ビジネスパーソンインタビュー
スティーブン・R・コヴィー博士著『7つの習慣』より
どんな変化にも耐えられる“中心”を持て。なぜ個人にミッション・ステートメントが必要なのか
新R25編集部
もし、歴史上の偉人や賢人、成功者たちの行動や考え方の共通点があるとしたら…知りたいと思いませんか?
米国のスティーブン・R・コヴィー博士がアメリカ建国以来、成功者に関する200年分の文献を緻密に調査・分析し、体系的にその考え方をまとめたという『7つの習慣』。
1989年の初版発売以降、44カ国語に翻訳され、全世界3,000万部、日本でも累計220万部を売り上げ、「世界で最も有名な自己啓発本」と言っても過言ではない本著は、ビジネスパーソンなら1度は読んでおきたい必読書です。
そんな、全世界のビジネスパーソンのバイブルともいうべき『7つの習慣』と新R25のコラボ企画が実現!
全8回の連載を通して、より日々の仕事に活かせる形で『7つの習慣』をお届けします。
第2回~第8回は、同書の「第1の習慣」~「第7の習慣」それぞれの習慣ごとに、一部を抜粋。
さらに、7人のビジネス賢者が『7つの習慣』を読んで残したメモ書きを記した『賢者のハイライト』の一部も特別掲載しています。
第2の習慣は「終わりを思い描くことから始める」。そして、この習慣にコメントを残していただいた賢者は、認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事の鈴木美穂さんです。
【鈴木美穂(すずき・みほ)】認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事 元日本テレビ記者・キャスター。1983年東京都生まれ。2006年慶應義塾大学卒業後、2018年まで日本テレビに在籍。報道局社会部や政治部の記者、「スッキリ」「情報ライブミヤネ屋」ニュースコーナーのデスク兼キャスターなどを歴任。2008年、乳がんが発覚し、8か月間休職して手術、抗がん剤治療、放射線治療など、標準治療のフルコースを経験。復職後の2009年、若年性がん患者団体「STAND UP!!」を発足。2016年には、東京・豊洲にがん患者や家族が無料で訪れ相談できる「マギーズ東京」をオープン。自身のがん経験をもとに制作したドキュメンタリー番組「Cancer gift - がんって、不幸ですか?」で「2017年度日本医学ジャーナリスト協会賞映像部門優秀賞」を、「マギーズ東京」で「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017チーム賞」を受賞。著書に『もしすべてのことに意味があるならーがんが私に教えてくれたこと』(ダイヤモンド社)
「終わりを思い描くことから始める」とは?
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は生活のさまざまな場面やライフステージに当てはまる習慣だが、もっとも基本的なレベルで言うなら、人生におけるすべての行動を測る尺度、基準として、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて今日という一日を始めることである。
そうすれば、あなたにとって本当に大切なことに沿って、今日の生き方を、明日の生き方を、来週の生き方を、来月の生き方を計画することができる。
人生が終わるときをありありと思い描き、意識することによって、あなたにとってもっとも重要な基準に反しない行動をとり、あなたの人生のビジョンを有意義なかたちで実現できるようになる。
終わりを思い描くことから始めるというのは、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。
目的地がわかれば、現在いる場所のこともわかるから、正しい方向へ進んでいくことができる。
鈴木さん
自分の人生の最後はいつ来るかなんて誰にもわからない。
死ぬときには、何も持っていけないんだ…と私はがんになって死を具体的に想像してはっと気づいた。
モノもお金も持っていけない。できるのは残すことだけ。
リーダーシップとマネジメント:二つの創造
第2の習慣は、自分の人生に自らがリーダーシップを発揮すること、つまりパーソナル・リーダーシップの原則に基づいている。リーダーシップは第一の創造である。
リーダーシップとマネジメントは違う。
まずは、リーダーシップがなくてはならない。マネジメントはボトムライン(最終的な結果)にフォーカスし、目標を達成するための手段を考える。
それに対してリーダーシップはトップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのかを考える。
ピーター・ドラッカー(訳注:米国の経営学者)とウォーレン・ベニス(訳注:米国の経営学者)の言葉を借りるなら、「マネジメントは正しく行うことであり、リーダーシップは正しいことを行う」となる。
成功の梯子を効率的にうまく登れるようにするのがマネジメントであり、梯子が正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップである。
ジャングルの中で、手斧で道を切り拓いている作業チームを考えてみれば、リーダーシップとマネジメントの違いがすぐにわかるだろう。
作業チームは生産に従事し、現場で問題を解決する人たちだ。彼らは実際に下草を刈って道を切り拓いていく。
マネジメントの役割はその後方にいて、斧の刃を研ぎ、方針や手順を決め、筋肉強化トレーニングを開発し、新しいテクノロジーを導入し、作業スケジュールと給与体系をつくる。
リーダーの役割はジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して、「このジャングルは違うぞ!」と叫ぶ。
