ビジネスパーソンインタビュー

ダメになりそうなときに踏ん張りつづけるのは、“論理的に”正しくない

プロ奢ラレヤー著『嫌なこと、全部やめても生きられる』より

ダメになりそうなときに踏ん張りつづけるのは、“論理的に”正しくない

新R25編集部

2020/01/12

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他人のカネで生きていく」をモットーにツイッターを介して出会ったさまざまな人に奢られながら生きている、プロ奢ラレヤーさん

自分で働いて稼ぐのではなく、自分の生き方を面白がってくれる人のお金で生活している彼は、その経験をTwitterで発信することで、僕たちに新しい学びを届けてくれています。

初の著書となった『嫌なこと、全部やめても生きられる』では、そんな彼の価値観が、ゆるいスタイルでありありと語られています。

同書のなかから、プロ奢ラレヤーさんの考える「お金」「マインドセット」「人間関係」に関する話を3記事にわたってお届けします。

「好きなことで生きていく」より、嫌いなことで生きていかなければいい

好きなことで生きていこう!」が最近、日本のブームな気がします。

もちろんそれが人間の本能ではあるから流行るのは当然だし、趣味と実益を兼ねていて、かっこいい感じもしますよね。憧れるのもわかります。

でも、みんながみんな「好きなことで生きる」を追いかけすぎると、結局のところ苦労するのがオチなんじゃないかって思ったりもします。

というのは「好きなことで生きている人は、基本的に狂ってる人だけ」だからです。

YouTuberとかはまさにそう。

自分が映ってる動画を編集してアップして…という作業を毎日できる人なんて狂ってないと無理でしょう。

人間、「好きなこと」の数ってたぶんそう多くありません。

だから「好きで生きる」と決めてしまうと、数少ない選択肢の中で縛りプレイをしなくちゃいけなくなるし、それでお金を稼ぐとなったら、かなりハードモードなプレイになってしまいます。

「好きなこと」に縛られすぎて、「これは好きじゃないからやりたくない!」と縛りプレイするのは個人の勝手だし、一種の楽しみ方であるとは思いますが、現実的な生き方ではありません。

最初から「うおー! これは好きなことだ! やりたい! もっとやりたい!」ってことだけをプレイするよりも、「まあべつにやってもいいかな、うん」くらいのものを積極的にこなしていくほうが、選択肢の幅は広がります。

要は、嫌いなことで生きていかなければいいんです。

好きでも嫌いでもないことをサクッとやって、あとの時間で本当に好きなことをたくさんやったらいいんじゃない、ということです。

やれることが増えれば、チャンスも自然と増えていくはずです。RPGだって楽しいことだけやってても、なかなかレベル上がりませんからね。

そして「好きなことで生きる」にしても「好きでも嫌いでもないことで生きる」にしても、まずは自分が得意なこと、不得意なことを見定めるということがすべての前提になります。

そのうえで、「不得意なことは捨て、できるだけ得意なことにすべてのリソースを割く」という手順を踏みましょう。

「好きでも嫌いでもない」けど不得意なことをしていたら、それは単純に効率が悪すぎるので。

と同時に「得意なことで得られたリソースを利用し、他の人たちが取らない、取れないような戦略を大胆に実行する」という先述がプラスできれば、さらに人より一歩先をいけるかもしれません。

とはいえ、まずは自分の嫌いなことから離れて生きることを意識してみてください。だいぶ毎日がラクになると思います。

実は「あきらめる」人こそが無敵である

僕は、普通の人が普通にやっていることができません。

時間通りに動く」とか「スケジュールを組む」とか、「靴下を履く」とかもそうです。

社会人をやってる人にとっては当たり前のことが、僕にとってはめちゃくちゃ難易度が高いことなんですけど、落ち込むことなんかほぼない。

だって「できない」ことを「なんでできないんだろう」なんて考えてもしょうがないからです。

多くの人が悩みを抱えるとき、その原因になるのは「どうにもならないことをどうにかしようとする」態度です。

そういうときに、「あきらめよう」と考える人のほうがトータルでみれば前進できます。

「あきらめる」って、一見ネガティブな選択に思えますが、個人の幸福にとって実は無敵コマンドなんですよ。

だから僕は、できないことは迷わずあきらめて、「しょうがないリスト」にぶち込んでいます。

「しょうがないリスト」があると、できなくても落ち込みません。「あ~、これはしょうがないリスト入りのやつだから仕方ないわ~」と思えます。

「遅刻しちゃったけどしょうがないリストだから、しょうがないか」と気持ちを切り替えられるわけです。

たとえば1回や2回のミスで、「しょうがないリスト」入りさせるのは早すぎますが、人生で何度も同じ失敗を繰り返してしまうことに対しては、「あきらめる」という無敵コマンドを選択するしかない。

