ビジネスパーソンインタビュー
中田敦彦著『中田式 ウルトラ・メンタル教本』より
まわりの評価が気になる人は、さんまさんのような「高エネルギー体の持ち主」を目指せ
新R25編集部
昨年アパレルブランド「幸福洗脳」を立ち上げ、さらに今年開設した「中田敦彦のYouTube大学」は5カ月で登録者数が100万人を突破するなど、芸人の枠を超えた躍進をする中田敦彦さん。
ただ、ここまでのキャリアは、急上昇と急降下の繰り返し。賛辞を浴びることもあれば、非難されることも数多くあったそうです。
中田さんがそんな激動のキャリアでも挑戦を続けられたのは、“くじけないメンタル”があったからこそ。
新著『中田式 ウルトラ・メンタル教本』には、そんな中田さんがメンタルを保つために、41個の「やらないこと」を列挙しています。
中田さんのメンタルハック術より、「緊張したらどうする?」「人の目が気になってしまう」「自分に自信がない」という疑問への解決法をご紹介します。
雑音は聞かない
僕の父親は生命保険会社を勤め上げたサラリーマンでした。
厳しい面もあったけど、大学まで進めたのは教育熱心な両親のおかげです。
そんな家庭ですから、僕が芸人になりたいと打ち明けたとき、当然ながら簡単には賛成してくれませんでした。
そこで僕がとった戦略は、「ロジカル・ネゴシエーション」です。
まず、父親にはこれまで育ててくれたことに感謝しました。お金や時間をかけて、進路についていろいろ助けてくれたことに、「ありがとう」と言いました。
次に、謝罪です。やはり、大学を卒業してからは資格を取るなり一般企業に入るなり、父親なりの希望があったはずです。そこからはみ出すことを、「申し訳ない」と謝りました。
感謝と謝罪を述べたうえで、父親が僕の将来を心配してくれていることはきちんと理解していることを伝えました。
事態がこじれたとき、「感謝」と「謝罪」は不可欠です。逆に言えば、「感謝」と「謝罪」さえ押さえておけば、相手は耳を貸してくれるんですね。
それから、完全に正確な再現ではありませんが、父親にはこんなことを言いました。
「僕が選択する道は、お父さんが歩いてきた世界とは違う。イメージできないから心配なんだと思うんだ。現実的に、何も保障されない商売だし、能力主義の世界に違いない。
でも、僕には考えがある。リスクを軽減するプランを持っている。時間的制限を持って、タイムリミットが訪れてもダメなら、一般社会で働く覚悟もしている。
もちろん、コストに関してはバイトで賄うから、迷惑はかけません。時間とコストを自分で管理して、芸人になります。無謀ではない計画的な挑戦にしたいんだ」
感謝のあとで、自分の願望を伝える。それが、絵に描いた餅でなく、綿密な計画であることもしっかり伝える。
自分の言い分を通すために大切なのは、論理的になること、それに尽きます。
とくに肉親同士で感情的になると、地獄ですよね。
「親父は何もわかってくれない!」
「バカ息子が! 出ていけ!」
そんな展開は絶対に避けたかったのです。
肉親を相手に、論理的な話をすることができないという人もいるでしょう。
おそらくそれは、肉親に対して「きっとわかってくれる」と信じているからではないでしょうか。
親といえども、他人です。しょせん、わかり合えっこないんです。
いくら一緒に暮らしていても、高度経済成長からバブルの時代を目の当たりにしてきた父親の世代と、不況と就職氷河期が標準設定されていた僕らの世代とでは、そのジェネレーションギャップは想像以上にかけ離れていると考えて間違いありません。
信じているもの、頼っているもの、リスペクトするものは、世代ごとにまるで違ってきます。
そのことをあらかじめ理解していると、腹を立てなくて済むわけです。
言い換えれば、僕は論理的な説明だけして父親の意見を聞かなかったということになります。父親を含む異なる世代の価値観を受け流しているのです。
異なる価値観はすなわち雑音ですから、耳を傾けなくていいんです。「誠実に生きる」「戦争をしない」といった普遍的に大切なことだけ見誤まらなければいいと思います。
たとえば、ユーチューバーを一段下に見ている芸人さんがいます。僕のやっていることに批判的な人もいます。でも、僕は無理にそんな芸人さんから理解を得ようとは思いません。ある意味で美学の違いに過ぎませんから。
結局、僕は僕なんです。他人とは、どうしたって考えは異なります。だけど、異なるという事実が理解できれば、聞き流せる。意見の違いに怒ることもなくなります。
僕だって、中学生くらいの子たちの考えを聞いても理解できないと思います。下の世代の子たちは、各々そのジェネレーションで闘っていくでしょう。わからないなら、わからないままでいいじゃないですか。
無理に相互理解なんてしなくていいと僕は思っています。
意見の9割は聞かない
あなたは「カスタマーセンター」を利用したことはありますか?
家電などが故障したとき、電話で対応してもらうサービスです。最近は、クレーマー対策なのか、ネット上で問い合わせできるところも増えています。
パソコンのトラブルにしても、若者の多くはネットで検索して自分で原因を調べています。僕もだいたいはググッて調べますから、カスタマーセンターに電話をかけたことはほとんどありません。
ならば、カスタマーサポートという部門は今後なくなっていくのか?
