

「断る」が苦手な人、必読です。
「道徳観による相性の悪さ」を見逃さない。ハヤカワ五味に学ぶ“NOを言える人付き合い”
新R25編集部
ビジネスパーソンにとって、仕事と切り離せないものである「人付き合い」。
2019年末、職場の忘年会に参加しない「#忘年会スルー」というハッシュタグが話題になったように、気乗りしない誘いには乗らなくていいというムードが広がってはいるものの…「断る」ってなかなか難しいですよね。
断ることで、仕事に支障がでないか?イメージが悪くならないか?という不安もあるし、断り方を考えるのも労力がいる。
だけど、ずっと我慢しつづけるわけにもいかない。そこで、「NO」をきちんと伝えられるビジネスパーソン…というイメージがあるハヤカワ五味さんに、「人付き合いのルール」についてお伺いしました。
〈聞き手=ほしゆき〉
【ハヤカワ五味】胸が小さい人向けのランジェリーブランド「feast」「feastsecret」、細身の人向けワンピースブランド「Double Chaca」などを展開する株式会社ウツワを2015年(当時18歳)で設立。経営者でありながら、インフルエンサーとしてTwitter、YouTube、noteなどで発信を続けている
「今日も我慢する時間が…」モチベーションが下がっていた起業当初

ほし
私、「それ私の業務じゃなくない?」って仕事を頼まれたり、気が乗らない飲み会に誘われたりしても、断った後に気まずくなるのも…と思って「ちょっと我慢すればいいや」って考えてしまうんですよね。

ハヤカワさん
人付き合いで嫌なことを、「今だけ我慢すればいいや」ってやり過ごしてしまう人もいると思うんですけど、その思考は本気でやめたほうがいいです。

ほし
ですよね…

ハヤカワさん
私も、起業した当初は「学ばせていただく」という姿勢で誘いは基本断らなかったですし、会食も多かったです。
これから事業を助けていただくことがあるかもしれないし、いろんな人に嫌われないように気を使っていました。

ほし
ハヤカワさんにもそんな時期があったんですね…

ハヤカワさん
でも、朝起きて「今日も我慢する時間が待っている」と思うと、仕事へのモチベーションが下がるし、パフォーマンスにも影響してくるんですよ。
「少しの我慢」のつもりだったけど、精神的な負担は思っている以上に大きい。無理に取りつくろっても、ロクなことがないって思いました。
それから、無理な付き合いは一切しなくなったんです。
ハヤカワ流人付き合いのルール①「道徳観による相性の悪さ」を見逃さない

ほし
そんなハヤカワさんが、「人付き合い」でルール化していることはありますか?

ハヤカワさん
そうですね、1年のはじめにいくつかルールを決めるようにしていて…

ハヤカワさん
大きいものから言うと…、「道徳観による相性の悪さ」を見逃さないようにしています。

ほし
というと?

ハヤカワさん
誰かを否定して、自分を上げるコミュニケーションをするような、道徳観が合わない人と付き合わないようにしてるんです。
恋愛でも多いと思うのですが、たとえば私に付き合っている恋人がいたとしたら、その人のことを散々蔑んだあとに、「自分だったらこうできるから付き合おうよ」って言ってきたり。

ほし
なるほど…

ハヤカワさん
ビジネス上で、コミュニケーションのトラブルが起こるのは、仕方ない部分もあると思います。
だけど大人になってからの「道徳観」はだいたい何年たっても変わらないので、我慢せずに嫌だと伝えたほうがいいですよ。
「道徳観は変わらない」…悲しいけどたしかにそうかも
ハヤカワ流人付き合いのルール②「人数の非対称性」にフォーカスすれば断れる

ほし
でも「あなたと距離置きたいです」って伝えるの、めちゃくちゃハードル高くないですか…?

ハヤカワさん
断る勇気が出ないときって、「人数の非対称性」にフォーカスできていない場合が多いと思うんです。
たとえばしつこくデートに誘ってくる人とか、断るのが申し訳ないと思ってしまうけど、相手は他に何人も声をかけていたりするじゃないですか。

ほし
あ~、たしかに。
自分にとっては重いことでも、相手の立場からするとそんなに気にしてないと。

ハヤカワさん
そうそう。上司と部下の関係だって、上司からすれば、自分はたくさんいる部下のうちの1人。
相性が悪くて何かを断っても、上司には他にも選択肢があったりするので、深刻になりすぎなくてもいいと思います。

ハヤカワさん
あとは、「相手の人格否定」になってしまわないように気をつけると、お互いにとってラクかも。

ほし
人格否定にならない伝え方、というと?

ハヤカワさん
自分の精神状態とか、大事にしたいもの、仕事へのモチベーションなどによって「いまはタイミングが悪い」という伝え方をしてみる。
それでもはっきり言わないとわからない人には、直接伝えますけど…

ほし
過去にそういう方もいたんですか?

