ビジネスパーソンインタビュー
メンタリストDaiGo著『超客観力』より
DaiGo「判断力をあげるには“知的謙遜”が必要。これはGoogleが最重要視しているスキルです」
新R25編集部
自分を客観的に見ることって難しいですよね…。
メンタリストDaiGoさんの新著『ムダに悩まない理想の自分になれる 超客観力』によると、「客観力がないことで人生の大事な期間を棒に振ることもある」と言います。
人生を左右するほどの重要なスキルであるという「客観力」。
私たちは、どのようにしてそれを身につけていけばよいのでしょうか。
同書より、客観力を身に着ける足がかりになる「知的謙遜」のスキルについてお届けします。
Googleが最重要視する特性「知的謙遜」とは?
「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」
論語にこんな言葉があります。
孔子が門弟の子路に語った言葉で、「自分が持つ知識や情報の範囲を把握し、逆に自分が何を知らないかを正しく理解する。これが、ものごとを本当に『知る』ことだ」という意味です。
孔子の考え方の正しさは、近年科学の世界でも裏付けられ始めています。
「知らざるを知らずとなす」態度を身につけると、私たちの判断力は大きく上がり、結果として高い客観性が育まれる事実が明らかになってきたのです。
このような態度を、心理学の世界では「知的謙遜」と呼びます。
文字どおり、自分の知識の限界をちゃんと把握できている状態のことで、ソクラテスの「無知の知」にも近い考え方と言えます。
Googleのような先端企業はすでに「知的謙遜」の重要性を深く認識しており、同社で人事を担当したラズロ・ボック氏は次のようにコメントしています。
『超客観力』よりGoogleでは、社員を採用する際に謙虚さと責任感を重視します。
あらゆる問題を解決しようと試みるオーナーシップを持ちつつも、自分の立場に固執せずに他人のアイデアを受け入れる謙虚さを求めるのです。
仕事の最終目標は、問題解決のためにチームとして働くこと。そのためには、チームのために貢献しながらも、自我を引っ込める態度が大事になります。
他者の貢献を正しく認めるには、ただの謙虚さではなく「知的謙遜」さが欠かせません。
知的な謙虚さがなければ、私たちはものごとを深く学ぶことはできないからです。
優秀な人ほど失敗を経験したケースが少なく、失敗から学ぶ方法を学べていないことはよくあります。
知的な謙虚さがないと自分が犯した失敗から改善点を学ぶことができず、いつまでたっても客観的な力が育たない、というわけです。
実際のところ、有名なビジネススクールを首席で卒業したような学生たちが、仕事の現場で持ち前の能力を発揮できない事態はよく見られます。
このような現象が起きるのは、優秀な人たちほど知的な謙虚さがないことが多く、そのせいで「根本的な帰属の誤り」と呼ばれる心理的な罠に囚われやすくなるからです。
「根本的な帰属の誤り」とは、良いことが起きたのは自分のおかげで、悪いことが起きたのは他人のせいだと考えてしまう心理のこと。
人間は誰しも自分のことをかわいく思う生き物なので、どんなに知的なレベルが高い人でも、ミスや失敗を他人に押しつけてしまう傾向があるのです。
このような考え方を続けていては成長は見込めないでしょう。
ネットの上に胡座をかく現代人
現代では「知的謙遜」の姿勢をキープし続けるのはとても大変なことです。
それもそのはずで、現代の暮らしにおいては、わからないことがあってもGoogleで調べればすぐに手軽な答えが得られるようになりました。
すると、ここで私たちの脳は重大な勘違いを引き起こします。
初めて知った情報であるにもかかわらず、その知識を以前から知っていたかのように思い込んでしまうのです。
これは複数のテストで確認されている心理現象で、ネットの検索が当たり前になった現代では、多くの人が実際よりも自分が持つ知識の量を過大に見積もってしまうことがわかっています。
つまり、ネットで手軽な情報を得るたびに、あなたの中には「私はいろいろな情報を知っている人間なのだ」という感覚が生まれ、客観的にものごとを見つめる能力は下がっていくわけです。
いまの時代では、気を抜くとすぐに客観力が下がってしまうため、日ごろから細かく「知的謙遜」の感覚を意識しておく必要があるのです。
ソーシャルメディアを使うほど「知的謙遜」から離れていく
「確証バイアス」という言葉をご存知の方は多いはず。
認知心理学でよく使われる専門用語で、ひとことで言えば「自分にとって都合がよい情報ばかりを集めてしまう心理現象」のことです。
たとえばあなたがネットで見かけた最新のガジェットを気に入り、ショッピングサイトでレビューを検索したところ、レビューの評価が良くなかったとしましょう。
普通なら「意外と評判が良くないんだな…」と考えて購入をあきらめてしまう場面ですが、あなたがすでに購入を決意していた場合には、また別の心理が働きはじめます。
評価の低いレビューを「これは例外だろう」と勝手に考え、良いレビューばかりを読みふけってしまうのです。誰にでも心当たりのある現象ではないでしょうか。
「確証バイアス」が、客観的な思考のジャマになることは言うまでもありません。
都合が良い情報だけを集めていては自分の思考の欠点を見つけることができず、間違った方向に進む確率は激増するでしょう。
特に現代で「確証バイアス」が問題になるのは、ソーシャルメディアの世界です。
ご存知のとおりツイッターやインスタグラムなどでは、自分が好む意見を語るユーザーだけをフォローすることができます。
友人や知人とのコミュニケーションツールとして使うだけならそれで問題はないでしょうが、社会問題へのスタンスや人生の考え方といったテーマについては、どうしても偏り
が出てしまうでしょう。
要するに、ソーシャルメディアを使えば使うほど、あなたからは客観的な思考が奪われていくわけです。
この問題に立ち向かうには、意識して情報源を複数化するしかありません。
普段なら絶対に読まないような情報ソースを探し、積極的にアクセスしていきましょう。
ひとつの情報に接したら、「この話を否定するような別の情報はどこかにないか?」と考えて、意図的に探すようにしてみるのがおすすめです。
「客観力」が人生の質を上げる
これまで、なんとなくでしか理解できていなかった客観力。
『超客観力』では、それを体系的に理解することができ、さらにトレーニング方法まで学ぶことができます。
「実は自分自身のことを自分が一番理解できていない」
この事実にどう向き合うかで、私たちの人生は変わってくるはず。
客観力を身につけて、人生を好転させていきましょう。
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