ビル バーネット・デイヴ エヴァンス著『スタンフォード式 人生デザイン講座』
5つの質問で自分の“熱中”を見つけられる。スタンフォード式「グッドタイム日誌」のつくり方
新R25編集部
「今の仕事が楽しいと思えず消耗している」
「もっと自分に合った仕事があるのではないか」
こう悩むビジネスマンは多くいます。
しかし自分に合った、楽しいと思える仕事はどこにあるのでしょうか?
そこで参考にしたいのが、世界で100を超える大学がプログラムを取り入れている、スタンフォード大学の「ライフデザイン講座」。
講師のビル・バーネットさんとデイヴ・エヴァンスさんは、「自分が熱中できる活動を見つけるために、記録をつけるのが効果的だ」と言います。
そこで、講座の内容をまとめたおふたりの著書『スタンフォード式 人生デザイン講座』から、熱中できる仕事を探す方法についてお届け。
行動を記録して自己分析することで、熱中できる仕事を見つけるための道しるべになるかもしれません。
地図ではなくコンパスをもって進む道を探す
道探しは、目的地がわからないときに進むべき道を見つけだす昔ながらの技術だ。道探しに必要なのは、コンパスと方角。地図ではなく方角なのだ。
18~19世紀の探検家、ルイスとクラークについて考えてみてほしい。ジェファーソン大統領がルイジアナ買収で取得した土地から太平洋までの陸路横断へとふたりを派遣したとき、ふたりは地図をもっていなかった。
太平洋までの道探しをしながら、彼らはその道のりを140枚もの地図に描いていった。
人生の道探しもそれと似ている。人生に唯一の目的地はないので、目的地をGPSに入力して、曲がり角に来るたびに指示を受けることなんてできない。
あなたにできるのは、目の前の手がかりに注目し、手元にある道具を使って最善の道を選ぶことだけ。
その最初の手がかりが「熱中」だ。
熱中する瞬間を知ると知らないとでは大違い
自分が楽しんでいる瞬間に気づけば、自分がどういう活動に確実に熱中できるかを発見できる。
そこで、仕事終わりに以下のような記録をつけるのがおすすめだ。
一日の仕事のなかで、「退屈」「落ち着かない」「つまらない」と感じたタイミングは?そのときどんな仕事をしていたのか?つまり、熱中していない時間帯は?
また、「ワクワクする」「集中している」「楽しい」と感じたタイミングは?そのときどんな仕事をしていたのか?つまり、熱中している時間帯は?
この記録のことを、わたしたちは「グッドタイム日誌」と呼んでいる。
自分が熱中しているのはいつか?エネルギーに満ちあふれているのは?その逆は?
それを記録することで、あなた自身の行動に着目し、うまくいっている部分を見つけることができるわけだ。
自分の情熱に気がつくグッドタイム日誌をつけよう
あなたも、グッドタイム日誌をつけてみよう。
どうつけるかはあなたの自由。日記帳に手書きでつけるもよし、バインダーとルーズリーフを使うもよし、パソコンに入力するもよし。
お勧めするのは、気軽にスケッチできる手書きだ。ただ、いちばん大事なのはとにかく定期的につけること。もっとも楽しくてつけやすそうな形式を用いるのがいいだろう。
グッドタイム日誌にはふたつの要素がある。
・行動記録――熱中している状況、エネルギーに満ちている状況を記録する。
・考察――行動記録からわかることを考察する。
行動記録
行動記録はいたってシンプルだ。あなたの主な活動をリストアップし、その活動でどれくらい熱中したか、エネルギーがわいてきたかを記録すればいい。
行動記録は、貴重な情報をたくさん記録するためにも、できれば毎日つけてほしいが、数日おきにまとめてつけるほうがラクならそれでもOK。
行動記録の目的は、モチベーションが上がる活動を見つけだすこと――それもなるべく具体的に。ふつうのひとはこんなことをやり慣れていないので、慣れるまでしばらく時間がかかるだろう。
だれしも、一日が終わって帰宅するとき、「今日は最高だった」「最悪の日だ」と感想を漏らすことがあるだろう。でも、なぜそう感じたのかを細かく分析することはめったにない。
一日は最高の瞬間、最悪の瞬間、ふつうの瞬間など、無数の瞬間の連続で成り立っている。
行動記録の目的は、一日の出来事を細かく掘り下げ、あなたが楽しんでいる瞬間を知ることにある。
考察
グッドタイム日誌のふたつ目の要素が「考察」だ。行動記録を振り返り、パターン、洞察、意外な点を見つけだそう。
あなたに合っていることは?合っていないことは?