だが仕事の役割に追われて効率しか見えない作業チームやマネージャーだったら、その叫び声を聞いても、「うるさい! 作業は進んでいるんだから黙ってろ」としか反応しないだろう。
私生活でも仕事でも、私たちは下草を刈る作業に追われるあまり、間違ったジャングルにいても気づかないことがある。
あらゆる物事がめまぐるしく変化する現代においては、個人や人間関係のあらゆる側面においても、これまで以上にリーダーシップの重要性が増している。
私たちに必要なのは、はっきりとしたビジョン、明確な目的地である。そしてその目的地に到達するためには、ロードマップよりもコンパス(方向を示す原則)が要る。
地形が実際にどうなっているのか、あるいは通れるのかは、その場その場で判断し問題を解決するしかない。しかし、自分の内面にあるコンパスを見れば、どんなときでも正しい方向を示してくれるのである。
個人の効果性は単に努力の量だけで決まるのではない。その努力が正しいジャングルで行われていなければ、生き延びることさえおぼつかなくなる。
どの業界をとっても変革を求められている現代にあって、まず必要とされるのはリーダーシップである。マネジメントはその次だ。
個人のミッション・ステートメント
終わりを思い描くことから始める習慣を身につけるには、個人のミッション・ステートメントを書くのがもっとも効果的だ。
ミッション・ステートメントとは、信条あるいは理念を表明したものである。
個人のミッション・ステートメントには、どのような人間になりたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献、功績)、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書く。
個人のミッション・ステートメントも、正しい原則を土台としていれば、その人にとって揺るぎない基準となる。その人の憲法となり、人生の重要な決断を下すときの基礎となる。
変化の渦中にあっても、感情に流されずに日々の生活を営むよりどころとなる。それは、不変の強さを与えてくれるのだ。
内面に変わることのない中心を持っていなければ、人は変化に耐えられない。
自分は何者なのか、何を目指しているのか、何を信じているのかを明確に意識し、それが変わらざるものとして内面にあってこそ、どんな変化にも耐えられるのである。
鈴木さん
ミッション・ステートメントを持てば、もう迷わない。
私のミッションステートメントは、
1. 愛する家族と友だちを大切にすること。
2. 感謝の気持ちを忘れないこと。
3. 自分を信じて、自分の気持ちに正直に生きること。
4. 生きることを楽しむこと。そのためにも身体を大切にすること。
5. この世界がもっとよくなるように自分ができる最善を尽くすこと。
個人のミッション・ステートメントを記し活用する
私たち人間が生きる意味は、自分自身の内面から生まれる。
ここでヴィクトール・フランクルの言葉を借りよう。
「究極的に、我々が人生の意味を問うのではなくて、我々自身が人生に問われているのだと理解すべきである。一言で言えば、すべての人は人生に問われている。自分の人生に答えることで答えを見出し、人生の責任を引き受けることで責任を果たすことしかできない」
個人の責任あるいは主体性は、第一の創造の基礎となる。
コンピューターのたとえを再び持ち出すが、第1の習慣は「あなたがプログラマーであり、自分には責任があるのだということを受け入れない限り、プログラムを書く努力はできないだろう」と言っているのであり、第2の習慣は「あなたがプログラムを書きなさい」と言っているのだ。
私たちは、主体性を持つことによって初めて、どんな人間になりたいのか、人生で何をしたいのかを表現できるようになる。
個人のミッション・ステートメント、自分自身の憲法を書くことができるのだ。
ミッション・ステートメントは、一晩で書けるものではない。深く内省し、緻密に分析し、表現を吟味する。そして何度も書き直して、最終的な文面に仕上げる。
自分の内面の奥底にある価値観と方向性を簡潔に、かつ余すところなく書き上げ、心から納得できるまでには、数週間、ことによれば数カ月かかるかもしれない。
完成してからも定期的に見直し、状況の変化によって、物事に対する理解や洞察も深まっていくから、細かな修正を加えたくなるだろう。
しかし基本的には、あなたのミッション・ステートメントはあなたの憲法であり、あなたのビジョンと価値観を明確に表現したものである。
あなたの人生におけるあらゆる物事を測る基準となる。
鈴木さん
生きる意味や使命は自分の意思で見つける。
もしすべてのことに意味があるなら…
この経験に意味があるなら…
この人生に意味があるなら…
意味は自分で付けることができる。自分で付けちゃえばいいと思う。
そこから「使命」も生まれていく。
長きにわたって優秀なビジネスマンが実践する「7つの習慣」を今こそ取り入れよう
「世界で最も有名な自己啓発本」と言っても過言ではない『7つの習慣』。
2019年10月3日より、ビジネス賢者たちがそれぞれ担当した習慣を読み、その際に残したメモ書きやハイライトをそのまま複製した小冊子「賢者のハイライトブック」が同書に付録され、『7つの習慣 賢者のハイライト』として発売されます。
「有名だけど読んだことない」「昔読んだけど、内容は覚えていない」という方、このタイミングにぜひ『7つの習慣』を取り入れて、自身のキャリアを見直してみてください!
明日は、C Channel株式会社 代表取締役社長の森川亮さんが読んだ、第3の習慣「最優先事項を優先する」です。お楽しみに!
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