ビジネスパーソンインタビュー
「頑張れない人のための勉強法」もあった!
京大卒・元日本一有名なニートpha「仕事や人間関係にすぐ飽きることは、長所かもしれない」
新R25編集部
人にはさまざまな「弱み」があります。
容姿、頭脳や、どうしても直せない悪癖…。生まれついての“人より苦手なこと”に落ち込んでいる人もいるのではないでしょうか。
しかし、そんな弱みがありながら、独自の活躍をしている人たちもいます。
新R25の8月の特集「弱みは強み」では、そんな人々に、「弱みとの付き合い方」「弱みをどうやって強みに変えたのか」を聞いていきます!
ひろゆきさんに続き、元「日本一有名なニート」が登場です
今日登場するのは、phaさん。エンジニアやクリエイターがゆるく集まるシェアハウス「ギークハウス」を立ち上げ、「日本一有名なニート」と呼ばれた人物です(現在では、収入などが増えたとしてニートを名乗るのをやめているとのこと)。
「頑張らない」「頑張れない」という致命的な弱み(?)を持つphaさんは、どのように独自のポジションを築いてきたのでしょうか?
また気になるのは、京大という優秀な学歴なのに「頑張れない」ってどういうこと?という部分。ツッコんできました。
体感ですが、新R25史上もっとも力(リキ)の入ってないインタビューになった気がします…。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
【pha(ふぁ)】大阪府出身。京都大学卒業後、なんとなく暇そうな会社に就職。2006年に転勤に伴いタイに移住するが、2007年に退職し帰国。その後シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」を開始する。著書に『ニートの歩き方』(技術評論社)、『持たない幸福論』(幻冬舎)など。7月24日に『がんばらない練習』(幻冬舎)を上梓
とにかく「頑張ること」が苦手だというphaさん。それでなぜ京大に入れたの?
天野
今日はphaさんの「苦手なこと」について聞かせてください!
今回出た著書『がんばらない練習』のなかでも「居酒屋が怖い」「つがいになれない」とか、いろいろ苦手なことが書かれていますが…
phaさん
苦手なこと、めちゃくちゃたくさんありますけど…
一番大きいのは、子どものころから、ずっと人とのコミュニケーションが苦手な気がします。小学校1年生ぐらいのときから、友だちと遊んだりするのも苦手だなと思ってました。
ずっと家で本を読んでるほうがよかったですね。そうしてると「外で遊びなさい!」って怒られるんだけど。
悲しき小学校低学年…
phaさん
同じように、そのころからずっと「何かを頑張る」ことも苦手でした。
天野
でも、phaさんは京大出身なんですよね…?
勉強は頑張れたんでしょうか?
phaさん
うーん…勉強を頑張ってたという感じでもないんですよね…勉強してれば人と話さなくていいからラクだったし…
あえて言えば、ちょっとしたコツや感覚があれば、「頑張る」という感じにならなくてもできたんですよね。
天野
頑張らないでも勉強が続けられるコツがあるんですか! 教えてほしいです。
phaさん
たとえば、最近野菜を食べてないなってときにサラダを食べると、「野菜ってうまいな~」と思うじゃないですか。
それは、今自分が求めてるものだから自然にうまいと思えるんですよね。
天野
野菜…
phaさん
それと同じで、今自分が興味を持ってること、知りたいと思うことを見つける。
そうやって「自分にとっての野菜は何か」を考えて、楽しめることを勉強していけば、「頑張れない人」でもなんとかなったんですよ。
まあ、それは僕が勉強という作業が好きだったからなんですけど。苦手なことからは逃げて、無理をしないでできることを見つけるのが頑張らないでやっていくコツだと思います。
頑張れない人のための勉強論でした
「会社にいる人、全員気が合わない」
天野
就職されてからは、どんなことに「苦手」を感じましたか?
phaさん
一番驚いたのは、“働きはじめたらこんなに孤独なのか”ってこと。
会社にいる人、全員気が合わなかったんですよ。
そんな「全員悪人」みたいに…
天野
全員ですか…
phaさん
毎朝同じ時間に会社に行って、同じ時間に帰る。自分にとっては苦痛なことを、みんな平然とやっているのが信じられなかった。
大学のころは自由で楽しかったのに、また“学校”が戻ってきたって思って。
天野
つまらない“学校時代”が戻ってきたと。
仕事内容にも興味が持てなかったんですか?
phaさん
まったく持てませんでした。興味が持てない会社に、暇そうだからという理由で就職した僕も悪いんですが…
まず朝起きるのがイヤだし、満員電車に乗るのもイヤだった。気を遣ってまわりに合わせて、評価されたいとも思わなかったですし…
みんなこれを定年までやってるのか???って本気で驚きましたね。
苦難の時代を思い出して、どんどんずり下がっていってしまうphaさん
「頑張って働くのが当たり前」なんて、日本のローカルルールでしかない
天野
そんな絶望から、どうやって抜け出したんでしょうか?
phaさん
タイに住むことにしたんです。
勤めてた会社で、タイのバンコクに転勤する人を募集してて、なんとなく面白そうだなと思って応募して。
天野
おお…どうでしたか?
