ビジネスパーソンインタビュー
南章行著『好きなことしか本気になれない。』より
「現実を見て手に職を」はまるで役に立たない。人生100年時代に必要な3つの力
新R25編集部
「人生100年時代」となり、定年退職が80歳になるかもしれない。たとえ定年まで働いても、年金はもらえないかもしれない。
このような未来が予想されているなか、「将来大変になるかもしれないけど、具体的にどう対策すればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
そんな不安を払拭するヒントになるのが、『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』。
著者の南章行さんは、バブル崩壊後の住友銀行から企業買収ファンドへ転職後、オックスフォード大学でMBAを取得、現在はスキルマーケット「ココナラ」を経営しているという、まさに不安定な時代を生き延びてきた人物です。
南さんの考える「自分が将来進むべき道の考え方」を、同書より3つの記事でお届けします。
「長く働く時代」にもっとも必要なのは個人の力
終身雇用制度が消滅し、突然クビになったり、会社が倒産したり、「ボーナスカット、給料は半額で頼む」と言われても不思議ではなくなる。
運よくそんな目にあわなくても、定年がくれば会社にはいられないし、あなたの仕事は「なくなる仕事」かもしれない。
「長く働く時代になる」という外部要因を考えれば、フリーになっても食っていける個人の力は必要不可欠だと僕は思う。
持つべき個人の力①「複合的なスキル」
「個人の力」の3大要素その1はスキルだ。
ただし、どのようなスキルにニーズがあるかは、外部要因の影響を受ける。
時代の変化は速く、環境はみるみる変わる。
そんななか、「絶対」を求めて安定を手にしようという人は、全財産をバカラ賭博にオールインするレベルのギャンブラーだ。
「この資格を取っていれば一生食いっぱぐれがない」とか「現実を考えて手に職をつける」という発想は、80歳まで働くというとき、堅実に見えてまるで役に立たない。
神カードだった資格のいくつかが紙くずに変わるであろうことはわかっているが、どのカードがそれなのか、100パーセント予測することは難しい。
そこで「唯一無二のスキルをひとつ持つ」という発想は捨ててしまおう。
「複数のスキルを持つ、新たなスキルを獲得し続ける」という考え方に切り替えるのだ。
唯一無二のスキルではないから、「自分のすべてをそこに投入する」という必死さはいらない。
仕事で身につけたものでもいいし、性格や趣味と結びついたパーソナルスキルでもいい。
個人のスキルを持つとは、たったひとつの秘密兵器を持つことでなく、使える武器をいくつか持ち、それを更新し続けたり、かけ合わせたりするというイメージだ。
こうすると「どう働くか」「どう稼ぐか」という選択肢が増えるし、自由度が高まる。
1,000人の中で1番になるのではなく、10人の中で1番のスキルを3つかけ合わせれば、結果として1,000人の中で唯一のレア人材になれるという発想だ。
新たな「10人の中で1番」を見つけ、更新していくのだ。
持つべき個人の力②「自分の価値観」
80歳まで働くための「個人の力」の3大要素のその2は、自分の価値観を持つことだ。
「ずっと営業畑だったから、営業の経験を活かして活かして転職しよう」という人は、同じく過去に縛られ、過去を正当化し、未来の自分を過去ありきで決めている。
だが、あなたの「個人の力」は、あなたの過去ではない。
あなたの「個人の力」は、あなたの価値観から生まれてくる。
営業畑だった人の例を、単純化して考えてみよう。
「僕は人と話すのが好きで、コミュニケーションが得意だ。相手にいいものを勧めた結果、その人の人生がよりよいものになると思うとワクワクする」
こういう人は、「人が好きでコミュニケーションが得意」というスキルの持ち主で、「人の人生をよりよくすることに貢献したい」という価値観の持ち主だ。
これは単純な「営業スキル」とは似て非なるものだ。
なぜなら、「営業スキル」は営業にしか使えないが、個人のスキルと価値観は、どんな仕事にも応用が効くからだ。
