ビジネスパーソンインタビュー

成功の9割は場所で決まる。超有名マンガから紐解く「凡人が成功する方法」 #熱投

佐俣アンリ著『僕は君の「熱」に投資しよう』より

成功の9割は場所で決まる。超有名マンガから紐解く「凡人が成功する方法」 #熱投

新R25編集部

2020/09/14

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世の中には新たなビジネスやサービスが生まれやすくなりました。

ただ、そんな時代の煽りを受けて「起業しよう」と思っても、「何から手をつければいいのかわからない」「失敗したら大損失になるんじゃないか」と二の足を踏んでしまう人も多いはず。

先日出版された『僕は君の「熱」に投資しよう』(ダイヤモンド社)のなかで、ベンチャーキャピタリストの佐俣アンリさんは、そんなくすぶった10代、20代の若者たちに向けて挑戦を後押ししています。

やり場のない熱をもったやつ。君の暴走本能を、僕はとことんまで応援する

僕は言い続ける。世界の誰に何を言われようと。世界がどんな危機的な状況にあろうと。君はかならず、成功する

heyやMirrativ、アルなどに投資している佐俣さんが、若者を応援する熱量、起業を勧める理由とは何か。そして、事業を成功させるには何が大切なのか。

起業家や投資家以外にも活かせる学びを、同書から抜粋のうえ一部再構成してお届けします。

君は「正しい場所」にいるか

君が生きるべき居場所について、話そうと思う。

日本人はみんな努力が大好きだ。

もちろん僕も嫌いじゃないし、かなり努力しているほうだと思う。

みんなで頑張ろう、頑張ればできる、よく頑張ったね…街を歩けば努力に当たるくらい、学校でも家庭でも、会社でも社会でも、頑張ることが絶対的な正義のように語られているけれど、ただ投資家の視点から見ると、ここには重要な「大前提」が抜け落ちている。

