ビジネスパーソンインタビュー

会議時間を“45分”に変えた3つの効果とは? 働き方改革コンサルが教える「理想の会議」

越川慎司著『超・時短術』より

会議時間を“45分”に変えた3つの効果とは? 働き方改革コンサルが教える「理想の会議」

新R25編集部

2019/09/06

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ビジネスパーソンが抱える日々の仕事の悩み。

その多くには、「作業量が減らない」「時間が足りない」といったものがあげられるでしょう。

その悩みのなか、「『時間が足りない』という悩みは、“会議のやり方”で改善されるかもしれない」と、働き方改革コンサルタントの越川慎司さんは主張します。

越川さんはこれまで528社16万人に対して「働き方改革」を支援し、そのなかで気づいた「時短術」を新著『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』にまとめています。

同書のなかから、「会議の時短術」について一部を抜粋。時短術を極めた越川さんが考える“理想の会議”について学びましょう!

ビジネスパーソンの時間を奪うトップ3とは?

体重を減らそうとダイエットする人は体重計に乗り、減らすべき脂肪の量を確認します。

働く時間のダイエットも同じです。どうやって時間を減らすかの前に、なぜ時間が浪費されるのかを一度止まって考えることからスタートしましょう。

まずは、これまでに関わった221社を調べてみました。結果、各社とも似たような傾向が出ました。トップ3はほとんど変わらず78%の企業が同じ項目でした。

1位が「社内会議」43%、2位は「資料作成」14%、そして3位が「メールの送受信」11%です。

業務時間のうち、社内会議に実に43%も費やしていたのです。顧客との打ち合わせ時間は「その他」32%に含まれます。

調査対象は大企業が多く、人事や経理などの管理部門も含まれてはいますが、それにしても会議時間が多すぎます。

今のビジネスにかけている時間をダイエットして、浮いた時間を未来の投資に充てる。それが正しい働き方改革です。

会議の成果を上げるには、3つの事前準備が必要

まずは会議を分類します。

具体的には「効率重視」か「効果重視」かを横軸に取り、特定の人から参加者に向かう「一方向」型か、意見を出し合う「対話」型かを縦軸に取って、社内会議を4種類に分けます。

