ビジネスパーソンインタビュー
自分よりも、周りの人が気づくということも多い
【西内まりや×心】放置すると、悪化する一方? 他人事ではないパニック障害との向き合い方
新R25編集部
記事提供:Medical DOC
「ひとと会うのがつらい」「大勢が集まる場所で動悸がする」「外に出るのが怖い」など…ひとに話しにくい症状に苦しんでいる方々に、エールをお送りしたい。
そんな思いから、この対談は実現しました。
過去にパニック障害を克服した経験がある西内まりやさんと、ゆうメンタルクリニックの理事長安田雄一郎さんに、心の悲鳴に耳を傾けることの大切さについて語っていただきます。
パニック障害とは?
―パニック障害とは、医学的にどのような状態?
安田さん
突然起こる動悸、めまい、不安感、胸の圧迫感、そういった症状をパニック発作と呼びます。
緊張する場面とか、大勢の人がいる場所などで起こることが多いのですが、パニック発作が長期にわたって頻繁に起こって困るとなると、パニック障害と診断されます。
西内さん
パニック発作が連続するとパニック障害に…
安田さん
緊張する必要がないときでも電車の中や楽しむために出かけたライブ会場などでパニック発作が起きるなど、パニック障害になると「広場恐怖」というものに苦しんだりもします。
―急性や慢性というように、タイプがある?
安田さん
慢性的にというか、長期的に悩んでいる方が多いです。
1回や2回だったら、もうちょっと頑張ってみようってこともあると思いますけど、長期的に悩んでいるから病院へ1回行ってみようというパターンが多いです。
基本的には、自覚症状があって来院されますね。
―自覚症状は様々なのでしょうか?
安田さん
動悸とか不安、緊張が強いとかですけど、パニック発作的な症状が出たりとか、うつ病と併発したりとか…。
職場に行けない、電車に乗れない、外出しづらいとか、そういった形での症状が多いですね。
西内さん
自覚症状を感じて1カ月2カ月経っている時、一般的には身近な人はなかなか気づけないものなのですか?
安田さん
自分一人で悩んでいる人が多いですが、挙動が不安定になってくるから周りの人が気づくということも多いです。
気候にも左右されるので、暑くなりはじめ、寒くなりはじめなど、ぐっと症状が悪化して周りが気づくというパターンもあります。
五月病が増える5月も要注意です。
正しい治療を勇気をだして向き合おう
―放置していると、悪化する一方?
安田さん
やっぱり放置することによって症状がより悪くなっていく方は多いです。
症状を自覚したら、メンタルクリニックに行くとか、カウンセリングを受けることをお勧めします。
西内さん
症状によって治療法は変わりますか?
安田さん
そうですね。お薬も最適なものを最適な飲み方で飲んでいただきます。
辛い時だけ飲むお薬を検討したりとか、症状に合わせて慎重に処方します。
30分くらいのカウンセリングを繰り返し受けていただく方法もあります。
西内さんは、SNSでパニック障害を克服した経験があると公表していましたね? 自覚症状はどんなものでしたか?
西内さん
すごく頑張りすぎちゃう性格だったので、それが結局自分の中の限界を超えちゃうというか、バケツが溢れちゃった時に、パニック発作のような症状が出ました。
不安な気持ちになったり、眠れなかったりとか、頻繁に起きていた時期というのはすごく苦しかったです。
安田さん
頑張り過ぎちゃう…そういう方は、多いです。
ご自身で対策を練ったのでしょうか?
西内さん
初めはすごく、ネットで調べました。
それでメンタルクリニックに行って、診断してもらった時に、すごく安心したんです。
先生が理解してくれたことへの安心と、私だけじゃないんだって思えた安心がありました。
もらった薬も「お守り」みたいな存在で、心強かったです。
―メンタルクリニックに行くことで気持ち的にも変わった?
