしてる」って伝えていくと、人って自然と対応が変わっていくんですよ。
しゅんダイアリー
つまり、相手がどれだけイヤな感じでも、自分から好きになるって姿勢が大事なんですね!
藤森さん
どうしても逃げられない状況だったら、ですよ。
今若手の社会人だったとしたら、上司や人間関係って自分で選べないじゃないですか。辛いですよね。学校も同じようなことはたくさんあると思う。
僕だったら、「逃げちゃえ」ってアドバイスをすごくしたくなる。
藤森さん
でも、逃げられない場面だってたくさんあるだろうから、それはたぶん適切なアドバイスじゃなくて。
環境自体は変えられないとなると、現実的にその人とどううまくやっていくかを考えていかなくちゃいけない。
そのときに、自分の対応、接し方で相手の態度を変えられるよう頑張ってみるって選択肢があったらいいなと。
しゅんダイアリー
なるほど…
藤森さん
僕も限界はあって、「こいつとはもう一生付き合わなくていい」って場合もある。そういうときは、思い切って関係を絶ちます。
「この人まだ可能性あるな」って思えたら、マイナスをマイナスで返さず、諦めずプラスで返しつづけてみる。
その二つを繰り返した結果…今僕、自分のまわりでストレスフルな人間関係、ほぼないですね。
すごく現実的かつ、やさしいアドバイスだ
「何年来の付き合いでも、たった一言で亀裂が入る」
藤森さん
逆に僕は、「親しい相手」に対してのほうが圧倒的に気づかいを意識してますね。
しゅんダイアリー
親しい人ほど…?
藤森さん
「なんでも言い合える仲」とか「お前といると気を遣わなくてマジ楽しいわ」と思ってるのは自分だけって場合もあるんですよ、じつは。
何年来のつながりだって、たった一言で亀裂が入る。
たしかに…
藤森さん
昔の僕は、そんなことばっかだったんですよ。
22歳でデビューした当時なんかは、デビューしていきなりいろんな番組出せてもらってお金も手に入って、ある程度地位も手に入った気がして…すごく人を蔑ろにしていた。
そこでイヤというほど失敗して、距離の近い相手にほど「敬意と気づかい」を持たなきゃいけないと学んだんです。
しゅんダイアリー
親しき中にも礼儀ありというか。
藤森さん
まさにそうですね。相方も、基本的になんでも言い合えるし相談できる仲なんですけど、「この言葉だけは言っちゃいけない」ってことがやっぱりあるんですよ。
どれだけ仲良くても、「超えちゃいけない一線」というのはすべての人に対してすごくアンテナ張ってます。
「なんでも言い合える仲」なんて、ないです。
おわりに…
しゅんダイアリー
「相手が今日一番褒めてほしいところを見つける」や「苦手な人、親しい人との距離感」など…
今日はすごく勉強になりました!
藤森さん
あっ、最後にひとつ言わせてください。
僕が今言ってることをすべて鵜呑みにするのは、それはそれで本当にいけませんからね。
えっ?
藤森さん
僕は「人に言われたことを鵜呑みにしない」っていうのを意識してるんです。今日の話も、「藤森慎吾」という人間にたまたま合ってただけ。
人それぞれ人生や経験、性格があるわけで、「あなただからの答え」が必ずあるってことも、どっかで必ず思っておかなきゃダメだと思います。
ビジネス書とか手に取って、「よしこのまま踏襲すれば成功できる!」とか思ってる人は絶対成功できない。
しゅんダイアリー
なるほど…!
藤森さん
誰かがうまくいったからって、自分に合わないやり方を無理して頑張らなくていいんですよ。
人間関係しかり、「自分の答え」にたどり着いていくことがいちばん大切だと思います。
頑張ってくださいね!
・「相手が今日一番褒めてほしいところを見つける」
・目上の人には「マルプーの精神」で挑む
・本当に苦手な人とは関係を絶つ
藤森さんの人たらし力、めちゃくちゃ具体的ですごかった。でも個人的には、「人それぞれのやり方がある」「逃げていいと言いたい」と何度も念を押すなど、終始垣間見える藤森さんのやさしさが胸にぐっときました。
近日中に動画も公開予定なので、ぜひ藤森さんの温かさを直接浴びてみてください!
〈取材=しゅんダイアリー(@shundiary0817)/文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=天野俊吉(@amanop)〉
藤森さんの初書籍『PRIDELESS 受け入れるが正解』が絶賛発売中!
藤森さんがこれまでの半生をつづった初書籍『PRIDELESS 受け入れるが正解』が絶賛発売中! 取材のなかで藤森さんが仰った言葉を、そのまま紹介して結びとさせていただきます。
こだわらない、逆らわない、競わない、諦めない。タイトルの通り、「プライドを捨てる」をテーマに、僕の人生についてつらつらと書いております。
ただね、「こうやれば成功できる!」みたいなパワーのある本では全然ありません。時間があるときにしれっと読んでいただいて、心のどこか奥底に一個でもひっかかるものがあればいいなと。
この本に書いてあることも鵜呑みにしないでください。
「藤森慎吾の場合」を書いているだけ。「藤森みたいにやってみたい」じゃなく、「藤森のことを知りたい」という方は、ぜひ読んでみてください!
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