ビジネスパーソンインタビュー
クリス・モンセン著『そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!』より
「“好きを仕事に”は無理」と言う人は、ビジネスを成立させる5つのポイントを理解していない
新R25編集部
タイトルが強いメッセージになっている同書を執筆したのは、教育系YouTuberとして活躍するクリス・モンセンさん。
自身のYouTubeチャンネル「クリスの部屋」では、「『やる気』が出ない時に5秒で動き出す方法」「メンタルが強くなる話」など自己啓発系の動画を投稿しており、チャンネル登録者数は30万人を超えています。
クリスさんが一貫して主張しているのは、「大好きなことで幸せに生きよう」ということ。
ただ、「そんなことをいわれても…」と思っている人もいるはず。そんな人のためにクリスさんはこの本を執筆したと言います。
クリスさんが考える「大好きなことで生きる方法」を、同書のなかから3記事にわたってお届けします。
ビジネスを成立させる5つの共通ポイント
では、実際に“大好きなこと”ことをビジネスとして成立させるためにはどんなことが必要なんだろう。
ここで“あらゆるビジネスに共通する5つのポイント”について説明しよう。
これは世界的なベストセラーになっているジョシュ・カウフマンの著書『Personal MBA』(英治出版)で詳しく書かれているんだけど、ここでは簡単に紹介しよう。
『そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!』あらゆるビジネスに共通する5つのポイント
①商品・サービス
②マーケティング
③営業・セールス
④デリバリー
⑤ファイナンス
どれも難しいことではないよね。
①商品・サービスは、市場に提供する価値のこと。ここでお金になるだけの価値が認められないと、ビジネスとしてはもちろん成立しない。
②マーケティングは自分の商品・サービスを広く伝えていくこと。
③営業・セールスは、マーケティングで商品・サービスを知ったお客さんに実際に販売してお金を払ってもらうこと。
④デリバリーは、お客さんに商品・サービスを届けること。
⑤ファイナンスは、ここまでの一連の過程でお金をうまく回して黒字にするということ。
5つのポイントを実際のビジネスに当てはめてみよう
どんな商品・サービスを扱っていても、この5つのポイントがうまくいっていないとビジネスとしてうまくいかないんだ。
たとえば、“包丁”を造っているメーカーを考えてみよう。
このメーカーが造っている包丁はとても切れ味が鋭くて使い勝手もいいんだけど、なかなか売り上げが伸びない。
そんなとき、パッと思いつくのは「さらに品質を上げてよいモノを造ろう」ってことなんだけど、この5つのポイントが頭に入っていたら違うところに目をつけるはずなんだ。
どういうことかというと、この包丁の場合は①の“商品”は、すでに100点満点中で95点ぐらいの高さにある。つまり、改善するべきなのは他のポイントなんだ。
では、②マーケティングや③営業・セールスはどうだろう?
包丁の切れ味や使い勝手のよさをアピールするホームページが10年前から更新されていなくて、デザインもイマイチ。
そこからユーザーが購入できるようなシステムもなくて、販売ルートが問屋や小売店にしかないようだとしたら、②マーケティングと③営業・セールスは点数をつけるとしたら、せいぜい20点ぐらいだ。
つまり、この包丁メーカーがすることは、包丁のクオリティを上げることじゃなくて、このふたつを改善すること。
たとえば、ホームページに実際に包丁の切れ味と使い勝手のよさがわかるような動画を掲載して、ユーザーがホームページから購入できるシステムを構築する。
さらに、英語版のホームページを作成することも忘れちゃいけないね。
“日本製の切れ味抜群の包丁”は、海外の人々にはかなり魅力的に映ると思うよ。
うまく海外の人々にアピールすることができれば、日本国内だけだった市場は一気に世界に広がるんだ。
95点の包丁を96点にするのは技術的な問題もあるし、その労力とコストはかなり大きなものになると思う。
だけど、その労力とコストを②マーケティングと③営業・セールスに回せば、簡単に20点から70点ぐらいまで上がるんじゃないかな。
だから、大切なことは「5つのポイントのどこが足りていないのか」という視点を持つこと。それがビジネスをうまく回していくコツなんだ。
とりあえず、今の自分の仕事を振り返ってみるときにも、この5つのポイントから考えてみるのはおすすめだよ。
仕事をしていて「大変だな」「辛いな」ということがあったとき、それはこの5つのどのプロセスに当てはまるのか、まずそこを明確にしていく。
次にそのワークフローを確認して、改善点を探ったり、うまくシステム化したりすることで、たいていはもっと楽に成果を上げられるようになるんだ。
仕事で大変な思いをしている人を見ていると、この5つのポイントのどこかでムダがあったり、変なやり方をしていたりしていて、それが辛くて嫌な仕事の環境の原因になっていることが多い。
だから、仕事がうまくいっていないなと感じるときは、この5つのポイントを意識して見直すことはすごく有効だよ。
さて、ビジネスを成立させるためには、①商品・サービス、②マーケティング、③営業・セールス、④デリバリー、⑤ファイナンスの5つをうまく回す必要があるということは、逆にいえば、この5つのポイントさえなんとかなれば、どんなことでもビジネスとして成立するということなんだ。
自分が全然やりたいと思わない嫌いな仕事を苦しい環境でやっていても、全然苦労なんかしないで大好きな仕事を楽しい環境でやっていても、この5つができていればビジネスは成り立つ。
つまり、大好きなことをやって楽しく仕事をしていても、この5つのポイントがしっかりできていれば、ちゃんとお金は入ってくるんだ。
好きなことを仕事にしていても、嫌いなことを仕事にしていても、ビジネスはビジネス。お金もちゃんと入ってくる。
だったら、どっちをやりたい? 僕はそれをみんなに考えてほしいんだ。
“大好きなこと”で収入を得る方法
あなたが“大好きなこと”を仕事にしようとしたときに反対する人たちは、当然「そんなことでお金を稼げるはずがない」っていうふうにも考えている。「好きなことを仕事にするなんて無理」と信じているんだ。
でも、それは“ビジネスでお金が回る根本的なしくみ”を理解してないっていうことの現れでもあるんだよ。
前項で紹介したジョシュ・カウフマンの著書『Personal MBA』にある“すべてのビジネスに共通する5つのポイント”から再び考えてみよう。
『そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!』①商品・サービス
②マーケティング
③営業・セールス
④デリバリー
⑤ファイナンス
この5つのポイントがうまく回っていれば、自分の“大好きなこと”であっても、逆に嫌いなことであっても、ビジネスとしては成立するっていう話だったね。
これはスキルアップのための“副業”であっても同じだから、ぜひ参考にしてほしいんだけど、ここで“大好きなこと”を仕事にする具体例をひとつ挙げて、改めてこの5つのポイントを軸にして「“大好きなこと”で収入を得る方法」を説明していこう。
今回は日本製の“お鈴”を例に使おう。仏壇の前に置いてあって「チーン…!」って鳴らす道具。いわゆる仏具なんだけど、わかるよね?