それを知るヒントになるものならなんでもいいので、とにかく見つけだそう。
あなたが現在の生活のなかでおこなうすべての活動をもれなく記録できる期間――最低でも三週間くらい――は行動記録をつけてみてほしい。
数週間にいちどしかおこなわない活動もあるだろうから。そうしたら、ある程度の量ずつまとめて考察できるよう、週1回日誌を見なおすことをお勧めする。
毎週の考察内容は、グッドタイム日誌の余白に書きこもう。
自分の新しい面を知るためのAEIOUメソッド
道を探す方角をより正確に定めるためにも、グッドタイム日誌を具体的に書いて深掘りしていくことがポイントだ。そこで使えるのが、AEIOUメソッドだ。
AEIOUは、行動記録を振り返るときに使える5つの質問の頭文字を表わしている。
活動(Activity)
あなたはなにをしていたのか?
それは決まった形式をもつ活動か? それとも自由気ままな活動か?
あなたは特別な役割(チーム・リーダーなど)を果たしていたか? それとも一参加者(会議のメンバーなど)にすぎなかったのか?
環境(Environment)
環境は心の状態に大きな影響を及ぼす。その活動をしていたとき、どこにいたかを思い出そう。
どんな場所だったのか? その場所はあなたをどういう気分にさせただろう?
やりとり(Interaction)
やりとりした相手は人間?機械?
新しいタイプのやりとりなのか?おなじみのやりとりなのか?
正式なやりとりなのか?自由なやりとりなのか?
モノ(Object)
モノやデバイス(iPad、スマートフォン、ホッケー・スティック、ヨットなど)は使ったか?
そのときのあなたの気分を生みだした(または強めた)モノは?
ひと(User)
ほかにその場にいたひとは?
そのひとはあなたの体験にとってプラスだっただろうか?それともマイナスだっただろうか?
AEIOUメソッドを使えば、効果的にズームインし、あなたになにが合っていてなにが合っていないのかが具体的にわかる。
AEIOUメソッドを用いた例を紹介しよう。
『スタンフォード式 人生デザイン講座』バスラは大学教育に心酔していた。仕事はなんでもよかった。とにかく大学で仕事ができれば大満足(=環境)。そこで、彼女は自分が卒業した大学に就職した。
初めの5、6年間は、資金調達から新入生のオリエンテーションまで、なにをしても楽しかった(=活動)。
ところが、あるとき急にやる気がなくなりはじめ、彼女は教育熱が冷めてしまったのではないかと心配になった。そんなとき、彼女はグッドタイム日誌をつけてみた。
その結果、まだ大学を愛していることに気づいた。
ただ、引き受けた仕事がまちがっていた。30歳が近づくにつれ、働く環境だけでなく役職も大事だと思った彼女は、学生たちとの交流が多い学生課から、法務課へと移る昇進話を引き受けた。
そのせいで、管財人や弁護士(=ひと)と会う機会や、書類(=モノ)を扱う機会が増えてしまっていた。
そこで、彼女はあえて少しだけ降格し、住居課の職を引き受けることにした。
おかげで、もういちど学生たちと建設的な交流ができるようになり(=やりとり)、書類仕事も少なくなった。
あなたも、グッドタイム日誌について考察するときは、ぜひこのAEIOUメソッドを使って、貴重な発見を探りだしてみてほしい。思いついたことはなんでも記録しよう。
ただ、自分自身を評価しないことが大事だーーあなたの感情に正解も不正解もないのだから。
「熱中できる仕事を見つけて、人生の可能性を広げたい」と思う人へ
ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学、イェール大学など、数々の名門大学でプログラムが取り入れられている「ライフデザイン講座」。
その人気講座の内容をまとめ、理想の人生に導くための思考プロセスを凝縮したのが『スタンフォード式 人生デザイン講座』です。
「熱中できる仕事を見つけて、人生の可能性を広げたい」。現在地から次の場所へと進むための「道探し」をしたい人にぴったりの一冊です。
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