いくら「やりたいこと」であっても「できないこと」なら、あきらめるのが一番幸せです。

「どちらかといえばタワマンに住みたいけど、無理だし路上でいいか」と考えられるかどうかなんですよ。まあ、僕ほど極端なヤツって、あんまりいないと思いますけど。

で、「しょうがないリスト」をつくったら、そのリストがあっても困らないことで生きていったらいい。たとえば「朝起きれない」「指示されるのが嫌」がリスト入りしていたら、自宅でできる仕事を選ぶとか、ウーバーイーツで働くとか。

すべてをあきらめる必要はないけど、すべてに対して粘る必要もないと思っています。

できること、できないことを明確にした後は、「あきらめる」のコマンドを常に用意しておけばいいんですよ。

「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと」はロジックから間違っている

よく、J-POPの歌詞で「負けないこと、投げ出さないこと、逃げないこと」が、推奨されますよね。

個人的に、こういう歌に文句をつける気は一切ないのですが、ただ「ダメになりそうな時」こそ僕はこの歌詞の真逆のことが大事なんじゃないかと思っています。

つまり「負けること、投げ出すこと、逃げ出すこと」ですね。

僕の下にはさまざまなパターンの「ダメになっちゃった人」が奢りにくるのですが、彼らを見ていてわかったことがあります。

ダメになっちゃったときに一番大事なのは「負けを認めること」「すぐ投げ出すこと」「とにかく遠くまで逃げること」「信仰を捨てること」です。

人それぞれいろんな「ダメになりそうな時」があって、そこで踏ん張り続けることって、美徳としては立派かもしれないけど、“論理的に” 正しくないことが多いんですよね。

ダメなときこそ論理的に生きないと、下手したら死にます。

まずは自分がなんで「ダメになりそう」なのか、考えることです。

人間関係ならその人からすぐに離れればいいし、仕事がしんどいなら転職すればいい。負けていいし、投げ出していいし、逃げていいんです。

社会には「負けないこと、逃げ出さないこと」を強要してくる人もいるみたいだけど、野蛮な人はいつまでも野蛮だし、話が通じない。

こちらが求めていないアドバイスをしてくる人は全員無視していいのに、意外とみんなそこに振り回されているなというイメージがあります。

根本的に「人を変える」ということはできません。

事実として無理です。ダメなときこそ、コントロール可能な自分をどうにかするしか方法はないわけです。

昔、僕に奢りにきた丸の内OLは「上司のハラスメントで鬱になった。薬では治らなかった。どうしたら上司を完全犯罪で殺れるか綿密に考えて、『その気になればいつでも殺れる』と想像するようになってから鬱が治った」って言ってたっけな。

ちょっと前だったらコミュニケーションを取れる範囲ってすごく限られていて、会社辞める=知り合いがいなくなる、だったかもしれないけど、今はネットでいくらでもコミュニティがつくれるし、趣味の友達とかSNSでの知り合いとか増やしていけるから、そもそも身近な人の目を気にする必要のない社会になってきています。

それでもなかなか逃げ出せない人は、たぶんすごく人の目を気にするタイプなんだと思うんですよ。

でも、そもそも、負けたらどう思われるかよりも、負けた先に何があるかってことのほうが大事じゃないですか?

でも、人なんて自分が思っている以上に自分に興味ありませんからね。ためらわずに負けていったもん勝ちじゃないかなと思います。

まずはやりたくないことを、辞める方法を考えてみませんかね。明確に「こうすれば確実に辞められるな」ということを考え抜くんです。

そうすると「いつでも辞められる」という意識があるので、「まあ、べつにやってあげてもいいか」と思えたりもします。

常に撤退を意識しておくことが大事です。

「嫌なことをしないだけ」で心が軽くなる生き方を知ろう

まるで直接話しかけてくるような言葉でつづられている同書。「あとがき」を見ると、本を書く作業さえも大変だから “やめちゃっ” と言っています。

「あきらめる人が無敵」「ドタキャンできる自由ゾーンをつくる」など、多くの人が囚われているあらゆる固定概念を、ことごとく捨てて生きているプロ奢ラレヤーさん。

彼の生き方は、「意識高く生きねば」と生きづらさを感じている現代人が、口にはしないけど“本能的”に欲している姿勢なのかもしれません。

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