ハヤカワさん
いました。
やんわり断っても伝わらなかったので、「なにが合わないと思うのか」を説明したんですけど、それでも「そんなこと言うなよ、友達じゃん(笑)」ってまともに受け止めてもらえなかったので、今は共演NGにしてもらっています。
ハヤカワ流人付き合いのルール③フォロワーよりも「反証してくれる人」のそばにいる

ほし
逆に、ハヤカワさんはどんな人の近くにいるのがいいと思いますか?

ハヤカワさん
反証してくれる人ですね。
私自身も、ビジネスでの人間関係では必ず反証してくれる人のそばにいるようにしています。

ハヤカワさん
たとえば、自分が立てた仮説や戦略を話したときに、論理立てて間違っていることを証明し、賛成しない理由を教えてくれる人。
ただのアンチでも感情論による否定でもなくて、“ちゃんと反証してくれる人”はものすごく大切だと思います。

ほし
常に自分の意見に反対する人が近くにいるのってキツくないですか?

ハヤカワさん
でも、責任がある人ほどフォロワーに囲まれていたらダメですよ。

ほし
フォロワー、つまり自分を応援してくれるファンということですね。

ハヤカワさん
そうです。
私は、「いいね」というなんとなくの協調は、基本的に視野を狭める言葉だと思ってます。自分の考えに賛同されているだけでは、違う視点を得られていないので。
それに、仕事における反対意見は“人格否定”ではないんですよ。混合してしまって苦しむ人もいますが、完全に切り分けてとらえないと成長速度が落ちると思います。
ハヤカワ流人付き合いのルール④会に参加するなら「意図のある集まりに行く」

ほし
飲み会とかはどうですか? どんな会なら参加する…といったルールなどありますか?

ハヤカワさん
「意図のある集まりに行く」ことを決めてます。

ほし
“意図のある集まり”と言うと、たとえば…?

ハヤカワさん
たとえば、「朝渋」。
渋谷を中心にイベントが行われている朝活コミュニティで、いろいろなビジネスパーソンが登壇するトークイベントなどをやってるんですが…
そこに集まる人なら、「朝の時間を有効に使いたくて、ビジネスに関心が高いんだな」ってわかるじゃないですか。

ほし
たしかに。「朝渋」いいですよね。

ハヤカワさん
“そこにどんな考えの人たちが来るのか”がわかりやすいイベントは、深い出会いが生まれる可能性が高いと思います。
大人数の無目的な飲み会では、多くの場合“エンタメ”以上のものが生まれない。
いい出会いをつくりたいのなら、コミュニティの選択をしないと、雑多な出会いが重なるだけだと思いますよ。

ほし
目的や意図を持って集まっているということは、自分の時間を大事にして選択している人が多いってことですもんね。

ハヤカワさん
そうですね!
自分の時間に対する意識が弱い人は、他人の時間にもリスペクトが足りないことが多いです。みんな、自分の時間を大事にしてくれる人と一緒にいたいし、仕事をしたいと思いますよね。

ほし
間違いない…
ハヤカワさん、今日はありがとうございました!
ハヤカワさんは、「自分の時間を無駄にしない選択であるかどうか」をかなりストイックに判断しているということを、取材中に何度も感じました。
ストイックであるからこそ、誰かの時間をいただくということを決して軽視しない。
ストレスの大半は「人間関係によるもの」とよく言いますし、我慢をつづけてやり過ごすよりも、自分の時間を守るために“うまく断る方法”を身につけていかなければ…!と思いました。
〈取材・文=ほしゆき(@yksk_nt)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=樋口まみ〉
『私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと』
ハヤカワさんの新刊『私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと』には、人付き合いのほかにも、これまでの人生でハヤカワさんが見つけてきたルールが集約されています。ぜひチェックしてみてください!

ビジネスパーソンインタビュー

「悪く言われがちな今こそ、チャンスです」若手起業家と"新卒Z世代の戦い方"について議論したら、形勢逆転する結論にたどりついた
新R25編集部

【人の変え方】なぜ人は簡単に変わらないのか? どうすれば人は変わるのか? いま最も勢いのあるコーチング会社の解説で理解できました【ミズカラ代表・村岡大樹】
新R25編集部

溝口勇児、ホリエモン、青汁王子と対峙する“最強のNo.2”に「管理職って罰ゲームでは?」と質問したら…
新R25編集部

要領が悪い、理解力が低い… 「地頭の悪さ」から脱却する方法を鈴木祐さんに教えてもらった
新R25編集部

「インターネット、SNSのせいで僕ら不幸になってません…?」とDMM亀山会長に聞いてみた
新R25編集部

「“気付かないまま実質減給”社会になる」DMM亀山会長が若者に伝えたい、これからの“頑張り方”
新R25編集部