具体的には、

企画・アイデア出し

教育・啓蒙・モチベーションアップ

意思決定

情報共有

『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』

に整理できます。

この種別ごとに効率と効果を高めていくのですが、最も効果が高いのは、やめる会議を決めることです。

会議室に入ってから「今日は何を話す?」という会議は言語道断、すぐにやめましょう。目的のない会議はいくらやっても成果は出ません。

重要なのは、目的に応じて会議を開催すべきかどうかを決めること。どこかで止まって考えないと、過去の悪しき慣習をいつまでも引きずることになります。

18社の1万7000時間以上を調査した結果、目標を達成して成果が出た会議は、

①目的が明確に決まっている

②しっかり準備され、アジェンダ(検討課題)が事前に共有されている

③必要な人が参加している

『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』

という3つが揃っていました。

とても当たり前のことですが、これらの要素の1つでも欠けた会議は成功確率が40%以下でした。

3つすべてがしっかり揃った会議の成功確率は87%に上がりました。この調査だけ見ても、事前の基本設計がいかに必要かが分かります。

目的を明確して会議のムダを省く

改めて、分類した会議をダイエットしていきます。

最も改善すべきは「情報共有会議」です。

10人以上集まって1人ずつ週報を説明するような「よくある会議」は効率が高いとは決して言えません。

ネットに載っている情報の確認をさせたり、営業目標の達成度をただ確認し合う会議は、即やめましょう

情報共有だけの目的であれば、「Chatwork」や「Teams」「Slack」などのITツールでカバーできます。

叱咤や熱意を伝えるために対面で指導することは必要でしょう。ただ、その儀式を毎週決まった時間に行う必要はありません。

教育・啓蒙会議」は、質疑に重きを置くものは対面式に、確認が主なものはITツールを活用するなど、整理・見直しをしましょう。

意思決定会議」のダイエットで大事なのは、何よりメンバーの選定です。

例えば、限られたメンバーのみで行うべき意思決定会議に、慣習的に「権限のない人」が参加していたりしないでしょうか。

多くの人の意見を聞く会議と、意思決定をする会議が明確に区別されないまま、曖昧に何度も開かれていないでしょうか。

「意思決定会議」は必ず決め方を決めて臨んでください。多数決なのか、偉い人が決めるのか、実現可能性で決めるのか、投資対効果で決めるのか。

こうした決め方が決まっていないと、「参加者の顔色を気にして決まらない会議」が繰り返され、その準備のために副次的な会議が増えていきます。

45分会議の“すき間時間”で生まれるイノベーション

各社の会議を分析したところ、90%以上の企業で60分をデフォルト(初期設定)として会議時間を設定していました。

大企業では平均して3分ほど遅れて会議が始まります。

会議が終わって次の会議室が離れていて移動に時間がかかることを考慮せず、60分刻みの会議がすし詰め状態でスケジュールを埋めているからです。

60分より早く終われる会議も終了予定時間までダラダラと浪費してしまう傾向があります。

そこで、21社で会議のデフォルトを45分に変えました。これによって、3つの効果が生まれました。

第1に、時間通りに会議が開始される確率が6倍になりました。

第2に、短時間で終わらせる意識が高まったことで事前準備がしっかり行われるようになりました。

重要な点は事前配布して「添付資料の3〜5ページに目を通して参加してください」といった会議招待メールが送付されるようになりました。

そして最も効果が出たこと、それは新たに生み出された時間からイノベーションが生まれたことです。

会議が終わって部屋を出た時の「今、ちょっといいですか?」というカジュアルな相談がその発生源です。

14社の新規ビジネスがどこで創造されたのかを追跡したところ、以下の結果になりました。

1位 会議室周辺(会議前後の立ち話)

2位 オープンスペース

3位 食堂・カフェテリア

4位 会議室

『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』

そう、会議室のなかよりも、会議室の前室・オープンスペースの立ち話でカジュアルに話したことが、結果的に花開いていることが分かりました。

会議はすべて撲滅すべきものではありません。

異なる知見を持つメンバーを集め、アイデアを掛け合わせて顧客の悩みを解決し、かつメンバーのやる気を増していく。

それが「やるべき会議」です。

堅苦しいだけの会議や、ちょっとしたデメリットをダメ出しし続けるダメ上司のいる会議ではなく、複雑な問題を解決するために集まったメンバー同士のカジュアルな会話の中でユニークなアイデアが生まれる。

それが「15分のすきま時間」で実現したのです。

100円タイマーでアウトプットの質を高める

26社の調査で「多くの会議が時間通りに終わらない」と回答する社員が60%以上もいました。

事前に目的が決まっていたとしても、同じことを繰り返して発言する参加者や、対案を出さずに批判をし続ける上司などがいると、時間内に終わりません。特に、権限者が話し始めると忖度して誰も止められず時間だけが過ぎていく…。

そんな場面に効果的なのは、100円ショップで売っているタイマーです。

開催者は会議の開始時に「終了の10分前」にタイマーをセットして、時間になったら残り時間でアウトプット(目標達成)を確認しながら、次のアクションを決めます。

この100円タイマーを11社で導入したところ、9社で「時間通りに会議が終わるようになった」と答えた社員が70%を超えました。

100円の投資で会議が時間通りに終われば投資対効果は高いですね。

話し合いをしているだけなのに、つい仕事をした気になってしまう会議。

会議はあくまでビジネスを形にするまでの過程なので、できるだけ短時間で終わらせたいものですよね。

超・時短術』には、「メールの新ルール」や「資料作成の時短メソッド」など、小さな業務から時短する方法が載っています。

同書を手に取ったことで、自分の働き方を見直す機会をつくってみてください。

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