僕は今いろいろなヒーリング・グッズについて調べることにハマっているんだけど、先日すごくいいお鈴を手に入れたんだ。
まさに日本職人の技術の結晶という感じで、その音が絶妙。目をつむって響きに耳を傾けていると、世界とのハーモニーが感じられるような素晴らしい品物なんだ。
チベットなんかではお鈴の音を瞑想に使うこともあるし、僕はこのお鈴の“癒やし”効果はすごく高いと感じている。
だから、ここで僕が手に入れた、この素晴らしい“お鈴”をヒーリング・グッズとして広くシェアするビジネスを始めるとしよう。
そのブループリント(青写真)をここで説明していくよ。
①商品・サービスは、この“お鈴”。商品自体はもう95点だ。
まず「すごくヒーリング効果がある素晴らしい“お鈴”があるよ」ってことをみんなに知らせる“②マーケティング”が必要だ。
お鈴は仏具だから基本的には仏具の市場、マーケットの商品なんだけど、これを広めるためにはどうすればいいか考えてみると、それは世界の“ヒーリング市場”に出すのがベストだろう。
実は“癒やし”の効果を狙ったヒーリング市場っていうのは世界的なニーズがあって、その規模は毎年拡大しているんだ。
そこに日本の職人が最高の技術で作った世界に誇る“Japanese Technology”の頂点というコピーで売り出せば、絶対に多くの注目を集める。
じゃあ具体的にどうするか、たとえばYouTube でヒーリング・ミュージックやスピリチュアル系の動画に再生数1回につき2円ぐらいで広告を出すっていうアイデアはいいかもしれない。
現物の写真に実際の音色、技術の高さをアピールした広告を作って、これを販売するためのウェブサイトにうまく誘導する。
このウェブサイトも自分で用意するのは決して難しくない。
商品の紹介から決済まですべてのシステムがそろった“Shopify”のようなECプラットフォームを月額数千円で借りることができる。
ここではやっぱり日本語だけじゃなくて、英語でも紹介文を入れたい。
でも、そんなに難しいことを書く必要はないし、予算があれば英語通訳を雇ってもいいけど、基本的には商品の素晴らしさが伝わる内容であれば、Google 翻訳でも問題ない。
それでうまく誘導されたお客さんが興味を持ってくれて、購入ボタンをクリックしてくれれば実際に売買が成立! ここまでの流れで“②マーケティング”と“③営業・セールス”はオーケー。
次に④デリバリーだけど、これは郵便局のEMS(国際スピード郵便)を使うとして、どのくらいの日数やコストがかかるのか調べておく。あとは注文が来たら順次手配していけばいいよね。
これで仕入れと発送のコストから決めた販売価格でキャッシュが回るように⑤キャッシュマネージメントを考えれば、ビジネスとして完全に成立するんだ。
こうやってビジネスをスタートさせたら、次は5つのポイントのそれぞれについて、何点ぐらいなのか自分で評価していこう。
マーケティングはまあまあ効果があったから今度は追加でSNSにも広告を出してみようか、とか、デリバリーのプロセスをもう少し縮める方法はないか、ラッピングの包装を変えてみよう、とかね。
⑤キャッシュマネージメントをしっかりとやりながら、その時点で見えてきた問題を改善していけば、業績だって自然に伸びていくはずだ。
これはあくまでブループリントだけど、こうやって5つのポイントをひとつずつ押さえていくことで、自分の好きなことをビジネスにするっていう具体的なプロセスが見えてきたんじゃないかな?
「働くのが辛い」「仕事を辞めたい」を救う一冊
「大好きなことで生きる」ことを主張するクリスさんも、実は20代のとき非常に厳しい環境の下で働いた経験があったといいます。
「みんなには辛い思いをしてほしくない」という一心で、人の人生をコーチングすることを学んだクリスさん。『そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!』はその集大成とも言えます。
「今が一番辛い」と思う人にこの書籍が届いてほしいです。
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