西内さん
少し客観的に自分を見ることで、楽になりましたね。
薬はお守りにして、ポジティブになれる生活を心がけました。
安田さん
薬との距離の取り方が上手だったんだと思います。
薬だけで改善するのは難しいので、日光に当たったり、体を動かしたりできると、より良いですから。
西内さん
それと、私は環境を変えて、自分の心と向き合う時間を作ったことがよかったと思います。
以前は自分自身が自分を大切にできなくなってしまうところまで頑張りすぎていたので…。誰かのためとか、何かのためにって、自分を後回しにしてました。
素直に心が喜ぶ環境作りが私の救世主でしたね。
安田さん
それは素晴らしいことだと思います。
西内さん
運動しました! すごくスッキリするんですよね。
最初は運動する気力がわかなかったり、外出自体がつらかったんですけど、このままでいるのは悔しいって思ったんです。
安田さん
悔しい?
西内さん
なんとか抜け出さなきゃって、負けず嫌い的な気持ちが沸き上がったんです。
TwitterもInstagramも1年半ストップして、環境を変えて、自分に向き合った感じです。
―悔しさがバネになったんですね。それで自分にとって大事なものが見えてきた…。
西内さん
はい。朝日を見に行ったり、海の音を聞いたり、川に行ったり、自然と触れ合った時に、忘れていた大切なものをすごい思い出して。
頑張ることや、仕事が成功することだけが幸せじゃないな、ここにも幸せあるじゃん、なんで気づかなかったんだろうみたいな。
安田さん
日光照射量が少ないと人間は鬱になりやすくなるので、医学的にも理にかなってますね。
だから引きこもるのは良くないんです。
西内さん
やりがちですよね。光を浴びたくないから遮光カーテン閉めきって…。
でも、つらいとき、なんとかバーッてカーテン開けてほしい。眩しいなと思っても、自然と体が喜んで、ポジティブになる瞬間が増えてきて、それを感じてほしい。
私は自然と触れ合うことが効きましたけど、漫画でもゲームでも、自分がワクワクする時間を見つけることが大事な気がします。
安田さん
気軽に今日あった出来事を話せる相手はいますか?
西内さん
大事ですよね。芸能界に入る前からの友達や、家族が心の支えです。
大変な時はいつも家族が「出かけようよ」とドライブに連れて行ってくれたり。
理解してくれる人が少しでもいるだけで、全然違いましたね。
安田さん
話ができるひとがいろんなグループにいるのが理想です。
職場の友達しかいないとか、家族しか話せる人がいないとかだと結構きついんですよ。
いま仰ったように、幼馴染、家族、仕事のパートナー、みたいに分散しているといいですね。
今、つらいひとへ。誰でもなりうることを 知ってほしい
―同じ悩みを持つ方へ、伝えたいことはありますか?
安田さん
一人で悩んでしまうとドンドンドンドン気持ちもふさぎ込んでしまうので、大勢話せる人を作るとか、今まで知らなかった世界に行ってみるのも手です。
そういった意味でもメンタルクリニックに来ていただいて、ドクターとかカウンセラーとかと話をして、「あ、なるほど、こういった見方もあるんだ」と知って頂きたいです。
全てにおいて、一人で抱え込まないでくださいね。
西内さん
強い人も弱い人も、誰でも、パニック障害になりうるということを知ってほしいです。
まず自分がそれを知って、ひとに理解してもらうのが大事。クリニックに一緒に行って理解してもらうという方法もあります。自分がそうなっていることを、恥ずかしいと思わないで欲しいです。
私も隠さなきゃいけないって思った時期もありました。
だけど、誰でもみんな完璧じゃないし、いい時だけじゃないって思うから、それも含めたうえで私は表現する者としてこの仕事をしていこうと思っています。
つらい思いをしている方々に、私が前向きに仕事をしていく姿を見てもらえたら嬉しいです。それで少しでもポジティブになってもらえたら、私も励みになります。
「Medical DOC」編集部より
心が悲鳴をあげ、一人で悩み、普段の自分を忘れそうになっている方々へ向けた対談でした。
「パニック障害は誰でもなりうることを認識することで、一歩踏み出せる」と西内さん。彼女の今の輝く笑顔は、自分自身と向き合った証。
「心の問題」は目に見えにくく、その治療も一般的に投薬療法や、考えやイメージを修正していく認知行動療法などがあり、一人ひとりの個性や症状などによって組み合わせていく必要があります。
つらいと感じたら、一人で抱え込まず、専門機関に相談にいきましょう。焦らず、自分のペースで―。
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