ところが、そうなることはないと断言できます。
企業が今も「お客様サポートセンター」「お客様相談室」を設けているのは、その企業の発展において大きな意味を持っているからです。
毎日更新している「中田敦彦のYouTube大学」では、夏目漱石の『こころ』の読みどころを語ったり、秦の始皇帝の野望と政策について解説したりしています。
動画に対して、毎回いろんなコメントが寄せられます。かなり極端に二分されていて、ほとんどが絶賛か罵詈雑言です。
「あっちゃん、最高でした!」「大好き」
という絶賛はありがたいし、とても勇気づけられます。一方で、
「うるさいんだよ」「中田、うざ」
というようなコメントもある。
どういう内容であれ、僕はそれらのコメントをすべて読むようにしています。
大量に寄せられる絶賛と罵詈雑言のなかに、およそ1割だけ、具体的かつ有益な批判をするコメントがあるからです。
たとえば、こんな投稿がありました。
「話しているときにモスキート音みたいなのが混ざっていて聞き取りにくい」
モスキート音とは、1万7000ヘルツ前後の音のこと。蚊の羽音に近いのでそう呼ばれていて、年齢とともに聴力が衰えると聞き取りづらくなります。
30代にもなれば聞こえなくなるそうです。ということはつまり、若い人にとっては不快な音が絶えず流れていたことになります。ピンマイクが原因だとわかり、機材を変更しました。
こういった具体的な指摘は、ほかにもありました。
「革ジャンと黒いTシャツ姿だからか、いまいち見る気がしない」
という意見があったので、さっそくほかの講義系ユーチューバーの服装を確認しました。すると、ほとんどがジャケット着用でした。
ほかのユーチューバーとは違う格好をしようと思い、革ジャンを選んだのですが、どうやらそれが動画上ではノイズとして受け止められたようです。ジャケットに変更したら、再生回数は上がりました。
こうした指摘はビジネスでもそうでなくても、あなたにとって必ず有利に働きます。具体的な意見こそ成長の糧です。
他人の意見の9割は参考になりませんから、悪口は聞き流しましょう。そのぶん、貴重な1割の具体的な意見に耳を傾けてください。
まわりの評価を気にしない
同じ人間とは思えないくらい、とてつもないエネルギーを持っている人を、僕は「高エネルギー体の持ち主」と呼んでいます。
先輩芸人でいえば、明石家さんまさんが代表格です。
さんまさんには、基本的にオフの状態がありません。ずっとオンなんですよ。
テレビ局の廊下で会っても、ものすごく声が大きいんです。
「おーっ、おまえ、元気か!」
楽屋にいても、さんまさんの声はすぐにわかります。
あなたのまわりにもいませんか? とにかく明るくて元気な人。エネルギッシュで声の大きい人。それでいて、何かしらのカリスマ性を感じさせる人。まさに高エネルギー体の持ち主です。彼らは、ただそこにいるだけで、
「この人、なんかすげえ!」
と思わせてくれるのです。
猛烈な明るさと存在感を放つ高エネルギー体の人を見ていると、3つの共通点があることに気づきました。
①姿勢がよく、堂々と歩く
②初対面の人とは必ず握手をする
③すべてにおいて行動が早い
そういったことがナチュラルにできているんですね。「こうしたら得だ」という作為はなくて、いつも気持ちよさそうに歩いているし、ごく自然に握手を求めます。レスポンスが早いのは、判断のスピードが速いからです。
さらに、他人からどう思われているかを気に留めていません。人が喜ぶ行動をナチュラルにできるから結果的に評価されるだけで、本人はただ楽しんでいるだけです。
その人が高エネルギー体なのは生まれ持ったところも大きいと思いますが、あなただってそうなることは可能なんです。事実、僕はある方法でそこに近づくことができたと思っています。
といっても、とても簡単な方法です。無理やりでも、ポジティブな言葉を口にする。それだけです。
「今日も最高に楽しいな」「すばらしい1日になるぞ」
どんな言葉でもOKです。とにかく、前向きになれる言葉を連呼しましょう。
僕がもともと猫背で、姿勢を正すために空を見上げることは前にお話ししました。
それと同じことです。気持ちなんて込めなくてかまいません。ただ、前向きな言葉を繰り返しましょう。
ネガティブなことがあっても、逆をつくのがコツです。雨が降り出したら、「肌が保湿できる!」と言ってみる。
そうしたら気持ちが高まって、ホルモンが分泌され、本当にお肌がぷるぷるになってしまうかもしれません。
とにかく、高エネルギー体を目指してみて損することはひとつもありません。まわりの評価に一喜一憂することもなくなるでしょう。
それだけであなたは魅力的な人間になります。
「くじけないメンタル」と「冷静な思考」を持つための中田式ノウハウ
『中田式 ウルトラ・メンタル教本』は、メンタルを鍛えるという方向とは少し違います。
同書には、ほんの少しのマインドチェンジで、メンタルの危機を回避してくれるようなハック術が41も載っています。
そのひとつひとつのハック術は、すべて中田さんの経験をもとにしたもの。決して机上の空論ではない、メンタルの整え方が学べます。
ビジネスパーソンインタビュー
いろんな仕事をこなす「ゼネラリスト」は目立てない? サイバーエージェント2年目社員の悩みにUUUM創業者が喝
新R25編集部
スモールビジネスの課題“3つの分断”に挑む。freeeによるプロダクト開発の基盤「統合flow」を発表
新R25編集部
「結婚に焦っているけど、本気の恋愛が億劫です…」ハヤカワ五味さんに相談したら、初めて聞くアドバイスが返ってきた
新R25編集部
「ずっとうっすらお金がない」悩みを解決!? 北の達人が新入社員に必ず教える“豊かになる鉄則”
新R25編集部
「営業のセレブリックス」が変わる(かも)。“最速マネージャー”の若手率いるマーケ支援総合サービス
新R25編集部
山本康二さんが新R25副編集長にガチ檄。「暗くても、パッとしてなくてもいい。リーダーに必要なのは一つだけ」
新R25編集部