どこで頑張るか、だ。

どんなに全速力で駆け上がっていても、そこが下りエスカレーターだったら、階段を普通に上がっている人にも負けてしまうかもしれない。

その努力は、効率が悪い。

例が少し極端かもしれないが、結果を出すには、正しい努力を行う前に、まず「正しい場所」にいることのほうが、はるかに重要なのだ。

成功の9割は場所で決まると言っても、過言ではない。

今の君に必要なのは、自分に才能があるのかなんて延々と悩むことじゃない。努力をコツコツ積み重ねることでもない。

自分にとって正しい場所を見つけることだ。見極めることだ。

そして、自分をその場所に位置づけることさえできれば、成功は保証されたも同然だと信じることだ。

クリリンはなぜ地球人最強になれたのか

僕はいかなる分野においても、学年トップをとれるような天才や秀才タイプではない。

実は突飛な才能などひとつも持ち合わせていない。それでいて、小学校からずっと良い成績をとり続けたし、大学もいわゆる名門校出身だ。

僕が凡人でありながら人並み以上の成功をモノにしてきたのは、勝手に成長させてくれる場所に自分を位置づける「戦術」に長けていたからだ

その戦術は、常にクラスや学校のトップ集団に自分の身を置いて、その中で「平均点をとる」という単純なものである。

たとえば小学校のクラスで僕が仲の良い友達はみな優秀な生徒ばかりだった。

教科書をただ読んでいるだけで覚えることができるやつ、抜群に運動神経のいいやつとばかりいっしょにいた。

そうしたやつらの中にいるだけで、最優秀は無理でも、四苦八苦せずとも、まあまあの成績はとり続けることができた。

中学校に入っても僕のやり方は同じだった。なる早でトップ集団を特定し、その中で平均点をとる。

そうして次は、全国から優秀な生徒がわんさか集まるような高校へ入学する。

彼らと何をしていたかというと、ただ毎日会うだけ。同じものを見て、聞いて、ただいっしょに呼吸していただけだ。

そして高校でも、仲間の中で僕がとるのはいつもそいつらの平均点だった。

進学校のトップ集団の中にいるだけで、成績はイマイチでも世間的には「そこそこ優秀な人」になれる。

これを僕は、ドラゴンボールにおける「クリリン効果」と呼んでいる。

クリリンというキャラクターの戦闘力はどう考えてもZ戦士の中では最弱の部類に属する。おそらくサイヤ人のベジータに指先だけで負けるようなやつだ。

しかしクリリンは地球人の中では紛れもなく最強だ。

彼を人類最強にしたのは、宇宙最強を目指す異常な集団であるZ戦士という環境にある。

宇宙最強の中で切磋琢磨していれば、地球最強になんて、なれてあたりまえなのだ。

僕が起業家にとって正しい場所を明確に把握できるのは、このクリリン効果で気づいた「場所の重要性」を応用しているにすぎない。

僕は凡人でありながらそこそこ優秀な成績をおさめることに学生生活の十数年間、成功してきた、いわば「プロの凡人」なのだ。

そうした人生を歩んできた僕の信念は、人間というものはとどのつまり、環境でしか変われないし成長もできない、というものだ。

ひとりの高い志や努力で変わり、成長することはない。

勝手に自分を成長させてくれる場所に身を置いてさえいれば、たとえ凡人でも自ずと成長し、そこそこの成功をするようになる

自分の才能や能力を開発する必要などなく、見極めるべきは場所なのだ。

自分を成長させてくれる、筋のいい場所、筋のいいコミュニティに自分を位置づけることさえできれば、あとはその中で平均点をとるだけでいいのだ。

だから僕は、投資する起業家のいる「場所」を、いつもシビアに見ている。

自分の能力を十分に伸ばし、事業を成長させることができる「正しい場所」へと起業家を誘うことは、投資家のきわめて重要な仕事である。

「カバン持ち」で狙うべきは高名な人の独立後

僕はベンチャーキャピタリストとして修業するために、投資家・松山太河さんのところに「カバン持ち」として転がり込んだ。

これも自分を「正しい場所」に位置づけた経験だった。

日本とインドネシアでもっとも成功した投資家のひとりであり、メルカリを起業したばかりの山田進太郎に六本木の交差点で数千万円の投資を決めたエピソードで有名な太河さんは、投資家の界隈では「生きた伝説」として知られる。

僕が太河さんと出会ったのは大学生の頃だ。

当時からスタートアップやベンチャーキャピタリストに興味があった僕は、インスプラウトという、IT企業のインキュベーション(支援)を手がける会社でインターンをしていた。

「VC(Venture Capitalのことだが、Venture Capitalistの略としても使われている)を集めた飲み会をやるから君も来ない?」ある日、人づてにそんな誘いが舞い込んだんだ。

僕は当然、二つ返事でその飲み会に潜入することにした。その参加メンバーの中にいたのが太河さんだった。

飲み会は神保町にある飲食店の個室で開催された。席につくと、さっそくみなで自己紹介を兼ねたあいさつをしていく。

僕が自己紹介を終えると、太河さんはぽかんとした表情をして、僕に向けて第一声を放った。

君、なんでここにいるの?

ごもっともだった。

ベンチャーキャピタルの社長クラスが並ぶテーブルの中で僕だけが学生だったのだから。

「ベンチャーキャピタルが好きでして…、ちょっと勉強させていただきたく…」なんてもごもごしながら、場に馴染めなかった僕だったが、プログラマーのポール・グレアムについて話しはじめたとき、太河さんの表情が変わったのを覚えている。

今でこそエッセイストや投資家として知られているが、当時はごく一部のエンジニアの中で、プログラミング言語「LISP」のハッカーとして知られているにすぎない存在だった。

僕は当時からインターネットが世界を変えると確信していたので、彼の著書であり名著である『ハッカーと画家——コンピュータ時代の創造者たち』にハマっていたのだ。

特別な職能集団に受け入れられるためには、彼らとの共通言語を持つことが必要だ

その日から太河さんは僕に目をかけてくれ、折に触れてメールをくれて、飲み会にも誘ってくれるようになった。

その後、学生だった僕はリクルートに就職し、社会人としての一歩を踏み出した。その約2年半後、「ある出来事」をきっかけに会社を辞めて転がり込んだのが太河さんのところだった。

太河さんはちょうど、イーストベンチャーズという、インドネシアの成長ITベンチャーに投資するファンドを組成している頃だった。

でも今、そんなに仕事がないからな。…じゃあ、『フリークアウト』っていう会社が立ち上げをやってるから、手伝いをしに行っておいでよ

太河さんは「俺、あんまりカバンとか持たないし」とでも言いたげな顔で、少しばかりのお金をくれ、転がり込んだばかりの僕をさっそくスタートアップの立ち上げに参画させてくれた。

手伝いというのは、事業計画、サービス開発、友達をクライアントとして連れてくること、掃除を含む雑用など、まさにすべてだった。

起業家と「同じ釜の飯を食う」のが僕の日常になり、その釜自体をつくることが仕事のすべてだった。

こうして僕はフリークアウトに身を置き、起業家と並走しながら成功へと導いていく、太河さん流の「ハンズオン」の投資スタイル(出資者が投資先企業の経営に直接参画するやり方)を体得していった。

僕はこの場所で、太河さんを自分にコピーし続けたんだ。

太河さんのようにものを見て、理解し、話し方まで似てきた。

一見、体当たりの丁稚奉公のように思えるかもしれないが、僕は僕自身を正しい場所に位置づけている実感があった。

投資は実践からしか学べない。伸びるスタートアップを生み出している投資家のもとにいながら、同じ空気を吸って、頭と体で学ぶしかないのだ。

そして覚えておいてほしい。

カバン持ちの募集なんて誰もしないし、「カバン持ちをさせてください」とは言い出しにくいものだが、成功した高名な人がなんらかの形で独立したとき、その人は案外孤独だ

行動を起こすとすれば、狙い目だと思っておくといい。

すべては正しい場所に行き、成長するためだ。カバン持ちもその選択肢として考えておいて損はない。

挑戦を楽しもう

淡々と、しかし力強く、若者の起業、挑戦を後押しする佐俣さん。

新たな挑戦を始めたいときにこそ、一度読んでみてはいかがでしょうか。

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