phaさん
バンコクに行ったら、日本だったら働かなきゃいけない年代の男性とかが、昼間っから働かずにゴロゴロしてるのをよく見たんですよ。
コンビニの店員もおしゃべりばっかりしてて、あんまり働いてない。
これはいいな!と思いました。
「これはいいな!」(力強く)
phaさん
あと、タイ以外の国から来てる人も多くて、いろんな価値観に触れることができたんですね。そこで気付いたんです。
「頑張って週5日働くのが当たり前である」とか「定年までずっと働きつづける」なんて、日本のローカルルールのひとつでしかないんだ!って。
それで会社をやめて、ニートとして生活しはじめました。
天野
そこから「ギークハウス」をつくり、「日本で一番有名なニート」と呼ばれるようになるんですね…
「ガマンができないからこそ、合わないときにすぐやめられる」
天野
今回は、「弱みが逆に強みになった」というお話を聞きたいんですが…
phaさんの場合、何か強みになっていることはありますか?
phaさん
僕はガマンができない人間なので、「すぐやめることができる」のが長所だと思います。
phaさん
ガマンできるタイプの人だと、イヤなことがあっても「途中でやめる」のができずに続けちゃったりするんですよ。なまじガマンできちゃうから。
だけど、イヤなことは早めにやめちゃったほうがいいんですよね。
「ガマンできない」ことは価値だと思います。僕は結局3年ぐらい働いたんですけど、それですら、もっと早く辞めたほうがよかったなって思いましたし。
天野
会社だと、3年ぐらい頑張ったほうがいいという話もありますけど…
phaさん
いやいや、1年もいれば自分がそこに合うかどうかなんてわかりますからね。それ以上いるのは時間のムダです。
自分は遅すぎました。
街や人間関係…いろんなことに「飽きてしまう」
phaさん
僕、いろんなことに「飽きる」んです。「リセットしたい」という気持ちが出てきてしまう。
たとえば街にも飽きるから、2年に1回は引っ越します。
最初は「いい街だな」と思ってても、少しすると「毎日同じ景色を見るのに飽きた。別の場所に行きたい」ってなる。
天野
コミュニケーションが苦手ということでしたが、“人間関係”もリセットしたくなりますか?
phaさん
なりますね。面白いと思って付き合ってた人たちが、だんだんウザくなってきたりする。
たまに悪い顔をするphaさん
phaさん
“ウザい期”が終わると、また冷静に見られて仲良くできたりするんですけど。
たまに昔の友だちと会うと、「ずっと変わってないな」って思っちゃったりするんです。
それは、自分が変化しつづけてる証拠とも言えるかもしれない。
天野
ちょっとわかる気がします…
たまに飲んでも話題がない感じ…
phaさん
「このまま定年まで働く」みたいなことに絶望したのも、絶対飽きると思うからなのかもしれません。
あと…こういうこと言うのは気が引けるんですけど…
なんでしょう
phaさん
女性と長く付き合うのも苦手なんですよね。
天野
ああ~…(謎の納得)
phaさん
「夫婦がだんだん顔が似てくる」っていう話あるじゃないですか。
ああいう“一体化する感じ”がちょっとイヤだなと思っちゃうんですよね。本当は、一人ひとり別のことを考えている人間のはずなのに、融合してしまうのが怖い。
でも男女関係は、なんとかうまく続けられるようになりたいという憧れもあるんですよね。失敗ばかりですが…
自分ができないことをできる人は「違う生き物」と思えばいい
天野
「頑張れない」ことで悩んだりする人もいると思うんですが…そういう場合はどうしたらいいですか?
phaさん
「それが自分だ」と諦めることですよね。
天野
まわりが頑張って活躍しててもそう思えるかな…
phaさんは、ほかの人を見て嫉妬したりうらやんだりすることはないんでしょうか?
phaさん
ないですね。
どんな人を見ても、あまり“自分と関係ある”と思わないんですよ。鳥が空を飛べるからって別に嫉妬しないような感じで。
そういう嫉妬で苦しんでる人は、自分ができないようなことをしてる人を見ても、「違う生き物だな」って思えばいいんじゃないですかね。
天野
「違う生き物」! なるほど。
phaさん
あと、僕の場合は「書くこと」で悩みが解決された気がします。
ブログやツイッターに、「俺はだめだ」とか「会社で働けない」とか、思っているままを書いてたら、だんだんと共感されることが増えてきた。
これは、自分の弱みをさらけ出すいい訓練だったんです。
天野
書くことで、弱みを見せる訓練ができるんですね。
phaさん
そうそう。実際、多くの人の前で自分の弱みをさらけ出すと、得なことばっかりですよ。
同じ悩みを持ってる人からは共感してもらえるし、イキってると反感を買いがちだけど、弱そうに見せてると攻撃も受けにくいですし。
自分のダメな部分を普段から言っていると、そういうのが大丈夫な人ばかりがまわりに集まってきます。
phaさん
今ムリして頑張りすぎている人は、「プライドを持ちすぎず、自分をダメに見せるほうが得」っていうことを覚えるといいですね。
結局、人間は自分の性質に従うしかないですから。まわりからのハードルを上げないほうがいいんです。
めちゃくちゃ低体温でお届けした、phaさんインタビュー。
しかし、この絶妙な温度感こそ、「自らの弱みをさらけ出していく」というスタイルに必要なものなのかもしれません。
SNSで、ちょっと“盛ってる”投稿をするのがクセになってる人は、まずはそれをやめてみるのが、あなたにとっての「がんばらない練習」になるのではないでしょうか。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=高橋佑樹〉
『がんばらない練習』
会話がわからない、服がわからない、すぐ帰りたくなる…。
phaさんが、人生の「がんばれないこと」をつづった一冊が発売になりました。
京大卒・元ニートが実践する、「自分らしく生きる方法」とは?
特集「弱みは強み」
ほどよいユルさを提供してくれたphaさんの次は…
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明日の公開をお楽しみに!
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