こういう人が、自分のスキルおよび価値観に従って営業の仕事をチョイスし、経験を積んだらうまくいくだろうが、だからといって営業に縛られなくてもいい。
「自分のスキルと価値観を別の形で活かせないかな?」という、新たな選択肢も生まれてくる。
たとえば、「このサービスは人の人生をよりよくする」と心の底から思えるベンチャーに出会ったとする。
営業職ではないがやれることはなんでもやろうと飛び込んで仕事をしていたら、持ち前のコミュニケーションスキルを発揮して人材採用の領域で大活躍、みたいな未来もあるかもしれない。
この場合、経験や過去は「いつか活きる能力」であって、未来を限定するものではない。
このように、僕らはこれまでやってきた仕事をリセットし、新しいキャリアを選ぶことができる。
逆にいうと、過去にしがみつき、正当化しなければならないのは、自分のスキルがわかっていなかったり、自分の価値観がわかっていなかったりするからだと僕は思う。
持つべき個人の力③「セルフリーダーシップ」
さて、そろそろ話を整理しよう。
絶対に変わらない外部要因は「長く働くこと」。
そのために必要な「個人の力」が3つあり、ひとつはスキル、もうひとつは自分の価値観だ。
「スキル」は唯一無二のものでなく複数あるべきだし、更新されていくほうがいい。
長期プランが意味なしになるほど変化の激しい時代だから、「自分の価値観」というブレないものが必要だ。
未来予測はできないと書いたが、それはすなわち、誰も先のことまで見通せないということだ。
それは会社も同じで、あなたが80歳まで働けるような目標を設定してくれる企業は存在しないし、そんなリーダーもいないだろう。
スキルを得て成長できるような課題を与えてもらうのを待っていても、誰も与えてくれないし、何も見つからないだろう。
もしもあなたが起業していたり、フリーランスだったりすればなおさらだ。
目標を自分で設定し、課題も自分で見つける。
今後はこれが当たり前になっていく。僕はそう考えている。
目標を決めるのは自分。
実行して達成するのは自分。
評価するのも自分。
これをひとことで言うと、「セルフリーダーシップを持つ」ということだ。
仕事を探すにしろ、変えるにしろ、何かの目標を立てるにしろ、自分を動かし、その都度、意思決定を下す。
この「セルフリーダーシップ」こそ、人生100年時代に必要な「個人の力」その3だと僕は考えている。
どうやって心を満たす仕事を見つけるのか?
見つけたとして、どうやって一歩を踏み出すのか?
そんなときにはセルフリーダーシップを発揮して、自分で自分をリードしていこう。
人生80年時代は、社会システムのなかでよりよく機能する「社会の部品」になることが、働くうえでは効率がよかった。
みんなが同じようなことをして機能するシステムだったから、個人は部品であるほうがスムーズだったのだ。
だが、その社会システムは崩壊し、未来予測が圧倒的に難しくなったのが人生100年時代だ。
特に人口が減っていき、マンパワーが全体として落ちていくこの国では、1人ひとりが「自分というシステムづくり」をして、個の力を強くしなければ、社会全体を維持していけなくなるだろう。
ただし、セルフリーダーシップを発揮するというとき、絶対に無理はいけない。
ワンマンで強権的なリーダーが力ずくで引っ張っても、部下が誰もついてこないのと同じことが、自分のなかで起きてしまう。
また、個人のシステムには限界があるから、他者というシステムと協働してこそ、可能性が広がる。
「個人の力」を持ち、自分というシステムづくりをした1人ひとりが、ゆるやかなネットワークをつくる。僕はそんな社会が理想だと考えている。
人生100年時代の働き方をもっと学ぼう
『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』は、今の仕事に違和感を抱いている方に読んでほしい一冊。
80歳まで働く未来を見据えたとき、今考えるべきは職場での競争や目の前の成長ではないかもしれません。
一生安泰な仕事が存在しないなか、私たちはどのように行動していけばいいのか、同書を通して学んでいきましょう!
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